スポンサーリンク

水曜日, 11月 30, 2005

たまねぎについて

○たまねぎ

 ユリ科の1、2年草で、原産はイランといわれている。鱗茎が肥大した部分を食用とする。古代エジプトには早く伝わって一般的な食べ物として普及したが、後に、地中海地方からヨーロッパ全域に広がり、中世のドイツやイギリスでは重要野菜として扱われた。1347年に疫病が大流行したときに、ロンドンのたまねぎとニンニクを売っている店では、伝染を免れたと伝えられる。わが国では明治以降に普及した。

 現在、一般的に食べられているのは黄たまねぎ、赤たまねぎ、白たまねぎ、小たまねぎの4種である。黄たまねぎ(ストロングオニオン)は辛味が少なくサラダに利用される。白たまねぎは(マイルドオニオン)は辛味がやや少なく、サラダなどの生食用にされる。小たまねぎ(ペコロス)は黄たまねぎの成長を抑えて育てたもので、ピクルスや煮込み料理などに利用される。

 たまねぎの効能としては①高脂血症によって引き起こされる血漿コレステロールの上昇を抑制し、善玉コレステロールを増やす、②体内にある血圧上昇物質に対抗して上昇を抑えたり、利尿効果によって塩化ナトリウムの排泄を促進して血圧を下げる、③血小板凝集抑制作用があり、血栓をできにくくする(脳梗塞、老人ボケの予防)、④血糖降下作用、⑤去痰作用、⑥発汗作用などが上げられる。

 たまねぎを切ると涙が出るが、これは切断されるとたまねぎが持つ酵素が働き、涙を催す物質が生成されるからだ。これは切った直後よりも、そのまま1時間以上放置した後に強くなる。この辛味成分はアリルプロピルジサルファイドや硫化アリルなどのイオウ化合物で、硫化アリルはビタミンB1の吸収を高め、アリルプロピルジサルファイドは血糖値を下げる作用がある。イオウ化合物は、強い抗ガン作用があることでも注目されている成分である。また、たまねぎの黄色い色素であるケルセチンは高血圧予防に有効であるとされる。

 黄・赤・白・小たまねぎについて、イオウ化合物とケルセチンの含有量を比較すると、イオウ化合物は黄色たまねぎに一番多く、以下、小、赤、白の順で、ケルセチンは小たまねぎがトップで、以下、黄、白、赤の順となる。

たまねぎの商品一覧

火曜日, 11月 29, 2005

ルイボスティーについて

○ルイボスティー

 ルイボスティーは、アフリカ大陸最南端、南アフリカ共和国のごく一部の山野にのみ自生する針葉樹ルイボスの細かな葉を採取して発酵後、乾燥させた健康茶である。ルイボスは現地語で赤い灌木の意味だが、原住民は古くから不老長寿、万病への妙効を信じて愛飲してきたという。

 1900年代初頭にロシア系紅茶商人がヨーロッパへ紹介し、ついで1930年頃、現地の開業医で市長も勤めたイギリス系のP.F.ノーティエが品種改良の末、人工栽培による農産物化に成功した。味・香り・色彩ともに優れ、現在では同国の重要な輸出産品として、生産、加工、品質管理が政府の肝いりで行われている。わが国の健康茶の中では新顔に属する。

 飲み始めて比較的早くわかる効用として、便秘の改善、便の正常の変化(軟便は固く、固すぎる便は柔らかくなる)、腹部膨満感や痛みなどの改善が挙げられる。アトピー性皮膚炎や口内炎、ニキビ、イボ、肌荒れなどの改善、数ヶ月の飲用で高血圧、高血糖などが快方に向かった、精神的に安定するといった報告例が多いが、このような顕著な諸作用に対して、前田浩(熊本大学医学部)らが多くの研究成果を発表している。

 長崎大学医学部ではマウスの胎児から得た培養細胞による実験で、ルイボスティーの発ガン抑制作用を見出している。また、横越英彦(静岡県立大学食品栄養科学部)らはラットを用いた実験で、ルイボスティーの抽出エキスと茶葉粉末を投与することで、いずれの場合も血液中の中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを上昇させることを確認した。これは、心臓疾患なと゜へのルイボスティーの寄与を示唆するものである。

 そのほかにも加齢による認知症(ボケ)の防止作用、肝機能亢進作用、抗菌・殺菌作用、便臭の改善作用、さらに新しいこととしては愛知医科大学と山梨医科大学との共同研究で、エイズウイルスの増殖を抑制する働きなども確認された。こうした各種作用の根底には、ルイボスティーが抗酸化作用ならびに活性酸素消去作用を持つことが指摘されており、その作用は他の野菜類などの数倍ないし数十倍にも達することがわかってきている。

 ルイボスティーのもうひとつの特徴は、緑茶やコーヒーと違ってカフェインは0、カテキン(タンニン)は微量だが、含有ミネラルは多く、特にリンとカルシウムが飲食物としては理想的な1:1の構成比で、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが人間の体液組成比率と極めて似ていることが挙げられる。このことはルイボスティーが人体になじみやすく、細胞の活性化に寄与しやすいことを示していると考えられている。

