スポンサーリンク

土曜日, 12月 31, 2005

プルーンについて

○プルーン

 プルーンはバラ科のセイヨウスモモノ一種(乾果専用種)で、長寿地帯のコーサカス地方とカスピ海に近い西アジア地方が原産である。腐らせずに乾燥できるので干しスモモに用いられる。欧米ではミラクル(驚異の)フルーツ、ワンダー(不思議な)フルーツと呼んで活用し、アメリカの病院では妊婦にプルーンジュースを飲ませて便秘や貧血の予防に役立てている。

 プルーンに含まれるビタミンAは多くの果実に比べ数倍、数十倍と多く、B1も小麦胚芽と並ぶほど多い。そのほかB2、ナイアシン、生長促進のパントテン酸、ピリドキシンなど、豊富なビタミン類をバランスよく含有している。また、重要な機能を持つミネラル類が多く、カリウムやリンをはじめ、血液を正常に保つ働きがあるカルシウム、鉄、マグネシウムなども豊富である。

 プルーンは古くから貧血に効くことが知られており、アメリカで行った動物実験(1933年)でも既に、貧血を治すプルーンの能力は食品としてレバーについで高く、ホウレン草やキャベツよりも優れていることが報告されている。また、便秘に効くので、朝食にプルーンを食べる習慣は欧米人の生活の知恵とされる。悪性の便秘が治った例もあり、優れた自然の便秘薬といえるが、この効用については、カリフォルニア大のエマーソンの研究によると、プルーンには水にもアルコールにも溶けやすい緩下作用のある物質が存在するからだと述べている。

 健康食品のプルーンは、乾燥したプルーンのエキスをペースト状やゼリー状に食べやすく加工したものや、粒状タイプのものがある。

プルーンの商品一覧

金曜日, 12月 30, 2005

カリウムについて

○カリウム

 カリウムは、生命を維持する上で欠かすことのできない必須の物質であることが知られ、その働きは①細胞内の機能を高める、②電解質や血液中の酸、アルカリのバランスをとる、③神経や刺激の伝達がスムーズに行くようにする、④心臓のリズムの調整、などがあげられるが、特に最近はその生理作用が注目されている。

 例えば、カリウムを摂り過ぎた場合は、慢性腎炎や尿毒症の原因となり、極端に多ければ心臓にも作用して生命に危険が及ぶこともないわけではない。また、通常は過剰分の排除が排尿によって行われるが、次第に機能低下が併発するようになると排泄能力がダウンするため、摂取制限をしなければならなくなる。

 逆に不足した場合は、副腎皮質機能を亢進して、あらゆる筋肉の興奮性が減り、筋肉の収縮・弛緩の調整がうまくいかなくなって、疲れやすくなる。また、腸の蠕動運動が妨げられて便秘を起こしたりする結果、浮腫や半身不随、不整脈、心臓発作に陥りやすくなる。(しかし高カリウム血症と異なり、生命に危険が及ぶことは少ないとされる。)

 カリウムの作用で特徴的なのは、高血圧の原因のひとつと考えられている塩分(ナトリウムか塩素なのかははっきりしていない)の害を防ぐ効果が実験的に証明されたことである。腎臓病には付随して起こる高血圧を2次性高血圧といい、他に特別な原因が見つからない高血圧を本態性高血圧というが、この本態性高血圧の場合、カリウムを多く摂ると発症が抑制されることがわかったのである。

 弘前医大が行った東北地方の高血圧調査では、カリウムを多く含んでいるリンゴをたくさん食べる人と、そうでない人とを比べた結果、リンゴ村の方が高血圧の人が少なく、そうでない方は高血圧の人が多かった。その後の実験でもこれが証明され、本態性効血圧を予防するにはカリウムを多く含んだ食品(例えば海藻、ヒマワリの種子、胚芽、アーモンド、レーズン、パセリ、ピーナッツ、イチジク、大豆、リンゴ、バナナ、ビワ、セロリ、ホウレン草、三つ葉などの野菜、果物類など)を十分に食べる必要があると報告している。

 カリウムの1日所要量は成人で2000mgなので、通常の食事をしていれば不足することはまずないといってよい。

木曜日, 12月 29, 2005

ドロマイトについて

○ドロマイト

 飽食の弊害まで叫ばれる近年の栄養事情の中で、ミネラルに関する認識の遅れが指摘されてきたことはよく知られたところである。日本人の栄養摂取の基準は「食事摂取基準」(第6次改定日本人の栄養所要量・2000年)によっており、カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデンの13種のミネラルに、所要量と許容上限摂取量が策定されている。

 カルシウムの1日所要量は成人男性で600~700mg、女性は600mg(許容上限摂取量は2500mg)、マグネシウムは成人男性で280~320mg、女性は240~260mg(許容上限摂取量は650~700mg)である。

 カルシウムの体内存在量は体重比1.5~2.2%だが、単に骨格の成長に寄与、あるいは骨粗鬆症を防ぐだけでなく、全体の1%は細胞内に、0.1%は血清中に遊離イオン、あるいはタンパク質などに結合して存在し、神経刺激の伝達、心筋の運動の調整、ホメオスタシス(恒常性の維持)といった重要な生理活動をつかさどっていることが明らかにされてきている。また、脳細胞内に有害なアルミニウムが入って、アルツハイマー病やボケを引き起こすことを防ぐ働きも指摘されている。

 マグネシウムの体内存在量は体重比0.01%程度で、ほとんどは細胞内にあって酵素の活性を維持する働きが認められ、心疾患の予防、また糖尿病患者には低マグネシウム血症が多く見られることから、近年激増している糖尿病予備軍の健康維持(糖代謝の正常化)にとっても重要とする指摘もある。

 絶えず排泄されるため、摂取不足は直ちに欠乏症に結びつきやすい。また、カルシウムとマグネシウムは体内で一方が減れば一方が増えるという相補的な関係にあるため、摂取に関してはカルシウム2に対してマグネシウム1の割合を保つことが求められる。

 しかし現実問題として、日本人の平均摂取量はカルシウムが550mg前後、マグネシウムが200mg前後とみなされており、加えて10代の成長期や妊娠女性はカルシウムを50%程度(授乳期は85%前後)増量する必要性も提示されており、摂取量の不足が懸念されるのである。

 ドロマイトは、太古、サンゴなどが海底に堆積して石灰岩を形成したあと、そのカルシウムの一部が海水中のマグネシウムと置き換わった鉱石で、カルシウムとマグネシウムの組成比が2:1という願ってもない理想的な割合で含まれ、しかも純度が高い。

 この生物由来の鉱石を微粉末にすることで、白くて無味無臭の、しかも人体への吸収が高く、サプリメントにも栄養補助食品にも最適の素材(食品添加物ではない)が実現した。デンマーク産天然ドロマイトを使った菓子の輸入も厚生労働省から認可されており、国産のドロマイトも市場に供されている。

ドロマイトの商品一覧

水曜日, 12月 28, 2005

バナ・ウォーターについて

○バナ・ウォーター

 水の持つ健康効果への関心の高まりに呼応する多くの機能水が、比較的広範な効用を標榜してきたことに比べると、このバナ・ウォータは、飲用の目的を血糖値の降下(糖尿病の改善)に絞って登場したところに特徴がある。名称の「バナ」は、微量必須ミネラルのひとつであるバナジウム(V)を意味し、機能性成分として酸化バナジウム(V2O5)がある。

 バナ・ウォーターは富士山山麓の玄武岩層(バサルト層)を150m余りボーリングして採水される。これは、雨水や雪解け水が地中深くしみ込んで伏流水となり、ゆっくりと玄武岩層の間を流れる途中で、玄武岩に多く含まれるバナジウムを溶かし込んでいるからである。近年わが国では、飽食による肥満、運動不足、ストレスなどの累積が原因とされる成人(Ⅱ型)糖尿病がその予備軍を加えると1370万人にも達し、まさに新たな国民病の様相を呈しているが、このようなときに、この機能水の果たす役割には、大きな期待が寄せられて然るべきであろう。

 バナ・ウォーターの発見は、全国の岩石分布や、岩石の種類に影響される河川水や地下水のミネラル成分を研究した山梨県環境科学研究所(瀬子義幸・長谷川達也ら)の調査が機縁となった。その調査によって、地元を訪れる相模川と湖水では、他の地域や水系の7~8倍の濃度のバナジウムが認められたのである。そしてこの事実の意味を解析する過程で、1987年に発表されたJ・メイェロヴィッチ(シェバ・メディカルセンター研究所)らによるバナデートの血糖降下作用の研究に結びついた。この研究は、バナデート(酸化バナジウム化合物)の水溶液を高血糖ラットに経口投与したところ、正常値の3倍近かった血糖値が4日後に正常になり、投与を中止すると再び一気に高血糖になった、というものである。

 こうして新たに相模水系の探索が行われ、バナジウムを56ppbの濃度で含む富士山伏流水(バナ・ウォーター)が、高い血糖値効果作用を見出せることが検証された。

 バナジウムがなぜ血糖効果作用を有するかについては、奥田拓道(愛媛大学医学部)らの新しい研究がある。血液中の余分なグルコース(ブドウ糖)やリポタンパクは脂肪細胞に取り込まれて肥満を招くが、肥満状態が続くと、脂肪細胞内の脂肪は自然分解により遊離脂肪酸となって血液中に増えて行く。するとこの遊離脂肪酸にはインスリン抵抗性があるため、筋肉細胞にインスリンの作用で取り込まれたグルコースの代謝を阻害し、次いで筋肉細胞内にグルコースが取り込まれること自体を阻害して、結果的に血糖値を高くし、成人糖尿病を招くことに繋がる。

 このとき、バナジウムは、脂肪細胞内の油滴が自然分解することブロックし、それによって遊離脂肪酸がインスリン抵抗性を出現させることを阻み、血糖の増加を抑え、成人糖尿病の発症にストップをかける、というメカニズムが明らかにされたのである。現在のところ、バナジウム以外で自然分解を抑える物質は知られていない。

バナ・ウォーターの商品一覧

火曜日, 12月 27, 2005

アロエについて

○アロエ

 アロエはアフリカ原産のユリ科の多年草であるが、わが国へ観葉植物として輸入された同属のものだけでも優に200種を超えるほど種類が多い。そのうち日本薬局方への医薬品(苦味健胃・瀉下薬)とされるのはアフリカから輸入されるケープアロエで、従来健康食品や化粧品に繁用されるのはキダチアロエと、比較的新しいアロエベラである。

 アロエの薬用植物として利用は遥か有史前に遡り、史実としてはミイラとともに発掘された古代エジプトのパピルス(紀元前1550年頃)に緩下薬としての利用が記され、また皇帝ネロの侍医ディオスコルテスの書いた「ギリシャ本草」にも薬効の記載がある。こうした歴史を持つだけにヨーロッパ全域で民間薬として定着し、中国へはシルクロードを経由して8世紀頃に生薬名「盧薈」(盧は黒、薈は集まるで、葉の切り口から出る液が空気に触れて酸化すると黒色になり、その塊を意味する)の名でもたらされたとされる。わが国へは鎌倉時代(14世紀)に中国から招来され、18世紀初頭に再びオランダ医学と共に導入されて、以来広く民間薬として今日を迎えている。

 その薬効については、10世紀頃の中国の「開宝本草」に「緩下剤、あるいは火傷、皮膚病、痔疾...」と記されたことの他に、古くから内服によって胃の浄化、健胃、消化促進、便秘、通経に効果が認められ、外用して関節痛、筋肉痛、ヒビ、あかぎれ、イボ、にきびなどの皮膚傷害、脱毛、肌荒れ、水虫などに良いとされてきたが、近年はキダチアロエ、アロエベラ両方の効用として、胃炎、膀胱炎、尿道炎など炎症性疾患、高血圧、浮腫、喘息を含む呼吸器疾患、糖尿病(インスリン様の血糖値降下作用)、悪酔い、痛風、腫瘍やガンなどへの効果が実験的にも臨床的にも繰り返し報告されている。

 薬効成分としては早くからアロイン(苦味配糖体で健胃・瀉血・緩下効果を持つ)、アロエエモジン(苦味健胃・瀉血・緩下効果)、アロエニン(健胃・緩下・抗アレルギー作用)、アロエチン(抗菌・美白)などが確認されていたが、抗菌作用物質とされてきたアロエウルシンに抗潰瘍作用が見出されたり、抗ガン性と関わりを持つ抗腫瘍・免疫機能活性成分として、アロエマンナン、アロミチン、アロエレクチンなど多数が新たに発見されている。そのほか、サポニン、ムコ多糖体、葉緑素、ビタミンA・B12・C・Eなど一般的な薬効成分も加わった相乗作用で、免疫機能が亢進され、その結果として、アロエの多彩な効用が生まれるものと考えられている。

アロエの商品一覧

月曜日, 12月 26, 2005

卵黄油(卵油)について

○卵黄油(卵油)

 卵黄油は、いつの頃からか家庭で作られ、貴重な健康法のひとつとして利用されてきた。現代家庭療法の古典ともいえる「家庭における実際的看護の秘訣」(通称・赤本)が1925年(大正14年)に発刊されたが、その中には心臓病、若白毛などが卵黄油によって良くなった実例が紹介されている。それ以降の用例を見ても、卵黄油が血行を良くし、肩こりや腰の痛みなどを取り、疲労感を和らげ、体全体に活力を吹き込むものとして利用されている。

 人間の体は60兆個ともいわれる膨大な数の細胞からできている。その細胞全てが十分に栄養を摂取し、新陳代謝が行われていれば、健康体を維持できるわけであるが、卵黄油は血液循環を活発にして、体の隅々まで栄養を行き届かせる効用がある。

 卵優の含有成分を見ると、生命の基礎的物質であるレシチンや、血管に溜まった余分なコレステロールを取り除くリノール酸などの不飽和脂肪酸があり、血液循環や新陳代謝を活発するのに役立っていると考えられる。

 こうした卵黄油の効用・作用は、①筋肉に良い栄養となる、②筋力だけでできている心臓の働きに良い、③血の巡りをよくして禿や白髪を防ぐ力がある、④血行不良が原因となる肩こり、筋肉痛の改善に役立つ、⑤外用すれば、痔にも有効である、⑥女性が最も気にする自然の美肌作りにも大いに役立つ、というように多彩である。いずにせよ血液の循環は健康の基本なので、そのほかにも派生的に様々な効能が期待されるのである。

 卵黄油の作り方は、鶏卵の黄身だけを取り出して、長時間にわたって、とろ火で焼き上げていく。終わり頃に少量の油が残る。これが卵黄油である。

 家庭で作るには2時間ほど要する。用意するものは、鶏卵の黄身を10~20個、そしてフライパン、しゃもじ(柄の長いもの)。作り方は、はじめに黄身だけを取り出してフライパンにいれ、とろ火にかける。①火にかけてから煎り卵を作るときのように、良くかき混ぜる。②次第に煎り卵のように黄身がボロボロになってくる。それをしゃもじで押しつぶしながら、平均に焼けるようにかき回す。③ボロボロの塊は細かいつぶになる。④さらにかき混ぜていくと、全体が狐色になり、やがて濃い茶色に変わる。この頃には濃い異臭が立つようになる。⑤黄身はボロボロになり、これを押しつぶすようにかき混ぜる。⑥徐々にベトベトシタ液体になり、黒い液体がにじみ出てくる。この頃にはフライパンを一方へ傾け、黒い液(卵黄油)だけを留めるようにする。⑦十分に油が出たところで、火を止める。(あまり長く焼きすぎると、油がなくなってしまう。)これをさらに取っておく。

卵黄油(卵油)の商品一覧

日曜日, 12月 25, 2005

ビフィズス菌について

○ビフィズス菌

 人間の体内には、特に口から肛門までの消化管の中に多くの細菌が集中して棲みつき、増殖と死滅を繰り返している。例えば、口の中で、唾液1ml当たり1000万個もの細菌がいる。それが胃液の中では1000個以下に減ってしまう。これは胃液の殺菌作用によるもので、その中でも生き残るものにビフィズス菌、桿菌、ストレプトコッカスのある種などの有用な乳酸菌がある。このような胃液の殺菌力は空腹時に強く、食物が入ってくると胃液の酸度が低下し、胃の中の細菌数も増加する。また、胃酸と病気の関係で言うと、「胃酸過多の人は胃潰瘍になりやすく、ガンにはなりにくい」、逆に「胃酸の少ない人には胃ガンが多い」といわれる。理由はまだ解明されていないが、胃酸の働きが十分でないと、菌が増殖しニトロソアミンなどの発ガン物質を生成し、これが胃ガンの原因になるのではないかといわれている。

 そこで、腸内の有用菌、とくに乳酸菌やビフィズス菌などの働きが注目されるのである。

 人間は、母親の胎内にいるときは全くの無菌状態にある。しかし、いったん胎内から生まれ出ると、まず産道の細菌や外界のバイ菌の洗礼を受け、生後1~2日目では大腸菌、腸球菌、ウェルシュ菌などが腸内に発生する。3~4日目にはビフィズス菌が現れて前記の有害菌が減り始め、5日目頃にはビフィズス菌が圧倒的に優勢になる。以後、ビフィズス菌は一定の数を保ち、離乳食から成人に至る。その間に、腸内では有用菌と有害菌のバランスが保たれる。

 それが老齢期に入ると、そのバランスに変化が起こる。ビフィズス菌が減り、代わって大腸菌やウェルシュ菌といった有害菌が急速に増えはじめる。このことから老化は腸内から始まるといわれるわけである。

 これら有害菌は、腸内の食物、特にタンパク質や脂肪を腐敗させ、有害物質を作り出し、これらの物質が血液に乗って体の各細胞に送られる。つまり、細胞の栄養代謝に支障をきたす原因になる。その結果、老化を一層促進すると考えられる。

 人間にとって有用な菌がいくつか発見され、そのたびに脚光を浴びてきた。乳酸桿菌、ヨーグルトに含まれるブルガリア菌、アシドフィルス菌などもそうであるが、最近ではビフィズス菌の重要性が注目されている。それは、健康な人の腸内を調べると、ビフィズス菌が圧倒的に優勢な状態で棲みついているからである。ビフィズス菌の効用について、その全てが解明されたわけではない。肝硬変の末期症状に有効性を発揮したケースもあるが、現段階の知見では、腸内の環境を良くして、健康の維持・増進、老化防止に有効であることは間違えない。

ビフィズス菌の商品一覧

土曜日, 12月 24, 2005

グァバ茶について

○グァバ茶

 グァバは、熱帯アメリカや東南アジアを原産地とするフトモモ科の落葉小高木で、わが国ではバンジロウとして知られている。中国名は蕃石榴。最近は宮崎、熊本などでも温室栽培されている。

 果実は生食やジュースなどにされるが、葉もお茶として利用されている。沖縄や台湾では、糖尿病、下痢、歯痛、口内炎、胃潰瘍に効果があるお茶として古くから愛飲されてきた。グァバ茶は、見た目は番茶のような色をしているが、味は日本茶とも中国茶とも違い、ヨモギのような薬草の香りがする。

 グァバ茶の主な成分は、葉緑素、葉酸、ビタミンA・B2・C・E、カリウムで、多種類のタンパク質、多糖類を含む。また、グァバ葉の乾物にはビタミンB群・Cのほか、ビタミンUと呼ばれるビタミン様物質も含まれている。ビタミンUは胃酸の分泌を抑え、胃粘膜の新陳代謝を促進させることから、胃潰瘍などを改善させる効果がある。

 グァバ茶には古くから糖尿病を改善する効果のあることが知られていたが、最近、ヤクルトなどの研究により、グァバ茶に含まれるグァバポリフェノールの作用によって、食後の血糖値の上昇を抑え、糖尿病を予防する効果のあることが科学的に明らかにされた。

 食事などで摂られたデンプンや砂糖などの糖質は、消化酵素によってブドウ糖という小さな分子に分解されて、初めて小腸から血液中に吸収される。血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がると膵臓からインスリンが分泌され、血液中のブドウ糖を細胞側にエネルギーとして渡す作業が活発化する。その結果、血糖値は次第に戻るわけだが、インスリンの量が十分でなかったり、その働きが弱い場合は、血糖値はなかなか元に戻らず、長時間にわたって高い状態が続く。これが食事のたびに繰り返されると、糖尿病の発症へと繋がっていくわけである。

 同社の研究によると、体内に入った糖質は、ブドウ糖にまで分解されなければ小腸では吸収されないため、消化酵素の働きを抑えて糖質の分解を減らし、糖の吸収を穏やかにすることで血糖値の急激な上昇を抑えるということだった。グァバポリフェノールには消化酵素の働きを抑える糖質分解酵素活性阻害作用があるため、一部の糖質はブドウ糖に分解されずに、そのまま大腸で腸内細菌に利用されたり、体外に排出される。結果的には、小腸から血液に吸収されるブドウ糖の量が減少するために、血糖値の急激な上昇を抑制するというものである。また、食後の血糖値の急激な上昇は抑えても、血糖値が下がる過ぎることはなく、常に高血糖値にならない状態を継続することで、体のインスリンへの感受性が高まり、糖尿病になりにくい体質に改善されていくことも期待できるという。

グァバ茶の商品一覧

金曜日, 12月 23, 2005

ガルシニア・カンボジア(HCA)について

○ガルシニア・カンボジア(HCA)

 ガルシニア・カンボジアは南アジア(南インドやスリランカなど)の多雨低地帯に自生するオトギリソウ科の果樹で、別名をゴラカ、またはタマリンドマラバールという。オレンジ大の縦溝のある黄色もしくは赤い果実には酸味があり、現地では古くから調味料としてカレーのスパイスやライムの代用にも使われてきた。

 健康食品として注目されるようになったのは、1994年にアメリカで”食べながら痩せられるダイエット素材”として人気を呼んだことが始まりである。ガルシニア・カンボジアの果皮には、ヒドロキシクエン酸(HCA)という物質が含まれている。これは柑橘類に多く含まれるクエン酸に似た物質で、1960年代初めに植物の有益な成分を探す過程で発見され研究が続けられてきたが、次のようなダイエット効果のあることがわかったのである。

 すなわち、食べた糖質や脂肪は体内でブドウ糖に分解されてエネルギー源となるが、エネルギーに使われなかった余剰分はATPクエン酸リアーゼという酵素の働きで脂肪となり、体脂肪として蓄積される。これが肥満の原因となるのであるが、食前にガルシニア食品を摂っておくと、HCAが酵素に結合してその働きを阻害するので脂肪がつきにくく、そのため食べても太らないという結果になるのである。カロリーは十分なので、疲労や倦怠も起こらないで済む。

 さらに、体脂肪にならなかったブドウ糖はグリコーゲンとなり、食後の血糖値がゆっくりと減じていく効果とグリコーゲンが蓄積する効果が相乗的に働いて、満腹中枢が刺激されるために空腹感を感じにくくなり、食事の量が自然に減っていく。また、ブドウ糖が体脂肪に変化するときには体に必要な脂肪酸も一緒にできるのだが、その産生がHCAによってブロックされるために、体の中では蓄積された脂肪を分解してその不足を補おうとするために、効率的に体脂肪を減らせるということになるのである。

 アメリカで1993年に行われた二重盲検法による臨床試験では、標準体重より14~45%重い男女40人(21~55歳)を2組に分け、どちらにも同じ食事指導をしながら、一方にだけガルシニアエキスを使用したところ、その組(23人)は8週間で5キロ体重が減ったのに対し、使わなかった組は1.9キロしか減らなかったという結果を得ている。

 ガルシニア・カンボジアの健康機能性では、運動持久力を高める効果も見出されている。日本ハム商品技術研究所と日本新薬食品開発研究所、韓国老人健康研究所の共同研究「ガルシニアエキス入りハムの人の活動力に及ぼす影響」(2000年11月、第3回日本補完・代替医療学会で発表)によると、韓国の大学でサッカー選手6人にガルシニアエキス入りボンレスハムを毎朝50g、5日間食させ、その効果をエルゴメーター(固定式自転車)による運動負荷後の選手の体力測定により検証したところ、ガルシニアエキスを含まないハム摂取時に比べ、運動開始時から脂肪酸酸化量が増加し、高負荷条件で体力が尽きるまで運動できた時間が延長するなどの効果が確認された。同研究ではさらに、ガルシニアエキスに脂肪燃焼速度を増加させる機能も見出している。研究グループでは、この機能を活かし、タンパク質を補給しながら脂肪の燃焼速度を高め、運動エネルギーの増加が見込めるような畜産製品の開発が期待できるとしている。

ガルシニア・カンボジア(HCA)の商品一覧

木曜日, 12月 22, 2005

シイタケ菌糸体エキス(L.E.M)について

○シイタケ菌糸体エキス

 キノコは、発芽した胞子から菌糸が伸び、地中や原木中で増殖して菌糸体となる。温度や湿度などの条件が揃うと菌糸体が集合した子実体と呼ばれるキノコを発生させ、胞子を形成して残す。つまり食用にする子実体の部分は、キノコ類が子孫を残すために胞子に作る生殖体、すなわち”菌糸が高度に集合したもの”である。言い換えれば、菌糸体こそ子実体を発生させる力を持つキノコの正体であり、キノコの有効性の基はここに内在しているということが考えられる。

 この菌糸体が内包する強靭な生命力を利用する目的で「シイタケ菌糸体培養抽出技術」が開発された。培養基はバガス(サトウキビを搾った残りの繊維質)に米糠を混合し水分調整されることで作られる。それを高圧蒸気滅菌した上で、雑菌の進入を防ぎながら厳選された特定の種菌を摂取して培養。やがて白色糸状の菌糸が培地全体に蔓延した段階で低温ショックを与えたあと、倍地を解束し抽出タンクに投入、加水・加温する。酵素を添加して攪拌・擂潰することで有効成分が代謝産物と共に抽出されてくるというのが、その製法の概略である。

 この抽出物「シイタケ菌糸体培養抽出物(L.E.M)」であり、多糖タンパク質、β-D-グルカン、エリタデニン、リグニンなどが含まれ、子実体の成分とは異なる。この培養抽出物を用いた健康食品の免疫調節作用、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用などを中心とする多くの機能が、大学や製薬会社、民間研究機関などによって明らかにされてきた。抗ガン作用については、乳ガン自然発症とランスジェマニックマウスにL.E.Mを4週間投与して延命効果及び腫瘍組織の病理学検討を行った研究で、無処置群に比べて平均2週間の延命効果を示した。さらに腫瘍組織の病理検査を行ったところL.E.M投与群では腫瘍細胞にγδT細胞を中心としたリンパ球の顕著な浸潤が認められ、一部腫瘍の壊死像も観察された(佐賀生活習慣病対策研究会、1999年)。オーストラリアで行われた第17回国際栄養学会(2001年)で発表された動脈硬化に対する研究は、病変占有面積がL.E.Mを8週間与えた群は対照群48.7±15.3に比べて、26.2±10.8と優位に改善され、動脈硬化指数も対照群16.96±9.2に対し6.62±4.31と優位に改善されており、その動脈硬化に対する予防・改善効果は注目を浴びた。

