○梅肉エキス
梅の薬用効果を強化させたのが梅肉エキスである。この原型は中国の烏梅(梅の実をいぶしながら乾燥させたもの)にあり、これを発展させたのが日本独特の梅肉エキスで、江戸時代の医療書「諸国古伝書秘方」には「青梅を沢山にすり、搾り汁を天日に乾かし、かきたて、ねりやくの如くになる時に、甘草五分の一を入れてねるなり」と、当時の製法が記され、その効用については、赤痢・腸チフスに該当する伝染病や食中毒・吐き下し・下痢・便秘・消化不良などが示されている。
経験的にも学術的にも梅肉エキスの効果が再認識されてきた中で、農水省食品総合研究所(当時)と(財)梅研究所が行なった梅肉エキスの共同研究では、毛細血管と同じ孔径7ミクロンのフィルターを血液が通過する時間を測定した結果、梅肉エキスを加えると通過時間が半分(約30秒)に短縮されるという血流改善効果が報告されている(1999年)。また、その機能成分として新規物質も発見され、ムメフラールと命名された。ムメフラールは天然の梅の実には含まれておらず、梅の果汁を煮詰めて梅肉エキスを作る過程で生成する物質であることが確認されている。
梅肉エキスの効用をまとめると次のようになる。①細胞間質液をアルカリ性に保つ浄血作用があり、新陳代謝を活発にして諸器官を正常化する。②クエン酸の働きで疲労物質である乳酸の発生を抑え、体の活性化、老化防止に効果的である。③梅に多く含まれている有機酸のピクリン酸が肝機能を高める。④整腸作用に優れ、便秘や下痢に効く。梅に含まれているカテキンは腸の働きを活発にする作用があり、便秘、ニキビや肌荒れにも効果的である。
梅肉エキスを使った健康食品は数多くあり、錠剤、粒、顆粒、ペースト、ドリンクなどさまざまなタイプのものが市販されている。(財)日本健康栄養食品協会による「梅エキス食品規格基準」(1989年2月公示、93年7月一部改正)がある。
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