ルイボスティーの商品一覧

月曜日, 11月 28, 2005

パパイアについて

○パパイア

 パパイアは中南米原産のパパイア科の果樹で、発生はジュラ紀にまで遡ると考えられる。幹は枝分かれせず直立し、中空である。葉は先端部に集中し、その下に実をつける。ハワイ種と、これが改良されたマレー種があり、ハワイ種は高さ20m、果実は楕円形で直径15cm、マレー種は高さ5mまでであるが実は大きく、直径20cmに達するものもある。

 完熟パパイアは生食やトロピカル・ドリンク、ジャムやシロップ漬けなどにされる。未熟パパイアは料理に使われ、キュウリのように野菜として食べられている。

 栄養価で目を引くのはビタミンCの含有量が多いことで、果物の中ではイチゴ、キウイフルーツに次いで多く、中型半個で約80mg含有しており、1日所要量はこれでほぼ満たされることになる。他に疲労回復に有効な酒石酸、リンゴ酸、クエン酸なども豊富に含んでいる。また黄色色素であるカロチノイドの一種クリプトキサンチンもゴマに次いで多い。さらに食物繊維の一種であるペクチンを多く含み、整腸作用と同時に便秘の解消にも有効である。

 パパイアの最も大きな特色は、消化酵素を豊富に保有することで、果実はもとより葉や根に至るまで広く分布している。その代表的なものはタンパク分解酵素パパインであり、パパインが自生する地では、古くから肉を葉にくるんで焼くことで、タンパク分解酵素が作用して肉が軟らかく美味しくなることを調理法として用いている。

 台湾第二の都市の高尾で一番人気のある「木瓜500」というドリンクは、オレンジ色に熟したパパイアをミキサーにかけて牛乳500ccを加え、氷と一緒にミックスした飲料だが、余り消化のよくない冷たい牛乳がパパイアの酵素で消化吸収しやすくなり、ビタミンCの補給源ともなって、食後に飲めば、肉、魚、チーズ、卵、豆などのタンパク質や脂肪の消化をも高める。高タンパク食に合ったデザートとして最適であり、また暑いときのスタミナドリンクとして、特に若い女性に愛好されている。ただ、パパインの効果は熟しすぎると余り望めないので注意したい。

 パパイアは穏やかな抗菌力のあることも知られており、障害された局所の修復を促進する力もあるので、傷ややけどは葉で包んだり、スライスした果肉を当てたりして手当てする。アメリカの著名な美容家のバージニア・トーマスは、パパイアの酵素が、肌荒れや紫外線で痛んだ肌の手入れに効果的であると発表している。パパイアとスペアミンと、スイートミントなどのハッカ成分を加えた温湿布によって肘や膝、肌の硬い部分の角質を酵素の力で分解し、古い角質を治療し、新鮮で軟らかい皮膚に改善して、赤ちゃんのようなすべすべの肌を取り戻すという。

パパイアの商品一覧

日曜日, 11月 27, 2005

高麗人参について

○高麗人参

 高麗人参は中国東北部から朝鮮半島にかけて自生しているウコギ科の多年草で、朝鮮人参ともいい、和名を御種人参という。一般の食用人参はセリ科に属し、これとは全く異なる植物である。

 中国最古の医学書・神農本草経では、高麗人参を上薬に分類し、「五臓を補い...。久しく服すれば身を軽くして、長寿延命す」と、その効能を述べている。つまり、心・肺・肝・腎・脾に作用して、その活動を活発にするのをはじめ、様々な効果を発揮し、長期に連用すれば命が長引くというわけである。

 高麗人参の作用には優れた2面性があり、たとえば「最初は精神的に興奮しても結果的にはへばって、ファイトを失う」というタイプにも、逆に「初めからやる気が起きず、ファイトも湧かない」というどちらのタイプにも効果を発揮する。これは高麗人参には鎮静作用と興奮作用という全く逆の作用を併せ持つ有効成分が含まれているためで、ジンセノサイドという人参サポニンは大脳を鎮静させる作用がある反面、体の細胞や臓器の働きを活発にして体調を整える作用もある。そのため、心身症や不定愁訴症候群、慢性肝炎(肝炎の患者はすぐにカッとなったりイライラする人が多い)などに対して鎮静作用が期待される。

 人参サポニンについては多岐の薬効薬理試験が実施されているが、愛媛大学医学部の研究グループは、インスリン作用物質として人参サポニン以外にもアデノシン、ピログルタミン酸などを明らかにし、さらに紅参(人参を蒸してから熱風乾燥したもの)に血管を弛緩させる物質として、アルギニル-フルクトシル-グルコース(AFG)を見出している。この事実は、紅参が抹消循環改善作用を有し、冷え性などを改善する可能性を示している。

 さらに肉体的抗疲労作用とともに精神的な疲労にも有効で、作業効率を向上させることが科学的にも明らかになっている。また、人間の体を正常な方向へ誘導する正常化作用、すなわち化学物質による刺激や微生物汚染、精神的ストレスなどに対して体に働きかけてホルモンのバランスを保ち、とくに副腎皮質ホルモンの分泌を調整することによって、体の抵抗力を強め、病気に対抗する力をつける効用もある。こうした代謝機能の正常化作用には、もうひとつの側面、つまり、疲れた五臓を活発化させ、その結果、性的機能を回復させる効果もある。