 また、肝細胞ガンのハイリスクグループとされるC型ないしB型肝炎に対する効果も臨床的に確認されており、ウイルスの減少等が報告されている。そのほかにも、チロシナーゼ活性阻害作用による美白効果があり、すでに粧源基として認められていることから健康食品分野のみにとどまらず、化粧品原料としても今後更なる展開が期待される。

シイタケ菌糸体エキス(L.E.M)の商品一覧

水曜日, 12月 21, 2005

シイタケについて

○シイタケ

 シイタケは(椎茸)は日本人の食生活に欠かせないシメジ科の食用菌で、江戸時代中頃にはすでに栽培されていたが、「原木(榾木)栽培」やおが屑栽培(菌床栽培)などの人工栽培法が確立したのは昭和に入ってからで、昭和30年代以降は年間を通じて生シイタケが供給されている。

 中国でもその香りや味か好まれ「香蕈、香菌」などの字が充てられるとともに、古くからその健康効果が認められてきた。明治初期に呉端(医者)は「シイタケは気を益し、飢えず、風を治し、血を破る」と「日用本草」(1620年)に記載しており、その認識は現代中国医学にも引き継がれ「中国薬用真菌」(1974年)には「気力を高め、五風(風邪・中風・痛風・瘋癲・頭痛)を改善し、血液を固まらせないように保ち、体内の余分な水分を防ぎ、気力を調える。そして肝硬変を予防し、血中コレステロールを下げ、動脈硬化や血管の弱くなるのを防ぎ、常食すればガンを予防できる」と記されている。この記載の正しいことはわが国の現代医学でも立証済みで、子実体から抽出されたレンチナンという多糖体は、抗ガン剤として認可(胃ガンの注射薬、1985年)されている。レンチナンにはまた、その他の機能として、抗菌、エイズへの有効性を含む抗ウイルス作用、免疫細胞の活性化(生体防御機能の増強)作用などが見出されている。

 シイタケは栄養的にはビタミンDの前駆体であるエルゴステロールの含有量が多く、これがカルシウムの吸収を高めるほか、ビタミンB1は心臓肥大を防いで炭水化物の代謝を促進し、B2は脂肪の過酸化を抑制して動脈硬化を防ぎ、B6は皮膚炎・貧血・糖尿病などに有効である。さらにビタミンB群とカリウム、食物繊維などの相乗効果による抗血栓作用、さらにエリタデニン(レンチナシン)という核酸誘導体の働きも加わって、血行改善、血中コレステロール値の改善、高血圧、動脈硬化、肥満、便秘、美容などへの効果が期待されている。

 このようなシイタケの機能性の恩恵を積極的に享受する目的で、シイタケ子実体から抽出したエキス、またそれを粉末化して製品とした健康食品が供給されている。

シイタケの商品一覧

火曜日, 12月 20, 2005

甜茶について

○甜茶

 甜の文字の意味は、「甜い・旨い」であり、甜茶は文字通り甘いのであるが、それは味覚だけ出なく、甘い言葉というときの甘さのニュアンスも込められているという。その甜茶には、牛白藤(アカネ科)、土常山(ユキノシタ科)、多穂石柯葉(ブナ科)の3種類があることが中薬大辞典に記載されているが、最近わが国で優れた特性が注目されている甜茶は、そのいずれとも異なるバラ科キイチゴ族の甜葉懸鈎子という植物である。

 この正式名称は日中共同の「日本と中国南部の常緑広葉樹林構成植物の化学分類学的細胞分類学的比較研究(1994年)」において確定された。

 甜葉懸鈎子は、葉柄に刺を持つ高さ2~3mの潅木で中国南西部の広西壮族自治区の山岳地にのみ産し、特に瑤族の人々に愛され、桂林では開胃茶とも呼ばれて食欲増進、去痰、咳止め、解熱に効くとされてきたもので、「中国本草図録」、「広西薬用植物名録」などにその記載がある。

 わが国への招来当初は”肥満しない甘味料”として、砂糖の75倍にもなる甘み成分(本来の化学名はルブソシド)が注目され、酵素反応によりさらに味質と甘味度を改良する方法が研究される一方、日常的な新しい健康茶としての飲み方の工夫やエキス化も実現したが、開発の過程で抗炎症作用、抗アレルギー効果、ミネラルバランスの良さ(ナトリウムに比してカリウムが圧倒的に多く、カルシウム、マグネシウムの含有量が多い)などが次々に見つかった。

 すでに多くの基礎研究、臨床試験が報告されているが、目覚しいものとして抗炎症、抗アレルギー効果があげられよう。くしゃみ・鼻水・鼻づまり、嗅覚障害、目のかゆみや涙目などで毎シーズン話題を呼ぶ花粉症もそのひとつであるが、三重大学医学部の鵜飼幸太郎らは喉の異常を含めたこれら諸症状に通念的に苦しんでいる患者を対象に、甜茶エキス飴(1粒に40mg、1日3粒)を投与して、4週間の全般改善では著名改善を含む中等以上の改善47.6%、軽度以上の改善76.2%という好結果を得ている。投与全平均1日5.3回だったくしゃみ発作回数が、2週間後4.1回、4週間後3.3回になったという数字は、患者にとって福音であろう。

 アレルギー反応は、体内の肥満細胞(マスト細胞)から分泌されるヒスタミンが引き金となるI型アレルギーの例が多いが、このことを逆に利用して甜茶の活性成分(ヒスタミンの分泌抑制成分)がGOD型エラジタンニンのポリマーであることも明らかにされた。

 そのほか、難治性の湿疹やアトピー性皮膚炎などへの効用(起炎物質の生成抑制)や、ダイエットに冠してデンプンの消化酵素であるα-アミラーゼの働きを阻害したり、脂肪分解酵素リパーゼの働きを阻害することで肥満を防ぐ作用のあること、あるいは歯周病の原因菌が歯に付着するのを強くブロックする(歯周病や口臭を防ぐ)作用なども報告され、広範な需要に応えてそれらの働きを相乗的に高める食材をブレンドした製品も市場に出ている。

甜茶の商品一覧

月曜日, 12月 19, 2005

コンドロイチン硫酸について

○コンドロイチン硫酸

 動物の細胞、線維、組織、器官の間を結び付けて、それらの支持、保護、栄養補給の役目をする組織を結合組織といい、その主要成分はムコ多糖体と呼ばれる粘性物質(ネバネバ成分)であるが、コンドロイチン硫酸はその重要な構成成分のひとつで、骨の形成、傷の治癒、感染防止(免疫体の産生)などの生理作用を持つ物質である。

 19世紀半ばに動物の軟骨の研究から発見された物質にコンドロイチン(軟骨という意味のギリシャ)という名が与えられたあと、ようやく1946年になってその化学構造が決定されたが、その薬理作用については早くから注目が集まり、すでに1936年には偏頭痛、抗潰瘍の薬剤として臨床実験が行われたという古い歴史を持っている。

 コンドロイチン硫酸は、体内ではタンパク質と結びついたコンドロムコ蛋白という形で、主に皮膚、血管壁、軟骨、人体、関節、眼球、角膜、粘液、各臓器などに分布して、後述のような様々な働きをする。しかし、若い成長期には体内でも生合成されるのであるが、加齢とともに産生されなくなり、欠乏症を招いたり、例えば皮膚の保水性や潤滑性が失われて老人性の皺やカサカサ肌の原因となったりするので、どうしても外部から補給しなくてはならないのである。

 コンドロイチン硫酸の体内における生理作用としては、①線維(コラーゲン、エラスチン)や細胞群とともに結合組織を構成し、体細胞が正常に生存できる基盤となる、②組織に保水性、潤滑性、弾力性を与え、栄養分の消化吸収・運搬・新陳代謝を促進する、③カルシウムの代謝に深く関与して、骨の成長、骨折の回復、骨粗しょう症の防止する、④傷ついた皮膚や組織の参照を補修する、⑤血液中のコレステロールや過酸化脂質を除去し(脂血清澄作用)、動脈硬化や高血圧を予防する、⑥関節軟骨の成分の27~43%も占めて、関節・靭帯・腱の弾力性、円滑性を保つ、⑦皮膚のみずみずしさ、若々しさを向上させる、⑧目の角膜や水晶体の透明性や弾力性を保持する、⑨細胞の増殖を促進し、精子を増殖する(造精作用)、などがあげられ、こうした作用が実証されていく過程で、コンドロイチン硫酸は動脈硬化、解毒、代謝異常、腎疾患、難聴、炎症などへの薬理効果が次々に明らかにされ、わが国でもすでに腎炎、ネフローゼ、リウマチ、神経痛、腰痛、五十肩、肩こり、夜尿症、眼疾患、脱毛症などを適応症とする医薬品に用いられている。

 一般の食物として植物性、動物性を問わずネバネバしたもの、例えば納豆、山芋、オクラ、なめこ、海草、フカひれ、ツバメの巣、スッポンなどに若干含まれており、植物性よりも動物性のほうが体内の効率は高いのであるが、いずれにせよ含有量がそれほど多いわけではない。そこでこの優れた機能性を誰もが日常的に享受して、老化防止や健康の維持回復を図りやすくした健康食品も各種開発されており、原料にはサメの軟骨、牛の軟骨が用いられている。

コンドロイチン硫酸の商品一覧

日曜日, 12月 18, 2005

エキナセアについて

○エキナセア

 エキナセア(エキナケア、エヒナセアとも呼ばれる)は、北アメリカ平原一帯に分布するキク科の多年草植物で、和名をムラサキバレンギクという。夏から秋にかけて紫色の美しい花を咲かせ、観賞用ハーブとしても人気が高い。

 ネイティブ・アメリカンの間では古くから薬草としてつかられてきた歴史があり、根の部分を噛んで風邪の予防や歯痛・喉の痛みを治したり、石ですりつぶして液上にしたものを傷・火傷の外用薬として用いてきた。19世紀末になって、その薬効は医療関係者にも広く知られるようになり、20世紀初頭にはアメリカの医者が最も良く購入する薬草にまでなった。

 エキナセアはヨーロッパで知られるようになったのは1895年頃で、ドイツの科学者が自国へ持ち帰り、ヨーロッパでの栽培が始まってからである。その後、ミュンヘン大学などが中心になって臨床研究を実施、経験的に知られていた風邪やインフルエンザなど感染症の予防と治療、抗菌性などから、気管支炎、尿路感染症、疝痛、浮腫、鼻粘膜の乾燥、アレルギーなどに対する作用、免疫力賦活作用、抗バクテリア、抗ウイルス作用(抗生物質作用)、抗炎症作用などが認知された。

 含有成分の分析も早くから行われており、今日では、エキナセアの有効成分としてシコリック酸(多糖類)、アルカミド(ドデカ四酸イソブチルアミド)、ポリサッカロイド、フラボノイド、グリコプロティン、コーヒー酸などが同定されている。特に免疫促進作剤としての可能性に焦点を当てた成分研究では、ミュンヘン大学薬学部のH・ワグナーらによって、エキナセアに含まれるフコガラクトキシログルカンと酸性アラビノガラクタンの2の多糖が、好中球やマクロファージなどの免疫細胞を活性化させ、免疫応答物質として知られるインターロイキンなどの産生を促進することが報告されている。

 現在、エキナセアはドイツで最も人気のあるメディカルハーブとして、280種類を超える関連製品が作られている。ドイツではハーブから抽出した成分が規格に定める量含まれる製品をフィト(植物性)医薬品と呼び、適応症に対する効能が認められているが、エキナセアのエキスやチンキ製剤は風邪やインフルエンザ、感染症の緩和と予防に、また、細胞の免疫力を促進し安定させる非特異的免疫作用促進剤として感染症の治療にも使われている。エキナセアの軟膏は、傷やただれ、湿疹や火傷、日焼けなど炎症性の皮膚疾患に良く使われている。

 エキナセアは原産国アメリカでの人気も高く、ハーブ市場では風邪予防や免疫力向上に有効なハーブとして売り上げトップの位置を維持している。最近は、わが国でもメディカルハーブとしての地歩を固めてきており、1997年にはH・ワグナーが来日し、日本薬学会で特別講演を行っている。

 フィト医薬品は品種やエキスの抽出法によって効果が大きく異なるため、ドイツでは成分含有量の厳格な規格化が行われているが、エキナセアについても1990年代に規格化の検討が開始され、97年には一連の検討結果が公表されている。

エキナセアの商品一覧

土曜日, 12月 17, 2005

サジー(沙棘)について

○サジー(沙棘)

 サジーはナワシログミ科の多年草植物で、ユーラシア大陸全域、とくに中国黄河流域を中心に自生分布している。自然条件の厳しい乾燥した寒い山間部で育つことから、その強い生命力と、豊富に含まれる薬理成分によって、中国では珍しい果実、中国国宝とまで言われ、高い評価を得ている薬用植物である。サジーはまた、土壌流失の防止、自然環境の保全にも有効であることから、特に中国内陸山間部の経済発展を促進する重要な植物として期待されている。

 サジーの薬用植物としての評価は古く、唐の時代に編集された「月王薬珍」「四部医典」、清の時代の「晶珠本草」などの古典医学書に医薬用途が記載されている。1977年に中国衛生部が中国薬典に、サジーを薬と食物の両用品目として正式記載している。また、旧ソ連でも早くからサジーの薬理研究に取り組み、数多くの基礎研究と臨床実験を通じて、サジーの果実やサジー油の活性成分は160~190種類あることを見出し、いち早くサジーを正式な医薬品として認め、宇宙事業の医学部門においては宇宙飛行士の保険薬品にも指定している。

 60年代から始まった中国におけるサジーの薬理研究によると、サジーは果汁、果実油、種子油、葉など各部位に有効成分が含まれるが、果汁のビタミンC含有量は他の果物の含有量を全て上回っているという。また、種子油、果実油はビタミンEとβ-カロチンの含有量が高く、他に必須アミノ酸を始め、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、セレンなどの微量元素やクマリン、ヒロカテコール、グリシン、ペタイン、5-オキシトリプタミンといった抗酸化物質や生理活性成分が含まれている。

 サジーの薬理効果として現在までに明らかにされているのは、①循環器疾患に対する効果、②虚血性脳血管障害に対する効果、③新陳代謝及び自己免疫系統に対する効果、④腫瘍・ガンに対する効果、⑤呼吸器疾患に対する効果、⑥消化器疾患に対する効果、⑦肝臓の保護作用、⑧各種炎症・皮膚再生効果、⑨脳代謝改善作用、⑩老化防止作用などである。

サジー(沙棘)の商品一覧

金曜日, 12月 16, 2005

三七(田七)人参について

○三七(田七)人参

 三七人参は中国南西部(雲南省・四川省・広西省)を原産とするウコギ科の多年草で、別名を田七人参、特に三七、参三七、田三七などとも呼ばれる。和名は人参三七。

 珍しいこの三七の名称は、根が生薬とするに必要な大きさに育つのに3~7年かかるからともいわれるが、茎から伸びた3本の枝の先にそれぞれ7枚の葉からつくからともいわれる。同じウコギ科に、北方に産する高麗人参があるが、三七人参は生薬としてまさしくその対抗馬のような存在といえよう。

 三七人参は、古くから雲南地方では金不換(金で買えないもの)といわれるほど、数多い生薬の中でも最高級の秘薬としてされてきた。古くから止血作用がよく知られ、本草綱目では戦場での金瘡(切り傷)の要薬としての卓効があるとして、漆のように傷口をしっかり防ぐのでヤマウルシとも記されている。本草綱目拾遺(趙学敏著)は、高麗人参が補気第一であるのに対し、三七人参は補血第一と述べ、精がつくというよりもむしろ力が溢れるように働く三七人参の特徴を指摘している。

 一般的には滋養強壮、疲労回復、血圧調整、狭心症、脳出血、自律神経失調症、減肥、美肌効果などが広く知られているが、独自のフードダイナミックス理論による医療を行っている医学博士・重野哲寛の臨床研究によると、三七人参は低血圧の無気力状態から脱出できる一方、高血圧の血圧降下作用を併せ持ち、また慢性肝炎や肝硬変ではGTO、GPT値が低下、慢性肝炎では尿の潜血反応が陰性になるなどの効果があるとしている。横田直美による「インターフェロンが適応しなかった慢性C型肝炎の改善例」報告(日本東洋医学会、1995年)も、三七人参の新局面を示唆している。

 また、高麗人参よりも含有量が数倍多く7~12%も含まれる人参サポニンは、血中コレステロールの低下、活性酸素による過酸化脂質生成の抑制、痩身効果などのほか、免疫力増強、核酸の合成促進、血糖値の改善、中枢神経の鎮静などの薬理作用が明らかにされており、サポニンが他の有効成分と相乗的に働いて、ガンやアレルギーあるいはリウマチなど、免疫に関わる異常に対し有効に働くとする研究発表も多い。

 抗ガン性に関する研究では、京都薬科大学の木島孝夫が行ったマウスを使った実験がよく知られている(1992年、日本癌学会総会で発表)。それによると、背中に皮膚ガンの発ガン物質を塗ったマウスと、発ガン物質を塗った後に三七人参のエキスを塗ったマウスの腫瘍発生を比べたところ、三七人参エキスを塗ったマウスは発ガンが30%に抑制された。この実験は肝臓ガンと肺ガンについても行われたが、どちらも発ガンが抑えられた。これは、人参サポニンが免疫力の増強に働いていること、また、三七人参に含まれる有機ゲルマニウムが体内のウイルス感染を防ぐ、インターフェロンを誘発させ、これらが相乗的に作用しているからではないかとしている。

 三七人参の抗ガン作用に関する研究は京都薬科大学のほか、静岡薬科大学、昭和大学などでも進められている。

三七(田七)人参の商品一覧

木曜日, 12月 15, 2005

食物繊維(ダイエタリーファイバー)について

○食物繊維(ダイエタリーファイバー)

 植物は炭酸ガスと水から光合成によって炭水化物(炭素・酸素・水素の化合物である単糖類や多糖類)を作り、動物はそれを摂取して栄養とするが、その場合、それらを消化できる消化酵素がなければ、糖質の分子が大きすぎて腸管から吸収することができず、栄養として役立てることができない。したがって、草食動物ならそれを消化吸収できる植物の硬い繊維質(粗組織)を、人間は利用できない無用の残りかすとして、栄養価のない、便量を増やすくらいの働きしかないものと見なして来たのが従来の古典的な栄養学であった。

 しかし近年、これら難消化性の繊維質が、全く別の積極的な役割を持つことが順次明らかにされて注目を集めるようになったばかりか、それらを含めて食物繊維(ダイエタリーファイバー)を新たに栄養素のひとつに加えようという考え方が主流になってきている。

 また日本では「五訂日本食品標準成分表」において(現在は六訂)、従来は単に炭水化物のうちの繊維としていたものを食物繊維として独立させ、その総量、水溶性、不溶性を食物ごとに明示することになった。

 そして「食物繊維は人の消化酵素では消化されない、食品中の難消化成分」とし、主要成分は炭水化物(一部はキチンのような非炭水化物も含まれる)であり、その性質から植物ガム、粘質物(マンナン)、海藻多糖類・ペクチン・ヘミセルロースの一部などの水溶性食物繊維と、同じく海藻多糖類・ペクチン・ヘミセルロースの一部、セルロース、リグニン、キチンなどの不溶性食物繊維とに区分した。

 このように食物繊維の働きが世界的に注目されるようになったのは、医学上の統計的研究によるところが大きく、そのひとつに欧米諸国とアフリカ原住民とを比較した英国医師バーキットの研究(1971年)がよく知られている。

 それによれば、いわゆる文明国では、心臓病、糖尿病、脳卒中、ガンなどの病気が大幅に増えてきているのに比べて、アフリカ原住民には糖尿病、動脈硬化、大腸炎、虫垂炎、大腸ガン、結腸ガンなどか少なく、さらに、同じ種族であって、欧米式の食生活をしている住民にはそれらの病気が多かった。

 この結果の背後にある要因として、アフリカ原住民のカロリー源には穀類や野菜など炭水化物が多く、そのため繊維質(粗組織)の摂取量が多いのに対し、欧米人は肉食中心で、またパン類の原料も繊維質を除いた精白小麦粉であるから、食事全体を比べると両者の繊維質の摂取量は極端に違うという事実がクローズアップされたのである。

 こうした先駆的研究を追う形で、それまで栄養にならない不要の成分と見られてきた食品中の繊維質(粗組織)に関する研究が急テンポで進み、初期の研究としては、例えば動物実験で高コレステロール食に繊維質(いずれか一種)を加えて飼育すると、加えないグループよりコレステロール値は著しく低く、肝機能も正常で、特にペクチン、こんにゃくマンナンに効果があったとするものや、あるいは多量の亜鉛や砒素、有害食品添加物である赤色2号を食餌に混入しても、同時に大根、人参、ゴボウ、タケノコなど粗繊維の多い食物を与えたラットは正常や成長過程をたどることを見出した実験なども報告されている。

 このような初歩的実験が近年行われたことからもわかるように、食物繊維に関する認識は遅れをとっていたのであるが、その後急速にその機能性が解明されて、コレステロールの吸収抑制、摂取ナトリウムの対外排泄、糖質の消化吸収抑制、腸内有用菌の増殖効果、便秘の改善、血圧の正常化、美肌、虫歯予防、大腸ガンや憩室症の予防効果などが報告されている。

食物繊維の商品一覧

食物繊維(diet)の商品一覧

水曜日, 12月 14, 2005

シルク(絹)について

○シルク(絹)

 シルク(絹)が優れた天然素材であることはことを俟たないが、本来の繊維としての需要は、このところ他の素材に追われて低迷を続けてきた。しかし、あまりにも伝統的に完璧な繊維素材であったために、タンパク質の宝庫であることは分かりながら、絹を繊維以外の分野で新たに復活させようという発想は、なかなか生まれるものではなかった。この壁をクリアして、絹の機能性食品化に道を開いたのは平林潔(信州大学教授)らである。

 蚕が作る絹糸は、二条の絹フィブロン(絹糸フィブロイン)という水溶性の繊維タンパク質を、セリシンという水溶性のタンパク質が被覆する形をとっている。全体の80%を占めるこの絹フィブロンは、分子量が30万以上もある高分子であるため、食べても消化吸収することはできない。しかし、希薄な炭酸水素ナトリウム溶液で外側のセリシンを取り除いたあと、アクチナーゼなどの酵素、もしくは塩化カルシウム、酸による加水分解などを行うことによって、絹フィブロインは飛躍的に分子量の小さいアミノ酸やオリゴペプチド(10個未満程度のアミノ酸が連なった比較的小さいタンパク質)にまで分解され、爽やかな甘みを有する水溶液、または粉末が得られる。これによって消化率は90%台にまで向上するため、機能性成分としての食効が期待されるのである。

 絹フィブロインは、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、トリプトファン、メチオニンという必須アミノ酸(重量比合計7.7%)のほか、グリシンの重量比35.5%を筆頭に、アラニン、セリン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、シスチン、ブロリン、ヒスチジンなど計18種のアミノ酸からなるが、食べるシルクはこれら貴重なアミノ酸の集合体ということになる。

 従来のアミノ酸研究によって、例えばアラニンのアルコール代謝促進(悪酔いの防止効果)、グリシンやセリンの血中コレステロール低下、チロシンの痴呆症予防効果などが報告されているが、平林らは水溶性シルク粉末を用いたラットの実験によって、いずれの効果も確認している。

 とりわけ注目すべきは、生活習慣病の中でも圧倒的に患者または予備軍の多い糖尿病に対し、シルク粉末投与が血中のインスリン濃度をほぼ倍増させる(例えば5.33mg/kg→11.43mg/kg)ことが実証されたことであろう。これは絹ペプチドのアミノ酸構造が、細胞壁のインスリンレセプターの構造に似ているため、速やかに吸収され、その活性を高めるためと考えられている。

 また、アトピー性皮膚炎への効果は、シルク粉末の主要な機能成分であるオリゴペプチドが、過敏な自己免疫作用を抑制するためと見られる。さらに、痴呆症の予防効果は、ドーパミンなど脳内伝達物質の調整作用によると考えられている。いずれの働きも現代人特有の肉体的悩みを癒す働きを持つものであり、繊維の王者・絹にふさわしい見事な復活として歓迎されることであろう。

シルク(絹)の商品一覧

火曜日, 12月 13, 2005

姫マツタケ(アガリクス・ブラゼイ・ムリル)について

○姫マツタケ(アガリクス・ブラゼイ・ムリル)

 今でこそアガリクスという名称が一般的になっているが、日本では姫マツタケとして世に出ており、抗ガン効果に優れた薬用キノコとして早くから地歩を固めてきた。特に日本癌学会総会などで発表された一連の研究成果のほとんどは姫マツタケによるものである。

 姫マツタケ(学名=アガリクス・ブラゼイ・ムリル)は、担子菌類ハラタケ化に属するキノコで、カワリハラタケの別名もあるが、学名に即して最近はアガリクス・ブラゼイとも呼ばれている。わが国への招来は、ブラジル在住の古本隆寿が岩出菌学研究所に送った1965年が最初である。同研究所ではそれ以来、食品化や薬効への期待をこめて研究を続け、ほぼ10年後に人工栽培法を開発、活性の高い菌株の作出にも成功し、その薬効成分や機能性に関する研究成果が広く発表されるようになった。その過程で確定した和名姫マツタケの名は、姿と形がマツタケに似ていることに由来する。

 姫マツタケの含有成分を乾物で見ると、他のキノコに比べて粗タンパク質(各種アミノ酸を含む)が43%と多く、粗脂肪はほぼ4%と平均的である。ビタミン・ミネラル類も比較的多く含まれ、中でもビタミンB2やD、マグネシウムやカリウムなどが多いといった特徴があるが、現在は食用としてではなく専ら食薬キノコ、機能性食品として広く用いられている。

 姫マツタケへの強い関心を集める契機となって歴史的な学術発表は、1980年の抗腫瘍多糖体によるC3とマクロファージの関連について(第53回日本細菌学会総会)及びその翌年のアガリクス抽出マンナン画分の抗腫瘍性と生物活性(第53回日本薬理学会総会)である。以後、姫マツタケの抗ガン作用について精力的に動物実験を行い、その成果を多くの学会や学会誌、専門誌に発表するとともに、固形ガンのみならず腹水ガン、化学発ガンに対しても優れた制ガン作用を示すことを日本癌学会でも数次にわたり報告、そられ先端的研究を通じて薬用キノコへの一般の評価も高めてきた。

