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土曜日, 4月 20, 2013

棕櫚

○棕櫚(しゅろ)

 中国あるいは南九州を原産とするヤシ科の常緑高木シュロ(Trachycarpus fortunei)の葉や葉鞘を用いる。中国では葉柄が短く葉もやや小さいトウジュロ(T.wagnerianus)を用いる。日本では棕櫚葉として、中国ではおもに葉鞘の繊維を棕櫚皮として用いる。

 シュロはヤシ科であるが、耐寒性が強く、東北地方まで栽培されている。葉は幹の頂部から傘のように広がって生え、葉柄の基部の幹は葉鞘部が腐ってできた黒褐色の繊維、つまりシュロ毛に覆われている。このシュロ毛は耐水性があり、ロープや縄、蓑、敷物などに利用される。また若葉や帽子や籠なども作られる。

 中国では棕櫚皮の古いものを陳棕皮というが、廃棄されたシュロ縄などを用いる。また棕櫚皮を容器の中に入れて黒焼きにしたものを棕櫚炭、あるいは陳棕炭という。

 中国医学では棕櫚皮に収渋・止血の効能があり、鼻血、吐血、血尿、血便、性器出血などに用いる。一般に炭にすると止血作用は強まり、陳旧なものほど効果がよいとされている。煎じるよりも棕櫚炭の粉末を直接服用することが多く、また外用薬として鼻血に粉末を直接入れる方法もある。

 日本の民間では棕櫚葉の軽く焙じたものを茶剤として、高血圧や脳卒中に用いる。脳卒中による顔面麻痺や半身不随には棕櫚葉を紅花・白僵蚕などと配合する(強神湯)。また果実の棕櫚実は腎臓病や浮腫の治療に用いられる。