 そのほか、具体的な効能としては、健胃・整腸・胸痛・嘔吐・低血圧・冷え性・貧血・病後の滋養回復・疲労回復・スタミナ増強・老化防止・自律神経失調症の治療など、多くの臨床例が報告されている。

高麗人参の商品一覧

土曜日, 11月 26, 2005

クロレラについて

○クロレラ

 クロレラは、生命誕生から間もない、ほぼ30億年前から地球上に生息している淡水産の緑藻である。大きさは2~10ミクロンほどで人間の赤血球よりも小さい存在だが、驚異的な増殖能力と生命力を持っている。

 クロレラが発見されたのは1890年、オランダの学者バイリンクによってである。その食料源としての研究は、第一次大戦中のドイツで始まり、以来、第二次大戦中へと引き継がれるが、いずれも敗戦によって研究活動は一時的にストップ。この間に、ノーベル医学賞受賞者でガン研究の権威であるオット・ワールブルグが初めて生物学研究の対象の一つとしたことがきっかけとなって、第二次大戦後、アメリカとドイツを中心にイギリス、フランス、イスラエル、インドなど世界の学者が競ってクロレラの研究に取り組むようになった。

 日本でも古くから注目を集め、1951年に米国カーネギー研究所の勧めを受けた東大の田宮博が徳川生物学研究所で着手。1959年には日本クロレラ研究所が設立され、クロレラの大量培養→製品開発→市販へと発展してきた。

 当初は、NASA(米国航空宇宙局)が宇宙開発に利用する計画を進めていたこともあって、宇宙食とも言われていたが、現在は良質のタンパク質を含む健康食品として広く知られるようになっている。その成分をみると、タンパク質50%、炭水化物20%、葉緑素5%、そのほかにミネラル類、ビタミンA・B1・B2・B6・C、パントテン酸、葉酸、核酸など、豊富な栄養を含んでいる。

 クロレラは増殖→細胞分裂の過程で葉緑体も分裂し、クロレラエキスが多量に生じる。このクロレラ独自の成分であるクロレラエキスこそ、人間の健康を維持し、病気の治療に役立つ物質とされている。

 クロレラの優れた特徴となっているこのエキス成分はまだ完全に解明されていないが、細胞を賦活化する作用が認められており、アメリカ老化防止研究所所長のデビット・スチーブンブロックは、著書「長生きを見つけた」の中で、このエキス成分を「クロレラグロスファクター(CGF)」と呼び、アミノ酸、ペプチド、ポリサッカライド、ビタミン、核酸類などが複合されたものであろうと推察し、その抗老化作用に言及している。また、日本での小学生への投与試験(長崎医科大学)では、伸長、握力、背筋力の発達に効果があることを認めている。

 さらに愛知教育大学の福井四郎がクロレラ研究の過程で解明した効用を列記すると

 ①クロレラは酸性体質を弱アルカリ性に変える唯一の物質である。酸性体質は成人病の元凶であり、弱アルカリ性体質のほうが疲れにくく、病気にかかりにくい。次に細胞の働きを活発にする。クロレラエキスにより細胞の新陳代謝が盛んになり、体全体が若々しくなり、病気の予防や治療を促進する。②細菌やウイルスに対する抵抗力が強まり、伝染病などの病気の予防に効果がある。③クロレラエキスの成分の一つ、S-ヌクレオチドペプチドが赤血球の回復に役立つので、解毒効果がある。④造血作用を活発化する作用があり、貧血などに有効なほか、コレステロール値も下げる。⑤肝臓、腎臓の働きをよくする。⑥タンパク質の合成を盛んにする。スタミナ増強、疲労回復などに効果を発揮する。⑦脂肪代謝を正常化し、肥満の予防になる。

 また、重金属や合成洗剤中毒に対する解毒作用が実験で判明したほか、胃潰瘍、水虫、糖尿病、心臓病、脳卒中、生理不順などに対する効果も報告されており、体質を強化する健康食品、保健食品としての価値は高い。なお、クロレラの細胞壁が吸収を妨げることが指摘されてから、細胞壁を破砕したものも広く市場に出されるようになっている。

クロレラの商品一覧

金曜日, 11月 25, 2005

ルンブルクス・ルベルス(LR)について

○ルンブルクス・ルベルス(LR)

 中国ではミミズを蚯蚓とか地龍と呼び、薬物として扱ってきた歴史がある。ミミズは毛足網貧毛目に属する環形動物で、その仲間は体調0.5mmから4.5mの長さに達するものまで、世界中に11科、約1700種が分布し、日本だけで300種近くが棲むといわれている。北半球にはツリミミズ科に属するものが多く、南半球にはフトミミズ科のものが多い。

 そのうち、薬用となるミミズは特定の種類であるが、あらゆる植物や動物、キノコ類、鉱物類を渉猟して薬効を見出し、それらを生薬のリストに取り入れたいった古代中国の先人は、ミミズにも熱い視線を注いできたわけである。1世紀末から2世紀初めにかけて記述された中国最古の薬物書・神農本草経には、すでに白頸蚯蚓の名で収載され、婦人病、虫下しの薬物とされている。また、11世紀の宋時代の薬物書・図経本草には地龍の名で登場し、各種の効用が記され、近年それらの効用を裏付ける有効成分も明らかにされてきている。それは以下のようなものだ。