 姫マツタケの制ガン物質の中心は①子実体から精製した多糖であるが、ほかに、②培養した菌糸体から抽出したタンパク多糖、③菌糸の培養濾液から採取した多糖、という3種類のものが用いられるようになってきており、ザルコーマ180固形ガン移植マウスによる近年の実験では①を10mg/kg投与で腫瘍抑制率100%、②を20mg/kg投与で同98.2%、③を20mg/kg投与で同99.3%(いずれも10日連続投与)というように、いずれも非常に高い制ガン作用を示すことが判明している。

 これまでの研究によって、抗ガン作用に止まらず、脱コレステロール作用、四塩化炭素誘発肝障害抑制作用、血清脂質低下作用、インターフェロン誘発作用なども明らかにされてきているが、中国では王軍志、蘭州医学院の王鏡らによるガン患者への臨床応用も行われ、その有効性が裏付けられる段階を向かえている。

姫マツタケの商品一覧

月曜日, 12月 12, 2005

すぎな茶について

○すぎな茶

 すぎな(杉菜)はトクサ科の多年生シダ類で、緑色の茎葉(栄養茎)である。空き地や堤、農道などに自生しており、春先に根茎の節の所々から出るのがつくし(土筆。胞子茎という)である。茎の節々から多数の枝が輪生する5~6月以降に緑色の地上部全体を採集し、天日でよく乾燥して健康茶に用いる。

 本草綱目には生薬「問荊」として収載され、「味苦し、平にして毒なし。主効は結気、瘤痛、上気、気急」とあり、また本草綱目拾遣(1765年、趙学敏著)には、利尿、血圧降下、心血管・膵臓の強化、去痰、鎮咳、便血や鼻血の止血などの効用が記されている。欧米でも近年は薬草として関心をもたれており、ドイツのメディカルハーブにも加えられている。オーストリアの文献にも悪性腫瘍や肛門のポリープの成長を抑制するとの報告が見られるし、アメリカではホーステイル(馬の尻尾)と呼ばれ、肉体疲労、貧血、前立腺肥大、尿路結石、肺結核、子供の夜尿症によいとされている。日本でも、伝統的民間療法の見直し気運が盛んな中でのすぎな信奉者の努力によって、愛好者の輪が大きく育ってきた。

 すぎな茶を飲み始めると、まず尿が大量に出るようになり、病気の場合だと色が濃くなって体内の毒が排出される感じであるという。腎臓や膀胱の結石を溶かし、時にはガン細胞さえ破壊するエネルギーがあるともいわれている。

 すぎなはリン・カルシウム・マグネシウム・鉄・銅、マンガン、ゲルマニウムといったミネラルを多く含み、カルシウムなどはホウレン草の150倍(100g中1740mg)にも達するが、すぎな研究の第一人者として知られる医学博士の山原條二は、ミネラルの中でも特にケイ素(シリカ)に注目している。それは、多くの現代病は加工食品の有害物質などによって組織に起こっている酸素欠乏が原因になることが多いが、珪素は酸欠状態を招く物質を吸着して改善し、赤血球を増やし、組織を活性化するからである。珪素は他にも、体内のカルシウム代謝の促進、血管壁へのコレステロール付着の抑制、収斂作用による止血、消炎、鎮痛などへの有効性が報告されている。

 特徴的な成分の第二は葉緑素である。植物の血液ともいわれる葉緑素は、炎症の抑制、肝臓の強化、造血、血液の浄化、生体のバランス維持などに不可欠の成分だが、最近の化学肥料やハウス栽培の野菜は生命力に乏しく、必要な葉緑素を十分に補えない。この点でも、野にあってたくましく生育し、日を浴びて葉緑素をふんだんに蓄えたすぎなは注目されてよい。

 すぎな茶は他の野草茶、たとえばカキドオシ、センブリ、オオバコ、どくだみ、よもぎ、タラの木、ウコギ、たんぽぽなどと相性がよく、ブレンドによる相乗効果も期待できる。また粉末や煎出液を、温湿布、パスタ(軟膏)、美肌パックなどの外用にも利用できる。

すぎな茶の商品一覧

日曜日, 12月 11, 2005

ノニについて

○ノニ

 ノニは熱帯アジアからポリネシアにかけて広く生育している常緑潅木で、学名はモリンダ・シトリフォリア。わが国では沖縄県の八重山地方で植樹されており、ヤエヤマアオキとして知られている。

 ノニは高さ6mぐらいにまで成長すると楕円形の緑色の葉をつけ、黄色いごつごつした果実をつける。これを採取して日光に当て、完全に熟したものを搾ってジュースにする。味はチーズのような腐臭があるため、グレープフルーツジュースなどとミックスして飲まれることが多い。

 ノニという名称はタヒチやハワイでの呼び名で、オーストラリアではチーズフルーツ、インドではインディアン・マルベリーと呼ばれている。古くから世界各地で薬用に使われてきた歴史があり、インドの伝承医学でも利用されていた。特に南太平洋の島々では日常的な健康飲料として用いられ、糖尿病、高血圧、心臓病、関節炎、結核、老化防止の他、外傷や腫れ物、ニキビなどに塗ったり、うがい薬としても使われてきた。

 近年になって、ノニの薬理成分の研究はハワイ大学などによって進められ、これまでにプロキセロニン、スコポレチン、アスコルビン酸、モリンジン、テルペンといったフィトケミカルの他、ノニの根からはダムナキャンソールという抗ガン物質も見出されている。

 プロキセロニンは、パイナップルに含まれる消化酵素ブロメリンの研究で知られる米国の生化学者ラルフ・ハイニッケらによって見つけられた天然アルカロイド成分で、スプーン1杯のノニ果汁にパイナップル10個分のプロキセロニンが含まれる。プロキセロニンは、プロキセロニナーゼという酵素の存在下で他の物質と結合したとき、体内でキセロニンに変換される前駆物質である。キセロニンは人体の自然治癒力を高める働きをするほか、一連の生化学的反応を行って細胞が正常な機能を維持する作用があるため、ガン細胞の増殖を抑制する効果も期待されている。

 スコポレチンは、1993年にハワイ大学でノニの果実から抽出された物質だが、その後の研究で①血圧効果作用、②バクテリアなどに対する抗菌作用、③鎮痛作用、④うつ症や睡眠障害の改善作用のあることがわかっている。スコポレチンは、セロトニンという神経刺激伝達物質の合成に関与しており、セロトニンが欠乏するとアルツハイマー症などの原因となるという報告もある。

 ノニにはビタミンCの前駆体として知られるアスコルビン酸も豊富だ。①広範囲な有害成分やストレスから体を守る、②ビタミンDとともに鉄分の吸収を高める、体内で発ガン物質の生成を防ぐなどである。

 このほか、ノニのフラボノイド(色素成分)であるモリンジンには鎮痛・鎮静作用がある。また、ノニの実に含まれるテルペンには体力増強作用が見込まれている。

 ノニはジュースとして飲まれるのが一般的だが、最近は果汁だけ出なく、ノニの他の部分の抽出液を加えた製品が多く発売されるようになってきている。このはノニの根の部分にダムナキャンソールという抗ガン物質が含まれていることが明らかにされたからだ。

 ダムナキャンソールは日本人研究者・平松朋紀によって、ヤエヤマアオキの根から単離されたもので、1993年にガン専門誌「キャンサーレター」にその抗ガン性が掲載され、薬学者の間でも大きな話題になった。研究では、ダムナキャンソールはガン細胞を正常な細胞に見せかけることで、ガン細胞の増殖を停止させるか少なくとも低下させていると考えられ、肺ガン、大腸ガン、膵臓ガン、各種白血病を含む人の複数のガンに対して有効であることが明らかにされている。

 このほか、ノニが免疫システムの増強に有望であることを示唆する報告もある。1997年にハワイ大学で行われた研究では、ノニを飲用することでマクロファージの活性が通常より3倍高くことが明らかにされた。また、別の免疫機能物質であるインターフェロンと結びついたときは、この効果はさらに増加することも明らかにされた。研究者らは、サイトカインの定量と一酸化窒素の確認の実験から、ノニがマクロファージの活動を刺激していることを確認している。

 さらにノニには、生体内で一酸化窒素の酸性を増強することも明らかにされた。一酸化窒素は、進入してきた病原菌を死滅させる作用を持っている。ノニが効果的な抗菌剤であることを示す報告があることは、ノニによる一酸化窒素の増加と関係があると考えられている。

ノニの商品一覧

土曜日, 12月 10, 2005

緑イ貝エキスについて

○緑イ貝エキス

 緑イ(胎)貝は、ニュージーランドにのみ生息するイガイ科の緑色の二枚貝で、ムール貝やカラス貝と同じ仲間である。原住民マリオ族の間ではそのまま食用にされているが、「食べれば痛みが去り、体に春が戻ってくる」といった意味の伝承歌があるほど、その薬効は古くから認識されていたようである。こうしたことを背景に、ニュージーランド漁業委員会の厳しい規制の元に積極的に養殖が行われるようになり、現在は特に効能の強い生殖器を多く含んだ部分の凍結真空乾燥処理した粉末も生産している。

 世界的にその効能が注目されるようになったのは、1960年代に米英共同で新しい抗ガン物質を探す研究が行われた際、アメリカのミラーらがこの貝の抽出エキスをガン患者に与える実験に取り組んだことがきっかけとなった。ガンは治らなかったが、たまたまその患者が患っていたリューマチの痛みが著しく改善されたのである。1974年には米国農水省水産研究部のワークが、リューマチ以外にも神経痛、腰痛などに効果があるとの報告書を発表して俄然注目を浴び、ついで英国ホメオパシー病院(臨床薬理科)でもリューマチの改善率75%、関節炎の改善率45%という成果を発表した。

 日本では小菅卓夫(静岡薬科大学)らの研究が出色である。小菅らは、現地調査や臨床テストでは明らかにリューマチの改善を認めながら、その薬理の作用が説明できない時期が続いたが、試行錯誤の後、中国医学によるアプローチによって難解を突破することができた。すなわち、中国医学では、生命活動の根源に「気・血・水」の交流を置いているが、これは言い換えれば「エネルギーの供給・代謝・排泄」に該当するといえる。中国医学がリューマチの治療に用いる種々の処方を分析してみると、寒さや冷えを取り除く作用と、気を補う作用を持つ薬剤の両方が巧に組み合わされているのであるが、緑イ貝の効能をこの「気の補給(補気)」という面から見直して、合理的に解釈できたのである。

 補気作用の強い生薬の代表は高麗人参、甘草、黄耆などであるが、臨床実験の結果、小菅らはこの薬理作用について、この補気作用は、具体的には脾臓の働きを助けて血液の新陳代謝を促すように働く。脾臓で古い血が処理されると、今度は骨髄に対して新しい血球の産生を促す指令が出されるというフィードバック現象が起こり、それによって新鮮な血液が供給されると説明している。すなわち「気・血・水」の滞りのない循環が、リューマチや神経痛の原因を取り除くのである。そのように捉えると、緑イ貝が血の若返りをもたらすとともに、強精剤としても有効であることが理解できる。

緑イ貝エキスの商品一覧

金曜日, 12月 09, 2005

月見草油について

○月見草油

 アカバナ科に属する月見草は、和名をオオマツヨイグサといい、欧米ではイブニング・プリムローズと呼ばれて公式の薬用植物リストにも収載されている。北米の東部海岸地域に居住するネイティブ・アメリカンたちが、1000年以上の前から咳止めや痛み止めなどに内服したり、おできや発作、外傷など外用薬として使っていた。

 これが17世紀頃ヨーロッパに伝えられると、たちまちのうちに普及して、キングス・ケア・オール(王様の万能薬)と呼ばれて珍重されるようになった。しかし、それも19世紀末頃までで、その後はすっかり忘れ去られていた。

 月見草は再び注目を浴びるようになったのは、1930年代になって、この種子にリノール酸が豊富に含まれていることが発見されてからである。リノール酸は人の体内では合成できない不飽和脂肪酸で、必須脂肪酸に加えられている。しかし、リノール酸が豊富なものには、紅花油(サフラワー油)、ヒマワリ油、大豆油、綿実油などがあり、それだけなら取り立てていうべきことではない。だが、月見草にはそれらにはないγ-リノレン酸が、全脂肪酸の7.5%も含まれているのである。このγ-リノレン酸が天然物の中に含まれているのは、今のところ月見草の種子と母乳、僅かに含むものとしてヒマワリの種子と昆布にあるだけである。つまり月見草油の特異的な有用性というのは、このγ-リノレン酸にあるといってよい。

 γ-リノレン酸n-3系の多価不飽和脂肪酸で、生体内ではリノール酸から代謝されて作られる。したがって食生活が適切で健康な人は直接摂取する必要はないのだが、最近の食環境の悪化(加工食品の添加物による害)や美食、飽食による肥満、糖尿病、高脂血症(特に高コレステロール血症)、アルコールの多飲、あるいは加齢などによって、リノール酸をγ-リノレン酸に変換する酵素の活性が阻害され、γ-リノレン酸が十分に生成されない場合が危険である。

 γ-リノレン酸はプロスタグランジンの基元物質であり、これがないと産生されない。プロスタグランジンはエイコサノイドという生理活性物質(局所ホルモン)で、ホルモンと同様、たとえば血圧を下げる、血小板の凝集を抑制する、あるいは気管支を拡張する、子宮を収縮する、腸管の蠕動を高めるなど、種類によって様々な強い生理活性を持って体の機能を調整している。したがってγ-リノレン酸が生成されないと、こうした調整の狂いから様々な障害が起きてくるのである。

 月見草の効果として高血圧やアレルギー体質の改善、痩身・美肌の他、月経前症候群(PMS)・アルコール中毒・二日酔いの改善などがある。

月見草油の商品一覧

木曜日, 12月 08, 2005

コラーゲンについて

○コラーゲン

 コラーゲン(膠原質)は高タンパク質のひとつで、ゼラチンやゼリーにもその類縁物質である。細長い繊維状を呈し、動物の組織の細胞間物質の主成分として、体重50キロの人なら3キロがコラーゲンであるとされ、特に皮膚、骨、腱などに多く含まれており、たとえば皮膚組織の70%はコラーゲンが占めるほどである。その弾力に富む頑丈な構造によって、細胞や組織が本来の機能を発揮できるように相互をしっかりとつなぎとめている体の接着剤ないし構造材であるともいえよう。近年、コラーゲンの種々のタイプが明らかにされて、皮膚や骨、目の水晶体、関節の軟骨にあるタイプなど、それぞれ性質の異なる15種ほどが知られるようになって入る。

 絶えず新陳代謝を繰り返している体内ではコラーゲンの酸性が不可欠だが、コラーゲンは細胞の中でアミノ酸から作られ、それも全ての細胞ではなく、繊維芽細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、筋細胞など特殊な細胞でしか作られない。細胞内でできたコラーゲンは細胞外へ分泌されて必要な場所に定着し、繊維同士が縦横に繋がり合って立体構造を構築し、細胞の増殖を促進し、細胞の機能の活性化を促すという働きする。

 こうした性質に注目して従来は化粧品の保湿剤として主に用いられてきたコラーゲンであるが、これを経口投与するマウスの実験(日本大学薬学部などによる)で、皮膚の保湿や新陳代謝の活性化が認められたところから、近年、飲むコラーゲンの研究開発が大きく進展することとなった。

 コラーゲンが免疫機能を賦活する可能性が高いことを明らかにした実験は、大阪医科大学によって行われているが、実験では牛、豚、鯨など、由来も製法も異なる14種類のゼラチン(1%濃度の溶液を0.3mg)をマウスに1週間おきに注射、対照群には生理食塩水を注射して、3週間後に、全てにガン細胞を移植した。すると対照群は全部がガンになって死亡したが、ゼラチン溶液投与組にはガン細胞が見られないマウスがいたのである。この実験はさらに続き、生き残ったマウスにゼラチンを投与せずに再びガン細胞が移植されたが、1匹もガンにかからなかった。これはガン細胞に対する免疫をつかさどるマクロファージやリンパ球の抗体反応をゼラチンが賦活し、その活性が残存する結果であろうと考えられている。また、注射ではなく経口投与によっても成果を得ている実験もあるが、これほど好成績が得られるかどうかはまだ明らかにされていない。

 多様な効果が期待されるコラーゲン飲料は、現在その多くが牛皮、豚皮、牛軟骨などを原料として、腸管で消化吸収しやすいように酵素発酵によって低分子化が図られており、用いる酵素の種類や分解法によって様々な特性を持つ多種類の製品が供給され、健康食品のみならず一般食品への活用も日に日に進んできている。

コラーゲンの商品一覧

水曜日, 12月 07, 2005

冬虫夏草について

○冬虫夏草

 子嚢菌類のキノコ(胞子)が昆虫(一般には鉢、蝶、蛾、蜘蛛、甲虫類などの幼虫、さなぎ、成虫)に寄生したその体内に菌核を充満させ、時期がくるとその頭部や間接部から棒状の子実体を伸ばしたものを総称して冬虫夏草(和名=フユムシナツクサタケ)というが、健康食品の場合は後述のように範囲を限定して用いている。冬虫夏草の文字は、夏になって虫がキノコに変ずる用を表しており、中国では虫草とも呼び、四川、青梅、チベット高原地帯が産地として特に有名だが、わが国固有の20数種(クモタケ、セミタケ、カメムシタケなど)や中国特産の60数種を合わせて世界的には350~400種ほどが知られる。虫体をつけたまま採集して、全体を陰干しにして用いる。

 中国の薬書としては1757年に発行された清の呉儀洛の本草従新以来、古典にたびたび顔を出すことになる冬虫夏草は、秦の始皇帝や楊貴妃が不老長寿を願って求めたと伝えられるように、伝統的に滋養強壮の高貴薬として尊重されたようであるが、その薬効について本草従新では、肺、腎を補う...としている。これよりも30年ほど前(享保13年)に、わが国へ中国から冬虫夏草がもたらされたことが聊需志仕外集に記録されている。

 近年のわが国におけるとの研究は、検体入手の道がついた20年ほど前から始められたが、やがて中国から中枢神経への作用(喘息・咳嗽など)、糖尿病の改善などエネルギー代謝の調整作用、精力強壮作用など、万能とさえいえる効能が伝えられて以来、多くの研究者や研究機関によって抗ガン作用を始め、虚弱症・貧血症・インポテンツなどへの有効性、血圧調整作用、気管支拡張作用など画期的な研究成果が次々に報告されてきた。その過程で薬効随一の評価を得てきたのがチベット高原で採取される天然産品で、これはバッカク菌が蝙蝠蛾の幼虫に寄生したもので、この種を特定して冬虫夏草と呼ぶこともある。

 しかし、どの種類であっても天然品は希少資源で十分に需要をまかなうことができないために人工栽培も試みられ、北京医科大学や日本では吉井菌学研究所などで成功している。

 一方、天然品のように子実体を育てるのではなく、人口の培地で菌糸体(キノコでいえば地下部分)を培養して純粋な有効成分を得ようとする菌糸体培養の試みが浙江省の杭州保霊健康食品公司で成功し、定評ある青海産種の菌株を用いた高品位の製品が供給され始めている。浙江省中医研究所などの成分分析によれば、天然品の特有成分であるコルジセピン、ウラシル、ウリジン、アミノプリン、エルゴステリンなどの含有量は全く遜色がないという。同様の菌糸体培養は日本でもハナサナギタケを用いて成功し、医学的に貴重なデータが集められている。

冬虫夏草の商品一覧

火曜日, 12月 06, 2005

植物発酵エキス(酵素)について

○植物発酵エキス(酵素)

 人体には数千の酵素があるといわれ、そして、酵素は全て遺伝子に書き込まれた情報によって作られ、それらが過不足なく働いて生命活動が維持されるのであるが、最近の研究では酵素の全量が体内生産されるのではなく、相当量が経口的に食物から摂り入れられることがわかってきている。

 その反面、現代人の食生活は加工食品が横行して、そのほとんどは製造過程での過熱によって、熱に弱い酵素は失われる。また、添加された化学合成剤が酵素の働きを阻害していることは十分に考えられることである。効した時代だからこそ、天然醸造の味噌・醤油・食酢など、わが国で古くから利用されてきた伝統的な発酵食品をはじめ、新鮮な野菜や果物、海藻などの自然食品の果たす役割りが強調されるのである。

 そのような認識が進む中で、酵素の働きを念頭に置いた健康食品も市場に供されてきている。たとえば植物総合酵素といわれる健康食品群は、多種類の植物エキスを発酵させ、ペースト状、粉末状、顆粒状に加工したものである。また、飲料タイプにした植物エキス発酵飲料もある。

 相互に同一でない各植物固有の酵素群が多様化し、さらに発酵によってその働きが活性化されるとともに、多種類のアミノ酸、ペプチド、乳酸菌、ビフィズス菌、その他植物性成分が消化吸収されやすい状態で含有されているのが特徴である。

 最近、このような植物性酵素食品に、ガン細胞への直接的な攻撃排除効果ではなく、リンパ球(NK細胞)の活性化という、生体が本来持っている免疫機能を通じてガン細胞を攻撃する作用があることが見出されている。愛媛大学医学部医化学第二教室の奥田拓道らは、植物発酵食品によるアルコール解毒作用、抗アレルギー作用、抗糖尿病作用、抗ガン作用についての研究発表を行っている(第1回日本代替医療学会学術集会、1998年)。特に抗ガン作用については、動物実験ではあるものの、転移を防ぐだけでなく原発巣ののガンも縮小するほどの抗ガン作用があったという点が注文された。発酵食品がNK細胞を活性化し、免疫能を通じてガン細胞を攻撃することを明らかにしている。

植物発酵エキス(酵素)の商品一覧

月曜日, 12月 05, 2005

霊芝について

○霊芝

 霊芝は和名をマンネンタケといい、サルノコシカケ科に属する坦子菌類の一品種であるが、梅などの古木10万本に2~3本しか採取できないという希少品種で、めったに人目に触れることがなかった。古代中国では、宮中に霊芝が生じると天下泰平の印として、祝宴を催したと伝えられている。そんなこともあってか、神草とか仙薬、不死草などと呼ばれ、不老長寿の新薬として用いられていた。

 漢方ではその薬効作用に注目しており、李時珍は本草綱目で、赤芝、青芝、黄芝、白芝、黒芝、紫芝の6種をあげ、「久しく食すれば、身を軽くして老いず、年を延ばして神仙となると記し、漢方薬の中で上薬に位置づけている。

 やや古いが1974年に出版された中国薬用真菌(劉波著)によれば、霊芝は健胃、健脳、強壮、利尿に効果があり、症状としては神経衰弱、不眠、急・慢性肝炎、胃潰瘍、気管支炎、胃炎などに優れた効果があると記されている。

 一方、わが国でも霊芝の研究は盛んで、特に人工栽培では1937年(昭和12年)から京都大学で始まり、その後研究を重ねた結果、1971年になって、同大食料研究所所技官であった直井幸雄が世界で初めて霊芝の量産に成功した。それとあいまって、薬理研究も活発化し、多くの臨床例、治験例が報告されるようになった。まだその薬効成分に関しては十分に解明されていないが、その効用については非常に多くの臨床例などで実証されている。

 効用のひとつとして、淤血と血栓を駆除することがあげられる。淤血とは、古血、つまり血の流れが悪くなり、滞ってしまうことをいう。血栓は、血管の中に血液などの固まりが詰まることで、それによって血液の循環をとめてしまうことに繋がる。各種の生活習慣病をはじめ、現代病と言われる多くは、この淤血や血栓が原因となった起こるケースが多い。たとえば、自律神経失調症、更年期障害、腰痛、痔、便秘、頭痛、慢性肝炎、肩こり、イライラ、歯槽膿漏など多数に及び、現代人が悩む病気はほとんど含まれているといってよい。

 こうした淤血を示す徴候としては、①脱毛、②赤ら顔、顔にしみができはじめた、③鼻の頭が赤くなった、④目が充血しがちになり、目がかすむ、⑤首の後ろが重く、時々フラッとする、⑥歯茎の色が悪くなった、⑦耳鳴りがしたり、肩がこる、⑧皮膚の色が黒くなり、つまむと赤色化してなかなか消えない、⑨生理痛・生理不順がひどい、⑩便秘がち、痔を患う、⑪腰痛、⑫、手のしびれ、震え、⑬心臓の付近が時々刺すように痛む、⑭傷あとが治りにくい、⑮喘息や気管支炎でもないのに空咳が出る、⑯皮下脂肪組織をつまむと硬くて痛い、などがあり、いずれも注意する必要がある。

 血栓症は、血管のつまり血液が体の隅々まで送れなくなるもので、その最たるものが脳卒中や心筋梗塞である。ここまでくると命取りになるが、そこまで行かなくとも多くの疾病を引き起こす要因になっている。霊芝はこのような病変に対して、①高血圧を改善する、②低血圧の人の血圧を高める、③動脈硬化の予防作用がある、④高脂血症を改善する、⑤降圧剤の副作用を軽減する、⑥老化を防止する、⑦新薬と併用して降圧作用を高めるなどの働きを持つ。

霊芝の商品一覧

日曜日, 12月 04, 2005

クエン酸について

○クエン酸

 クエン酸は、今から200年以上前の1784年、スウェーデンの科学者シェーレにより発見された爽快な酸味を持つ酸である。レモンやライム、グレープフルーツなどの柑橘類に多く含まれており、例えばレモンの大きいもの1個には約4gのクエン酸が含まれている。人の血液中には総量にして0.1g近く含まれ、常に体中を駆け巡っている。

 クエン酸の重要な働きのひとつにキレート作用がある。キレートとはギリシャ語でカニのハサミを意味するケーレーに由来する言葉で、金属のイオンをある化合物の両端に挟み込み、その金属イオン特有の性質を覆い隠す。クエン酸は生体内で、カルシウムやマグネシウム、あるいはアルミニウムなどのミネラルイオンと結合し、イオンとしての作用を表さないようにする働きがあるため、保存血液の抗凝固や大腸ガンの検証時に活躍するマグネシウム塩類下剤に応用されている。また、クエン酸と鉄のキレート化合物であるクエン酸鉄は、アルツハイマー病の治療薬として用いられることもある。それはクエン酸のキレート形成能力と、その無害性によるものである。

 このように、無毒で卓越したキレート作用を持つクエン酸だが、その真価を最大限に発揮するのは、生命維持に欠かすことのできないエネルギーを獲得する場面である。

 体に吸収されたブドウ糖などがエネルギーに変わるのは2つの方式がある。ひとつは解糖作用、もうひとつはクエン酸サイクルである。

 解糖作用は、生体細胞がブドウ糖からエネルギーを獲得する基本的な方法で、空気の存在しない環境で繁殖する微生物や、人間のような高等動物においても血液中の赤血球などは解糖作用でのみエネルギーを得ている。解糖作用は1分子のブドウ糖が2分子の乳酸(またはピルビン酸)に分割され、そのときに現れるエネルギーがATP(アデノシン3リン酸)というエネルギー化合物に蓄えられる。ATPは単細胞生物の細菌から多細胞生物の人まで、全ての生物体に含まれており、生物は必要に応じてATPを分解して、そのときに放出されるエネルギーをいろいろな生命活動に利用している。

