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土曜日, 10月 12, 2013

蘇合香

○蘇合香(そごうこう)

 東南アジアに分布するマンサク科の落葉小高木レヴァントスティラックス(Liquidambar orientalis)の樹脂を用いる。トルコ産を主産地とするが、中国でも広西省で栽培されている。かつて蘇合香はトルコ近辺に産するエゴノキ科の植物、スティラクス(Styrax offcinal)から得られる樹脂のことであったが、16世紀以降、安価なためこのマンサク科の植物の樹脂に代わってしまった。

 樹脂は粘稠で芳香がある。樹幹を深く傷つけると木部の外側にバルサムが溜る。この樹皮に染み込んだ部分を剥がして圧搾し、さらに水と煮沸して圧搾すると黄白色ないし褐色の粘稠な液体が得られる。これをアルコールに溶かし、濾過してアルコールを蒸発して精製する。この水飴のような半流動性の濃い液体を蘇合香という。蘇合香は水に入れると沈み、芳香があり、苦味を帯びた辛さがある。薬用以外にも化粧用香料として用いられる。

 成分にはケイヒ酸やケイヒ酸エステルなどが含まれ、弱い抗菌作用や刺激性の去痰作用が認められている。漢方では開竅・止痛の効能があり、麝香などと同じく中枢性の興奮薬として知られている。脳卒中や失神、狭心症の発作には犀角・麝香などと配合する(蘇合香丸)。狭心症の痛みには竜脳・乳香などと配合する(冠心蘇合丸)。