○活性Ⅱ型コラーゲン
Ⅱ型コラーゲンは軟骨に多く分布するコラーゲンで、従来からよく知られてきたⅠ型コラーゲン(皮膚や腱に多い)とはアミノ酸の配列順序が異なっている。活性Ⅱ型コラーゲンは、ハーバード大学医学部のデヴィット・R・トレンザムによってリューマチなどの関節痛に対し症状を改善する作用があることが報告され、関節ケアの新機能成分として注目されている物質である。
関節痛の原因の一つに軟骨の消耗があるが、これとは全く違う原因で起こる関節痛がある。本来は異物に対して身体を守る免疫システムが、軟骨の腫瘍タンパク質であるⅡ型コラーゲンを異物として誤認し、抗体を形成して攻撃してくるために生じる関節痛で、一般にリューマチと呼ばれるものである。軟骨の消耗による関節痛と痛みのメカニズムが異なるため、グルコサミンやコンドロイチン硫酸といった従来の関節ケア成分の補給だけでは対処が難しいとされてきた。
外の体内には、細菌などの外来侵入物と身体に有益な栄養素とを区別する経口寛容というシステムがある。トレンザムらはこの経口寛容に着目し、Ⅱ型コラーゲンが異物でなく栄養素として認識されれば免疫システムは作動しないのではないかと考えた。しかし、従来のⅡ型コラーゲン製品は化学的、あるいは高温処理によって変性されたものが多く、不活性で消化吸収性に劣っていた。トレンザムらのグループは鶏の胸部の軟骨から低温処理によって非変性Ⅱ型コラーゲンの抽出に成功、これを用いた臨床試験でのリューマチの症状改善が確認されたのである。論文はサイエンスに掲載され、①活性Ⅱ型コラーゲンを3ヶ月服用してリューマチ様関節炎患者の10名中6名が顕著に改善し、1名が完全回復した、②重篤なリューマチ様関節炎患者を被験者とする90日間の二重盲検プラセボ対象追跡試験において、活性Ⅱ型コラーゲンを服用した28名がプラセボ群に比べて有意な改善を示し、4名は完全回復した、と報告されている。(1993年、ハーバード大)
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