 もうひとつのクエン酸サイクルは、酸素を使って栄養素を燃焼させてエネルギーを獲得する方法で、真核細胞内にあるミトコンドリアという小器官で行われている。解糖作用が進行していくと、乳酸が溜まってその部分は酸性になり、ついには解糖作用が停止するが、これは多量の乳酸による酸性化が原因で、解糖系に属する酵素の一部が作用しなくなるためである。しかし、解糖作用の最終生成物(ピルビン酸)をクエン酸サイクルに入れて酸化すれば、解糖作用単独の場合に得られるエネルギーの19倍ものエネルギーを取り出すことができるのである。

 クエン酸サイクルは、解糖作用によってできたピルビン酸を順次、クエン酸、シス-アコニット酸、イソクエン酸、α-ケトグルタン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキザロ酢酸へと少しずつ酸化させることによって、栄養素を完全に燃焼させ、ブドウ糖の持つ全エネルギーの42%をATPの形で利用できるようにする。最後のオキザロ酢酸は、ビルピン酸と反応してクエン酸を再生する。また、この反応の過程で脂肪合成の材料となるNADHのような、生体に必要な物質も作られる。反応産物として出てくるのは、生体には全く無害な水と炭酸ガスのみである。

 この仕組みのキーを握っているのがクエン酸なとであるが、実際にクエン酸を摂取することによって、運動能力の向上、疲労回復、肩こり・腰痛の予防、抗菌・抗ウイルス作用が見出されている。最近は、各種機能性素材とクエン酸が組み合わされ、さまざまな健康食品が登場している。

クエン酸の商品一覧

土曜日, 12月 03, 2005

スピルリナについて

○スピルリナ

 スピルリナは緑青色をした藍藻の一種で、0.3~0.5mmくらいの大きさだが、ワインのコルク抜きのようにらせん状をしていることから、ラテン語でらせん、ねじれるを意味するスピルリナと言う名前がつけられた。藍藻の多くが淡水に生息しているの対し、スピルリナは高温・高アルカリ・高塩分という厳しい環境下で繁殖するのが大きな生物的特長である。この条件はまた雑菌の繁殖を防ぐのにも役立っている。

 食用としての歴史は古く、16世紀のメキシコ高原に栄えたアステカ王国では、この地に多い塩湖に自生していたスピルリナを常食していたと言う記録も残っている。そのためか、メキシコ政府は1973年にスピルリナを正式に食品として認め、増産を奨励した。

 またアフリカのチャド共和国では、同じく塩湖のチャド湖、ヨアン湖に自生するスピルリナを、一部原住民が昔から常食している。

 本格的な食料化については、1967年の国際応用微生物学会(エチオピアで開催)で注目されてからのことである。その後の研究において、スピルリナに優れた栄養成分が豊富に含まれていること、消化吸収がズバ抜けて高いことがわかった。

 その特徴は、まだタンパク質の含量が60~70%と非常に高く、高タンパク食として大きな価値を持っている。一般にタンパク含有量の高い良質の食品として知られる大豆でも33~35%、牛肉でも18~20%にしかならず、スピルリナはその2倍、3倍の量を含有していることになる。さらにタンパク質の大事な条件である必須アミノ酸については12種類全てを高単位に含んでおり、優れた栄養バランスを保っている。タンパク質は生体の構造や機能にとって中心的な働きをする栄養で、特に必須アミノ酸は体外から摂取しなければならない大切なものである。

 さらに、ビタミンやミネラルも豊富に含まれているため、新陳代謝を円滑にし、体内の酸性、アルカリ性を調整する効用がある。ビタミン類ではプロビタミンAが多く、100g中100~200mg。そのほかにビタミンB1、B2、B6、B12、E、ニコチン産、葉酸、パントテン酸など、ほとんど含有されている。

 またミネラルではカリウムが特に多く、100g中1000~2000mg、カルシウム100~400mg、リン300~700mg、マグネシウム200~300mg、鉄50~100mgとなっている。そのほか、日本人に不足しがちな葉緑素や、カロチノイド、フィコシアニンなどの色素類も含み、全体としてバランスのとれた栄養補助食品となっている。

 こうした優れた栄養成分は、病気治療や予防に役立つことが臨床報告や実験などによって明らかにされている。特に各種の生活習慣病などのように体の老化から起こる疾病は、栄養補給が重要な条件となっており、アミノ酸をはじめビタミンやミネラルなど、多くの栄養をバランスよく含むスピルリナは、優れた効果を持っていることが指摘されている。

 これまでに報告された中では、糖尿病、肝炎、貧血症、高脂血症、慢性膵炎、胃潰瘍、胃炎などの成人病、内臓疾患などに効果を上げた例がある。これらはいずれも栄養補給が治療の重要条件だけに、スピルリナの栄養効果が実証された例といえる。そのほか、老人性白内障や円形脱毛症など、一般に治療困難といわれる症状に著効を示した例もある。

 また、重金属や薬物による副作用の軽減効果も報告されている。数ある健康食品の仲でも、総合的な栄養補給に優れ、健康の維持・増進に適した食品といえる。形状としては粒状、顆粒状のものが主流だが、近年は液状のエキスも開発されている。

スピルリナの商品一覧

金曜日, 12月 02, 2005

ハナビラタケについて

○ハナビラタケ

 ハナビラタケ(花弁茸)はハナビラタケ科の食用のキノコで、世界に1科1属2種だけが、夏から秋口にかけて関東以北の山間部で針葉樹の根元や切り株に生える。英語名カリフラワー・マッシュルームからもわかるように、葉牡丹のように縮れた花びら状の子実体は、1株の直径が20~40cm、高さ10~30cmにも達するが、絶対数が少なく、しかも人工栽培が非常に困難であることが、健康食品界への登場を遅らせる原因となった。この困難な人工栽培を成功させたのは福島隆一(埼玉県立熊谷農業高校教諭)であるが、この成功によって供給されるようになった試料を用いての生理活性研究が学界にデビューを飾ったのは、1999年3月に徳島市で開催された日本薬学会第119年会である。ポスター発表で、東京薬科大学第一微生物学教室の宿前利郎、大野尚仁らによるハナビラタケ由来のβ-グルカンの構造と活性であった。

 同研究によれば、ハナビラタケのβ(1→3)D-グルカンは43.6g/100g(酵素法による)にも達し、この数字はどんなキノコよりも圧倒的な多さである。

 また、抗ガン活性の実験は、1群10匹、合計130匹のマウスに固型ガン細胞ザルコーマ180を鼠蹊部に皮下注射で移植して行われた。子実体の熱水抽出(4倍画分、1倍画分)、冷アルカリ抽出、熱アルカリ抽出の濃度の異なる試料(500、100、20ug)を7日目、9日目、11日目の3回、腹腔内に注射で投与し、5週間経過後のガン細胞抑制率を調べたものである。結果は2群(熱水抽出画分の100、20ug投与)を除く全てにおいて著しい抗ガン効果を示し、特に熱アルカリ抽出画分100ug投与では、100%のガン退縮を見た。

 引き続いて、注射ではなく、経口投与による抗ガン効果を検討する実験が同研究グループによって行われ、熱水抽出試料を連日50、100、200ug経口投与することによって、抹消血管内の白血球数が未投与グループに比して1.5~2倍にも増えたことが確認されている。

 ハナビラタケの抗腫瘍効果については、最近、臨床治験報告も出されている。移入免疫療法の第一人者として知られる吉田憲史(ヨシダクリニック東京総院長)によると、大腸ガンが肺に転移して一時は余命6ヶ月と診断された59歳の女性で、移入免疫療法によりガンの進行は抑えられていたが、その後両側の頚部リンパ節転移が認められ、腫瘍マーカーCEAも37.5へ上昇した。そこでハナビラタケ1T(100mg)を1日3錠ずつ内服して経過を見たところ、1ヵ月後には頚部リンパ節転移が右側1個となり、2ヵ月後には消滅し、CEAも254へ下降した。免疫力を表すNK細胞活性も当初の17%から40%まで回復。それ以降、ハナビラタケを内服しながら月1回の治療を続けた結果、ガンの進行は認められなかったという。吉田の報告によれば、慰留免疫療法とハナビラタケを組み合わせる治療法は、手術や抗ガン剤によって低下した免疫力を飛躍的に活性化させ、体内ワクチン作用を起こし、ガンと闘う力をよみがえさせる効果があるとしている。

ハナビラタケの商品一覧

木曜日, 12月 01, 2005

EPA(エイコサペンタエン酸)について

○EPA(エイコサペンタエン酸)

 国際表示はIPA(イコサペンタエン酸)。魚油に多く含まれるn-3系の多価不飽和脂肪酸である。

 EPAが注目されるようになったのは、1970年代にデンマーク・オールボア病院のダイアペルグがエスキモー人を対象にして行った疫学的調査の結果によってである。それによると、魚やアザラシを主食とするエスキモー人(イヌイット)は、肉食中心のデンマーク人に比べて動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病が大幅に少なかった。たとえば、デンマーク人の死亡原因が心筋梗塞だけで40%以上も占めているのに、エスキモー人は発症率が高いはずの60歳以上だけを対象にしても、わずか3.6%でしかなかった。

 その原因がエスキモー人の食生活にあると考えた研究の結果、魚油に含まる脂肪酸のEPAの有効作用にあるとわかったのである。これは同じく魚油に含まれるDHAにも見られる作用で、血液の流動性を高めて血栓の生成を抑え、血管に付着して動脈硬化の原因となる血液中のコレステロール値を下げる働きも明らかにされてきた。

 日本における疫学調査でも、山間部の農民に比して沿岸地域の漁民はイワシなど魚類を2.5倍ほど多く摂取しており、血小板の凝集能(血液の固まりやすさ)は約1/3、また、心筋梗塞や脳梗塞による死亡率が2/3であることなどの調査結果を報告、同研究班はさらに魚油から生成したEPAによる臨床試験(対象者117名)でも、血中EPAの増加と、血中コレステロールの低下、血小板凝集能の抑制が認められることを確認した。

 こうした疾病以外に、EPAにはアトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症などアレルギー疾患に対する予防・治癒効果、あるいは慢性関節炎など炎症性の症状にも効果があることが報告されている。これはEPAやDHAを材料にして体内で作られるエイコサノイドという生理活性物質(プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトルエンなど)による作用であると考えられているが、よく似たプロセスでn-6系のリノール酸が体内でアラキドン酸を経て生理活性物質になった場合には、逆に血小板凝集作用が強まり、過剰摂取は成人病を促進することになるばかりか、炎症物質を作ってアレルギー反応を助長する結果を招くことがあることも明らかにされている。こうして、一時期もてはやされた植物油への過信を反省する気運の中で、EPAやDHAへの関心が高まり、また、体内でEPAやDHAに変わるα-リノレン酸などへの関心も高まってきている。

 EPAを多く含むのはハマチ、サンマ、イワシ、マグロなど脂肪の多い魚全般、あるいは筋子などであるが、それは魚類が餌とするプランクトンなどに含まれるα-リノレン酸が体内でEPAに変化して蓄積されるためといわれ、冷たい水の中で体脂肪が凝固してしまうことを防ぐことに寄与していると考えられている。

EPAの商品一覧

水曜日, 11月 30, 2005

たまねぎについて

○たまねぎ

 ユリ科の1、2年草で、原産はイランといわれている。鱗茎が肥大した部分を食用とする。古代エジプトには早く伝わって一般的な食べ物として普及したが、後に、地中海地方からヨーロッパ全域に広がり、中世のドイツやイギリスでは重要野菜として扱われた。1347年に疫病が大流行したときに、ロンドンのたまねぎとニンニクを売っている店では、伝染を免れたと伝えられる。わが国では明治以降に普及した。

 現在、一般的に食べられているのは黄たまねぎ、赤たまねぎ、白たまねぎ、小たまねぎの4種である。黄たまねぎ(ストロングオニオン)は辛味が少なくサラダに利用される。白たまねぎは(マイルドオニオン)は辛味がやや少なく、サラダなどの生食用にされる。小たまねぎ(ペコロス)は黄たまねぎの成長を抑えて育てたもので、ピクルスや煮込み料理などに利用される。

 たまねぎの効能としては①高脂血症によって引き起こされる血漿コレステロールの上昇を抑制し、善玉コレステロールを増やす、②体内にある血圧上昇物質に対抗して上昇を抑えたり、利尿効果によって塩化ナトリウムの排泄を促進して血圧を下げる、③血小板凝集抑制作用があり、血栓をできにくくする(脳梗塞、老人ボケの予防)、④血糖降下作用、⑤去痰作用、⑥発汗作用などが上げられる。

 たまねぎを切ると涙が出るが、これは切断されるとたまねぎが持つ酵素が働き、涙を催す物質が生成されるからだ。これは切った直後よりも、そのまま1時間以上放置した後に強くなる。この辛味成分はアリルプロピルジサルファイドや硫化アリルなどのイオウ化合物で、硫化アリルはビタミンB1の吸収を高め、アリルプロピルジサルファイドは血糖値を下げる作用がある。イオウ化合物は、強い抗ガン作用があることでも注目されている成分である。また、たまねぎの黄色い色素であるケルセチンは高血圧予防に有効であるとされる。

 黄・赤・白・小たまねぎについて、イオウ化合物とケルセチンの含有量を比較すると、イオウ化合物は黄色たまねぎに一番多く、以下、小、赤、白の順で、ケルセチンは小たまねぎがトップで、以下、黄、白、赤の順となる。

たまねぎの商品一覧

火曜日, 11月 29, 2005

ルイボスティーについて

○ルイボスティー

 ルイボスティーは、アフリカ大陸最南端、南アフリカ共和国のごく一部の山野にのみ自生する針葉樹ルイボスの細かな葉を採取して発酵後、乾燥させた健康茶である。ルイボスは現地語で赤い灌木の意味だが、原住民は古くから不老長寿、万病への妙効を信じて愛飲してきたという。

 1900年代初頭にロシア系紅茶商人がヨーロッパへ紹介し、ついで1930年頃、現地の開業医で市長も勤めたイギリス系のP.F.ノーティエが品種改良の末、人工栽培による農産物化に成功した。味・香り・色彩ともに優れ、現在では同国の重要な輸出産品として、生産、加工、品質管理が政府の肝いりで行われている。わが国の健康茶の中では新顔に属する。

 飲み始めて比較的早くわかる効用として、便秘の改善、便の正常の変化(軟便は固く、固すぎる便は柔らかくなる)、腹部膨満感や痛みなどの改善が挙げられる。アトピー性皮膚炎や口内炎、ニキビ、イボ、肌荒れなどの改善、数ヶ月の飲用で高血圧、高血糖などが快方に向かった、精神的に安定するといった報告例が多いが、このような顕著な諸作用に対して、前田浩(熊本大学医学部)らが多くの研究成果を発表している。

 長崎大学医学部ではマウスの胎児から得た培養細胞による実験で、ルイボスティーの発ガン抑制作用を見出している。また、横越英彦(静岡県立大学食品栄養科学部)らはラットを用いた実験で、ルイボスティーの抽出エキスと茶葉粉末を投与することで、いずれの場合も血液中の中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを上昇させることを確認した。これは、心臓疾患なと゜へのルイボスティーの寄与を示唆するものである。

 そのほかにも加齢による認知症(ボケ)の防止作用、肝機能亢進作用、抗菌・殺菌作用、便臭の改善作用、さらに新しいこととしては愛知医科大学と山梨医科大学との共同研究で、エイズウイルスの増殖を抑制する働きなども確認された。こうした各種作用の根底には、ルイボスティーが抗酸化作用ならびに活性酸素消去作用を持つことが指摘されており、その作用は他の野菜類などの数倍ないし数十倍にも達することがわかってきている。

 ルイボスティーのもうひとつの特徴は、緑茶やコーヒーと違ってカフェインは0、カテキン(タンニン)は微量だが、含有ミネラルは多く、特にリンとカルシウムが飲食物としては理想的な1:1の構成比で、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが人間の体液組成比率と極めて似ていることが挙げられる。このことはルイボスティーが人体になじみやすく、細胞の活性化に寄与しやすいことを示していると考えられている。

ルイボスティーの商品一覧

月曜日, 11月 28, 2005

パパイアについて

○パパイア

 パパイアは中南米原産のパパイア科の果樹で、発生はジュラ紀にまで遡ると考えられる。幹は枝分かれせず直立し、中空である。葉は先端部に集中し、その下に実をつける。ハワイ種と、これが改良されたマレー種があり、ハワイ種は高さ20m、果実は楕円形で直径15cm、マレー種は高さ5mまでであるが実は大きく、直径20cmに達するものもある。

 完熟パパイアは生食やトロピカル・ドリンク、ジャムやシロップ漬けなどにされる。未熟パパイアは料理に使われ、キュウリのように野菜として食べられている。

 栄養価で目を引くのはビタミンCの含有量が多いことで、果物の中ではイチゴ、キウイフルーツに次いで多く、中型半個で約80mg含有しており、1日所要量はこれでほぼ満たされることになる。他に疲労回復に有効な酒石酸、リンゴ酸、クエン酸なども豊富に含んでいる。また黄色色素であるカロチノイドの一種クリプトキサンチンもゴマに次いで多い。さらに食物繊維の一種であるペクチンを多く含み、整腸作用と同時に便秘の解消にも有効である。

 パパイアの最も大きな特色は、消化酵素を豊富に保有することで、果実はもとより葉や根に至るまで広く分布している。その代表的なものはタンパク分解酵素パパインであり、パパインが自生する地では、古くから肉を葉にくるんで焼くことで、タンパク分解酵素が作用して肉が軟らかく美味しくなることを調理法として用いている。

 台湾第二の都市の高尾で一番人気のある「木瓜500」というドリンクは、オレンジ色に熟したパパイアをミキサーにかけて牛乳500ccを加え、氷と一緒にミックスした飲料だが、余り消化のよくない冷たい牛乳がパパイアの酵素で消化吸収しやすくなり、ビタミンCの補給源ともなって、食後に飲めば、肉、魚、チーズ、卵、豆などのタンパク質や脂肪の消化をも高める。高タンパク食に合ったデザートとして最適であり、また暑いときのスタミナドリンクとして、特に若い女性に愛好されている。ただ、パパインの効果は熟しすぎると余り望めないので注意したい。

 パパイアは穏やかな抗菌力のあることも知られており、障害された局所の修復を促進する力もあるので、傷ややけどは葉で包んだり、スライスした果肉を当てたりして手当てする。アメリカの著名な美容家のバージニア・トーマスは、パパイアの酵素が、肌荒れや紫外線で痛んだ肌の手入れに効果的であると発表している。パパイアとスペアミンと、スイートミントなどのハッカ成分を加えた温湿布によって肘や膝、肌の硬い部分の角質を酵素の力で分解し、古い角質を治療し、新鮮で軟らかい皮膚に改善して、赤ちゃんのようなすべすべの肌を取り戻すという。

パパイアの商品一覧

日曜日, 11月 27, 2005

高麗人参について

○高麗人参

 高麗人参は中国東北部から朝鮮半島にかけて自生しているウコギ科の多年草で、朝鮮人参ともいい、和名を御種人参という。一般の食用人参はセリ科に属し、これとは全く異なる植物である。

 中国最古の医学書・神農本草経では、高麗人参を上薬に分類し、「五臓を補い...。久しく服すれば身を軽くして、長寿延命す」と、その効能を述べている。つまり、心・肺・肝・腎・脾に作用して、その活動を活発にするのをはじめ、様々な効果を発揮し、長期に連用すれば命が長引くというわけである。

 高麗人参の作用には優れた2面性があり、たとえば「最初は精神的に興奮しても結果的にはへばって、ファイトを失う」というタイプにも、逆に「初めからやる気が起きず、ファイトも湧かない」というどちらのタイプにも効果を発揮する。これは高麗人参には鎮静作用と興奮作用という全く逆の作用を併せ持つ有効成分が含まれているためで、ジンセノサイドという人参サポニンは大脳を鎮静させる作用がある反面、体の細胞や臓器の働きを活発にして体調を整える作用もある。そのため、心身症や不定愁訴症候群、慢性肝炎(肝炎の患者はすぐにカッとなったりイライラする人が多い)などに対して鎮静作用が期待される。

 人参サポニンについては多岐の薬効薬理試験が実施されているが、愛媛大学医学部の研究グループは、インスリン作用物質として人参サポニン以外にもアデノシン、ピログルタミン酸などを明らかにし、さらに紅参(人参を蒸してから熱風乾燥したもの)に血管を弛緩させる物質として、アルギニル-フルクトシル-グルコース(AFG)を見出している。この事実は、紅参が抹消循環改善作用を有し、冷え性などを改善する可能性を示している。

 さらに肉体的抗疲労作用とともに精神的な疲労にも有効で、作業効率を向上させることが科学的にも明らかになっている。また、人間の体を正常な方向へ誘導する正常化作用、すなわち化学物質による刺激や微生物汚染、精神的ストレスなどに対して体に働きかけてホルモンのバランスを保ち、とくに副腎皮質ホルモンの分泌を調整することによって、体の抵抗力を強め、病気に対抗する力をつける効用もある。こうした代謝機能の正常化作用には、もうひとつの側面、つまり、疲れた五臓を活発化させ、その結果、性的機能を回復させる効果もある。

 そのほか、具体的な効能としては、健胃・整腸・胸痛・嘔吐・低血圧・冷え性・貧血・病後の滋養回復・疲労回復・スタミナ増強・老化防止・自律神経失調症の治療など、多くの臨床例が報告されている。

高麗人参の商品一覧

土曜日, 11月 26, 2005

クロレラについて

○クロレラ

 クロレラは、生命誕生から間もない、ほぼ30億年前から地球上に生息している淡水産の緑藻である。大きさは2~10ミクロンほどで人間の赤血球よりも小さい存在だが、驚異的な増殖能力と生命力を持っている。

 クロレラが発見されたのは1890年、オランダの学者バイリンクによってである。その食料源としての研究は、第一次大戦中のドイツで始まり、以来、第二次大戦中へと引き継がれるが、いずれも敗戦によって研究活動は一時的にストップ。この間に、ノーベル医学賞受賞者でガン研究の権威であるオット・ワールブルグが初めて生物学研究の対象の一つとしたことがきっかけとなって、第二次大戦後、アメリカとドイツを中心にイギリス、フランス、イスラエル、インドなど世界の学者が競ってクロレラの研究に取り組むようになった。

 日本でも古くから注目を集め、1951年に米国カーネギー研究所の勧めを受けた東大の田宮博が徳川生物学研究所で着手。1959年には日本クロレラ研究所が設立され、クロレラの大量培養→製品開発→市販へと発展してきた。

 当初は、NASA(米国航空宇宙局)が宇宙開発に利用する計画を進めていたこともあって、宇宙食とも言われていたが、現在は良質のタンパク質を含む健康食品として広く知られるようになっている。その成分をみると、タンパク質50%、炭水化物20%、葉緑素5%、そのほかにミネラル類、ビタミンA・B1・B2・B6・C、パントテン酸、葉酸、核酸など、豊富な栄養を含んでいる。

 クロレラは増殖→細胞分裂の過程で葉緑体も分裂し、クロレラエキスが多量に生じる。このクロレラ独自の成分であるクロレラエキスこそ、人間の健康を維持し、病気の治療に役立つ物質とされている。

 クロレラの優れた特徴となっているこのエキス成分はまだ完全に解明されていないが、細胞を賦活化する作用が認められており、アメリカ老化防止研究所所長のデビット・スチーブンブロックは、著書「長生きを見つけた」の中で、このエキス成分を「クロレラグロスファクター(CGF)」と呼び、アミノ酸、ペプチド、ポリサッカライド、ビタミン、核酸類などが複合されたものであろうと推察し、その抗老化作用に言及している。また、日本での小学生への投与試験(長崎医科大学)では、伸長、握力、背筋力の発達に効果があることを認めている。

 さらに愛知教育大学の福井四郎がクロレラ研究の過程で解明した効用を列記すると

 ①クロレラは酸性体質を弱アルカリ性に変える唯一の物質である。酸性体質は成人病の元凶であり、弱アルカリ性体質のほうが疲れにくく、病気にかかりにくい。次に細胞の働きを活発にする。クロレラエキスにより細胞の新陳代謝が盛んになり、体全体が若々しくなり、病気の予防や治療を促進する。②細菌やウイルスに対する抵抗力が強まり、伝染病などの病気の予防に効果がある。③クロレラエキスの成分の一つ、S-ヌクレオチドペプチドが赤血球の回復に役立つので、解毒効果がある。④造血作用を活発化する作用があり、貧血などに有効なほか、コレステロール値も下げる。⑤肝臓、腎臓の働きをよくする。⑥タンパク質の合成を盛んにする。スタミナ増強、疲労回復などに効果を発揮する。⑦脂肪代謝を正常化し、肥満の予防になる。

 また、重金属や合成洗剤中毒に対する解毒作用が実験で判明したほか、胃潰瘍、水虫、糖尿病、心臓病、脳卒中、生理不順などに対する効果も報告されており、体質を強化する健康食品、保健食品としての価値は高い。なお、クロレラの細胞壁が吸収を妨げることが指摘されてから、細胞壁を破砕したものも広く市場に出されるようになっている。

クロレラの商品一覧

金曜日, 11月 25, 2005

ルンブルクス・ルベルス(LR)について

○ルンブルクス・ルベルス(LR)

 中国ではミミズを蚯蚓とか地龍と呼び、薬物として扱ってきた歴史がある。ミミズは毛足網貧毛目に属する環形動物で、その仲間は体調0.5mmから4.5mの長さに達するものまで、世界中に11科、約1700種が分布し、日本だけで300種近くが棲むといわれている。北半球にはツリミミズ科に属するものが多く、南半球にはフトミミズ科のものが多い。

 そのうち、薬用となるミミズは特定の種類であるが、あらゆる植物や動物、キノコ類、鉱物類を渉猟して薬効を見出し、それらを生薬のリストに取り入れたいった古代中国の先人は、ミミズにも熱い視線を注いできたわけである。1世紀末から2世紀初めにかけて記述された中国最古の薬物書・神農本草経には、すでに白頸蚯蚓の名で収載され、婦人病、虫下しの薬物とされている。また、11世紀の宋時代の薬物書・図経本草には地龍の名で登場し、各種の効用が記され、近年それらの効用を裏付ける有効成分も明らかにされてきている。それは以下のようなものだ。

