○あせび(馬酔木)
東北地方以南、四国、九州の暖温帯の山地に自生するツツジ科の常緑低木アセビ(Pieris japonia)の茎葉を用いる。生垣などの庭園樹としてもよく植えられ、春に白い鈴のような花が並んで下垂する。アセビは日本特産のため馬酔木というのは和製漢名である。有毒植物で、ウマやウシが誤ってこの葉を食べると麻痺することからアセビ(アシシビレ)とか馬酔木の名がある。普通、ウマやウシはこの葉を食べることをせず、奈良公園ではシカが食べないためこのアセビの木が多く繁殖している。
葉には有毒成分のアセボトキシン(グラヤノトキシンⅠ)やグラヤノトキシンⅢ、ピエリストキシンなどが含まれ、中毒すると悪心、嘔吐、腹痛、下痢、痙攣、四肢麻痺、呼吸麻痺などをおこす。古くから葉の粉末や煎液は農用殺虫剤としてウマやウシの皮膚寄生虫の駆除、農作物の害虫駆除、便槽のウジ駆除などに用いられた。