○たまねぎ
ユリ科の1、2年草で、原産はイランといわれている。鱗茎が肥大した部分を食用とする。古代エジプトには早く伝わって一般的な食べ物として普及したが、後に、地中海地方からヨーロッパ全域に広がり、中世のドイツやイギリスでは重要野菜として扱われた。1347年に疫病が大流行したときに、ロンドンのたまねぎとニンニクを売っている店では、伝染を免れたと伝えられる。わが国では明治以降に普及した。
現在、一般的に食べられているのは黄たまねぎ、赤たまねぎ、白たまねぎ、小たまねぎの4種である。黄たまねぎ(ストロングオニオン)は辛味が少なくサラダに利用される。白たまねぎは(マイルドオニオン)は辛味がやや少なく、サラダなどの生食用にされる。小たまねぎ(ペコロス)は黄たまねぎの成長を抑えて育てたもので、ピクルスや煮込み料理などに利用される。
たまねぎの効能としては①高脂血症によって引き起こされる血漿コレステロールの上昇を抑制し、善玉コレステロールを増やす、②体内にある血圧上昇物質に対抗して上昇を抑えたり、利尿効果によって塩化ナトリウムの排泄を促進して血圧を下げる、③血小板凝集抑制作用があり、血栓をできにくくする(脳梗塞、老人ボケの予防)、④血糖降下作用、⑤去痰作用、⑥発汗作用などが上げられる。
たまねぎを切ると涙が出るが、これは切断されるとたまねぎが持つ酵素が働き、涙を催す物質が生成されるからだ。これは切った直後よりも、そのまま1時間以上放置した後に強くなる。この辛味成分はアリルプロピルジサルファイドや硫化アリルなどのイオウ化合物で、硫化アリルはビタミンB1の吸収を高め、アリルプロピルジサルファイドは血糖値を下げる作用がある。イオウ化合物は、強い抗ガン作用があることでも注目されている成分である。また、たまねぎの黄色い色素であるケルセチンは高血圧予防に有効であるとされる。
黄・赤・白・小たまねぎについて、イオウ化合物とケルセチンの含有量を比較すると、イオウ化合物は黄色たまねぎに一番多く、以下、小、赤、白の順で、ケルセチンは小たまねぎがトップで、以下、黄、白、赤の順となる。
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