〇しそ油
シソ科のシソ(紫蘇)やエゴマ(荏胡麻)の種子から採られる油脂で、エゴマの油脂はえ油(荏油)と呼ばれる。個の油脂が近年脚光を浴びる理由は、他の植物油ではアマニ油以外にはほとんど含まれないα-リノレン酸が主体(含有量約70%)だからである。α-リノレン酸はn-3系の多価不飽和脂肪酸で、 ヒトの体内では合成されないため食品から摂取しなければならない必須脂肪酸である。体内ではEPAやDHAに退社されるので、これらの機能も合わせ持っている。この脂肪酸の高揚が明らかにされたことから、第2の健康油として健康食品業界の寵児となった。
α-リノレン酸の注目度が高まる中で、その独自の効果も次第に明らかにされてきた。例えば、乳ガンの抑制効果に関してはアメリカのE・キャメロン(カリフォルニア州ガン予防研究所)、米倉郁美・佐藤彰夫(山梨大学)、長澤弘(明治大学)らが、また大腸ガンについては成澤富雄(秋田大学)、広瀬雅雄(名古屋市立大学)らが有効性を解明している。また、体液性免疫を司る生理活性物質のロイコトリエンがリノール酸から代謝された場合よりも、α-リノレン酸から代謝される場合の方が、数十分の一も作用が穏やかで、アレルギーによる炎症反応に対し抑制的に働くことを奥山治美(名古屋市立大学)らが報告している。このほか、血圧の上昇を抑え、血小板凝集を抑制して脳梗塞や心筋梗塞を予防するという報告もある。