○緑イ貝エキス
緑イ(胎)貝は、ニュージーランドにのみ生息するイガイ科の緑色の二枚貝で、ムール貝やカラス貝と同じ仲間である。原住民マリオ族の間ではそのまま食用にされているが、「食べれば痛みが去り、体に春が戻ってくる」といった意味の伝承歌があるほど、その薬効は古くから認識されていたようである。こうしたことを背景に、ニュージーランド漁業委員会の厳しい規制の元に積極的に養殖が行われるようになり、現在は特に効能の強い生殖器を多く含んだ部分の凍結真空乾燥処理した粉末も生産している。
世界的にその効能が注目されるようになったのは、1960年代に米英共同で新しい抗ガン物質を探す研究が行われた際、アメリカのミラーらがこの貝の抽出エキスをガン患者に与える実験に取り組んだことがきっかけとなった。ガンは治らなかったが、たまたまその患者が患っていたリューマチの痛みが著しく改善されたのである。1974年には米国農水省水産研究部のワークが、リューマチ以外にも神経痛、腰痛などに効果があるとの報告書を発表して俄然注目を浴び、ついで英国ホメオパシー病院(臨床薬理科)でもリューマチの改善率75%、関節炎の改善率45%という成果を発表した。
日本では小菅卓夫(静岡薬科大学)らの研究が出色である。小菅らは、現地調査や臨床テストでは明らかにリューマチの改善を認めながら、その薬理の作用が説明できない時期が続いたが、試行錯誤の後、中国医学によるアプローチによって難解を突破することができた。すなわち、中国医学では、生命活動の根源に「気・血・水」の交流を置いているが、これは言い換えれば「エネルギーの供給・代謝・排泄」に該当するといえる。中国医学がリューマチの治療に用いる種々の処方を分析してみると、寒さや冷えを取り除く作用と、気を補う作用を持つ薬剤の両方が巧に組み合わされているのであるが、緑イ貝の効能をこの「気の補給(補気)」という面から見直して、合理的に解釈できたのである。
補気作用の強い生薬の代表は高麗人参、甘草、黄耆などであるが、臨床実験の結果、小菅らはこの薬理作用について、この補気作用は、具体的には脾臓の働きを助けて血液の新陳代謝を促すように働く。脾臓で古い血が処理されると、今度は骨髄に対して新しい血球の産生を促す指令が出されるというフィードバック現象が起こり、それによって新鮮な血液が供給されると説明している。すなわち「気・血・水」の滞りのない循環が、リューマチや神経痛の原因を取り除くのである。そのように捉えると、緑イ貝が血の若返りをもたらすとともに、強精剤としても有効であることが理解できる。
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