 ①解熱作用として、ミミズにはルンブロフェブリンという成分が含まれ、胃を荒らさない解熱剤となる。②鎮痛作用として、ミミズには貴重な金を含む塩化窒素化合物が2種類含まれ、鎮痛効果をもたらす。金には痛みを止める効果があり、鍼灸でも痛みの治療には金針を用いる。③鎮痙作用として、ミミズは筋肉痙攣を鎮める作用のある多量のカルシウムを含んでいる。④利尿作用として、ミミズに含まれる多量のカリウムが利尿を促進する。

 このほか、抗炎症作用や鎮咳作用のほか、図経本草には、脳溢血によって起きる中風の後遺症を改善する特効薬は地龍であると記載されている。中風によって運動神経が麻痺して半身不随になるのは、運動を司る小脳を脳出血で固まった血が圧迫するためだが、この地流が麻痺を改善するという記述は、その中に血栓を溶かすことができる強力な有効成分が含まれていることを示している。そして。その1000年後の日本において、フトミミズの一種から副作用の全くない血栓溶解酵素ルンブロキナーゼが国立宮崎医科大学で見出され、この記載の正しさが立証されたのである。

 現在、脳卒中などの血栓を溶かす薬物としては、ウロキナーゼやt-pAなどかあるが、こられは直接血栓を溶かすのではなく、体内でプラスミン(線溶活性酵素)を作り出す間接的な補助剤に過ぎない。また効果は短時間で、作用が弱いという欠点もある。さらにこの薬は内服できず、点滴注射や脳内に直接注入という方法がとられるため、投与量が多過ぎると逆に血管を傷つけたり、出血時に血液が止まらないという副作用を持ち、非常に高価であるという欠点もある。

 これに対してフトミミズ由来のルンブロキナーゼは、血栓を直接溶かす作用を持ち、口から服用しても分解せず、効果が長時間持続し、しかも値段が安いという、夢のような長所を持っている物質なのである。こうした特徴が評価され、ルンブロキナーゼは、①血栓溶解、②高血圧の改善、高脂血症の改善、④糖尿病の改善、⑤製造法という5つの日本特許が認められ、米・英・ECなど世界23カ国の国際特許を得ている。

 このように、非常に幅広い健康効果が実証されているミミズだが、健康食品として利用されるようになったのは最近のことである。それは、漢方処方にも配合されて幅広く病気治療に使われてきた生薬・地龍(日本産は材料として、「カッショクツリミミズ」の体内の土砂を取り除き、丸ごと乾燥させたもの。古くから高熱の特効薬として、また鎮痙、利尿、解毒剤として使われたきた)は、薬事法に基づく食薬区分で、医薬品成分に収載されているために、食品としての使用ができなかったからである。

 現在、わが国で健康食品に使用することができるのは、欧米などで食用にされてきた赤ミミズ(レッドウォーム、学名はルンブルクス・ルベルス)で、漢方生薬の広地龍の材料となる参環毛ミミズと同じ仲間のフトミミズ化に属し、ニュージーランドやアフリカ中部の原住民の高タンパク食品と頻用してされてきた種類である。米国でタンパク源として、ペットフードにも盛んに利用されている。

 ルンブルクス・ルベルス(LR)食品は、このレッドウォームを原料として、厳しい品質管理のもとに滅菌処理をして精製粉末化され、カプセルの形で供される機能性食品である。それ単独でも所期の目的である血栓溶解・血行促進といった食効が得られることは既に多くの研究で明らかにされているが、さらに幅広い食効や保健効果を求めて、他の伝統的な健康食品との組み合わせも行われている。

ルンブルクス・ルベルス(LR)の商品一覧

木曜日, 11月 24, 2005

ウコンについて

○ウコン

 ウコン(鬱金)は熱帯アジア原産のショウガ科ウコン属の多年草で、春(初夏)にピンクの花を咲かせる春ウコンと、秋(晩夏)に白い花の咲く秋ウコンの2種類がある。いずれも地上部は芭蕉に似た形状で高さ1.5mほどになり、生姜に似た大きな根茎を持ち、ときにそこから出たひげ根の先端が肥大根となる。掘り上げた生の根茎を切ってみるとどちらも高い芳香性があるが、内部の色に違いがあり、春ウコンが鮮やかな黄色であるのに対し、秋ウコンは橙色を帯びる。乾燥した粉末をみても、この差は歴然としている。また、春ウコンにはやや辛味と苦味があるが、秋ウコンには苦味は感じられない。優れた薬効を発揮する生薬として用いられるのは春ウコンの根茎であるが、両者の区別がはっきりしたのは近年の研究成果である。従来カレー粉の原料として利用されてきたのは主に秋ウコンで、特有の味と香りはターメリックと呼ばれる香辛料が主役となっている。また、各種食品の黄色の着色剤としても用いられる。

 中国薬草書の古典、本草網目には、このウコンに関して、鬱金と姜黄の2つの記述があり、鬱金については「...血を止め、悪血を破る。血淋、尿血、金瘡を治す」とされ、姜黄については「...気を下し、血を破り、風熱を除き、血塊を治し...」としたあとで、「功力(効力)は鬱金より烈し(強し)」と述べている。また伝統的に中国では、春ウコンの根茎を姜黄と呼んでいたことも考え合わせると、ここで述べられた姜黄が春ウコンであると解釈するのが妥当であると考えられている。

 日本では、既に平安時代中期に中国から渡来し、慶長年間(1596~1610)に沖縄(琉球)特産の薬草として珍重され、砂糖とともに重要物産として専売制を布いて大々的に栽培され、次いで九州南部でも生産されるようになって、健胃薬、通経薬、利胆薬、産後の下血、血尿、体内の鬱血を解消する駆?血薬として広く用いられ、平胃酸、猪苓湯などの方剤としても盛んに利用された。近年、伝統的生薬を見直す機運の中で改めて脚光を浴び、糸川秀治(東京薬科大学)らによる成分分析や作用の解明が進められるとともに、前記のような春ウコン、秋ウコンの区別なども明らかにされたきたものである。

 黄色い色素であるクルクミンや精油成分についての薬理試験では、肝臓の解毒機能促進、胆汁分泌促進、胆道結石除去、利尿、強心、抗出血、抗菌、抗潰瘍、血中コレステロールの抑制作用などが明らかにされている。適応症としては肝炎、胆道炎、黄疸、胃炎、生理不順、高血圧、低血圧、動脈硬化など多くを数えるが、近年は特に慢性C型肝炎を含む肝臓病、がん、糖尿病への効能に期待が寄せられ、老化や万病の元といわれる活性酸化やその除去作用、抗酸化作用にも関心が高まるようになった。同じショウガ科に属するガジュツも、薬効に富む植物としてよく知られている。

ウコンの商品一覧

秋ウコンの商品一覧

水曜日, 11月 23, 2005

琉球もろみ酢について

○琉球もろみ酢

 醸造酢は、原料の糖質をまずアルコール発酵させたあと、さらに酢酸発酵させることによってその酸味を醸成することが製法の基本である。その糖質を得る原料として、主に穀物(米・麦・トウモロコシなど)や果実(ブドウ・リンゴなど)が用いられるが、この原料の違いや発酵菌の種類が、できた醸造酢の風味はもとより、その健康効果を大きく左右することになる。

 琉球もろみ酢は、沖縄の特産品である泡盛がベースであるところに第一の特徴がある。

 泡盛の醸造には伝統的に精選されたタイ米が使われてきていることも特色の一つだが、中でも特筆すべきは、アルコール発酵から後発酵まで、一貫して発酵菌に黒麹菌が使われることである。

 その結果、一般の食酢の場合には酸味の主成分が酢酸であるのと異なり、琉球もろみ酢ではクエン酸が主体となる。そしてこのクエン酸が、琉球もろみ酢の特徴的な健康効果である運動能力の向上、疲労回復、結石の抑制、肩こり・腰痛の予防、抗菌・抗ウイルス作用といった働きをもたらすのである。

 体内でグルコース(ブドウ糖)や脂肪酸がエネルギーに換わるのには、無酸素状態でその化学的エネルギーを開放する解糖系と、もっと遥かに多くのエネルギーを生むクエン酸回路(ATP回路)という反応系(有酸素状態で行われる)があるが、クエン酸を起点に一巡しながらエネルギーを生む目的物質であるアデノシン-3-リン酸(ATP)を産生するこの反応は、細胞内のミトコンドリアという小器官で行われるため、そこへ自由に入っていけるクエン酸が直接的な活力源として寄与できると考えられるのである。

 琉球もろみ酢に、非常に多彩かつ豊富にアミノ酸が含まれていることも高い機能性がもたらされる一因だが、これはその醸造にタイ米と黒麹菌が用いられるためと考えられている。

 すなわち、黒麹菌を加えて熟成したもろみ(諸味・醪)から泡盛を蒸留したあと、もろみをさらにゆっくりと熟成させる過程で、米に含まれていたタンパク質が、機能性を持つ多様なアミノ酸に細かく分解され製品に含まれるのである。このタンパク質の分解力は発酵菌の種類によってそれぞれ差があるが、黒麹菌が作用した琉球もろみ酢では必須アミノ酸を含む18種のアミノ酸が分析されている。

 天然醸造酢は原料と菌の合作であり、醸造法や環境因子も考慮に入れると大変バラエティーを持つわけで、その機能性の全貌が見えたわけではない。したがって実際の飲用効果と成分との対応が完全にはとれないが、琉球もろみ酢に特に顕著な元気の回復や、体の抵抗性を高めるという働きは、多量に含まれるクエン酸によるところが大きいと考えられる。しかしこの場合でも、それが発酵菌による天然醸造によって醸し出されたもので合成された成分でないこと。また他の成分との複雑な相互関係による結果であることは容易に理解できるであろう。

琉球もろみ酢の商品一覧

火曜日, 11月 22, 2005

キチン・キトサンについて

○キチン・キトサン

 キチンは、カニ・エビ・シャコ・オキアミなどの甲殻類の外皮や昆虫の外皮、キノコなど菌類の細胞壁の主成分を構成するアミノ酸重合体。19世紀の初頭に発見され、ギリシャ語で、封筒の意味を持つキチンと名づけられた。非常に堅固な構造をしていて水に溶けないが、このキチンを熱した濃いアルカリ溶液に浸漬しておくと、その分子(N-アセチルグルコサミン)からアセチル基が脱落してアミノ基に入れ替わったキトサンに変わり、希有機酸には溶けるようになる。

 キチンとキトサンを総称をしてキチン質と呼ぶ場合がある。

 キチンは植物のセルロースと同様、地球上に無尽蔵に存在する物質だが、硬い構造のために利用されることもなかった。しかし1970年頃、未利用生物資源の活用を巡ってアメリカで注目されるようになり、ほぼ10遅れて日本でも、毎年大量に排出される缶詰用ベニズワイガニの殻の再利用が研究開発の対象となってからは、多方面で基礎研究と技術開発が進み、たちまち畜産・漁業用の飼料、殺虫・殺菌剤、汚水処理などのほか、化粧品の溶剤、各種の網やラップ、さらに医療用に人工皮膚、手術用縫合糸などへと、その用途を広げた。

 その幅広い応用範囲の中に、健康食品・機能性食品として活用法がある。現在、年間1200トンほど生産されているといわれるキチン・キトサンのうち、健康食品としての利用は約3%ほどであるが、20世紀最後最大の天与の物質といわれるほどに、幾多の顕著な効果が報告されている。

 平野茂博(鳥取大学農学部)を中心とする研究グループや、奥田拓道(愛媛大学医学部)らの研究が注目されているが、キチン・キトサンが特定の臓器(心臓や肺)の病変を直接直す物質ではなく、身体のもつ自然治癒力、すなわち免疫力を高めて自らの疾患を治していくのを助ける作用があるということについては広く認められてきており、ガン、肝炎、糖尿病、腎臓病、アレルギー性疾患、高コレステロール血症(高脂血症)、神経痛、腰痛、白内障、慢性便秘、四十肩・五十肩など、非常にバラエティーに富む多くの治癒例が医療関係者から報告され、それぞれの作用機序が基礎研究者によって明らかにされてきている。

 例を示すと、奥田らは、キチン・キトサンが食塩の摂り過ぎによる高血圧を抑制することを確かめて話題を集めた。これは、血圧を高くする原因物質が従来いわれていたように食塩の成分のうちのナトリウムではなく、塩素であることを突き止めたもので、これだけでも常識を打ち破る貴重な成果であるが、この原因物質の塩素(マイナスに荷電)をキチン・キトサン(プラスに荷電)が腸内で吸着して体外へ排出してしまうために、血圧への悪影響は出なくなるというのである。すなわち、食塩制限のため不自由な食生活をしていた高血圧患者でも、キチン・キトサンを摂取することで、普通の食事をしながら治療を続ける道が開けたことになる。

 キチン・キトサンは塩素だけでなく、同じくマイナスに荷電した胆汁酸と結合した糞中に排泄される。この排泄によって体内の胆汁酸が不足し、コレステロールから胆汁酸への転換が肝臓で進む結果、血液コレステロールが低下する。

 キチン・キトサンはまた、小腸内で食品に含まれる脂肪に結合し、膵臓リパーゼが働けないようにして、脂肪の腸管吸収を阻害する。このようは肥満予防に連なる。

 さらにキチン・キトサンは、NK細胞やLAK細胞(ともにガン細胞を殺す作用を持つ)の働きを上昇させ、人のガンに対する抵抗力を強める可能性を持つ。

 なお、キチン・キトサンを加えた有機肥料を畑の中にすき込む事で土壌改良をし、さらにキチン・キトサンの誘導剤を散布することで、化学肥料や農薬に頼らない野菜類やお茶の生産に成功している例も数多く報告されている。

キチン・キトサンの商品一覧

キチン・キトサン(Diet)の商品一覧

月曜日, 11月 21, 2005

ハタケシメジについて

○ハタケシメジ

 ハタケシメジ(畑占地)は、味は天下一品とされるホンシメジと同属であり風味が優れているため、様々な方法で人工栽培が試みられたが成功しなかった。しかし、ついに念願の人工栽培技術が確立(王子森林資源研究所)して大量生産に成功、機能性が期待される健康食品の一因に加わることになった。ホンシメジはマツタケのように土中の生きた根に共生する菌根菌であるのに対し、同属でありながらハタケシメジは土中に埋もれて腐朽の進んだ木片に繁殖する腐生菌としての性質を持っていたことが、人工栽培の成功につながったのである。

 他の多くのキノコ類に抗ガン作用が見出されていることを受けて、ハタケシメジの機能性研究もその抗ガン活性の検証から着手され、1998年の日本癌学会総会において、その効果に関する学会発表がなされた。「ハタケシメジに含まれる抗腫瘍活性多糖の分離・精製とその構造」である。

 キノコの抗ガン作用研究にとって画期的なこの学会発表は、ハタケシメジの実験を基礎としたものであった。その実験はハタケシメジの熱水抽出画分(F-1)ならびにそれをアルコール沈殿させた画分(F-2)を調整し、それぞれ0.5%、0.1%に希釈して、0.3mlを15週齢の雌マウスに腹腔内投与、2時間経過後に腹腔浸出細胞(主にマクロファージ)を採取してC3高原を定量するというものであった。

 その結果、C3抗原(抗原抗体反応によって活性化される血清タンパク酵素系で、溶血・溶菌反応に必須の物質)が最高15倍にも上昇することが観察された。この現象は、マグロファージが強く活性化したことを意味する。

 次いでザルコーマ180固型ガンを5週齢の雌マウス12匹(642群)に移植、そのうちの1群にハタケシメジの熱水抽出画分(10mg/kg)を10日間連続して投与(注射)した。その結果、対照群(6匹)は全て罹患し、そのうち3匹は35日までに死んだが、投与群(6匹)は100%健全であった。

 その後行われた第2弾の実験が先の学会発表になるのであるが、上記F-2画分をイオン交換クロマト法、ゲル濾過法で8シュルイの画分に精製し、ザルコーマ180固型ガンを移植した5週齢の雌マウスに、腹腔内投与(注射)及び胃ゾンデによる経口投与を行った。経口投与実験は、将来これが健康食品として提供されるためには、実際問題としてぜひとも必要なものである。その結果、移植4週間後の生存率は精製した2画分で100%、ガン完全消失率も90%という好成績を見たのである。また、経口投与でも46%と高い腫瘍抑制率を示した。

ハタケシメジの商品一覧

日曜日, 11月 20, 2005

核酸(DNA・RNA)について

○核 酸

 核酸が発見されたのは1869年、スイスの化学者ミーシャーによる。動植物全ての細胞(特にその核)に含まれる高分子有機化合物で、酸性を示すことから核酸と名づけられ、以後、遺伝的性質に関与する物質として研究された。今世紀前半には遺伝子DNAとRNAが含まれていることが明らかにされ、1953年にはJ・ワトソン(米国)とF・クリック(英国)がその分子構造を明らかにして、1962年にノーベル生理・医学賞を受賞している。この頃からアメリカではヘルスフードへの応用が模索され始めて、1976年にはアメリカの開業医B・フランクが臨床経験を踏まえて、核酸を多く含む食品の摂取が有益であることを発表して話題をさらった。

 数年後にはわが国にも紹介されたが、当時用いられていたのは低分子の核酸であったために大きい効果が得られず、大きな市場を形成するまでには至らなかった。しかし基礎的研究は続行され、現在主流を占める鮭の白子から精製されるような高分子の核酸の登場によって、高い評価を得ることになったのである。

 生物の細胞は、細胞壁に包まれた細胞質の中に浮かぶ核があり、その中に染色体という物体があるが、これはすべての遺伝情報を保持したDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)とタンパク質とならなっている。人の例を述べると、1個の受精卵がまず2つに分裂するが、そのとき遺伝子も全く同じものが複製され、分かれたほうの核に組み込まれる。2つは4つに、8つにと倍々に増えていき、ついには60兆個もの細胞となって1個の肉体が完成するのであるが、その全ての、細胞がその人に固有の同じ遺伝子を持っているのである。遺伝子DNAには、その人の生命活動に関わる一切の遺伝子暗号が書き込まれており、RNAはそれに基づいて特定のアミノ酸からタンパク質を合成するとき、細胞内にその場所を作ったり、必要な遺伝情報をDNAからそこへ運んだり、あるいは細胞内のアミノ酸を集める役割をする。

 人体では脳や心臓の細胞などを除く全ての細胞が常に新陳代謝して入れ替わり、約200日で全身の細胞が新しく生まれ変わるために、たくさんの核酸を消費している。その核酸は肝臓で生合成(デノボ合成)されるか、食品中の核酸から再合成(サルベージ合成)する形で補われる。ところが20歳を過ぎると肝臓でのデノボ合成機能が衰えるため、食品による核酸補給への依存度が高まってくる。しかし、普通の食品の中に含まれる核酸成分は低分子なので、腸内で消化されてしまってサルベージ合成の役に立ちにくいのである。

 その点、鮭の白子や酵母などの核酸は高分子であるから最後まで分解されてしまうことなく、低分子の状態で吸収されて各細胞に運ばれ、再合成の原料になることができる。このことを逆に考えれば、核酸の補給が不自由分だと細胞の新陳代謝が遅くなり、それだけ組織や器官の老化が促進されるということである。

 人体では、紫外線や外傷の害を受けやすい皮膚や毛髪、あるいは生殖器官は特に新陳代謝が盛んで、したがって核酸を多く消費するのであるが、核酸食を十分に摂っていると皮膚や髪の若々しさが保たれる。性的機能が高まるという経験的事実は、上記のような考え方の妥当性を裏付けるものといえよう。

 また、核酸は塩基とリン酸からなるヌクレオチドが多数連なったものであるが、小腸内でヌクレオチドから、さらにヌクレオシド(塩基に糖が結合したもの)にまで分解され吸収される。これらのヌクレオシドの中のアデノシンは、脂肪細胞内の脂肪合成を促進すると同時に、脂肪分解を抑制するインスリン様作用を持つ。また、ノルアドレナリンの細動脈収縮を阻止するα-ブロッカー様作用も併せ持っている。かなわち成人糖尿病を改善し、抹消循環をスムーズにして、肩こりや冷え性をよくする可能性を持つ物質である。

 もう一つ見逃せないのは、活性酸素の被害への対応である。農薬や食品添加物、大気汚染など種々の原因で体内に発生する活性酸素が、老化現象をはじめ動脈硬化など多くの疾病の原因となり、細胞内に入って核酸を酸化し、DNAの遺伝情報を損傷する恐れがあることが、近年随所で指摘されている。核酸は、そのようなダメージを受けた細胞を修復するための貴重な材料物質としても、有効に作用すると考えられているのである。

核酸の商品一覧

土曜日, 11月 19, 2005

にんにくについて

○にんにく

 ニンニク(大棗)はユリ科の多年生草木で、4~10個程度の鱗片からなる鱗茎を食用とする。古代エジプト時代から香辛料や強壮剤として使われ、約2000年前にインド、中国を経て、日本に伝わってといわれる。したがって古くからその効用が知られており、漢方では発汗、解熱、呼吸器病、喘息、百日咳。健胃、下痢、吐潟などに効くとされている。

 ニンニクの有効成分については、1936年にわが国でスコルジニンが発見され、抽出に成功したのをきっかけに、科学的解明が大きく前進した。1940年代にはアメリカとスイスの学者によってアリイン、アリシンが発見され、ニンニクの効能が証明されるに至った。スコルジニンはニンニク臭と無関係な成分で、強壮効果を発揮する基である。その作用は強力な酸化還元作用によって、体内に入った栄養物を完全に燃焼させてエネルギーにする働きがある。その結果、体組織を若返らせ、新陳代謝を盛んにするので強壮、疲労回復、食欲増進、解毒等に効力を発揮する。

 アリインは硫化アリルの一種で、ニンニク中のアリイナーゼという酵素によって加水分解されるとアリシンに変わる。アリシンはニンニク臭の素となっている物質で、強い抗菌作用を持っており、チフス菌やコレラ菌をはじめ寄生虫や原虫、抵抗力の強い結核菌やライ菌にまで作用することが確かめられている。このアリシンが体内でビタミンB1と結合するとアリチアミンというビタミンB1化合物になるが、ビタミンB1分解酵素のチアミナーゼの作用を受けないため、活性持続型ビタミンB1とした体内で有効に働くようになる。ビタミンB1は糖質の代謝を助ける働きをするが、不足すると疲労感や不眠、イライラ感が生じる。ニンニクを食べると疲労が回復するのは、このアリチアミンという化合物の作用によるものである。

 にんにくにはまた、抗ガン食品としても優れた効果のあることがわかり、大きな関心を呼んでいる。アメリカと中国が共同で行った疫学調査によると、にんにくを年間1.5kg以上摂っている人は、ほとんど食べない人に比べて、イガの発生率が半分以下という結果が報告されている。にんにくとがん予防に関する研究はまだ始まったばかりだが、前出のアリシンにはNK細胞の活性を高める作用があることや、にんにくに含まれるイオウ化合物(ジアリルスルフィド、アリルメチルトリスルフィドなど)には、発ガン物質の毒性を消す解毒酵素の働きを活性化したり、加熱によってストレスが加わる生成される自己防御物質アリキシンに、発ガンを抑制する作用のあることがマウスの実験によって明らかにされている。

 1990年、アメリカの国立がん研究所(NCI)は植物性食品に含まれる抗ガン成分を研究するプロジェクトを発足させたが、その中で最も重要性が高い食品としてピラミッドの頂点に位置づけられたのがニンニク(ガーリック)であった。このようにニンニクは今、古くからの強壮・強精という顔に加えて、抗ガン・抗酸化食品という新たな役割も担おうとしている。

ニンニクの商品一覧

金曜日, 11月 18, 2005

プラセンタエキスについて

○プラセンタエキス

 哺乳動物では、受精卵が子宮内壁に着床すると同時に胎盤(プラセンタ)が形成され始める。そして、胎児はそれを通じて母体から酸素や栄養の補給を受けると同時に、体内に生じた老廃物を排出するのであるから、いわば胎盤は胎児にとって、肝臓・腎臓・肺臓の役割を併せ持つ臓器であるということができる。胎盤はその科にも造血、タンパク合成、有害物質の解毒作用を持つばかりか、ホルモンを分泌して母体の排卵や子宮の収縮を抑制したり、乳腺を発達させたり、子宮頚管や骨盤軟骨部を柔らかくし、分娩に際しては、子宮の収縮や乳汁の分泌を促進させる働きを持つ。

 このように、体内で生命を育て上げるという絶妙な働きを持つ胎盤への関心は古くからあり、約1400年前の薬物書「本草拾遺」には、人胞と胞衣の名で、また16世紀に李時珍が編纂した「本草網目」には紫河車の名で記録されている。これは肉食動物はもちろん、本来は肉を全く食べない牛や馬のような草食動物さえ、出産直後に必ず胎盤をきれいに食べてしまうという事実に注目した結果である。江戸時代ではわが国でも紫河車を取材とした混元丹や牛車肉や紫河車丸などが用いられた。いずれも「虚を補う」もので、全身の衰弱、肺結核、貧血、気管支炎、喘息、子宮や卵巣の発育不全、神経衰弱などに用いられたのであるが、もちろん同時に不老長寿、若返り、強壮・強精が期待されたことは言うまでもない。

 胎盤の効用に光が当てられた最初は、旧ソ連オデッサ医科大学のフィラトフが組織療法に用いたことであるが、わが国では戦中から戦後にかけて1960年代以降、多くの大学研究室や民間研究機関でテストが開始され、胎盤に含まれる水溶性成分、脂溶性成分の解明、臨床研究、さらに成分抽出法の改良が行われた。酵素分解処理や凍結融解処理など各種の処理法によって違いはあるが、各種のアミノ酸、ペプタイド、ミネラル、ビタミン、酵素類、糖類などからなる生理活性物質が分析されており、さらに未知の低分子有機物の存在が推定されている。

 次々に明らかにされた効用は非常に多岐にわたっており、末梢神経促進作用、細胞賦活作用、活性酸素除去作用、抗炎症作用、抗疲労作用、発育促進、造血機能の活性化、細菌感染に対する抵抗力増強、乳汁分泌の亢進、自律神経の調整作用などが認められているが、最近は抗アレルギー作用も明らかにされて花粉症や皮膚炎への対応が期待されているほか、発ガン抑制作用の研究(国立遺伝研究所)にも新たに感心が寄せられている。

 プラセンタエキスは、既に慢性肝炎、胃・十二指腸潰瘍、更年期障害などを適応症とする医薬品(注射薬)として認定されているほか、経口的に摂りやすいエキス類も各種提供されており、肌の若返りを目指す化粧品への活用も盛んに行われている。

 プラセンタエキスの商品一覧

木曜日, 11月 17, 2005

玄米について

○玄米

 玄米は久しく忘れられた存在であったが、近年、加工食品の氾濫、食事の欧米化による弊害が指摘される中で、日本人の主食である米の栄養価が再検討されるに及び、健康回復の決め手として注目されるようになった。

