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土曜日, 3月 01, 2008

ヤムいも

〇ヤムいも

 漢方で滋養・強壮・強精・止瀉薬とされる山薬は、我が国が自生するヤマノイモの一種だが、ヤムイモも同じくヤマノイモ科に属し、フィリピンをはじめとする東南アジアで広く自生している。フィリピンではUBEの名があるが、わが国ではヤムいもという通称以外に、根茎を切ると鮮やかな赤紫色を呈するところからパープル・ヤム、乾燥後に微粉末にした健康食品素材を特にパープル・ワイド・ヤムと呼んでいる。

 原産地フィリピンでは一般的に食材として茹でたり焼いたりスプレッド状にして食べられているほか、粉末にしてケーキ、タルト、シャーベットなどにも用いられる。栄養的には炭水化物(粉末で87%)と食物繊維(同約10%)が中心で、カルシウム(100g当たり28.9mg)と鉄(同10.7mg)の含有量が多いのが特徴だ。

 ヤムイモで特に注されるのは、赤紫色の色素成分であるアントシアニン(ポリフェノール)をはじめとするファイトケミカル(植物微量成分)が多く含まれていることである。ポリフェノールはタンニンやカテキン、フラボノイドなどを含めた総称だが、ヤムイモ(エキス・パウダー)の総ポリフェノール含量は9.31%にも及ぶ。アントシアニンは目の疲労回復や近視予防効果で知られる物質だが、体内で活性酸素の生成を抑制することを通じて発ガン・動脈硬化・心疾患・炎症性疾患を予防し、老化現象にブレーキをかける働きのあることが最近の数多くの研究で明らかにされている。

 また、前述の山薬やヤマノイモの滋養強壮効果は、サポニンの働きに加えてネバネバ成分であるムチン(ムコ多糖体)がタンパク質の効率的な代謝を促すことによるとされているが、ヤムイモにもサポニンのようにステロイド核をもついくつかの物質が見いだされており、その一つがジオスゲニンである。ジオスゲニンハDHA(デヒドエピアンドロステロン。副腎で作られるホルモンで、若さを保つホルモンとして知られる)の前駆体となる物質で、女性ホルモンの失調によって生ずる月経前症候群、子宮内膜症、過敏性乳房、不定愁訴、骨粗鬆症、更年期障害(高血圧、のぼせ)、乳ガンなどを防ぐことに寄与するとされている。卵巣を摘出したマウスにジオスゲニンを投与することによって、乳房上皮の発達が確認されたという実験結果が報告されている。