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水曜日, 3月 21, 2012

罌粟殻

○罌粟殻(おうぞくこく)

 西アジアを原産とするケシ科の越年草ケシ(Papaver somniferum)の果殻を用いる。いわゆるケシ坊主の乳液を採取したあとの果実であり、割って種子を除いたものである。乳液を乾燥させたものは阿片といい、種子は罌粟という。

 中国には5、6世紀ごろにインドから伝えられ、唐代の「新修本草」(659年)には底野迦(アヘン製剤)に関する記述がみられる。日本には室町時代にとらいしたといわれるが、芥子と書いてカラシとケシの両方の読み方があるなどのため詳細は不明である。また津軽地方で栽培されたためツガルとも呼ばれていた。江戸時代には津軽地方に阿片の配合された「一粒金丹」という胃腸薬や強壮強精薬として用いる秘薬があった。今日、津軽のケシは絶えて子孫がない。

 現在ではナイル河畔、ヨーロッパ頭部、カザフ及びキルギス、イラン、アフガニスタン、インド北部、東南アジアなどで栽培されている。東南アジアのラオス、タイ、ミャンマーの三国に接する山岳部はゴールデントライアングルといわれ、かつて非合法な栽培地として有名であった。

 成分にはモルヒネ、コデイン、パパベリン、ナルコチンなど20種以上のアルカロイドが含まれ、鎮痛・催眠・鎮咳などの作用がある。漢方では止痛・止咳・止瀉の効能があるが、最初、罌粟殻は北宋の時には止瀉薬として用いられ、止痛薬として用いられるのは元の時代からである。ただし日本では麻薬及び向精神薬取締法によって使用が制限されている。なお、ケシ粒といわれる小さな種子のケシノミはポピーシードとも呼ばれ、しばしばアンパンやクッキーなどに粒のまま用いられている。