○血余炭(けつよたん)
ヒトの頭髪の毛を黒焼きにして炭にしたものを用いる。集めた髪の毛を鍋の中に入れて密封し、とろ火で焼いて、冷めるのを待って取り出す。色は真っ黒色で光沢があり、非常に軽くて脆い。
成分には高タンパク質、配分中にはカルシウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、銅、鉄、マンガン、ヒ素などの金属が微量含まれれている。血余とは髪の毛のことで、本草綱目に髪は血のあまりであるから血の疾病を治すとある。
漢方では収斂・止血の効能があり、吐血、鼻血、歯茎の出血、下血、血尿、不正性器出血などに用いる。一般に粉末にして内服するが、患部にすり込む用法もある。その他、血余炭には利水作用もあり、金匱要略には黄疸に対して豚脂と配合した猪膏髪煎、また排尿障害に対して滑石・白魚を配合した滑石白魚散が記されている。