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月曜日, 4月 02, 2012

遠志

○遠志(おんじ)

 朝鮮半島、中国北部、シベリアに分布するヒメハギ科の多年草イトヒメハギ(Polygala tenuifolia)の根を用いる。李時珍は「志を強くする」作用があることが遠志の名の由来であるとしている。和名は糸姫萩と書き、日本に自生するとヒメハギに似て葉が細いことによる。ちなみに北アメリカには同属植物の薬草セネガ(P.senega)があり、セネガを中国では美遠志という。

 イトヒメハギの根にはトリテルペンサポニンのオンジサポニンA~G、キサントン誘導体、トリメトキシケイヒ酸などが含まれ、去痰作用や抗浮腫作用、利尿作用などが知られている。セネガと類似成分が含まれるが、セネガは鎮咳・去痰薬として利用されている。

 漢方では安神・去痰・消腫の効能があり、動悸、健忘、不眠、咳嗽、多痰、乳腺炎、腫れ物などに用いる。とくに精神を安定(安神)さらたり、健忘症を改善(益智)する効能で知られている。このほか、遠志は外用薬として皮膚化膿症の初期に用いる。