 ①解熱作用として、ミミズにはルンブロフェブリンという成分が含まれ、胃を荒らさない解熱剤となる。②鎮痛作用として、ミミズには貴重な金を含む塩化窒素化合物が2種類含まれ、鎮痛効果をもたらす。金には痛みを止める効果があり、鍼灸でも痛みの治療には金針を用いる。③鎮痙作用として、ミミズは筋肉痙攣を鎮める作用のある多量のカルシウムを含んでいる。④利尿作用として、ミミズに含まれる多量のカリウムが利尿を促進する。

 このほか、抗炎症作用や鎮咳作用のほか、図経本草には、脳溢血によって起きる中風の後遺症を改善する特効薬は地龍であると記載されている。中風によって運動神経が麻痺して半身不随になるのは、運動を司る小脳を脳出血で固まった血が圧迫するためだが、この地流が麻痺を改善するという記述は、その中に血栓を溶かすことができる強力な有効成分が含まれていることを示している。そして。その1000年後の日本において、フトミミズの一種から副作用の全くない血栓溶解酵素ルンブロキナーゼが国立宮崎医科大学で見出され、この記載の正しさが立証されたのである。

 現在、脳卒中などの血栓を溶かす薬物としては、ウロキナーゼやt-pAなどかあるが、こられは直接血栓を溶かすのではなく、体内でプラスミン(線溶活性酵素)を作り出す間接的な補助剤に過ぎない。また効果は短時間で、作用が弱いという欠点もある。さらにこの薬は内服できず、点滴注射や脳内に直接注入という方法がとられるため、投与量が多過ぎると逆に血管を傷つけたり、出血時に血液が止まらないという副作用を持ち、非常に高価であるという欠点もある。

 これに対してフトミミズ由来のルンブロキナーゼは、血栓を直接溶かす作用を持ち、口から服用しても分解せず、効果が長時間持続し、しかも値段が安いという、夢のような長所を持っている物質なのである。こうした特徴が評価され、ルンブロキナーゼは、①血栓溶解、②高血圧の改善、高脂血症の改善、④糖尿病の改善、⑤製造法という5つの日本特許が認められ、米・英・ECなど世界23カ国の国際特許を得ている。

 このように、非常に幅広い健康効果が実証されているミミズだが、健康食品として利用されるようになったのは最近のことである。それは、漢方処方にも配合されて幅広く病気治療に使われてきた生薬・地龍(日本産は材料として、「カッショクツリミミズ」の体内の土砂を取り除き、丸ごと乾燥させたもの。古くから高熱の特効薬として、また鎮痙、利尿、解毒剤として使われたきた)は、薬事法に基づく食薬区分で、医薬品成分に収載されているために、食品としての使用ができなかったからである。

 現在、わが国で健康食品に使用することができるのは、欧米などで食用にされてきた赤ミミズ(レッドウォーム、学名はルンブルクス・ルベルス)で、漢方生薬の広地龍の材料となる参環毛ミミズと同じ仲間のフトミミズ化に属し、ニュージーランドやアフリカ中部の原住民の高タンパク食品と頻用してされてきた種類である。米国でタンパク源として、ペットフードにも盛んに利用されている。

 ルンブルクス・ルベルス(LR)食品は、このレッドウォームを原料として、厳しい品質管理のもとに滅菌処理をして精製粉末化され、カプセルの形で供される機能性食品である。それ単独でも所期の目的である血栓溶解・血行促進といった食効が得られることは既に多くの研究で明らかにされているが、さらに幅広い食効や保健効果を求めて、他の伝統的な健康食品との組み合わせも行われている。

ルンブルクス・ルベルス(LR)の商品一覧

木曜日, 11月 24, 2005

ウコンについて

○ウコン

 ウコン(鬱金)は熱帯アジア原産のショウガ科ウコン属の多年草で、春(初夏)にピンクの花を咲かせる春ウコンと、秋(晩夏)に白い花の咲く秋ウコンの2種類がある。いずれも地上部は芭蕉に似た形状で高さ1.5mほどになり、生姜に似た大きな根茎を持ち、ときにそこから出たひげ根の先端が肥大根となる。掘り上げた生の根茎を切ってみるとどちらも高い芳香性があるが、内部の色に違いがあり、春ウコンが鮮やかな黄色であるのに対し、秋ウコンは橙色を帯びる。乾燥した粉末をみても、この差は歴然としている。また、春ウコンにはやや辛味と苦味があるが、秋ウコンには苦味は感じられない。優れた薬効を発揮する生薬として用いられるのは春ウコンの根茎であるが、両者の区別がはっきりしたのは近年の研究成果である。従来カレー粉の原料として利用されてきたのは主に秋ウコンで、特有の味と香りはターメリックと呼ばれる香辛料が主役となっている。また、各種食品の黄色の着色剤としても用いられる。

 中国薬草書の古典、本草網目には、このウコンに関して、鬱金と姜黄の2つの記述があり、鬱金については「...血を止め、悪血を破る。血淋、尿血、金瘡を治す」とされ、姜黄については「...気を下し、血を破り、風熱を除き、血塊を治し...」としたあとで、「功力(効力)は鬱金より烈し(強し)」と述べている。また伝統的に中国では、春ウコンの根茎を姜黄と呼んでいたことも考え合わせると、ここで述べられた姜黄が春ウコンであると解釈するのが妥当であると考えられている。