 玄米も白米も同じイネ(稲)であることはいうまでもないが、精米の過程でさまざまな有用物を取り除いてしまったのが白米であるといえよう。稲は外側から順に籾殻、果皮・種皮・糊粉層からなる米糠、胚乳という構造になっており、胚乳には発芽部分である胚芽(米胚芽)がついている。このうち、籾殼のみを取り除いたのが玄米、米糠と胚芽を取り除いて胚乳だけになったのが白米である。また、精米法を工夫して、胚芽を残しながら米糠部分だけを取り除いて胚芽米もある。

 胚乳がほぼデンプンだけであるのに対し、米胚芽にはビタミンB群、ビタミンE、K、ミネラルが豊富に含まれている。また米糠には良質なタンパク質、脂質、植物繊維類が豊富だ。果皮と種皮層には脂肪、タンパク質、植物繊維(セルロース)など、糊粉層には脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをそれぞれ含んでいる。植物繊維は胃や腸の蠕動を活発にし、便秘の予防に役立つほか、腸内でビタミンを合成する働きがあり、現代人に不足がちな成分として重要性が見直されている。このような意味から、玄米を「完全食品」と定義する人も多い。

 そこで白米偏食によって起こる障害であるが、便秘、貧血、不眠、思考力の低下、物忘れ、脚気、自律神経失調症、動脈硬化、肩凝り、慢性疲労のほか、ガンの原因にもなる、と報告されている。なかでも脚気は、江戸時代以降に白米を多く摂るようになったことからビタミンB1が不足して急増したもので、明治時代には日本人の国民病とまでいわれていた疾患である。

 一食に白米を茶わんで2~3膳食べる人が栄養のバランスをとるには、食べきれないほどの副食品を食べる必要があるが、玄米ならばその必要はない。逆にいえば、それほど玄米には各種栄養素がバランスよく含まれているのである。玄米の効用についてまとめてみると、次のようになる。

 ①玄米の外皮のセルロース(植物繊維)が腸壁を刺激し、胃や腸の働きを活性化し、消化吸収を早める。そのため便秘の解消や慢性胃腸病の回復などに効果がある。②血圧を正常に戻し、コレステロールを減少する作用がある。白米は酸性食品だが、玄米は胚芽中のビタミン、ミネラルが豊富で、体内で吸収されると血液をアルカリ性にするアルカリ性食品である。これによって、血糖値が正常に保たれ、ストレスに対する抵抗力がつき、高血圧、動脈硬化に効果がある。また、鉄分をはじめとするミネラルがレバーに匹敵するほど多く、造血機能を高め、貧血の予防・治療にも有効である。③心臓病や痔、あるいは虚弱体質といわれる人にも有効である。また、玄米食をゆっくり食べると過食をしなくなるので、栄養過多にようる糖尿病、肝臓病にも有利に働く。

 玄米は通常、白米と同じように炊いて食べるが、精白米に比べると硬いため圧力釜を利用することが多いが、最近は玄米を簡単に炊くことができる家庭用炊飯器も売られている。普通の炊飯器を使う場合は二度炊きして炊き上げる工夫が必要だ。このほか、普通の土鍋を使い、玄米と一緒に入れて炊くと炊飯中に玄米が発芽し、やわらかく炊き上がるという特殊なセラミック製品も出ている。どうしても玄米の堅さが気になるという人は玄米粥にして食するという方法もある。また最近では、玄米の全粒を微粉末にした製品もあり、さまざまな料理に活用することが可能だ。

水曜日, 11月 16, 2005

牡蠣肉エキスについて

○牡蠣肉エキス

 牡蠣は、欧米では海のミルク、海のフルーツと呼び、日本でも海の玄米といわれるほど、その栄養価の高いことで知られている。そのため、古くから体力増強、滋養に役立つ貴重な栄養食品として利用されていた。(牡蠣殻も良質のカルシウム源として利用されている。)

 牡蠣肉エキスの栄養的特長はタンパク質25%、灰分18%、糖質40%、その他グルコースなどである。この中で、糖質の50%以上がグリコーゲン(貯蔵多糖体)で占められているのが注目される。グリコーゲンは、通常は摂取した糖やグリセリンなどから合成され貯蔵される栄養成分であるが、牡蠣の場合これを食べると、唾液に含まれる酵素のアミラーゼによって消化され、胃腸の働きを要せず直ちに体内に吸収され、滋養となる。そのため、即効的滋養、強壮効果が期待できる。

 次に高タンパクという特徴がある。生100g中、約10gのタンパク質含有率で、さらに、その中身が良質なことも重要である。イソロイシン、リジン、メチオニンなど8種の必須アミノ酸をはじめ、その他10種、合計18種類のアミノ酸が含まれている。

 さらに動脈硬化を防ぎ、血圧を下げるアミノ酸の一種・タウリンの依存がクロースアップされる。研究によると、高血圧自然発症ラットにタウリンを加えた飼料を与えたところ、血圧の上昇を抑え、動脈硬化の発生原因となる血中コレステロールを減らすことを発見した。

 愛媛大学の奥田拓道らの研究グループは、牡蠣肉エキスにインスリン作用があることを見出し、その成分がアデノシンであることを明らかにし、また過酸化脂質投与ラットの肝臓障害及び高脂血症の予防効果を見出して報告している。

 そのほか、ビタミン類ではビタミンEをはじめ、B2、B6、B12などがあり、ミネラル類ではカルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、マンガン、コバルト、要素などを豊富に、かつバランスよく含んでいるのが特徴である。こうした牡蠣の栄養豊かな栄養が、優れた効用を発揮するのに役立つわけである。例えば、肝腎かなめの臓器である肝臓の働きが少しでも低下すると、根気がなくなった、疲れやすい、朝が起きにくい、などの自覚症状が現れる。衰えた肝臓機能の改善・向上を図るには、高タンパク・高ビタミン・高カロリーの食事が基本となるが、牡蠣肉エキスはこうした条件を満たす貴重な健康食品である。

 肝臓に関する効果意外では、①貧血によい、②血圧を正常にする、③ホルモン分泌を促進する、④細菌やウイルスに対する抵抗力が付く、⑤内臓障害を予防する、⑥筋力・体力を付ける、⑦老化を防ぐ、⑧ストレスに強くなるなどがある。

 牡蠣肉エキスの商品一覧

火曜日, 11月 15, 2005

有機ゲルマニウムについて

○有機ゲルマニウム

 ゲルマニウムはという元素は1886年、ドイツのウィンクラーが銀鉱石を分析中に新元素を発見、これを祖国(ゲルマニア)にちなんでゲルマニウムと命名したものである。

 以来、金属とも非金属ともつかぬ元素で科学的にも特殊な挙動を示すことから、有機ゲルマニウム化合物が生体に特徴的な役割を担うと考えられてきた。その半導体としての性質を応用した高性能検波器が発明された1940年頃からは電子工学の飛躍的発展に貢献したが、ゲルマニウムの生理活性作用については、アメリカのハメットやメイヤーらが無機ゲルマニウム(二酸化ゲルマニウム)の貧血や腎毒性について22年に報告して以来、特にみるべきものはなかった。

 ゲルマニウムが石炭にも含まれていることは30年代には既に知られていたが、その生物学的意義については注目されなかった。しかし50年代半ば頃から、(財)石炭総合研究所所長の浅井一彦とその所員たちがこの事実に注目し、植物中に含まれるゲルマニウムの量を分析して、いわゆる生薬に分類される植物に多く含まれていることを確認した。この研究をきっかけに、56年、同研究所の及川浩らはゲルマニウム化合物の生理活性について検討し、「ゲルマニウム果糖錯塩溶液のX線による放射線障害予防効果」を日本医学放射線学会に発表している。

 60年代半ばには及川により水溶性の有機ゲルマニウム化合物である「カルボキシエチルゲルマニウムセスキオキサイド」が合成され、67年に日本化学会に発表された。以後この化合物についての研究は、やはり浅井一彦が創設した浅井ゲルマニウム研究所に継承され、医薬品のガイドラインに基づく厳格な安全試験が実施報告されるとともに、以下に示すような多くの生理活性研究や臨床報告がなされている。

 なお、92年にWHOにより「カルボキシエチルゲルマニウムセスキオキサイド」のINN(国際一般名)の化学名として「p・tCEyGeO」が通知された。

 ゲルマニウムの生理活性に関する研究成果としては、X線による突然変異の抑制作用、化学物質による発ガンや各種ガンに対する抗ガン作用、抗ウイルス、免疫調節、鎮痛、抗炎症、抗酸化作用などに及び、臨床においても肺ガン・女性性器ガンなどの各種ガン、肺疾患、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症などへの適応といった多くの臨床報告があり、特に慢性疾患や痛みを伴う疾患に対するQOLの改善効果が注目される。また、血液流動性改善についても着目すべき研究がある。

 現在「p・tCEyGeO」は健康食品素材として、製品化も実現した。その安全性は高く、生体の機能を適正に調整しつつ健康維持に貢献する「科学された健康食品」としての評価も定着した。

 なお、二酸化ゲルマニウム(無機ゲルマニウム)は毒性があり、また有機ゲルマニウム化合物でも、厳格な安全性試験によってその安全性が保証されたもののみを使うべきである。

有機ゲルマニウムの商品一覧

有機ゲルマニウム(植物性)の商品一覧

月曜日, 11月 14, 2005

日本山人参について

○日本山人参

 セリ科植物には漢方でよくその名を知られたミシマサイコ(三島柴胡)、ウイキョウ(茴香)、センキュウ(川?)、トウキ(当帰)など多くの薬草を数えるが、日本山人参も同じセリ科(シシウド属)の多年草である。尾鈴山で1964年に採集された原標本が残されており、1971年に北川正夫によってヒュウガトウキと名づけられた。

 一方、原植物は1982年に小島正秋(宮崎女子短期大学)らのグループにより「日本山人参」と命名され、翌83年には農事組合法人が設立されて栽培と普及活動を開始。同年、同組合の依頼によって栽培の基礎研究を宮崎大学の実験圃場で開始し、以後約2年間にわたり研究を実施するとともに、廣江美之助の協力を得て、原植物をイヌトウキと報告したが、93年になって、日本山人参の原植物はヒュウガトウキであると訂正している。

 ヒュウガトウキはイヌトウキよりも大きく、草丈2mに達し、イヌトウキが九州・四国・近畿地方南部に分布するのに対し、自生地が宮崎のみに局限しているのが特徴である。

 研究によると、代表有効成分はクマリン系のYN-1のほか、イソプテリキシン、アノマリンなどで、薬理作用は①アドレナリンの作用を抑制して抹消血管を拡張し、血液循環を改善、②インスリンを助長して糖尿症状を改善、③肝臓への脂肪の蓄積を阻む、④生体内の過酸化脂質の蓄積を防ぎ、動脈硬化、肌のあれ、ハゲを予防、⑤ガン患者の英明効果(ガン細胞由来の毒素トキソホルモン-Lを阻害)、⑥アレルギーや炎症の原因となるロイコトリエンC4を抑制、⑦性ホルモン(男性・女性)の分泌促進、⑧血圧降下作用(アンギオテンシン変換酵素を阻害)などであることが和漢医薬学会その他で発表された。

 以後、多くの臨床医が研究に参加し、NK細胞活性化作用、血小板凝固抑制作用、アルドース還元酵素阻害作用などを見出すとともに、臨床的には各種新抗ガン組織の縮小あるいは延命効果、また、インスリン非依存性糖尿病の高血糖値の改善、インターフェロンとの併用もしくは単独使用によるC型肝炎の治癒、帰化し喘息や慢性関節リウマチなどの治験例、性機能改善例、冷え・頭痛・肩こりなどの不定愁訴への効果などが明からされている。

 日本山人参の商品一覧

日曜日, 11月 13, 2005

花粉(ポーレン)について

○花粉(ポーレン)

 ヨーロッパでパーフェクトフーズとも呼ばれる花粉(ポーレン)は、蜜蜂が自らの餌として花蜜と一緒に集めて体内にある酵素を加えたもので、働き蜂はこれを食べることでローヤルゼリーを分泌することができる。組成はタンパク質が約35%(そのうち半分が吸収されやすい遊離アミノ酸)、各種糖分が約40%で、ほかに有効成分としてビタミンA・B1・B2・パントテン酸・ナイアシン・B6・葉酸・C・E・ルチン、さらにミネラルとしてはカリウム・カルシウム・リン・マグネシウム・鉄・亜鉛・銅・珪素などと豊富である。

 長寿で知られるコーサカスのグルジア族を生物学者ニコライ・ティシティンが調査し、100歳以上の老人の大多数が養蜂家で、花粉の混ざった蜂蜜原液を常食していることがわかってから健康食品的価値が注目され、各国で効能の研究が行われるようになった。

 フランスの化学者レミー・ショーハンは早くも1957年に①腸の機能(便秘や下痢)の正常化、②血中ヘモグロビンの増加(貧血に有効)、③滋養と体力回復、④精神安定、⑤副作用は皆無と臨床実験の結果を発表している。やがて多くの研究者によって、花粉食品には抗生物質的なもの、ホルモン的成分、成長促進物質などが含有されていることが明らかにされていったが、中でもとりわけ目立つのは前立腺肥大に対する効果である。

 1959年に始めて研究成果を明らかにしたのはスウェーデンのエリック・ウプマルクで、5年間に及ぶクロロマイセチン(抗生物質)の大量投与でも無効だった前立腺肥大の患者に花粉を投与し、奇跡的な回復を見たのである。1962年には同国の医師ゴスタ・リンダーが、前立腺の感染症にも顕著な効果を見たと発表した。その後、ドイツやアメリカの医学会でも同様の成果が明らかにされるとともに、単に排尿困難、激痛、頻尿といった症状の改善に留まらず、前立腺疾患が原因の性欲減退、性交不能が治ったというケースが次々に報告された。スウェーデンでは早くから花粉が栄養剤、感冒剤、強壮剤として用いられてきたが、前立腺肥大の治療剤として花粉だけを使った薬剤も開発されて、これはわが国でも使われている。

 中国では陳怒仁らのグループが破砕処理した花粉(固い外皮を破砕して成分を浸出しやすくしたもの)を用いて、前立腺炎ないしそのための不妊症の患者423例を他の薬剤を一切使わずに治療した結果、27%が治癒(妊娠)、54%が肥大・炎症の快癒と自覚症状の消失、11%が好転。無効はわずか8%であったと報告し、「植物の精子に当たる花粉の成分が、人間の精子の成分に転換されるのではないか」と述べている。

 こうした顕著な効果は花粉全体の作用であるが、特に含有成分のマグネシウムと亜鉛に着目した研究が欧米に多い。どちらも健全な前立腺や精子に比して、患者のそれは大幅に減少していることが明らかにされており、この欠乏が前立腺ガンの危険に結びつくことも指摘されている。

花粉の商品一覧

土曜日, 11月 12, 2005

サメ軟骨(コンドロイチン)について

○サメ軟骨(コンドロイチン)

 サメはガンに罹らないという事実から研究が進み、それがサメの全身を構成している軟骨の主要成分に深く関係していることが解明されるに及んで、一躍世界的に注目されることになったのが、サメ軟骨である。その主要成分はムコ多糖体と呼ばれる粘性物質で、コンドロイチン硫酸がその重要な構成成分のひとつである。

 コンドロイチン硫酸の化学構造が決定されたのは1946年のことであるが、その薬理作用の研究はその10年前に偏頭痛、抗潰瘍性を目標として臨床実験が行われている。コンドロイチン硫酸はコンドロムコ蛋白という形でタンパク質と結びつき、主に皮膚、血管壁、軟骨、人体、関節、眼球、角膜、粘液、各臓器などに分布して体内の結合組織を構成し、組織に保水性、潤滑性、弾力性を与え、皮膚のみずみずしさ、若々しさを向上させ、関節や靭帯の弾性、円滑性を保ち、栄養成分の消化吸収・運搬・新陳代謝の促進、骨の成長や骨折の回復、骨粗鬆症の防止などとともに、老化による眼球角膜の混濁を防ぎ、血液中のコレステロールや過酸化脂質を除去して、動脈硬化や高血圧、血液が凝固して血栓ができるのを防ぐなど、多彩な働きを持つ機能性物質である。

 そのため、腎炎・リューマチ・神経痛・五十肩・肩こり・夜尿症・眼疾患・脱毛症などの医薬品にも用いられてきたのであるが、ここに来て俄然コンドロイチン硫酸が脚光を浴びるきっかけを作ったのはサメ軟骨であった。1992年にアメリカのウィリアム・レーンがサメの軟骨がガンを治すを刊行、追いかけるようにしてCBSテレビが末期ガン患者による臨床試験の好結果を報道したことが発端になった。

 アメリカでは早くから、サメ(骨格全てが軟骨である)にガンができないことに気づき、1983年にはすでにマサチューセッツ工科大学らによって、ガンが成長する時生ずる新生血管の形成を阻害する物質が軟骨に含まれていることが解明されていたが、わが国でもその新生血管阻害作用を実験的に確認、さらにサメ軟骨粉末の投与による腫瘍重量の減少と鎮痛作用を認めたのをはじめ、追いかけるように多数の研究者によって前記の生理作用、薬理作用のほか、抗ガン性などの実験結果が次々に公表されている。

 需要が拡大しても化学的に合成することが困難なコンドロイチン硫酸は、生物資源から直接分離精製する方法がとられており、以前から牛軟骨と気管が用いられてきたが、中でも純度の高い高品位のものが抽出できて、しかも抗ガン生の高いことが明らかにされたサメ軟骨が最近は健康食品用として注目されてきている。

 サメ軟骨(コンドロイチン)の商品一覧

金曜日, 11月 11, 2005

キャッツクローについて

○キャッツクロー

 キャッツクローは南米ペルーのジャングルに生育するアカネ科ウンカリア属の蔓性1年草で、樹木に絡みながら伸び、最終的には直径20cm余り、長さ30m以上にも達する。ちょっと風変わりなこの名前の由来は、小枝から出る葉柄の付け根(基部)に、あたかも猫の爪のような形の鈎が突き出しているところから、現地で「ウーニャ・デ・ガト」(猫の爪)と呼んでいたことに由来する。

 樹皮(靭皮部)を煎じて飲むのが一般的な用い方だが、健康食品としてティーバッグのほかにも樹皮から抽出したエキスを粉末やソフトカプセル、糖衣錠にしたものなど、いろいろなタイプのものが市販されている。

 ペルーの先住民インディオは、蔓を切ったときに溢れ出てくる樹液を飲んだりして、消化器官や免疫系の疾患に用いられたとされるが、体系的調査は早くも1950年にペルーで開始され、74年にオーストリアのケブリンガーが抗腫瘍精物質を発見、次いでドイツ、イタリア、イギリス、ハンガリーなどでも研究が行われた。異説もあるが、いずれにせよヨーロッパで1970年代の中頃にも医学者らの研究対象とされたのに比べ、米国でもわが国でも当時キャッツクローは知られておらず、研究開始までに10年ほどの遅れがある。

 当時既にリマ(ペルー)で開催の国際シンポジウムでは、ペルー外科医師メルガレージョが樹皮抽出物に各種進行ガンに効果ありとする臨床例を、また、サンマルコス大学のタンポらは同エキスが合成薬品よりも高い抗炎症作用を見せたことを発表した。そしてこの頃から各国での研究が盛んになり、90年はオースリトアのケンブリガーがキャッツクローの根を6種類のオキシインドールアルカロイドを抽出、そのうち4種類(キャッツクローに特有で活性の高いイソプテロポディン、プテロポディン、イソミトラフィリン、インリンコフィリン)が、白血球の貪食作用を著しく活性化(すなわち免疫力を増強)することを明らかにし、ペルー、イタリアの研究者は、抗酸化性、抗微生物性、抗腫瘍性などを持つ成分の存在を明らかにした。

 現在ペルーの農業省が公表しているキャッツクローに関する資料(1996年3月)によれば、キャッツクローの樹皮から熱水抽出、またはアルコール抽出で得られた成分は、気管支喘息、気管支炎、関節炎、リウマチ、肺や頚部などのガン、ヘルペス(疱疹)、胃腸障害(潰瘍性の胃炎・腸炎を含む)、膵臓炎、肝炎、痔患などに効能があることを明らかにし、「樹皮に含まれるアルカロイドは免疫組織を刺激して抵抗力を増強させ、自然治癒力を活性化させる。また、ポリフェノール類のカテキンやアントシアニジンは潰瘍抑制効果を発揮する。その他、アレルギー抑制効果、胃や肝臓の保護、膵臓や子宮の調整効果も、種々の実験で証明されている」と明記している。

キャッツクローの商品一覧

木曜日, 11月 10, 2005

梅肉エキスについて

○梅肉エキス

 梅は原産地中国の医薬書の古典「神農本草経」にもその薬効が説かれており、この時代から健康に役立つ食品として知られていた。日本には奈良時代に伝わり、平安時代には当時の医薬書である「医心方」にのどの渇き、息切れなど梅干しの効用が記されているが、一般大衆に広く普及したのは江戸時代の初期である。

 梅の薬用効果を強化したのが梅肉エキスである。この原型は中国の烏梅(梅の実をいぶしながら乾燥させたもの)にあり、これをさらに発展させたのが日本独特の梅肉エキスで、江戸時代の医療書「諸国古伝書秘方」には当時の製法が記され、その効用については、赤痢、腸チフスに該当する伝染病や、食中毒、吐き下し、下痢、便秘、消化不良などが示されている。

 経験的にも学術的にも梅(梅肉エキス)の効果が再認識されてきた中で、農林水産省食品研究所と(財)梅研究会が行った共同研究では、毛細血管と同じ孔経7ミクロンのフィルターを血液が通過する時間を測定した結果、梅肉エキスを加えると通過時間が半分(約30秒)に短縮される血流改善効果が明らかにされ、ムメフラールと名づけられた新規物質も見出されて、生活習慣病の改善に役立つことが期待されるようになった。

 そのほか、医学的見地からも認められる効用をまとめると次のようになる。①血液を弱アルカリに保つ浄血作用があり、新陳代謝を活発にして諸器官を正常化する。②クエン酸の働きで疲労物質である乳酸の発生を抑え、体の活性化、老化防止に効果的である。乳酸が蓄積されると動脈硬化、高血圧、肝臓病など老化現象を起こす。③血液を弱アルカリ性に保つので老化防止に有効である。さらにクエン酸が「若返りホルモン」といわれる唾液腺ホルモン(パロチン)の代謝を活発にさせるので、二重の老化防止効果がある。④梅に多く含まれている有機酸のピクリン酸が肝機能を高める。⑤体内からの美容効果のほか、整腸作用に優れ、便秘や下痢に効く。梅に含まれているカテキンは腸の働きを活発にする作用があり、便秘、ニキビや肌荒れに効果的である。⑥殺菌作用が強く、腸チフス、コレラ、赤痢菌のほか、抗生物質の効かないMRSAや、病原性大腸菌O-157などにも非常に強い殺菌・抗筋力を発揮する。⑦梅肉エキスは各種有機酸の相乗作用で胃液の分泌を抑え、胃潰瘍を予防する。

 梅肉エキスを使った健康食品は、錠剤、粒・顆粒・ペースト・ドリンクなど様々なタイプのものがある。

梅肉エキスの商品一覧

水曜日, 11月 09, 2005

マカについて

○マカ

 マカはアブラナ科に属する多年草で、性質は強靭、世界で最も標高が高いペルー山中4000mの高地で栽培されており、仲間のカブと同様の膨らんだ根は辛さと甘さを抱き合わせた風味があって、焼く・蒸す・煮込みなどして食べる。1ヶ月前後自然乾燥させたものは、牛乳などで煮てポリッジにする。また、発酵飲料マカチャーチャの原料にもなる。

 かつて征服者のスペイン人が持ち込んだ馬や羊の繁殖に行き詰ったとき、原住民の忠告に従って餌にマカを与えたところ眼をみはる結果を得たことから、ペルーの高麗人参と呼ぶようになったとも伝えられる。

 マカはアンデス地域で数千年から栽培され、滋養食材として貴族の間で重宝されたきた。その後、一時絶滅の危機に直面したが、1980年代に入って、住民の健康維持にとって有益な食用及び薬用の植物であることが再認識され、ペルー政府の肝いりで増産が奨励されてきた。

 乾燥マカは米はトウモロコシ、あるいは小麦に勝る栄養成分を持ち、その上、アルギニン酸やリジンを初めとする必須アミノ酸も豊富である。鉄分とカルシウムはジャガイモ以上含有され、不飽和脂肪酸はリノール酸、リノレン酸、パルミチック酸など、さらにカリウム、リン、亜鉛、銅、マンガンなどの微量元素も多く含まれて、まさに栄養の缶詰といっても過言ではない。

 現在最も一般に認められている機能としては、①活力増強、集中力・記憶力の向上、ストレス疲労の軽減、性生活の円滑化、②更年期障害の除去、月経不順の正常化、精子・卵子の増殖など不妊症の解消を含む生殖機能の促進効果、③免疫賦活作用、抗酸化作用、抗ガン作用などがあるとしているが、これらは特定成分の直接的効果ではなく、数種類のアルカロイド、ステロイド、テルペノイド、サポニン、タンニン、アントシアニン、イソチオサイアネート、グルコシノレートなど、第二代謝物が下垂体を刺激した結果、内分泌腺の活動が活性化されるためとも考えられる。

マカの商品一覧

火曜日, 11月 08, 2005

ギムネマ(シルベスタ)茶について

○ギムネマ(シルベスタ)茶

 インドには2000年以上にもわたって伝わるアーユルヴェーダと呼ばれる伝承医学があり、それは天然自然の動植物や鉱物を巧みに用いた医療法、病気予防法の一大体系であるが、その中に糖尿病、健胃、利尿、強壮に効く生薬としてメーシャシュリンギーが伝えられる。

 現地名でグルーマールと呼ぶこの薬草は、ラテン名でギムネマシルベスタといい、インド中南部を中心に、東南アジアからオーストラリアを含む広範な地域に自生するガガイモ科の蔓性多年草である。蔓は木に絡むようにして3~4mに伸びるが、その成熟した葉を採集して乾燥させたものが、ギムネマ茶の原料となる。

 ギムネマの葉には特有の匂いと苦味があるが、この葉を噛んでしばらくしてから砂糖をなめると、不思議なことに全く甘みを感じなくなってしまう。この不思議な作用を始めてヨーロッパに伝えたのは19世紀中頃、イギリスの軍人であったが、その後今から100年前ほど、同国の科学者フーバーがこの奇妙な作用を持つ物質の抽出に成功してギムネマ酸と名づけた。

 近年、ギムネマ酸がトリテルペンを骨格としたグルクロン酸を持つ配糖体であることがわかり、甘みだけが消えてしまう理由は、このブドウ糖に似た構造を持つグルクロン酸が、舌の甘みを感ずる部分にある甘味受容体に結合して、後から来る砂糖を受け付けなくするからではないかと考えられている。

