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土曜日, 8月 25, 2012

苦楝皮

○苦楝皮(くれんぴ)

 西南アジア原産と考えられ、日本では伊豆半島以南、四国、九州に野生状態で生育しているセンダン科の落葉高木センダン(Melia azedarach)の樹皮を用いる。

 分類に諸説があるがセンダンを一般に楝樹といい、タイワンセンダンを苦楝、トウセンダン(M.toosendam)を川楝という。いずれも苦楝皮の基原植物として用いられる。一方、タイワンセンダンの果実である苦楝子は、川楝子として流通している。ちなみに双葉よりかんばしいといわれるセンダンはビャクダン(白檀)のことで全く別の樹木である。

 一般にセンダンの幹皮や樹皮を苦楝皮というが、根皮をとくに苦楝根皮ともいう。中国ではおもに根皮を用い、日本ではおもに幹皮を用いる。樹皮の成分にはトウセンダニン(メルソシン)、センダニン、メリアノン、マルゴシン、アスカロール、バニリン酸、クマリン誘導体などが含まれ、駆虫作用化や抗真菌作用が報告されている。近年、センダン葉の抽出エキスに、直接、インフルエンザウイルスを不活性化する効力が認められ、空間消毒用の噴霧器が開発されている。センダンエキスは有毒とされるが、多量に用いると顔面紅潮や眠気が出る程度で、副作用はあまり強くない。

 漢方では清熱燥湿・駆虫の効能があり、おもい回虫や条虫の駆虫に用いる。寄生虫症の治療には単独で、あるいは石榴根皮と配合して用いる(石榴根湯)。また蕁麻疹や湿疹、刺虫症などの外用薬として用いる。またセンダンの花を楝花といい、むしろの下に敷いて蚤やの予防に用いたり、焼いて出る煙を蚊の駆除に用いた。