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水曜日, 12月 26, 2012

昆布

昆布

 コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica Areschoug)やクロメ(Ecklonia kurome Okamura)、ワカメ(Undaria pinnatifida Suringar)の葉状体を用いる。北海道の沿岸でマコンブが生産されるが、日本では古くからヒロメとかエビスメと呼ばれて食用にされている。出汁や煮物などの食用以外にもアルギン酸製造の原料にもされている。

 クロメは本州南部から九州沿岸に分布し、本来は暗褐色だが、乾燥すると黒色に変化するためその名がある。クロメは食用のほか、ヨードの原料としても利用される。中国の植物名で昆布といえばクロメのことであり、マコンブは海帯という。ワカメは日本の北海道の西岸から九州まで、および朝鮮半島の沿岸に分布し、古来、日本の最も身近な海藻として利用されている。

 マコンブには炭水化物として多糖類のアルギン酸、フコイジン、ラミナリンなどが含まれ、また旨味のグルタミン酸やアラニン、ヨードやカルシウムなどの無機物なども多く含まれる。ヨードは甲状腺に不可欠な成分で、ヨード不足による単純性甲状腺腫に効果がある。また降圧作用や鎮咳作用なども報告されている。

 漢方では軟堅・利水消腫の効能があり、癭瘤(甲状腺腫)や瘰癧(頸部リンパ腺腫)、浮腫、睾丸腫痛などに用いる。甲状腺の腫大には海藻・貝母などと配合する(海藻玉壺湯)。浮腫や脚気には他の利水薬とともに用いる。ただし脾胃の虚寒証で下痢気味のときには用いない。

 現在、昆布のヌメリから抽出したアルギン酸ナトリウムは、コレステロールの吸収を抑え、また整腸作用があるとして特定保健用食品の関与成分に認定されている(コレカット)。またコンブの一種、ガゴメコンブ(Kjellmaniella crassifolia)のヌメリ成分、多糖体のフコイダンに抗ウイルス・抗菌、免疫賦活、血液凝固抑制、肝機能改善などの健康効果、さらにアポトーシス誘導作用、NK細胞活性化作用といった抗癌作用が認められ注目されている。