 ギムネマシルベスタが糖尿病の改善に効果を発揮することは多くの実験で認められているが、その作用機構もこれと同じで、ギムネマ酸がブドウ糖を輸送する担体と結合して糖の吸収を防げるからではないかという考えがある。

 糖尿病には、血糖を抑える働きをするインスリン(膵臓で作られるホルモン)の不足によるもの(Ⅰ型糖尿病)と、多色と肥満によって起こる成人型のもの(Ⅱ型糖尿病)とがあるが、いずれにしても過食と糖分摂取を控える食事療法を長期間続けなくてはならない。この場合は、食べても腸管からの糖分の吸収が抑制されれば、節食したことと同じ効果が得られるわけだが、ギムネマ酸にその働きがあることが実証された。ギムネマ酸のこの吸収抑制効果によって血糖値が下がると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量が減り、それがひいては膵臓の負担を軽くして回復を促進することも期待できるのである。

 ギムネマ酸によって糖分の吸収が少なくなるということは、成人病(生活習慣病)の温床とされる肥満を抑制する上でも効果的であることは言うまでもない。

 糖尿病にせよ、肥満にせよ、強壮にせよ、実際的には長い時間をかけて対処しなくてはならないものであり、継続するためには手軽に飲めるお茶タイプのものはありがたい。ギムネマ茶はギムネマシルベスタの乾燥葉を焙煎した番茶状のもので、こうすることによって苦味も消えて風味が増し、ウーロン茶感覚で飲み続けることができる。また最近では、お茶以外にもエキスを粉末、顆粒、ゼリー、ペースト状に加工した健康食品も出ている。

ギムネマシルベスタの商品一覧

月曜日, 11月 07, 2005

小麦胚芽について

○小麦

 日本人の主食として、米と並んで多く摂られているのが小麦である。ざっと見渡しても、パン、うどん、中華麺、そうめん、ひやむぎ、スパゲティ、マカロニなど、朝食や昼食の主役となるものは小麦を原料にしたものが多い。このほか、麩や餃子・焼売の皮なども小麦である。

 このように、もっぱらパン類や麺類として摂取される小麦だが、小麦成分を健康機能素材として利用した加工食品もある。古くから知られているのは小麦胚芽や小麦胚芽油だが、最近は小麦タンパク質も注目されている。小麦の水溶性タンパク質である小麦アルブミンは、ヒトの唾液や膵液に含まれるデンブン消化酵素(アミラーゼ)の働きを穏やかにする。そのため、食事の中に含まれる糖質の大部分を占めるデンプンの消化吸収を遅らせ、急激な食後血糖値の上昇を緩和する作用がある。この機能性に着目して、小麦アルブミンを含んだ粉末野菜スープなどが特定保険用食品として商品化されている。このほか、大腸ガンの予防効果が期待される食物繊維として小麦フスマもよく知られている。

○小麦胚芽

 パンの原料である小麦は、本来栄養のバランスがとれえた穀物であるが、パンは胚芽を取り去った小麦粉だけで作るので、かたよった栄養になってしまう。「玄米」の項で述べたように、穀類の外皮(糠)や発芽部分(胚芽)はタンパク質や脂肪、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれ、栄養価値は大きいが、消化が悪くて食用に不向きなので、あまり使われていない。こうした欠点を除き、小麦の胚芽の持つ栄養を生かしたのが、健康食品の小麦胚芽である。

 小麦胚芽は、小麦の粒にある胚芽部分を集めて食べやすくしたもので、白米(精白米)の20倍のビタミンB1、B2が含まれている。そのほかにもビタミンE・B12などが豊富なのが特徴。とくに、ビタミンEは小麦胚芽油でもよく知られているように、その効果は大である。血液の循環をよくし、脳に十分な酵素を補給したり、新陳代謝に必要な酵素の働きを促したりするほか、細胞の老化を防止する、などに役立つ栄養である。

 ビタミンB群の重要さにも注目すべきものがある。B1が不足すると、たとえば脚気になりやすくなる。これは「疲れやすい」「根気がない」といった症状を呈するもので、戦前は栄養不足のために、かなり多く見られた疾病である。ところが一時はほとんど影をひそめたこの病気が、食生活が豊富といわれえる近年、再び、見られるようになり、ビタミンB1不足の子供たちが急増しているという調査が発表され、各方面から注目された。

 こうしたビタミンB群不足を補うのに、小麦胚芽は格好の栄養食品なのである。その効用は、①ビタミンB1やB2が多く糖質の代謝が円滑に進むので、便秘も解消し、痔も治る、②カルシウムの吸収率を高め、さらにビタミンEが心筋の働きを強化し、毛細血管の新陳代謝を促進するので、心臓病、喘息に効果がある、③疲れやすく、寝つきの悪い人にはビタミンB2、B6不足の人が多いので、こうした人の栄養補給によい、④ビタミンやミネラルは関節リューマチに効果があるなどである。

小麦胚芽の商品一覧

日曜日, 11月 06, 2005

グルコサミンについて

○グルコサミン

 グルコサミンは、構造的には糖とアミノ酸(タンパク質の構成成分)が結びついた代表的な天然のアミノ糖の一種で、人の体では細胞同士や組織同士を結びつける結合組織として、特に軟骨、腱、爪、皮膚などに広く分布している。カニやエビなど甲殻類の外殻を形成するキチン質のほか、ムコ多糖などにも含まれるが、機能性食品としてはキチンを塩酸または硫酸で加水分解して単離、精製して作られる。水には易容性を示す。

 キチン・キトサンの食効に関する基礎研究や応用を追いかける形でヨーロッパからアメリカへとグルコサミンの研究開発が広がった背景には、細胞の若返りといった美容効果、壮健効果への期待はもちろんとして、関節症に対する有効性という大きなニーズが横たわっていた。というのは、高齢化、肥満、運動不足といった現代人の抱える不都合な因子のために、全員いたるところの関節内で軟骨の磨耗、炎症が起こっており、特に腰や膝の慢性関節炎に罹患するケースが増え続けているからで、そのため軟骨の構成成分であるグルコサミンやコンドロイチンに脚光が当てられたのである。ちなみにわが国の関節症患者は約80万人、その8割は女性である。

 欧米では、製造過程で加水分解に硫酸を用いる硫酸塩グルコサミンを用いた製品や研究成果が多く、わが国では塩酸を用いた塩酸塩グルコサミンの研究も盛んであるが、関節症(変形性関節症及び類似症)に対する機能はどちらにも優れたものがあり、甲乙付けがたいことも明らかになった。現在は、その摂取法や他の機能性成分との効果的な組み合わせに関心が移行し始めている。

 もうひとつ別の面からの研究として、グルコサミンがガン細胞から出る「やせる毒素」を阻害して食欲不振を改善し、ガンによる衰弱を防ぐとする奥田拓道(愛媛大学医学部)らの報告がある。

 その毒素は米国の学者グリーンシュタインの発見した「トキソホルモン」で、ガン細胞が分泌するこの物質によって、脂肪細胞の脂肪が分解されることを、奥田らはザルコーマ180ガン細胞を移植したマウスによって確認した。さらに、ガン細胞から精製したトキソホルモンをマウスの脳側室に注入すると、急激に食餌量が低下することが確認され、それが脳の満腹中枢を刺激する結果であることも明らかになった。すなわち、ガンに罹った患者が急激に痩せるのは、トキソホルモン(ガン毒素)のために脂肪細胞内の脂肪がどんどん分解されていく一方、食欲不振に陥るためである。

 この場合、実験に用いられた種々の物質の中で、グルコサミンだけがトキソホルモンの作用を阻害して、脂肪細胞内でいたずらに脂肪が分解されることを抑え、また満腹中枢の興奮を抑える働きを持つことが確認された。すなわち、グルコサミンには、ガンによる急激な痩せと、それによる衰弱を食い止める働きが期待されるのである。

グルコサミンの商品一覧

土曜日, 11月 05, 2005

AHCCについて

○AHCC

 AHCCは、一口にいえばキノコに由来する機能性物質ということになる。高度なバイオ技術によって培養された複数のキノコ(坦子菌類)の菌糸体から抽出されたもので、1981年に北海道に本社を置くアミノアップ化学によって開発された。キノコらしくないAHCCというネーミングは「A=Active(活性化された)HC=Hemi-Cellulose(ヘミセルロース)C=Compound(調合する、集合体)」という意味が織り込まれている。

 菌糸体抽出物質であるAHCCは、当初からその抗腫瘍活性に期待が寄せられたが、それは開発当時すでに、カワラタケというキノコの培養菌糸体から得たクレスチンが制ガン剤としての医薬品の認可を受けて市販されており(1977年)、シイタケの子実体から得たレンチナン、スエヒロタケの液内培養生産物から得られるシゾフィランが、ともに抗ガン剤として医薬品の認可を受ける前夜であったからである。

 しかし期待の中で生まれたAHCCの大きな可能性が、わが国でしっかり認識されるチャンスを作ったのは、アメリカの免疫学者で臨床医でもあるマンドー・ゴーナムである。ゴーナムは自ら末期ガン患者(多発性骨髄腫、頚部ガン、乳ガンなど)13人に対してAHCCを用い、全員が治癒もしくは軽快したという3年間の治験を、1993年10月に東京で発表し、医師や研究者に驚きを持って迎えられたのである。以後、各地の医療現場でも積極的に研究されるようになった。

 キノコの抗腫瘍活性のほとんどは、含まれている多糖類(β-D-グルカン)に由来しており、その分子構造のわずかな違い、あるいはそこに一定のタンパク質が化合しているか否かによって、活性の差が生ずることがわかっている。AHCCが見せる強い抗腫瘍活性も、活性ヘミセルロースやβ(1-3)D-グルカンといった多糖体と、単離できない生体機能調節物質とが、相乗的に効能を発揮するのであろうと推察されている。

 このような抗ガン性に止まらず、B型及びC型のウイルス性慢性肝炎、糖尿病、慢性関節リウマチ、自律神経失調症など、治療の難しい疾患に用いて有効性があったとする報告も多い。このような難治性の病気が改善したとき、理由は未解明でも明らかにその健康回復に寄与した物質を医学的にアダプトゲンというが、AHCCはまさにその名にふさわしいものといえよう。

金曜日, 11月 04, 2005

大豆(イソフラボン)について

○大豆

 マメ科の一年生植物の種子で、五穀の一つに挙げられるほど日本人の大事な食糧源とされてきた大豆は、そのまま煮豆などにされるほか、豆腐、湯葉、揚げ、納豆、味噌、醤油などに加工されたり、大豆油の原料となるほど利用範囲は驚くほど広いが、これら多彩な大豆加工食品が生まれる主役を担っているのは、大豆に35~44%も含まれる、大豆タンパク質である。それ故に”畑の肉”と称される大豆だが、大豆にはタンパク質以外にも数多くの有効成分が含まれており、最近の研究から多彩な健康機能性が明らかにされている。

 現在、日本人の1日1人当たりのタンパク質摂取量は80gで、動物性タンパク質が55%、植物性タンパク質が33%となっている。植物性タンパク質では、米や小麦などの穀物タンパク質が多く(タンパク質全体の24.3%)、次いで大豆などの豆類が8.6%となっている。

 一般的に動物質タンパク質の必須アミノ酸組成はヒトのアミノ酸必要量のパターンに近く、植物性タンパク質よりも良質であるとされている。動物性タンパク質の摂取比率が下がり、逆に植物性タンパク質の比率が上がると、不足するアミノ酸(制限アミノ酸)が生ずる可能性も出てくる。しかし、動物性タンパク質を多く摂取すると動物性脂質の過剰摂取が起こり、別の健康障害を引き起こしかねない。『第六次改定・日本人の栄養所要量』では、動物性タンパク質比率を40~50%の範囲に保てば、飽和脂肪酸の過剰摂取を避け、食事として摂取するタンパク質の質も確保することができると指摘している。

 現状日本人の動物性タンパク質の比率は55%とやや高めである。豆腐や納豆といった身近な大豆食品を多めに摂ることで、日常的にこの比率を改善していくことが可能だろう。また、牛乳の代わりに豆乳を利用すれば、中性脂肪の摂取量を減らし、動物性タンパク質の比率を下げることにもつながる。

 さて、大豆タンパク質の健康機能性で最近注目されているのは、血清コレステロールの低下作用である。脱脂大豆から得られた分離大豆タンパク質を使った動物実験やヒト試験では、①コレステロール値の高い人に対しては総コレステロール値を下げる、②正常なコレステロール値の人に対してはコレステロール値を下げない、③悪玉コレステロールであるLDLやVLDLだけを選択的に下げ、善玉コレステロールのHDLは下げない、などの効果が得られている。分離大豆タンパク質を活用した食品は多数出回っており、ソーセージ、からあげ、ミートボール、ハンバーグ、乾燥スープ、清涼飲料水などが特定保健用食品として販売されている。

 なお、アメリカでは1999年11月、FDA(食品医薬品局)が大豆タンパク質を含む食品に対して「飽和脂肪酸とコレステロールを低減させることで心臓疾患のリスクを減らす」といった効能をラベルに明記してよいことを許可している。規定によれば、一食相当6.2gの大豆タンパク質を含み、余分な油脂を含まないことが最低の条件になっている。

 大豆の胚軸に多く含まれる。大豆サポニンには過酸化脂質の生成を抑制し、高血圧・動脈硬化を改善する効果が認められている。また、フラボノイドの一種である。大豆イソフラボンは、乳ガンや前立腺ガンを予防するほか、骨粗鬆症の予防にも効果があるという研究報告が出ている。さらに、大豆に多く含まれるレシチンにはコレステロールが血管壁に沈着するのを防ぐ働きがあることも知られている。

      

木曜日, 11月 03, 2005

イチョウ葉について

○いちょう葉

 イチョウの出現は約2億5000年前(古生代中葉~末期)であるとされる。十数種類が地球全域にわたって繁殖したが、6000万年前の大氷河期に一属一種を中国の南部地帯に残して絶滅したと考えられている。残されたその樹種が11、2世紀頃に中国からわが国へもたらされ、江戸時代中期(1700年頃)に長崎に滞住したドイツ人医師によってヨーロッパへ紹介されたという。

 古くから中国でもわが国でもイチョウに薬効を認め、外種皮を除いた種子の銀杏(漢方では白果仁)は鎮咳、去痰、夜尿症、頻尿によいとし、民間療法では葉を煎じて心臓病(動脈硬化)に用いたりしてきた。しかし、ドイツで開発されたイチョウ葉エキスは、高年者のボケ防止、血流循環改善(血行促進)剤などとして高く評価され、先導役のドイツをはじめ、フランス、イタリア、スイス、オーストリア、さらに台湾や韓国などでも医薬品とされ、アメリカやイギリスでも非常に有望なサプリメントとして扱われている。とくにアメリカの医療関係者によって、イチョウ葉エキスが痴呆症やアルツハイマー病に有効であるとの報告が行われた1997~98年以降は、その影響が世界的に及んだ感がある。

 イチョウ葉の有効成分としては、30種類以上にものぼるとされるフラボノイドがある。フラボノイドは植物に含まれる色素成分で、種子の発芽や成長の調節物質であるとともに、太陽の紫外線を吸収し内部組織を保護する作用などが考えられており、人体に入ると毛細血管の保護、活性酵素を抑制する機能などを発揮するが、とくにイチョウ葉には二重フラボン(ギンケラチンやイソギンケラチンなど)が含まれ、他の植物のフラボノイドに比べ血液循環効果が数倍強いとの研究もある。

 イチョウ葉に特有の成分であるギンコライドは、化学的にはチルペン類に属する有機化合物で、血小板活性化因子(PAF)の働きを阻害し、毛細血管の拡張と血行促進、血栓防止、血圧の調整、脳の血流量の増加、老廃物の排泄を促進する作用があり、老人性痴呆症に有効であると考えられている。

 ほかにも毛細血管を強化するルチン、血圧投下作用のあるケルシトリン、肝臓機能を高めるシリマリン、血管を拡張し血流をよくするテポニンなども検出され、これらが相乗的に働くことによって、生活習慣病や高齢化に伴う不定愁訴、退行性痴呆症、慢性脳血管障害、虚血性抹消循環不全、心不全、平衡障害などにまでその効果が及ぶと考えられる。

水曜日, 11月 02, 2005

桑の葉について

○桑の葉

 桑はクワ科の落葉高木で、漢方では冬に採取した根皮を「桑根白皮」「桑白皮」といい、消炎・去痰・利尿などに用いている。また、葉を集めて乾燥したものは「桑葉」と呼ばれ、これも生薬として使われている。桑の葉はとくに晩秋の霜に当たったものが良品とされている。

 桑の乾燥葉100g 中にはキャベツの60倍のカルシウム、総カロチンはホウレンソウの約10倍、血圧を下げるγ-アミノ酪酸も300~400mg と豊富。シトステロールなどの殺菌・消炎作用を持つステロール類、カビを抑える作用を持つカプロン酸、サリチル酸メチルなどが含まれる。

 桑の葉を煎じて飲んでいると、血圧が下がったり、肥満を予防する効果があることは古くから経験的に知られてきたが、桑の葉には高血圧・高脂血症・糖尿病・ガンなどの生活習慣病を予防するすぐれた効果があることが、1992年から5年間にわたって神奈川県衛生研究所などが参加して行った「機能性食品の共同研究」(96年、神奈川県科学技術政策推進委員会発表)で明らかにされている。

 それによると、桑の葉から抽出したエキスを使った動物実験の結果、①コレステロール値、中性脂肪値の改善(ウサギの実験)、②肝臓の脂肪と機能の改善(マウスの実験)、③血糖値の上昇を抑え糖尿病を予防する(ラットの実験)、④インスリンの分泌不足とイスタリン分泌細胞の破壊を防止する、⑤体脂肪を抑制、脂肪の排泄量を増やす(ラットの実験)、⑥正常血圧には影響を与えずに高血圧を下げる(ラットの実験)、⑦緑黄色野菜や緑茶と同様に、ガンの予防に効果がある(ラット・マウスの実験)などが確かめられている。また、肥満を防止し内臓脂肪を抑制してダイエット効果のあることが、群馬県医療短期大学の下村らの研究によって報告されている(1996年、日本肥満学会)。

 これら一連の研究の中でとくに注目されたのは、血糖値を抑制し糖尿病を予防する効果で、その機能性成分として桑の葉に特異的に含まれる1-デオキシノジリマイシン(DNJ)の作用が明らかにされた。DNJは、糖質を分解するα-グルコシターゼという酵素の働きを阻害し、ブドウ糖の吸収を阻害することによって血糖値の上昇を抑制すると考えられている。この効果は糖尿病発症ラットで確認され、神奈川県衛生研究所では、ヒト成人においても同様の効果があることを報告している。このDNJ は桑の葉以外の植物には見出されておらず、桑葉には乾燥量で約0・1%のDNJが含まれている。

 健康食品としての桑の葉は、お茶として飲用するティーパック、エキスを固めた粒状タブレット、顆粒粉末など、さまざまなタイプのものが市販されている。

火曜日, 11月 01, 2005

クマザサについて

○くま笹

 クマ笹はイネ科の笹の一品類で、葉の緑が白くなる(隈ができる)ために隈笹とも書くが、冬眠から覚めた熊が好んで食べて体力の回復をはかるところから熊笹としてよく知られている。

 その成分を見ると、100g中にタンパク質13g、脂肪3g、カルシウム360g、ビタミンB1・0.4mg、B2・0.5mg、ビタミンKが1.8mgも含まれている。さらに神秘的ともいえる多様な働きをもつ葉緑素は80mgと多く、マグネシウムやリン、鉄などのミネラルも豊富である。このうちでビタミンKは、血液を固めるのに必要なプロトロンビンを増やす作用により、血液中のカルシウムイオンを増やし、酸性体質をアルカリ性体質にする。

 クマ笹のエネルギーの素は、タンパク質(アミノ酸)のほか、葉緑素、笹多糖体にあるといわれている。笹多糖体は、弱った細胞膜に働きかけ、細胞を丈夫にする。細胞膜を強化するので、あらゆる病気に効果を示す万能選手で、ガンにも効果があると注目されている。こうした効用はとくに緑色の濃いクマ笹の若葉(1年物)が強く、煎じて常用すると強壮、血圧の安定、さらに結核、喘息、カゼなどに効くことが伝承されてきた。また、クマ笹の若葉と紅花を一緒に煎じると、いっそう効果を発揮するとされる。

 さらにクマ笹のエキスでは、慢性肝炎、胃潰瘍、白内障などのほか、口内炎や胸やけには即効性のあることも確かめられている。また、ガンの予防作用については、九州大学農学部の村上浩紀、山藤一雄が、クマ笹の葉から採り出したリグニンという高分子化合物に、動物実験で制ガン作用を認めたと報告している。一方、笹の防腐作用をつかさどる多糖類の一つパンフォリンにも、生体の免疫力を強くしてガンの増殖を抑えること、なおかつ正常細胞に対する害がないことなどがわかり、その効用が期待されている。

 このように多彩な機能成分を豊富に含むクマ笹であるが、最近、植物の有効成分を壊すことなく、しかも効率よく採り出す技術が開発され、クマ笹エキスの抽出にも使われている。新しい抽出法は、「循環多段式加圧抽出法」(菊地式抽出法)と呼ばれ、最初に100℃以下の熱水抽出によって主としてミネラル、ビタミン、アミノ酸を採り出した後、加圧のレベルを何段階かに変えることによって、さらに数多くの多糖成分を抽出するという方法である。東京慈恵会医科大学名誉教授の近藤勇らは、この抽出法によって得られたクマ笹エキス(AHSS)をピロリ菌に使い、それによって菌が死滅することを発見した。しかも「ピロリ菌の鞭毛を溶かす」という、これまでのピロリ菌研究では報告されたことのない除菌現象であったため、国際ピロリ菌学会でも注目されたのである。

 慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の発症に大きく関わっているとされるヘリコバクダー・ピロリ菌だが、日本では50歳以上の70%以上がピロリ菌感染者であるという報告もあり、ピロリ菌対策が本格的に始まっている。しかし、抗生物質を使った除菌のため耐性菌の問題も大きなネックとなっている。近藤らの研究結果は、クマ笹エキスが植物由来の天然物質であることから、抗生物質が直面している耐性菌問題にも新しい展望を開く可能性を秘めているといえよう。

ホシ隈笹エキス  ハイブリッドAHSS

月曜日, 10月 31, 2005

紅麹について

○紅麹

 清酒・醸造酢・味噌・醤油などの発酵食品に用いられる麹菌は、黄麹と呼ばれる酒類だが、中国や台湾では紅色をした紅麹が、紅酒、紅老酒、紅乳腐などの醸造に古くから用いられてきた。

 紅麹は黄麹より繁殖力が弱く管理が難しいため、日本では沖縄の加工豆腐に使われる程度で、1970年代初めに発ガン性の疑いが指摘された合成着色料に代わる天然食用色素として利用されるまで、それほど活用例はなかった。

 もともと紅麹は本草網目に「消食活血、健脾操」(消化を助け決行を良くし、内臓を賦活し胃を軽快にする)と記された漢方薬でもあるが、1980年代以降、日本での機能性食品としての見直しが始められ、コレステロール合成阻害物質、ガンの予防効果、特に顕著な血圧降下作用、血圧上昇抑制作用が相次いで発見された。そしてバイオ技術による量産体制の確立と平行して血圧調整の有効成分γ-アミノ酪酸が確認され、1996年に関与する成分として特定保健用食品も誕生している。

 現在、紅麹を使った清酒・醸造酢・味噌など多彩な発酵食品がラインナップされているが、発酵食品以外でも、健康機能性を付加することを目的として、様々な一般食品にも使われ始めた。紅麹で健康機能性を強調した食品は、どれもコレステロールや血圧が気になる人をターゲットにしたものが多い。

 製油大手のホーネンコーポレーションは、食用油の原料に紅麹エキスを加え、コレステロールの体内合成を抑制する作用を持たせた機能性食用油を販売している。

 紅麹王

日曜日, 10月 30, 2005

ダッタンそばについて

○ダッタンそば

 ソバが栄養価の高い穀物であることはよく知られている。成分中13%にも達するタンパク質は必須アミノ酸のバランスがよく、70%を占める炭水化物にしても他の穀物のデンプンより糖化度が高い。ミネラル類も、とくにリンとカリウムが際立って多く含まれている。そして何よりも特徴的なのは、ルチンの存在である。ルチンは抗酸化物質として注目されているフラボノイド(植物の色素成分)の一つで、血中の糖・コレステロールを減らし、血圧を下げる作用があることが知られている。また、体内でケルセチンに変化して抗腫瘍効果を発揮したり、痴呆症の改善にも寄与することが明らかになっている。

 近年、ダッタンソバ(韃靼蕎麦)が一躍脚光を浴びているのは、このルチンが普通のソバに比べて10倍以上も含まれていることがわかったからである。わが国で通常一般に食べられているソバは普通ソバで「甘そば」と呼ばれるものだが、ダッタンソバは「苦そば」といわれ、粉を口に入れるとほのかな苦みを感じる。韃靼ソバの「ダッタン」は学名のタータリクムに由来し、タタールの中国名が「韃靼」であることからこう名付けられた。主な生産地は中国の雲南省と四川省の標高2000~3000m の山岳地帯である。

 栄養成分について、四川省産の苦そば(ダッタンソバ)と甘そば(普通ソバ)を比較した中国商業部食物化学研究所の分析(1989年)によると、パーセント値の比較で、粗タンパクは10.5対6.5、粗脂肪は2.15対1.37、デンプンも72.61対65.9と、いずれも苦そばの方が高い値を示しているが、とりわけルチンは甘そばが0.095~0.2%であるのに対し、苦そば2.5%と10倍以上である。ビタミンB群、ミネラル類、必須アミノ酸についても、総じて苦そばは含有量が多い。

 これが何を意味するかといえば、その栄養価のバランスや含有量の違いが、日常的に食べるものであるからこそ健康の維持に結果的に大きく響いてくる、ということである。ダッタンソバを常食する中国少数民族に、高脂血症、高血圧、糖尿病、心筋梗塞が非常に少ないという中国における疫学調査は、北京私立北京中医医院、北京同仁病院、北京飲料科学研究所などの共同研究により、動物実験ないし入院患者に対する臨床試験によって新たに確認され、これら降糖作用・降圧作用・降脂作用は「ダッタンソバの3降作用」として公にされている。

韃靼そば茶

土曜日, 10月 29, 2005

ダイエット素材について(1)

○α-リポ酸について

 別名、チオクト酸。野菜や肉にも含まれる成分で、糖分からエネルギーを作り出す家庭で必要な栄養素。米国では、糖尿病対策のサプリメント成分として人気。糖分の代謝を促進するほか、糖分を細胞内に取り込むのに必要なホルモンである。インスリンの働きをよくすると考えられている。糖の代謝に必要なビタミンB群やC、Eと併用すると効果が高まる。日本では、肉体疲労時の栄養補給を目的とした医薬品として使われ、2004春から健康食品への配合が許可された。

