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土曜日, 5月 12, 2012

花椒

花椒

 中国の各地に自生し、栽培されているミカン科の落葉低木カホクザンショウ(Zanthoxylum bungeanum)の果皮を用いる。果実の中の種子は椒目という。日本のサンショウと同属植物であるが、カホクザンショウの果実はサンショウの果実よりも粒が大きくて果皮が赤い。四川省で多く取れるため蜀椒、川椒ともいわれるが、河北省渉県のものが最高品質とされている。

中華料理では花椒塩や醤油と混ぜた花椒油などの調味料としても利用されている。日本にも食品として多く輸入されているが、日本薬局方では医薬品として山椒と規定しており、花椒を除外している。現在中国では蜀椒、泰椒、青椒などを区別せずに基原植物を花椒としている。一説によると神農本草経や金匱要略の蜀椒および川椒カホクザンショウ、泰椒はフユザンショウ、青椒(青花椒)はイヌザンショウと推定されている。

花椒にはリモネン、ゲラニオール、クミンアルコールなど、青花椒にはエストラゴール、ベルカプテンなどが含まれる。薬理的には抗菌・殺虫作用、鎮痛作用などが認められている。漢方では温裏・止痛・駆虫の効能があり、消化不良、胃内停水、腹痛、嘔吐、咳嗽、関節の痛み、下痢、歯痛、回中症、陰部掻痒症などに用いる。とくに花椒は脾胃虚寒、つまり胃腸が冷えて生じる腹痛や下痢の常用薬である。冷えによる下痢には陳皮・厚朴などと配合する。