 日本では、既に平安時代中期に中国から渡来し、慶長年間(1596~1610)に沖縄(琉球)特産の薬草として珍重され、砂糖とともに重要物産として専売制を布いて大々的に栽培され、次いで九州南部でも生産されるようになって、健胃薬、通経薬、利胆薬、産後の下血、血尿、体内の鬱血を解消する駆?血薬として広く用いられ、平胃酸、猪苓湯などの方剤としても盛んに利用された。近年、伝統的生薬を見直す機運の中で改めて脚光を浴び、糸川秀治(東京薬科大学)らによる成分分析や作用の解明が進められるとともに、前記のような春ウコン、秋ウコンの区別なども明らかにされたきたものである。

 黄色い色素であるクルクミンや精油成分についての薬理試験では、肝臓の解毒機能促進、胆汁分泌促進、胆道結石除去、利尿、強心、抗出血、抗菌、抗潰瘍、血中コレステロールの抑制作用などが明らかにされている。適応症としては肝炎、胆道炎、黄疸、胃炎、生理不順、高血圧、低血圧、動脈硬化など多くを数えるが、近年は特に慢性C型肝炎を含む肝臓病、がん、糖尿病への効能に期待が寄せられ、老化や万病の元といわれる活性酸化やその除去作用、抗酸化作用にも関心が高まるようになった。同じショウガ科に属するガジュツも、薬効に富む植物としてよく知られている。

ウコンの商品一覧

秋ウコンの商品一覧

水曜日, 11月 23, 2005

琉球もろみ酢について

○琉球もろみ酢

 醸造酢は、原料の糖質をまずアルコール発酵させたあと、さらに酢酸発酵させることによってその酸味を醸成することが製法の基本である。その糖質を得る原料として、主に穀物(米・麦・トウモロコシなど)や果実(ブドウ・リンゴなど)が用いられるが、この原料の違いや発酵菌の種類が、できた醸造酢の風味はもとより、その健康効果を大きく左右することになる。

 琉球もろみ酢は、沖縄の特産品である泡盛がベースであるところに第一の特徴がある。

 泡盛の醸造には伝統的に精選されたタイ米が使われてきていることも特色の一つだが、中でも特筆すべきは、アルコール発酵から後発酵まで、一貫して発酵菌に黒麹菌が使われることである。

 その結果、一般の食酢の場合には酸味の主成分が酢酸であるのと異なり、琉球もろみ酢ではクエン酸が主体となる。そしてこのクエン酸が、琉球もろみ酢の特徴的な健康効果である運動能力の向上、疲労回復、結石の抑制、肩こり・腰痛の予防、抗菌・抗ウイルス作用といった働きをもたらすのである。

 体内でグルコース(ブドウ糖)や脂肪酸がエネルギーに換わるのには、無酸素状態でその化学的エネルギーを開放する解糖系と、もっと遥かに多くのエネルギーを生むクエン酸回路(ATP回路)という反応系(有酸素状態で行われる)があるが、クエン酸を起点に一巡しながらエネルギーを生む目的物質であるアデノシン-3-リン酸(ATP)を産生するこの反応は、細胞内のミトコンドリアという小器官で行われるため、そこへ自由に入っていけるクエン酸が直接的な活力源として寄与できると考えられるのである。

 琉球もろみ酢に、非常に多彩かつ豊富にアミノ酸が含まれていることも高い機能性がもたらされる一因だが、これはその醸造にタイ米と黒麹菌が用いられるためと考えられている。

 すなわち、黒麹菌を加えて熟成したもろみ(諸味・醪)から泡盛を蒸留したあと、もろみをさらにゆっくりと熟成させる過程で、米に含まれていたタンパク質が、機能性を持つ多様なアミノ酸に細かく分解され製品に含まれるのである。このタンパク質の分解力は発酵菌の種類によってそれぞれ差があるが、黒麹菌が作用した琉球もろみ酢では必須アミノ酸を含む18種のアミノ酸が分析されている。

 天然醸造酢は原料と菌の合作であり、醸造法や環境因子も考慮に入れると大変バラエティーを持つわけで、その機能性の全貌が見えたわけではない。したがって実際の飲用効果と成分との対応が完全にはとれないが、琉球もろみ酢に特に顕著な元気の回復や、体の抵抗性を高めるという働きは、多量に含まれるクエン酸によるところが大きいと考えられる。しかしこの場合でも、それが発酵菌による天然醸造によって醸し出されたもので合成された成分でないこと。また他の成分との複雑な相互関係による結果であることは容易に理解できるであろう。

琉球もろみ酢の商品一覧

火曜日, 11月 22, 2005

キチン・キトサンについて

○キチン・キトサン

 キチンは、カニ・エビ・シャコ・オキアミなどの甲殻類の外皮や昆虫の外皮、キノコなど菌類の細胞壁の主成分を構成するアミノ酸重合体。19世紀の初頭に発見され、ギリシャ語で、封筒の意味を持つキチンと名づけられた。非常に堅固な構造をしていて水に溶けないが、このキチンを熱した濃いアルカリ溶液に浸漬しておくと、その分子(N-アセチルグルコサミン)からアセチル基が脱落してアミノ基に入れ替わったキトサンに変わり、希有機酸には溶けるようになる。

