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金曜日, 11月 04, 2005

大豆(イソフラボン)について

○大豆

 マメ科の一年生植物の種子で、五穀の一つに挙げられるほど日本人の大事な食糧源とされてきた大豆は、そのまま煮豆などにされるほか、豆腐、湯葉、揚げ、納豆、味噌、醤油などに加工されたり、大豆油の原料となるほど利用範囲は驚くほど広いが、これら多彩な大豆加工食品が生まれる主役を担っているのは、大豆に35~44%も含まれる、大豆タンパク質である。それ故に”畑の肉”と称される大豆だが、大豆にはタンパク質以外にも数多くの有効成分が含まれており、最近の研究から多彩な健康機能性が明らかにされている。

 現在、日本人の1日1人当たりのタンパク質摂取量は80gで、動物性タンパク質が55%、植物性タンパク質が33%となっている。植物性タンパク質では、米や小麦などの穀物タンパク質が多く(タンパク質全体の24.3%)、次いで大豆などの豆類が8.6%となっている。

 一般的に動物質タンパク質の必須アミノ酸組成はヒトのアミノ酸必要量のパターンに近く、植物性タンパク質よりも良質であるとされている。動物性タンパク質の摂取比率が下がり、逆に植物性タンパク質の比率が上がると、不足するアミノ酸(制限アミノ酸)が生ずる可能性も出てくる。しかし、動物性タンパク質を多く摂取すると動物性脂質の過剰摂取が起こり、別の健康障害を引き起こしかねない。『第六次改定・日本人の栄養所要量』では、動物性タンパク質比率を40~50%の範囲に保てば、飽和脂肪酸の過剰摂取を避け、食事として摂取するタンパク質の質も確保することができると指摘している。

 現状日本人の動物性タンパク質の比率は55%とやや高めである。豆腐や納豆といった身近な大豆食品を多めに摂ることで、日常的にこの比率を改善していくことが可能だろう。また、牛乳の代わりに豆乳を利用すれば、中性脂肪の摂取量を減らし、動物性タンパク質の比率を下げることにもつながる。

 さて、大豆タンパク質の健康機能性で最近注目されているのは、血清コレステロールの低下作用である。脱脂大豆から得られた分離大豆タンパク質を使った動物実験やヒト試験では、①コレステロール値の高い人に対しては総コレステロール値を下げる、②正常なコレステロール値の人に対してはコレステロール値を下げない、③悪玉コレステロールであるLDLやVLDLだけを選択的に下げ、善玉コレステロールのHDLは下げない、などの効果が得られている。分離大豆タンパク質を活用した食品は多数出回っており、ソーセージ、からあげ、ミートボール、ハンバーグ、乾燥スープ、清涼飲料水などが特定保健用食品として販売されている。

 なお、アメリカでは1999年11月、FDA(食品医薬品局)が大豆タンパク質を含む食品に対して「飽和脂肪酸とコレステロールを低減させることで心臓疾患のリスクを減らす」といった効能をラベルに明記してよいことを許可している。規定によれば、一食相当6.2gの大豆タンパク質を含み、余分な油脂を含まないことが最低の条件になっている。

 大豆の胚軸に多く含まれる。大豆サポニンには過酸化脂質の生成を抑制し、高血圧・動脈硬化を改善する効果が認められている。また、フラボノイドの一種である。大豆イソフラボンは、乳ガンや前立腺ガンを予防するほか、骨粗鬆症の予防にも効果があるという研究報告が出ている。さらに、大豆に多く含まれるレシチンにはコレステロールが血管壁に沈着するのを防ぐ働きがあることも知られている。