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土曜日, 9月 24, 2011

水溶性食物繊維(3)

○難消化性デキストリン

 難消化性デキストリンは、デンプンの加水分解物であるデキストリンを酵素で分解し、難消化性部分を分離生成した低分子の水溶性食物繊維である。デキストリンに水を加えて溶解し、アミラーゼによる加水分解、脱色・脱塩などの処理をして得られる。

 生理機能としては整腸作用のほか、血糖値の上昇抑制、コレステロールの低下作用が認められている。また、口腔内で唾液アミラーゼの作用を受けにくいため虫歯菌にも利用されない。難消化性デキストリンは水によく溶け、低粘性・低甘味で食品本来の味やテクスチャーを損ねることがないため、飲料や菓子、練り製品、スープなど多くの食材に幅広く用いられている。トクホの「おなかの調子を整える食品」での許可実績が圧倒的に多く、2005年2月にスタートした。

○イヌリン

 イヌリンはキク科植物のダリア、ゴボウ、キクイモなどの塊茎に含まれる貯蔵物質で、フルクトースが20~30個程度結合した多糖類の一種である。消化酵素ではほとんど消化されないため食物繊維として利用されるほか、脂肪と似た食感が得られることから、洋菓子類などで脂肪摂取量を低減した製品に応用されている。イヌリンはこれまで植物の根から抽出されるのが一般的だったが、酵素を使って砂糖から直接製造する技術も開発されている。

○フルクタン

 フルクトースが多数結合した単一多糖で、食品ではラッキョウに多くて含まれている。水溶性食物繊維として機能性があり、便通改善、コレステロールの低下、利尿作用などがある。福井県農業試験所と同加工食品研究所は、ラッキョウ球根部からフルクタンを抽出する技術を開発し健康食品として製品化したほか、フルクタン入り食パンやパスタなども製造している。

○ポリデキストロース

 米ファイザー社が開発した水溶性食物繊維で、グルコース、ソルビトール、クエン酸を89:10:1の割合で混合し、高温真空化で重合反応させて得られる合成多糖である。ヒトの消化酵素で分解されずに大腸へ達し、腸内細菌にも利用されにくいためエネルギー量は1gあたり約1kcalと低い。便量の増加、消化管通過時間の短縮、便性の改善などが認められている。ポリデキストロースを配合した機能性飲料「ファイブミニ(大塚製薬)」は、日本における食物繊維ブームの火付け役であり、トクホ商品にもなっている。