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土曜日, 9月 22, 2012

血竭

血竭(けっけつ)

 スマトラやボルネオ、マレー半島などに産するヤシ科の常緑つる性本木キリンケツヤシ(Daemonorops draco)、または同属植物の果実表面の鱗片間および樹幹から分泌する紅色の樹脂を用いる。別名を麒麟血といい、英語でもdragon's bloodというが、これらは乾燥した樹脂が赤く、未知の動物の血塊と考えられたことによる。

 薬材は赤褐色あるいは茶褐色をした定形の塊で、断面はガラス状の光沢がある。表面が鉄のように黒く、粉末が血のように赤く、燃やすと鼻をつくものが良質といわれている。生薬以外に家具用ニスの原料、紅色の着色料や染料などとしても利用されている。

 おもな成分はエステルとドラコレジノタンノールの混合物である。漢方では止血・活血の効能があり、捻挫、打撲傷、出血、瘀血による痛み、潰瘍などに用いる。一般に散薬、丸薬にして用いる。打撲傷によるうっ血などで痛むときに内服すれば瘀血を除き痛みが止まる。外用すれば傷口を収斂し、化膿を防止し、肉芽を促進する(生肌散)。日本ではあまり薬用に利用されていない。

 ちなみに西洋で一般にdragon's blood tree(竜血樹)と呼ばれているのは、Dracaena dracoやD.cinnabariなどのリュウゼツラン科の植物であり、それらから採取される赤い樹脂も古代ローマ時代から鎮痛や止血のための薬品として利用されていた。