○アロエ
アロエはアフリカ原産のユリ科の多年草であるが、わが国へ観葉植物として輸入された同属のものだけでも優に200種を超えるほど種類が多い。そのうち日本薬局方への医薬品(苦味健胃・瀉下薬)とされるのはアフリカから輸入されるケープアロエで、従来健康食品や化粧品に繁用されるのはキダチアロエと、比較的新しいアロエベラである。
アロエの薬用植物として利用は遥か有史前に遡り、史実としてはミイラとともに発掘された古代エジプトのパピルス(紀元前1550年頃)に緩下薬としての利用が記され、また皇帝ネロの侍医ディオスコルテスの書いた「ギリシャ本草」にも薬効の記載がある。こうした歴史を持つだけにヨーロッパ全域で民間薬として定着し、中国へはシルクロードを経由して8世紀頃に生薬名「盧薈」(盧は黒、薈は集まるで、葉の切り口から出る液が空気に触れて酸化すると黒色になり、その塊を意味する)の名でもたらされたとされる。わが国へは鎌倉時代(14世紀)に中国から招来され、18世紀初頭に再びオランダ医学と共に導入されて、以来広く民間薬として今日を迎えている。
その薬効については、10世紀頃の中国の「開宝本草」に「緩下剤、あるいは火傷、皮膚病、痔疾...」と記されたことの他に、古くから内服によって胃の浄化、健胃、消化促進、便秘、通経に効果が認められ、外用して関節痛、筋肉痛、ヒビ、あかぎれ、イボ、にきびなどの皮膚傷害、脱毛、肌荒れ、水虫などに良いとされてきたが、近年はキダチアロエ、アロエベラ両方の効用として、胃炎、膀胱炎、尿道炎など炎症性疾患、高血圧、浮腫、喘息を含む呼吸器疾患、糖尿病(インスリン様の血糖値降下作用)、悪酔い、痛風、腫瘍やガンなどへの効果が実験的にも臨床的にも繰り返し報告されている。
薬効成分としては早くからアロイン(苦味配糖体で健胃・瀉血・緩下効果を持つ)、アロエエモジン(苦味健胃・瀉血・緩下効果)、アロエニン(健胃・緩下・抗アレルギー作用)、アロエチン(抗菌・美白)などが確認されていたが、抗菌作用物質とされてきたアロエウルシンに抗潰瘍作用が見出されたり、抗ガン性と関わりを持つ抗腫瘍・免疫機能活性成分として、アロエマンナン、アロミチン、アロエレクチンなど多数が新たに発見されている。そのほか、サポニン、ムコ多糖体、葉緑素、ビタミンA・B12・C・Eなど一般的な薬効成分も加わった相乗作用で、免疫機能が亢進され、その結果として、アロエの多彩な効用が生まれるものと考えられている。
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