○米糠アラビノキシラン
アラビノキシラン(arabinoxylane)は多糖のアラビナン(構成糖はアラビノース)とキシラン(構成糖はキシロース)からなるヘミセルロース(半繊維素)で、小麦フスマの成分として知られているが、米糠やトウモロコシなどにも多く含まれている。小麦フスマはそのまま食物繊維素材として利用されることが多いが、米糠から分離されたアラビノキシランは酵素反応によって得られる誘導体がつくられており、免疫賦活物質として研究が活発に行われている。
米糠アラビノキシランは誘導体は、大和薬品がアメリカの免疫学者マンドゥ・ゴーナムらの協力を得て開発したもので、米糠のヘミセルロースを素材に、シイタケ菌(DAIWA-A95菌)の培地濾液中に含まれる炭水化物培養分解複合酵素を反応させるという修飾方法がとられ、これによってヘミセルロース本来の複雑な基本構造を損なうことなく反応性を高め、免疫賦活活性を与えることに成功したものだ。
この生理活性物質の抽出技術の確立は1995年のことで、以後本格的な基礎・臨床試験が開始され、多くの動物実験やガン患者への経口投与などを通じて、顕著なNK細胞活性の向上や、リンパ球のT細胞、B細胞の活性が高まることが報告されている。ゴーナムらはさらに、HIV感染症(エイズ)に対して米糠アラビノキシラン誘導体が有効性を示すとする基礎実験結果を報告して注目された(96年7月、第11回国際エイズ会議)。また国内でも大学や医療機関で糖尿病・慢性肝炎に対する効果試験が行われている。