〇うなぎ(鰻)
精力がつく食べ物といえば誰でも真っ先に思い浮かべるほど古くから重要な栄養源として親しまれてきたウナギ(ウナギ科)は、海で生まれ、河川や湖沼の淡水域で全長約60cmまでに成長するが、棲む場所や餌によって味が異なるといわれている。養殖ウナギは、海で産卵されて5cmくらいの大きさになったものを河口付近で採取し成長させたものである。
日本のかば焼きに限らず、スペインのオリーブオイル煮、フランスのパイ、イギリスの燻製、イタリアのムニエルなど外国でも盛んに食べられているが、欧米産と日本産とは同じウナギ科でも別種で、世界で約20種あるという。
強力スタミナ食として有名な八つ目うなぎは別の科に属すが、栄養的特徴はウナギも八つ目ウナギも同様で、なんといってもビタミンAの含有量が豊富である。かば焼き100g中には1500ug含まれているが、これはアナゴ(蒸し)の約2倍である。50gの串焼き1本で成人の1日推奨量(男性750ug、女性600ug)をまかなうことができる計算だ。ビタミンAは夜盲症の予防、細菌感染への抵抗力増強のみならず、抗ガン効果への期待から近年改めて注目されている栄養素である。このほかビタミンB1の含有量も多く(かば焼きで0.75mg)、マガレイ(焼き)の25倍にも及ぶ。さらにビタミンEやEPAも含まれており、老化防止、生活習慣病の予防にも有効である。