○山蒜(さんさん)
日本各地、朝鮮半島、中国に分布するユリ科の多年草ノビル(Allium grayi)の全草を用いる。ノビルとは野のヒル(蒜)という意味で、ヒルとはネギやニンニクなど口の中に入れると辛味があるものの総称である。
日本で春の山菜として古くから食用にされ、酢味噌和えや雑炊などに用いる。日本の民間流法では強壮・強精の効果があるとされ、鱗茎の部分を焼酎に漬けて薬用酒にしたり、黒焼きにして扁桃炎や咽頭痛、咳嗽などに用いる。生の葉の汁は傷口や毒虫に刺されたときに外用し、打ち身や火傷には鱗茎をすりおろして貼る。