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水曜日, 2月 13, 2013

紫苑

○紫苑(しおん)

 朝鮮半島から中国北部、モンゴル、シベリアにかけて分布するキク科の多年草シオン(Aster tataricus)の根を用いる。中国では軟紫菀ともいう。これに対しキク科のオタカラコウ(Ligularia fischeri)などの根を硬紫菀あるいは山紫菀といつて区別する。

 シオンは日本にも古くから伝えられ、平安時代にすでに観賞用として植えられており、また九州や中国地方では野生化している。一般に中国では薬用として、日本では観賞用として栽培されている。秋に直径2.5cmくらいの藤紫色の花が咲き、また根が紫色がかっているため紫苑という。朝鮮では若芽を煮て乾燥し、野菜として利用している。

 根にはサポニンのシオンサポニンやフリーデリン、シオノンなどが含まれ、薬理的に鎮咳・去痰作用、抗菌作用が認められている。漢方では止咳・去痰の効能があり、咳嗽や喘息、血痰、喉痺に用いる。おもに慢性の咳嗽に用い、とくに痰が多く、痰の喀出が悪かったり、血痰の混じるときに応用される。慢性気管支炎や気管支喘息などで呼吸困難や喘鳴のみられるときは射干・麻黄などと配合する(射干麻黄湯)。風邪や気管支炎などで咳嗽が強く、痰の多いときには百部・桔梗などと配合する(止嗽散)。