 キチンとキトサンを総称をしてキチン質と呼ぶ場合がある。

 キチンは植物のセルロースと同様、地球上に無尽蔵に存在する物質だが、硬い構造のために利用されることもなかった。しかし1970年頃、未利用生物資源の活用を巡ってアメリカで注目されるようになり、ほぼ10遅れて日本でも、毎年大量に排出される缶詰用ベニズワイガニの殻の再利用が研究開発の対象となってからは、多方面で基礎研究と技術開発が進み、たちまち畜産・漁業用の飼料、殺虫・殺菌剤、汚水処理などのほか、化粧品の溶剤、各種の網やラップ、さらに医療用に人工皮膚、手術用縫合糸などへと、その用途を広げた。

 その幅広い応用範囲の中に、健康食品・機能性食品として活用法がある。現在、年間1200トンほど生産されているといわれるキチン・キトサンのうち、健康食品としての利用は約3%ほどであるが、20世紀最後最大の天与の物質といわれるほどに、幾多の顕著な効果が報告されている。

 平野茂博(鳥取大学農学部)を中心とする研究グループや、奥田拓道(愛媛大学医学部)らの研究が注目されているが、キチン・キトサンが特定の臓器(心臓や肺)の病変を直接直す物質ではなく、身体のもつ自然治癒力、すなわち免疫力を高めて自らの疾患を治していくのを助ける作用があるということについては広く認められてきており、ガン、肝炎、糖尿病、腎臓病、アレルギー性疾患、高コレステロール血症(高脂血症)、神経痛、腰痛、白内障、慢性便秘、四十肩・五十肩など、非常にバラエティーに富む多くの治癒例が医療関係者から報告され、それぞれの作用機序が基礎研究者によって明らかにされてきている。

 例を示すと、奥田らは、キチン・キトサンが食塩の摂り過ぎによる高血圧を抑制することを確かめて話題を集めた。これは、血圧を高くする原因物質が従来いわれていたように食塩の成分のうちのナトリウムではなく、塩素であることを突き止めたもので、これだけでも常識を打ち破る貴重な成果であるが、この原因物質の塩素(マイナスに荷電)をキチン・キトサン(プラスに荷電)が腸内で吸着して体外へ排出してしまうために、血圧への悪影響は出なくなるというのである。すなわち、食塩制限のため不自由な食生活をしていた高血圧患者でも、キチン・キトサンを摂取することで、普通の食事をしながら治療を続ける道が開けたことになる。

 キチン・キトサンは塩素だけでなく、同じくマイナスに荷電した胆汁酸と結合した糞中に排泄される。この排泄によって体内の胆汁酸が不足し、コレステロールから胆汁酸への転換が肝臓で進む結果、血液コレステロールが低下する。

 キチン・キトサンはまた、小腸内で食品に含まれる脂肪に結合し、膵臓リパーゼが働けないようにして、脂肪の腸管吸収を阻害する。このようは肥満予防に連なる。

 さらにキチン・キトサンは、NK細胞やLAK細胞(ともにガン細胞を殺す作用を持つ)の働きを上昇させ、人のガンに対する抵抗力を強める可能性を持つ。

 なお、キチン・キトサンを加えた有機肥料を畑の中にすき込む事で土壌改良をし、さらにキチン・キトサンの誘導剤を散布することで、化学肥料や農薬に頼らない野菜類やお茶の生産に成功している例も数多く報告されている。

キチン・キトサンの商品一覧

キチン・キトサン(Diet)の商品一覧

月曜日, 11月 21, 2005

ハタケシメジについて

○ハタケシメジ

 ハタケシメジ(畑占地)は、味は天下一品とされるホンシメジと同属であり風味が優れているため、様々な方法で人工栽培が試みられたが成功しなかった。しかし、ついに念願の人工栽培技術が確立(王子森林資源研究所)して大量生産に成功、機能性が期待される健康食品の一因に加わることになった。ホンシメジはマツタケのように土中の生きた根に共生する菌根菌であるのに対し、同属でありながらハタケシメジは土中に埋もれて腐朽の進んだ木片に繁殖する腐生菌としての性質を持っていたことが、人工栽培の成功につながったのである。

 他の多くのキノコ類に抗ガン作用が見出されていることを受けて、ハタケシメジの機能性研究もその抗ガン活性の検証から着手され、1998年の日本癌学会総会において、その効果に関する学会発表がなされた。「ハタケシメジに含まれる抗腫瘍活性多糖の分離・精製とその構造」である。

 キノコの抗ガン作用研究にとって画期的なこの学会発表は、ハタケシメジの実験を基礎としたものであった。その実験はハタケシメジの熱水抽出画分(F-1)ならびにそれをアルコール沈殿させた画分(F-2)を調整し、それぞれ0.5%、0.1%に希釈して、0.3mlを15週齢の雌マウスに腹腔内投与、2時間経過後に腹腔浸出細胞(主にマクロファージ)を採取してC3高原を定量するというものであった。

 その結果、C3抗原(抗原抗体反応によって活性化される血清タンパク酵素系で、溶血・溶菌反応に必須の物質)が最高15倍にも上昇することが観察された。この現象は、マグロファージが強く活性化したことを意味する。

