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日曜日, 2月 19, 2006

マグネシウムについて

○マグネシウム

 元素記号はMg。人の必須主要ミネラルの一つで、人体での存在量はミネラル中7番目である。成人(体重60kg前後)で20~25g程度を体内に保有しており、その約半分以上は骨に、残りの大部分は細胞内液に(特に筋肉と肝臓の細胞に多い)、その他は血漿内に存在している。子供よりも成人の方が、また女性は妊娠中の方が、体内での濃度は増大する。

 マグネシウムの名称は、古代ギリシャにマグネシアという地方があって、その地で取れる白い鉱物には種々の病気を治療する効果があり、その有効成分がこの金属であることがわかって名づけられたといわれている。

 近年、マグネシウムが非常に重要な生体機能に深く関与していることが明らかにされ、その一方で食生活が近代化するに応じて摂取量が減少する栄養素であることがわかってきた。とはいえ、なお一般にはマグネシウムを単に鉱物資源としてのみ認識していることが多いのであるが、その語源にすでに病気の問題が関わっていたことは興味深い。

 マグネシウムは血漿中に存在する量が非常に少ない(体内のマグネシウム全体の1%程度)ために、血液検査ではその不足がわかりにくいのであるが、欠乏症になると発育不全、筋肉の震え、筋力の低下や痙攣による運動障害、めまい、ひきつけ、嚥下障害などを経て全身性の痙攣へと進み、合わせて神経症状も現れて、感情の鈍麻、あるいは極度の過敏症、抑欝、不安神経症、精神錯乱にまで進む。なかには、皮膚の黒ずみ、食欲不振、睡眠障害のような症状もあるが、腎不全、腎臓結石、狭心症、不整脈、心筋梗塞、高血圧、糖尿病などの報告もある。

 マグネシウムは経口摂取の不足などで血液中の濃度が低くなったときは、腎臓の糸状体や尿細管で再吸収されるなどして微妙な体内調節がはかられているが、腸の疾患による吸収減少、下痢や授乳や持続的発汗による体液の損失、利尿剤などによる尿量の増大、慢性アルコール中毒など、様々な原因で欠乏状態になったときに、前記のような疾患に結びついていく。

 特に最近は、糖尿病とマグネシウムの相関関係について強い関心が寄せられている。マグネシウムが糖代謝に関与する多くの酵素の活性因子として必要なミネラルであることはすでに明らかにされているが、ラットの脂肪細胞において、マグネシウムがインスリンによる糖の酸化作用を増強することも最近確認されている。また、109名の糖尿病患者を検査してその血漿マグネシウム濃度が低く、さらに1日の尿中マグネシウム排泄量が多いことも報告されている。これは、糖尿病にとってマグネシウムが一つの重要な因子であることを示唆するものである。

 現在、わが国の栄養所要量では、マグネシウムは1日成人男性で300~320mg、女性で250~260mgが示されているが、通常の食生活では目標値を摂れていないとの調査報告もある。また、その1.5~2.5倍は必要だとする意見も多い。許容上限摂取量は650~700m(成人)。

 マグネシウムを多く含む食品には、青ノリ、ヒジキなどの海藻類のほか、胚芽類、アーモンド、ピーナッツ、大豆などの豆類がある。また、栄養補助食品としては調整された天然にがりは塩化マグネシウムが主成分であり、マグネシウムの供給源として注目されている。

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