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火曜日, 10月 25, 2011

機能性食用油

○機能性食用油

 農林水産省が主婦を対象に行った食用油の消費実態調査では、約半数の消費者が健康や栄養面を考えて油を選択しており、植物油独特の風味も重視して料理によって使い分けているという結果が出ている。食用油に対するこのような消費者の健康志向を反映して、数年前から機能性食用油市場が拡大している。製油大手が投入している製品をみると、単に健康によい植物油というイメージ的な訴求ではなく、”体に脂肪が付かない油”、”コレステロールを抑制する油”といった具体的な健康機能性を付加している点が特徴である。

 先陣を切ったのは花王の健康「エコナクッキングオイル」で、1999年2月に脂肪がつきにくい食用油として発売され、半年で400万本を売り上げた。食用油ではじめてトクホ表示が許可されたことでも話題を呼んだ。エコナの主原料はジアシルグリセロールで、同じ脂肪酸組成のトリアシルグリセロール(従来の食用油の主成分)と比較して食後の血中中性脂肪の上昇を抑制する作用がある。また、長期間摂取した場合には内臓脂肪の増加を抑制することが確認されている。

 日清製油が開発した「日清バランスオイル・ダイエット」は中鎖脂肪酸を約10%含む食用油で、酵素を用いて油の構造に特徴を持たせている。中鎖脂肪酸はエネルギーとして分解されやすく、手術後の流動食や未熟児のエネルギー補給などに利用されているが、同社と香川大学との共同研究によって長期栄養試験をヒト対象で行った結果、体脂肪として蓄積されにくい油であることが認められた。

 2001年になると、機能性食用油のターゲットは脂肪からコレステロールへ移り、コレステロールの吸収を抑える食用油が次々と発売された。大豆や米など植物胚芽に含まれる植物性ステロールを配合した製品が多い。これは食事で摂取したコレステロールは胆汁酸と結合して体内で吸収されるが、植物性ステロールは胆汁酸と結合しやすいため、結合できなかったコレステロールが対外に排出されやすくなるからで、花王は健康エコナに植物性ステロール(β-シトステロール)を加えた製品をトクホとして発売した。日清製油は米胚芽油ベースの食用油「バランスオイル・コレステ」を投入した。通常の大豆油に比べて植物ステロールが4.5倍含まれる油だ。

 ホーネンコーポレーションの食用油「健康上々」もコレステロール値の抑制にターゲットを絞っているが、植物性ステロールを使わず、麹菌の一種である紅麹のエキスを配合した。ヒトの体内では肝臓から出る酵素の働きでコレステロールが生成されるが、紅麹に含まれるモナコリンやγ-アミノ駱酸といった成分がこの酵素の働きを抑制することに着目した。同社によると、体内の総コレステロールの2割は体外からの食物の摂取によるが、残りの8割は体内酵素の働きで形成されるという。紅麹エキスはこの8割のコレステロールを抑制するとしている。

 昭和産業の「オレインリッチ」は悪玉コレステロールだけを低下させるといわれるオレイン酸を80%使用したヒマワリ油。酸化に強いため鮮度と風味が長持ちするほか、調理時に油酔いしにくいというのが特長である。このほか最近では、中鎖脂肪酸を関与成分としたナタネ油ベースの「ヘルシーリセッタ」(日清オイリオグループ)が体に脂肪がつきにくい食用油としてトクホを取得、ヒット商品にしている。