 次いでザルコーマ180固型ガンを5週齢の雌マウス12匹(642群)に移植、そのうちの1群にハタケシメジの熱水抽出画分(10mg/kg)を10日間連続して投与(注射)した。その結果、対照群(6匹)は全て罹患し、そのうち3匹は35日までに死んだが、投与群(6匹)は100%健全であった。

 その後行われた第2弾の実験が先の学会発表になるのであるが、上記F-2画分をイオン交換クロマト法、ゲル濾過法で8シュルイの画分に精製し、ザルコーマ180固型ガンを移植した5週齢の雌マウスに、腹腔内投与(注射)及び胃ゾンデによる経口投与を行った。経口投与実験は、将来これが健康食品として提供されるためには、実際問題としてぜひとも必要なものである。その結果、移植4週間後の生存率は精製した2画分で100%、ガン完全消失率も90%という好成績を見たのである。また、経口投与でも46%と高い腫瘍抑制率を示した。

ハタケシメジの商品一覧

日曜日, 11月 20, 2005

核酸(DNA・RNA)について

○核 酸

 核酸が発見されたのは1869年、スイスの化学者ミーシャーによる。動植物全ての細胞(特にその核)に含まれる高分子有機化合物で、酸性を示すことから核酸と名づけられ、以後、遺伝的性質に関与する物質として研究された。今世紀前半には遺伝子DNAとRNAが含まれていることが明らかにされ、1953年にはJ・ワトソン(米国)とF・クリック(英国)がその分子構造を明らかにして、1962年にノーベル生理・医学賞を受賞している。この頃からアメリカではヘルスフードへの応用が模索され始めて、1976年にはアメリカの開業医B・フランクが臨床経験を踏まえて、核酸を多く含む食品の摂取が有益であることを発表して話題をさらった。

 数年後にはわが国にも紹介されたが、当時用いられていたのは低分子の核酸であったために大きい効果が得られず、大きな市場を形成するまでには至らなかった。しかし基礎的研究は続行され、現在主流を占める鮭の白子から精製されるような高分子の核酸の登場によって、高い評価を得ることになったのである。

 生物の細胞は、細胞壁に包まれた細胞質の中に浮かぶ核があり、その中に染色体という物体があるが、これはすべての遺伝情報を保持したDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)とタンパク質とならなっている。人の例を述べると、1個の受精卵がまず2つに分裂するが、そのとき遺伝子も全く同じものが複製され、分かれたほうの核に組み込まれる。2つは4つに、8つにと倍々に増えていき、ついには60兆個もの細胞となって1個の肉体が完成するのであるが、その全ての、細胞がその人に固有の同じ遺伝子を持っているのである。遺伝子DNAには、その人の生命活動に関わる一切の遺伝子暗号が書き込まれており、RNAはそれに基づいて特定のアミノ酸からタンパク質を合成するとき、細胞内にその場所を作ったり、必要な遺伝情報をDNAからそこへ運んだり、あるいは細胞内のアミノ酸を集める役割をする。

 人体では脳や心臓の細胞などを除く全ての細胞が常に新陳代謝して入れ替わり、約200日で全身の細胞が新しく生まれ変わるために、たくさんの核酸を消費している。その核酸は肝臓で生合成(デノボ合成)されるか、食品中の核酸から再合成(サルベージ合成)する形で補われる。ところが20歳を過ぎると肝臓でのデノボ合成機能が衰えるため、食品による核酸補給への依存度が高まってくる。しかし、普通の食品の中に含まれる核酸成分は低分子なので、腸内で消化されてしまってサルベージ合成の役に立ちにくいのである。

 その点、鮭の白子や酵母などの核酸は高分子であるから最後まで分解されてしまうことなく、低分子の状態で吸収されて各細胞に運ばれ、再合成の原料になることができる。このことを逆に考えれば、核酸の補給が不自由分だと細胞の新陳代謝が遅くなり、それだけ組織や器官の老化が促進されるということである。

 人体では、紫外線や外傷の害を受けやすい皮膚や毛髪、あるいは生殖器官は特に新陳代謝が盛んで、したがって核酸を多く消費するのであるが、核酸食を十分に摂っていると皮膚や髪の若々しさが保たれる。性的機能が高まるという経験的事実は、上記のような考え方の妥当性を裏付けるものといえよう。

 また、核酸は塩基とリン酸からなるヌクレオチドが多数連なったものであるが、小腸内でヌクレオチドから、さらにヌクレオシド(塩基に糖が結合したもの)にまで分解され吸収される。これらのヌクレオシドの中のアデノシンは、脂肪細胞内の脂肪合成を促進すると同時に、脂肪分解を抑制するインスリン様作用を持つ。また、ノルアドレナリンの細動脈収縮を阻止するα-ブロッカー様作用も併せ持っている。かなわち成人糖尿病を改善し、抹消循環をスムーズにして、肩こりや冷え性をよくする可能性を持つ物質である。

 もう一つ見逃せないのは、活性酸素の被害への対応である。農薬や食品添加物、大気汚染など種々の原因で体内に発生する活性酸素が、老化現象をはじめ動脈硬化など多くの疾病の原因となり、細胞内に入って核酸を酸化し、DNAの遺伝情報を損傷する恐れがあることが、近年随所で指摘されている。核酸は、そのようなダメージを受けた細胞を修復するための貴重な材料物質としても、有効に作用すると考えられているのである。

