○柿餅(しへい)
東アジアの温帯に分布するカキノキ科の常緑高木カキの果実を加工して餅状にしたものを用いる。英語でもkakiというが、奈良時代に中国から渡来したという説が有力である。
樹のままで渋みが抜ける甘柿と自然には脱渋しない渋柿とがあり、前者はお温暖地に多く、後者は寒冷地でも栽培できる。おもに渋柿の成熟した果実の外皮をむき、1ヶ月間、日や夜露にあてて乾燥し、さらに1ヶ月は室内でムシロの中に放置すると柿餅ができる。そのうち、日干ししたものを白柿、火で薫じたものを烏柿という。
柿の果実は糖類、ペクチン、カロテノイド、ビタミンC、タンニン、酵素類が含まれ、栄養価は高い。カキの渋みはシブオールを主成分とするタンニンのためであるが、熟していくにつれタンニン細胞が凝固、収縮して褐色班に変化し、タンニンが不溶性となって渋味がなくなる。熟した柿には止咳・止渇の効能があり、二日酔いなどの酒毒を解する作用がある。
漢方では潤肺・止血・止瀉の効能があり、咳嗽や血痰、喀血、痔、下痢などに用いる。なま生のカキは冷やす性質が強く、食べ過ぎると腹痛や便秘の原因となる。