 α-リポ酸50&50

○カルニチンについて

 脂肪からエネルギーを取り出すために必要な成分。L体とD体という2種類の構造(光学異性体)があり、もともと体内に存在するL体のカルニチンだけに健康効果かある。以前はビタミンBtと呼ばれた。食品では羊肉などの赤肉にたくさん含まれており、体内で、アミノ酸のリジンとメチオニンから合成されるため、普通は不足することはない。ただし、鉄とビタミンC、ナイアシン、ビタミンB6が足りないと、合成の効率が落ちるため不足することがある。また、妊娠中や授乳中は必要量が増える。狭心症や心不全などの心臓病の、症状を軽くする効果が臨床試験で確かめられている。2002年に、特にL-カルニチン不足ではない人でもダイエットに効く成分として大人気になった。日本では慢性胃炎などの治療薬として使われているが、2002年11月から食品に配合できることになり、様々な配合食品が販売されている。

 L-カルニチン

○ファセオラミンについて

 白インゲン豆に含まれる成分。炭水化物の消化酵素の働きを弱め、糖を吸収しにくくする。ご飯やパン、麺類など、炭水化物の多い食事をするときに飲んでおくと、食べたものがエネルギー源として体内に取り込まれるのを阻害する。ダイエット成分として、サプリメントに配合される。抽出エキスを1日500ml、1ヶ月飲み続けると、体重が約4%、体脂肪量が約10%減ったという研究報告がある。

  ファセオラミン1600ダイエット

金曜日, 10月 28, 2005

フランス海岸松について

○フランス海岸松樹皮

 フランス海岸松は南仏の大西洋沿岸のみに生育する海洋性の松だが、この樹皮から得られる抽出物には40種類を越えるフラボノイドが含まれており、半世紀以上も前からヨーロッパを中心に抗酸化物質として活用されてきた。現在は、一般にピクノジェノール、フラバンジェノール(いずれも商権)という名称で世界的に知られている。

 海岸松エキスには数多くのフラボノイドが含まれているが、中でも注目が高いのはプロアントシアニジンで、通常のフラボノイドに比べて溶解性が高いため、抗酸化物質として即効的に効くという特徴がある。また、多数の有機酸からなる機能成分が連携して高いSOD活性を示すことが明らかにされている。このことから、海岸松エキスは毛細血管を保護し、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞・静脈瘤などを予防する効果のあることが明らかにされ、多くの研究者によって報告されている。

 海岸松エキスにはこのほか、月経困難症・生理痛・子宮内膜症・冷え性・更年期障害など、女性特有の疾患を劇的に改善する効果のあることが、日本の医師や研究者によって明らかにされている。1998年に金沢市で開催された日本補完・代替医療学会の代1回学術集会で、医師の小濱隆文(恵寿総合病院)、金沢大学医学部の鈴木信孝らによって海岸松エキス(ピクノジェノール)による886例の臨床予備治験の結果が報告され医療関係者の注目を集めた。小濱はその翌年の発表を行い、子宮内膜症に対してピクノジェノールの投与により、重度の月経痛と骨盤痛が軽減したこと、子宮内膜症以外の原因による月経痛・骨盤痛も軽減されたことを報告している。

 ピクノジェノールスキンエイド    フラバンジェノールプラス

木曜日, 10月 27, 2005

ガジュツについて

○ガジュツについて

 ガジュツ(莪朮)はインド原産のショウガ科の多年草(学名クルクマ・ゼドアリア)で、南アジア一帯で広く栽培され、日本では沖縄県、それに屋久島、種子島で良質品を産する。ウコンの仲間で、里芋に似た直径4~5cmの卵形の根茎の断面は周辺が淡黄色、中央部が淡い紫色を帯び、特有の芳香と非常に強い特徴的な苦味を持っているが、それを薄く切って乾燥させ粉末にしたものが生薬として用いられている。その形と固さと顕著な薬効とによって、わが国では古くから弘法大師の石芋とも呼ばれたりした。

 中国薬物書の古典「本草網目」は主治として消火器病、感染症、血の道症、腫瘍、小児喘息などを上げて紙幅を割き、古今の彼我の文献には健胃、駆風、鎮痛、駆瘀血、通経薬として薬効顕著であることが紹介されており、現行の日本薬局方にも薬草として収められ、ガジュツを主剤とした漢方薬もあるが、それだけに有効成分とその薬理作用に関する研究も盛んに行われ、全量の約1~1.5%に当たる精油成分からは多くはモノテルペン類(シネオールやカンファーなど)、セスキテルペン(アズレンなど)、クルクミン類など微量成分を含めると100種近くが見出され、それらの作用機序が解明されてきた。

 芳香性があるため飲んだときに胃がすっきりとし、特有の苦味(モノテルペン類の配糖体)が刺激となって胃液の分泌を促し、同時に精油成分のシネオールも唾液や胃液の分泌を促すので、消化力が高まるという健胃効果をもたらす。さらにシネオールには胆汁の分泌を促す作用があって消化を助けるとともに、血中コレステロールを下げる働きもする。また、相当強い殺菌・防腐作用を持っており、同様の作用はカンファーという成分にも備わっている。カンファーはカンフル剤の主成分で強い強心作用がある、というように、多様な成分の相乗効果によって生じる非常に多岐にわたる効果が相次いで報告され、マウスの実験で、ガジュツのエキスに抗腫瘍作用、肝障害の発生を抑える作用があることを認めている。また水野修一は臨床試験によって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性萎縮性胃炎の元凶とみられているヘリコバクター・ピロリ菌が、ガジュツの投与によって胃内から消滅することを確認している。

 その他の慢性肝炎・膵炎、胃潰瘍、不整脈、高血圧、高血糖といった重い症状以外にも、ニキビ、シミ、公衆、肩こり、腰痛、冷え性、脱毛症、夜尿症といった日常的な不調に対する効果も多数公表されるとともに、ウコンとの併用による相乗的な事象も報告されている。

 ガジュツ粒

水曜日, 10月 26, 2005

ケフィアについて

○ケフィア

 ケフィア(ケフィールとも)の名は我が国ではヨーグルトほどポピュラーではなかったが、コーサカス地方で常用される歴史的な発酵乳飲料(乳酸菌飲料)で、近年その健康への効果が再認識されて一挙にクローズアップされてきた。ちなみにヨーグルトは主に牛乳に乳酸菌(ブルガリア菌、テルモフィルス菌、ラクチス菌など)を加えて発酵するが、ケフィアは現地では羊、山羊、牛の乳を一度過熱、冷却した後、ケフィア菌(種菌)を加えて一昼夜発酵させる。するとケフィアグレインとも呼ばれる黄色のカリフラワー状の塊ができるので、そこへ数倍量の加熱殺菌済み冷却乳を添加し、2~3日してから飲むことが行われている。

 ケフィア菌は乳酸桿菌、乳酸球菌などの乳酸菌、および特殊な乳糖発酵酵母からからなるが、その発酵過程はまず乳酸菌発酵によって酵母の繁殖に適した酸性条件が作られ、次いで酵母によるアルコール発酵でケフィアに酸味と泡立ちが与えられる。

 類似の発酵乳に中央アジアの遊牧民が馬乳から作るクミスがあり、腸疾患や貧血などへの薬効が認められているが、ケフィアについては早くも1877年にロシアの学者が胃腸病、便秘、下痢、糖尿病への効果を報告、1908年にはロシア生まれのフランス人でノーベル生理医学賞を受賞したメチニコフが「ケフィアは腸内の悪玉菌を抑え、免疫能や生理機能を高め、動脈硬化を改善し、老化を防止する」という主旨の長寿論を発表した。この頃からコーサカス地方の住民が長寿であることに強い関心が払われるようになったが、特に1970年代以降は世界的に研究が進み、アメリカ、旧ソ連、ハンガリー、日本などで相次いでケフィアの血中コレステロール低下作用、心臓・腎臓病の改善、肥満の解消、肝臓の再生機能の賦活、ウイルス感染抑制作用、ガン細胞増殖の抑制などの研究発表がされた。

 制ガン効果については日本国立予防衛生研究所、久保道徳(近畿大学薬学部)、九州大学農学部など日本の研究に見るべきものがある。久保はICR系のマウスのエールリッヒ固形腫瘍に対するケフィアの抗腫瘍作用を経口投与で検討し、有効であることを確認した研究論文の中で、「これらの抗腫瘍作用は、腫瘍作用に対する直接作用ではなく、免疫系、特にマクロファージを介した作用であることが明らかにされつつある」と述べ、「ケフィアに抗腫瘍作用が経口投与で認められたことは意味深い」と結んでいる。

 なお、ケフィア菌(種菌)を入手して自分で加えて発酵させるのがヨーグルトキノコだが、よい菌を選び、作り方と管理法に慣れないと雑菌が混入して腐敗、食中毒を起こす恐れがあるので十分注意しなくてはならない。

マリアーナケフィール

火曜日, 10月 25, 2005

エゾウコギについて

○エゾウコギ

 エゾウコギ(蝦夷五加木)は、高麗人参や三七人参と同じウコギ科の落葉低木で、本場は中国北部とシベリアである。エゾウコギは、その名からもわかるように日本産(北海道)のものの和名である。中国では刺五加、ロシアではエレウテロコックと呼ばれている。

 中国では昔から、同類(五加、五加木)のウコギの樹皮を用いた五加皮と呼ばれる生薬があり、強壮、強精、鎮痛に効ありとされているが、エゾウコギはその一種。

 日本では、わずかに北海道でしか産出しないこともあって、今まで一部の人に知られるだけで、大衆には程遠い存在であった。近年、精力増強や性機能強化という効能で知られるようになったが、後述するように全身の活力を高めるなどの働きがあるといわれている。

 ロシアや中国ではエゾウコギの研究が盛んで、その発表によれば次のような効能があるという。 ①疲労回復、強壮、体質強化 ②自律神経失調症及び神経衰弱に効果。神経の興奮を沈静化する。③性機能の回復と強化 ④循環器系疾患に効果。低血圧、高血圧の改善、血液中のコレステロール値を下げ、動脈硬化、心臓病を予防する。 ⑤抗ガン効果。ガンの発生、発達、誘発、転移を抑える。 ⑥その他、糖尿病、慢性気管支炎などにも有効。

 こうした薬効・食効がわかってから、旧ソ連で一般の人々の健康維持や運動選手の能力アップ、要人や宇宙飛行士の体力保持、中年からの性機能の向上など、多方面で愛用され、日本でも健康食品として、いろいろな形態で商品化されるようになった。

 エゾウコギの有効成分は、複数のトリテリペイド配糖体(サポニン、リグナンなど)が知られているが、特にエゾウコギの特徴としてエレウタロイドEというリグナン系化合物が注目されている。これは生体防御物質のβエンドルフィンを増やし、免疫細胞の増殖や活性化を促すといわれている。

蝦夷五加エキス顆粒

土曜日, 10月 22, 2005

ゴマについて

○ごま

 ゴマ(胡麻)はゴマ科の一年生草木で、アフリカのサバンナ地帯が原産地である。2~3cm の長方形をした果実の中に多数できる種子を食用とする。日本には中国から伝来したと思われ、古くから精進料理には欠かせないものとして珍重されてきた。

 ゴマを色で分けると、色、黒、茶、黄、金、緑などがあるが、主に使われるのは白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマの三種である。白ゴマは脂肪の含有量が多く、約55%にもなる。そのためゴマ油にも使われている。黒ゴマは独特の香気があり、ゴマ和えやゴマ塩などに用いられている。これは風味をよくするだけでなく、ゴマの栄養分を加えながら、とり合わせの食品の消化を助ける効果もある。

 ゴマには優れた栄養成分が多数含まれているが、最近とくに注目されているのはガンや老化の予防に効果があるとされる抗酸化物質の存在である。揚げものなどに使った食用油を放置しておくと、時間がたつにつれて黒く変色し悪臭を放つようになるが、これは油の不飽和脂肪酸が空気にさらされて酸化し、過酸化脂質という有害物質に変化するからである。ところがゴマ油では、このような変化が起きないことが知られている。ゴマの成分の半分以上は脂肪で、とくに不飽和脂肪酸が多い(約85%)にもかかわらずゴマ油が変敗しにくいのは、ビタミンEやリグナンといった抗酸化物質が含まれているからだと考えられている。

 リグナンは大豆イソフラボンと同じく、体内で女性ホルモン様物質として働くフィトケミカルである。ゴマに含まれるリグナン類はゴマリグナンと総称され、セサミン、セサモリン、セサミノールなどの抗酸化物質が知られている。このうち、セサミンは中性脂肪を減らす作用もあることがラットを使った実験でわかっている。また、黒ゴマの果皮に含まれるアントシアニンにも抗酸化作用が認められている。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリー、紅サツマイモ、ナス、黒豆などの色素成分だが、免疫力を高め、ガン細胞の増殖を抑えることが動物実験で確かめられている。

 ゴマの成分で脂肪に次いで多いのはタンパク質で、全体の五分の一を占める。とくに必須アミノ酸のトリプトファンとメチオニンが多く含まれており、催眠や精神安定、抗うつ症状の改善に効果がある。

 ビタミン類では、炒りゴマ100g 中にB1が0.49mg 、B2が0.23mg 、ナイアシンが5.3mgと、ビタミンB群が豊富だ。ミネラル類ではカルシウムが1200mgと抜群に多く、これは牛乳の約11倍である。(いずれも日本食品標準成分表)。

 このように良質な脂質と多彩な抗酸化物質を多く含み、ビタミンやミネラル類も豊富なゴマであるが、さらにその機能性を高めようと品種改良の研究も行われきた。2001年には血中の中性脂肪を減らす効果が高い新品種のゴマが農水省農業研究センターで開発されている。新品種はセサミンの含有量は多いが収穫量が少ない中国産のゴマと、収穫量の多い国内品種を交配して作ったもので、セサミン含有量が1g当たり約10mgで、中国産よりも5%程度多い。同センターが行ったラットを使った実験では、脂肪酸を分解する肝臓の働きが普通のゴマの2~3倍に高まり、血中の中性脂肪が減ったという。同センターでは食品企業などと提携して、生活習慣病の予防に役立つゴマの製品化に取り組んでいる。

高濃度発酵胡麻エキス粒

金曜日, 10月 21, 2005

マテ茶&シジュウム茶について

○マテ茶

 マテ茶は、南米(パラグアイ、ブラジル西部)原産のモチノキ科の常緑低木であるゼルバマテの葉・茎を用いた健康茶である。南米土着のインディオたちが400年以上も健康茶として飲み続けてきたもので、今ではブラジルをはじめ南米各地で愛飲されている。カフェインが少ないので、飲みすぎても胃を刺激しないので、子供向きのドリンクにも格好である。

 グリーンマテ(緑茶タイプ)とローストマテ(焙じ茶タイプ)があるが、ビタミンCと葉緑素以外の成分(ビタミンA、B1、B2、鉄、カルシウム、食物繊維、脂肪代謝を促すコリン)は、どちらも遜色がない。成分として注目されるのは、マテ茶に特有のマイテンというアルカロイドで、自律神経を刺激して心身を活動的にし、健胃・整腸作用、肥満防止も期待できる。一方、神経の興奮を抑制する働きもあって、ストレスによるイライラや二日酔いにも効果を表す。

 機能性の研究では、ノーベル医学賞受賞者のウーサイによる造血作用、美肌作用、消化液の分泌促進作用、グリコーゲン産生と疲労回復効果などに関する報告がある。また、川上美智子(シオン短期大学)は、マテ茶のタンニンがデンプン分解酵素アミラーゼ作用を阻害、体脂肪を減少させ、便秘を解消すると発表している。活性酸素を消去するSOD活性も高い。

グリーンマテ茶

○シジュウム茶

 南米(ブラジル、ペルー、コスタリカなど)原産でフトモモ科の落葉小高木シジュウムは、古くからインカ帝国のインディオが栽培して甘酸っぱい果実を食用にし、皮膚病の薬にも使っていたといわれる。その葉を干して粉末にしたお茶は、見かけは黄色みの強い粉茶の感じで少々抵抗のある薬臭さが気になるが、飲んでみると苦味も味の悪さもない。

 シジュウムの葉にはミネラル(鉄、カルシウム、リン、マグネシウムなど)やビタミンC、タンニンも含有されているが、抽出エキスには、アレルギー性症状を引き起こす原因となるヒスタミン遊離を非常に強く抑制する作用があるため、花粉症に効果的であるほか、入浴剤として使用するとアトピー性皮膚炎、湿疹、老人性皮膚掻痒症などによるかゆみを抑える作用がある。

 ラットへのエキス投与実験では、この作用を立証するデータが得られたという。またあらゆるタイプのアレルギーに有効性があると発表している。シジュウム属には50~70種の植物が数えられ、グァバ茶として知られるグァバもその一種で、その性状や成分には非常に似通ったものがあることは興味深い。

シジュウム茶

木曜日, 10月 20, 2005

納豆菌について

○納豆菌

 納豆の原料となる大豆は、畑の肉とも言われるヘルシー食品だが、これに納豆菌を作用させた発酵食品である納豆は、栄養成分としては大豆そのものよりもビタミンB群(B1、B2、B6、B12、パントテン酸、ニコチン酸)の含有量が多い。とりわけB2は大豆の5倍も含まれるが、これは納豆菌が増殖するときビタミン類を合成するためである。

 米を主食とする通常の食事から見ると、米のデンプン質が75%、納豆のたんぱく質35%、脂肪20%というバランスは絶妙で、非常に良い組み合わせだといえる。しかも発酵によって、煮豆なら65%程度だった消化吸収率が大幅に改善され、90%程度にもなる

 納豆が日本人の食事に登場したのは3000~4000年前の縄文時代と考えられ、奈良時代に完全に定着したものといわれている。今日残っている納豆の薬効に関する伝承としては、①納豆を常食していると結核にならない、②農繁期には納豆を食べよ、③納豆を肴に酒を飲むと悪酔いしない、④シラクモ(皮膚病の一種)には納豆のネバネバ(主成分はムチンという物質)をつけるとよい、⑤高血圧や心臓病に効く(リノール酸の作用)、⑥下痢が治る(納豆菌の整腸作用)、などのほか、乾燥させ粉末にした納豆を常用すると胃の調子がよいとか、風邪が治るといったものまで、非常に多くのものがあるが、これは納豆が古くから幅広く愛用されてきた証拠であるといえよう

 さらに納豆は大豆のタンパク質を酵素分解しているので、人体に不可欠の必須アミノ酸群を含んでおり、それが生理活動を活発にすると同時に、脳細胞の活性化を促す。勉強に集中する学生や、仕事がハードなサラリーマンなどには、うってつけの滋養強壮食ということができる。

 納豆の効用は栄養的な素晴らしさだけでなく、納豆菌自体の優れた作用に負うところが大きいことも、見逃せない要素となっている。その第一が整腸作用である。この作用は乳酸菌よりも強く、腸内の腐敗菌を押さえ込む時間も乳酸菌より長く続く。第二は、ある種の腸内有害細菌やウイルスに対して、相当の対抗性ないし抑止効果を持っていることである

 納豆菌に制ガン作用があるという研究発表もある。それによれば、ガン細胞を食い殺すT細胞を活性化するインターフェロンを、納豆菌が誘発するのだという。納豆には納豆菌によって作られるナットウキナーゼという酵素が多量に含まれているが、これが血液の固まりである血栓を溶かすことで、脳梗塞や心筋梗塞を予防するという学会発表もなされていることは興味深い。

ナットウキナーゼ

水曜日, 10月 19, 2005

珊瑚草(さんごそう)について

○珊瑚草

 正式和名はアッケシソウといい、発見地の北海道厚岸にちなんだ名称であるが、群生地が多い北海道ではサンゴ草(珊瑚草)の名で親しまれており、NHK や民放のTV などでもこの別名で紹介されている。海岸の塩水をかぶる砂地に自生する高さ15~20cm のアカザ科の一年草で、多肉の緑色をした枝や葉は、秋に美しい紅紫色に染まる。生える様子から別名をハママツ、また、節々から対生する枝がちょうど枝サンゴのように見えるところからヤチサンゴともいう。本草書の古典である李時珍の本草綱目には鹹草、貝原益軒の大和本草など日本の文献には三枝、塩草、福草などの名が見られる。

 現在では、厚岸湾、能取湖、サロマ湖のほかは、四国の愛媛、香川県の一部だけにしか見られないという貴重な資源であるが、それだけにアッケシソウの名を知る人は少なく、この全草の粉末を主成分とした健康食品であるサンゴ草の名の方が広く馴染まれるようになった。

 近年、一部には健康を考えるときに生命誕生の段階にまで遡って見直す必要があるとされて、原始の生命を育んだ海水のミネラル組成が生体水のそれに非常に近いものであること、また、生命活動の維持にとって海中の全てのミネラル成分が多かれ少なかれ不可欠であることが明らかにされてきた。

 その観点に立つと、海水をかぶりながらそれを吸収して育つサンゴ草には、鉄分、カルシウム、マグネシウムといった必須ミネラルが非常に多く(例えば、鉄分は牛レバーの約110倍)含まれると同時に、亜鉛やニッケル以外にも他の陸生植物と異なって、検出できないほどの微量成分も含めて多様なミネラル類が、バランスよく含有されていることは十分に考えられることである。また、この植物が強い太陽光を浴びる海岸に育つところから、有害な活性酵素から身を守るための活性酵素消去成分や抗酸化物質を持っていることは確かであろう。今のところ分析的に確認されてはいないが、粉末にしたサンゴ草を常食することで、腫瘍、膠原病、出血体質、慢性リューマチなどの改善例が多数報告されていることからも、その可能性は非常に高い。そのほか蓄膿症、腎炎、血圧異常、冷え症、肩凝りなどの改善例もある。

 もう一つ、非常に顕著でわかりやすい効果は、サンゴ草末を食べ始めて早い人で一週間から10日もすると、一般に宿便と呼ばれている黒い腸内滞留便が出るという現象が見られ、引き続いて体重減少(減肥効果)や、肌荒れ・吹き出物の改善が見られ、血色がよくなることである。これは時間が経過するにつれて、ほとんどのケースで起こることなのであるが、このような単に食物繊維の効果というだけでは説明がつかない現象については、今のところまだその因果関係が明快にはわかっていない。


珊瑚草A顆粒

火曜日, 10月 18, 2005

ブルーベリーついて


○ブルーベリー

 ブルーベリーはツツジ科の常緑低木で、原産地は北米からカナダにかけての一帯である。寄り集まっている濃青色の小粒の果実は、古くから生食のほか、ジャムやゼリーなどに用いられてきた。また、ヨーロッパでは葉や実のエキスを壊血病、泌尿器病、糖尿病などの民間薬として利用されていたこともある。


 第二次大戦中に、英国空軍のパイロットがブルーベリーのジャムを大量に摂り続けると、周囲が薄暗くなっても良く見えることが気づいたところから生理活性機能について認められるに至ったが、これに用いられる品種は一般食品用の品種とは異なり、有効成分の多い「ホワートルベリー」という野生種であって、我が国の健康食品にも同じもの(主にスウェーデン産)が使用されている。


 よく知られているように、物が見えるというのは、レンズから入った光が眼球内面の網膜を刺激して生じた信号が脳の視覚領域に送られるからであるが、この信号は、入ってきた光の刺激で網膜にあるロドプシン(視紅素)という色素体が、分解・再合成を繰り返す連続作用で生じる。このロリーの色素成分であるアントシアニン配糖体にその働きがあることを見出し動物実験で有効性を証明したのが1964年のことであった。これに続いて、アントシアニンの案視野における視力の改善、視野拡大、夜盲症患者の光感受性の改善、抗潰瘍性、抗炎症作用などについての動物実験や臨床試験の成果が発表されて、その有用性が明らかにされていった。こうした成果をもとに、ブルーベリー製品は1976年にイタリアで始めて眼科、血管障害用の医科向け医薬品として承認され、それ以後、フランス、スペイン、韓国、アメリカ、最近はニュージーランドでも医薬品に加えられている。


 我が国でも農林水産省の食品総合研究所食品機能部でその食効を認めているが、ブルーベリーエキスへの期待が一段と高まってきた背景には、若年層のTVゲーム熱や学習時間の拡大などから近視や仮性近視が増える一方、職場ではOA機器の普及などもあって目のストレスや疲労を訴えるケースが激増していることなどが考えられる。また、活性酸素による脂質の過酸化やDNAの損傷などが問題視されるようになって以来、アントシアニンがルテインと酷似した働きを持つことが注目されている。すなわちビタミンCと共同して体内で活性酸素を消去し、血管に過酸化脂質が蓄積することを防いで、末梢神経の弾力を保つ結果、網膜を活性化して視力を回復し、さらには白内障や眼精疲労を抑えると共に、老化防止、抗潰瘍活性や抗炎症作用の増強につながることが期待されるのである。


ブルーベリーエキス粒

月曜日, 10月 17, 2005

カボチャ種子(パンプキンシード)について

○かぼちゃ種子

 βーカロチンや糖質を豊富に含み、健康食材としても人気のカボチャだが、この種子には頻尿や尿失禁などを改善する有効成分が含まれており、中米などでは古くから”天然の利尿剤”として使われてきた。また、植物療法の伝統が根強いヨーロッパでは、カボチャ種子の抽出物を配合した医薬品が前立腺肥大や過敏膀胱の治療を目的に販売されている。

 カボチャはウリ科の蔓性植物で、日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの三品種が知られているが、このうち機能性素材として種子が利用されるのはペポカボチャである。ペポカボチャはメキシコ北部から北米が原産地で、低温に強い品種であることから世界各地で栽培されているが、わが国では西洋カボチャが九割を占め、ペポカボチャはあまり馴染みがない。イタリア料理に使われるズッキーニ、三杯酢にして食べる金糸瓜(そうめんカボチャ)はペポカボチャの一種である。

 ペポカボチャの種子が前立腺肥大を改善するのは、種子に含まれる脂肪酸と植物ステロールの作用によるものと考えられている。これは、前立腺肥大の改善に強い効果があるとされるハーブのノコギリヤシと同じメカニズムであることも知られている。前立腺肥大は、男性ホルモンのテストステロンが変化して生成されるジヒドロテストステロンが蓄積することによって起こるが、カボチャ種子の脂肪酸は、この生成に関与している5αーリダクダーゼという酵素の活性を阻害することによって、ジヒドロテストステロンの蓄積を抑制する。また、レセプター(受容体)への結合を阻害する作用も認められている。

 このほか女性に多いとされている、くしゃみや咳などで尿が漏れてしまう尿失禁の改善にも効果があることがわかっている。

カボチャ種子