○生漆(しょうしつ)
中国、インドを原産とする漆科の落葉高木ウルシ(Rhus verniciflua)の樹脂を用いる。この樹脂を乾燥させて固めたものを乾漆という。ウルシの幹に深い傷をつけ、しみ出てくる半透明で乳白色の粘調な樹液を採取する。
中国では殷・周の時代から漆液が利用され、日本にも太古に渡来したと考えられ、縄文時代の遺跡から漆塗りの容器が出土している。漆液は空気にさらされると酸化して硬くなり、化学変化に強く、耐久性があるため塗料や接着剤として利用されてきた。
ウルシに含まれるウルシオールはしばしばアレルギー反応を引き起こし、漆かぶれの状態になる。ちなみに漆かぶれには沢蟹をつぶしたものをつけるという民間療法がよく知られている。
日本産のウルシの主成分はウルシオールであるが、ベトナム産のアンナンウルシはラッコール、ビルマ産のビルマウルシはチチコールを主成分とし、日本産の品質が最も優れている。一般に薬用には乾漆を用いるが、生薬を丸薬として用いることもある。