○石韋(せきい)
日本の関東以南及び朝鮮半島や台湾、中国南部、インドシナに分布するウラボシ科の常緑シダ植物ヒトツバ(Pyrrosia lingua)などの同属植物の葉を用いる。ヒトツバは暖地の乾燥した岩や葉に群生し、普通にみられる常緑のシダである。根は石韋根という。
ヒトツバの全草には配糖体、フラボノイド、サポニンなどが含まれるが、詳細は明らかではない。漢方では清熱・利水・通淋・止血の効能があり、淋病、血尿、腎炎、子宮出血、下痢、気管支炎、癰疽などに用いる。とくに通淋薬として有名であり、熱淋、石淋、血淋などの膀胱炎や血尿に滑石・瞿麦などと配合する(石葦散)。また気管支炎や喘息などの治療に効果がある。
日本ではほとんど利用されていないが、中国では今日でも尿路結石や腎炎などによく用いている。石韋根の粉末は止血薬として傷に散布する。