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土曜日, 4月 14, 2012

海藻

○海藻

 温帯から熱帯にかけて海に広く分布している海藻ヒバマタ科に属するホンダワラ(Sargassum fulvellum)などを用いる。漢方で海藻といえば、この褐藻のホンダワラ類を指し、全藻を用いる。ホンダワラ類は海藻の中で最も進化したものといわれ、日本沿岸には約60種の生育が知られている。中国の植物名では羊栖菜や海篙子、馬尾藻などが挙げられている。

 ホンダワラ類の全藻にはアルギニンやマンニトール、ヨウ素、種々のミネラルが含まれ、抗凝固作用、脂質降下作用、降圧作用などが認められている。山間の地方ではヨウ素が不足するため甲状腺が腫大することがあるが、海藻が有効であることが中国では古くから知られていた。

 ヨウ素は脊椎動物にとって重要な元素で、甲状腺ホルモンの成分として代謝の調節を行っている。明治初期にフランス人宣教師が海藻灰からヨードを採る方法を教えたことが始まりで、ヨードの国産化が始まり、明治期の製薬技術における国際的な発展のきっかけとなった。

 漢方では軟堅散結・利水消腫の効能があり、癭瘤(頸部リンパ節腫)、腹部腫塊、腹水、脚気、睾丸腫痛などに用いる。特に頸部腫瘤の常用薬として有名である。単純性甲状腺腫などの甲状腺疾患には昆布・海苔などと配合する(海藻玉壺湯)。肝硬変などによる腹水に牡蠣・沢瀉などと配合する(牡蠣沢瀉湯)。

 近年、健康食品として海藻が注目されており、ミネラル成分だけでなく、多糖類(アルギン酸、フコイダン)、オリゴ糖、ペプチドなどの効果が研究されている。アルギン酸は水溶性食物繊維として便通改善やコレステロール低下に関する成分、若布や海苔のペプチドは降圧効果に関与する成分として特定保健用食品に認定されている。

 フコイダンは抗アレルギー、免疫賦活、抗潰瘍・抗ピロリ菌、血液凝固抑制、血中コレステロール低下、血糖上昇抑制、抗ウイルス・抗菌、肝機能改善といった作用や抗腫瘍効果などが検討されている。