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木曜日, 11月 03, 2005

イチョウ葉について

○いちょう葉

 イチョウの出現は約2億5000年前(古生代中葉~末期)であるとされる。十数種類が地球全域にわたって繁殖したが、6000万年前の大氷河期に一属一種を中国の南部地帯に残して絶滅したと考えられている。残されたその樹種が11、2世紀頃に中国からわが国へもたらされ、江戸時代中期(1700年頃)に長崎に滞住したドイツ人医師によってヨーロッパへ紹介されたという。

 古くから中国でもわが国でもイチョウに薬効を認め、外種皮を除いた種子の銀杏(漢方では白果仁)は鎮咳、去痰、夜尿症、頻尿によいとし、民間療法では葉を煎じて心臓病(動脈硬化)に用いたりしてきた。しかし、ドイツで開発されたイチョウ葉エキスは、高年者のボケ防止、血流循環改善(血行促進)剤などとして高く評価され、先導役のドイツをはじめ、フランス、イタリア、スイス、オーストリア、さらに台湾や韓国などでも医薬品とされ、アメリカやイギリスでも非常に有望なサプリメントとして扱われている。とくにアメリカの医療関係者によって、イチョウ葉エキスが痴呆症やアルツハイマー病に有効であるとの報告が行われた1997~98年以降は、その影響が世界的に及んだ感がある。

 イチョウ葉の有効成分としては、30種類以上にものぼるとされるフラボノイドがある。フラボノイドは植物に含まれる色素成分で、種子の発芽や成長の調節物質であるとともに、太陽の紫外線を吸収し内部組織を保護する作用などが考えられており、人体に入ると毛細血管の保護、活性酵素を抑制する機能などを発揮するが、とくにイチョウ葉には二重フラボン(ギンケラチンやイソギンケラチンなど)が含まれ、他の植物のフラボノイドに比べ血液循環効果が数倍強いとの研究もある。

 イチョウ葉に特有の成分であるギンコライドは、化学的にはチルペン類に属する有機化合物で、血小板活性化因子(PAF)の働きを阻害し、毛細血管の拡張と血行促進、血栓防止、血圧の調整、脳の血流量の増加、老廃物の排泄を促進する作用があり、老人性痴呆症に有効であると考えられている。

 ほかにも毛細血管を強化するルチン、血圧投下作用のあるケルシトリン、肝臓機能を高めるシリマリン、血管を拡張し血流をよくするテポニンなども検出され、これらが相乗的に働くことによって、生活習慣病や高齢化に伴う不定愁訴、退行性痴呆症、慢性脳血管障害、虚血性抹消循環不全、心不全、平衡障害などにまでその効果が及ぶと考えられる。