核酸の商品一覧

土曜日, 11月 19, 2005

にんにくについて

○にんにく

 ニンニク(大棗)はユリ科の多年生草木で、4~10個程度の鱗片からなる鱗茎を食用とする。古代エジプト時代から香辛料や強壮剤として使われ、約2000年前にインド、中国を経て、日本に伝わってといわれる。したがって古くからその効用が知られており、漢方では発汗、解熱、呼吸器病、喘息、百日咳。健胃、下痢、吐潟などに効くとされている。

 ニンニクの有効成分については、1936年にわが国でスコルジニンが発見され、抽出に成功したのをきっかけに、科学的解明が大きく前進した。1940年代にはアメリカとスイスの学者によってアリイン、アリシンが発見され、ニンニクの効能が証明されるに至った。スコルジニンはニンニク臭と無関係な成分で、強壮効果を発揮する基である。その作用は強力な酸化還元作用によって、体内に入った栄養物を完全に燃焼させてエネルギーにする働きがある。その結果、体組織を若返らせ、新陳代謝を盛んにするので強壮、疲労回復、食欲増進、解毒等に効力を発揮する。

 アリインは硫化アリルの一種で、ニンニク中のアリイナーゼという酵素によって加水分解されるとアリシンに変わる。アリシンはニンニク臭の素となっている物質で、強い抗菌作用を持っており、チフス菌やコレラ菌をはじめ寄生虫や原虫、抵抗力の強い結核菌やライ菌にまで作用することが確かめられている。このアリシンが体内でビタミンB1と結合するとアリチアミンというビタミンB1化合物になるが、ビタミンB1分解酵素のチアミナーゼの作用を受けないため、活性持続型ビタミンB1とした体内で有効に働くようになる。ビタミンB1は糖質の代謝を助ける働きをするが、不足すると疲労感や不眠、イライラ感が生じる。ニンニクを食べると疲労が回復するのは、このアリチアミンという化合物の作用によるものである。

 にんにくにはまた、抗ガン食品としても優れた効果のあることがわかり、大きな関心を呼んでいる。アメリカと中国が共同で行った疫学調査によると、にんにくを年間1.5kg以上摂っている人は、ほとんど食べない人に比べて、イガの発生率が半分以下という結果が報告されている。にんにくとがん予防に関する研究はまだ始まったばかりだが、前出のアリシンにはNK細胞の活性を高める作用があることや、にんにくに含まれるイオウ化合物(ジアリルスルフィド、アリルメチルトリスルフィドなど)には、発ガン物質の毒性を消す解毒酵素の働きを活性化したり、加熱によってストレスが加わる生成される自己防御物質アリキシンに、発ガンを抑制する作用のあることがマウスの実験によって明らかにされている。

 1990年、アメリカの国立がん研究所(NCI)は植物性食品に含まれる抗ガン成分を研究するプロジェクトを発足させたが、その中で最も重要性が高い食品としてピラミッドの頂点に位置づけられたのがニンニク(ガーリック)であった。このようにニンニクは今、古くからの強壮・強精という顔に加えて、抗ガン・抗酸化食品という新たな役割も担おうとしている。

ニンニクの商品一覧

金曜日, 11月 18, 2005

プラセンタエキスについて

○プラセンタエキス

 哺乳動物では、受精卵が子宮内壁に着床すると同時に胎盤(プラセンタ)が形成され始める。そして、胎児はそれを通じて母体から酸素や栄養の補給を受けると同時に、体内に生じた老廃物を排出するのであるから、いわば胎盤は胎児にとって、肝臓・腎臓・肺臓の役割を併せ持つ臓器であるということができる。胎盤はその科にも造血、タンパク合成、有害物質の解毒作用を持つばかりか、ホルモンを分泌して母体の排卵や子宮の収縮を抑制したり、乳腺を発達させたり、子宮頚管や骨盤軟骨部を柔らかくし、分娩に際しては、子宮の収縮や乳汁の分泌を促進させる働きを持つ。

 このように、体内で生命を育て上げるという絶妙な働きを持つ胎盤への関心は古くからあり、約1400年前の薬物書「本草拾遺」には、人胞と胞衣の名で、また16世紀に李時珍が編纂した「本草網目」には紫河車の名で記録されている。これは肉食動物はもちろん、本来は肉を全く食べない牛や馬のような草食動物さえ、出産直後に必ず胎盤をきれいに食べてしまうという事実に注目した結果である。江戸時代ではわが国でも紫河車を取材とした混元丹や牛車肉や紫河車丸などが用いられた。いずれも「虚を補う」もので、全身の衰弱、肺結核、貧血、気管支炎、喘息、子宮や卵巣の発育不全、神経衰弱などに用いられたのであるが、もちろん同時に不老長寿、若返り、強壮・強精が期待されたことは言うまでもない。

 胎盤の効用に光が当てられた最初は、旧ソ連オデッサ医科大学のフィラトフが組織療法に用いたことであるが、わが国では戦中から戦後にかけて1960年代以降、多くの大学研究室や民間研究機関でテストが開始され、胎盤に含まれる水溶性成分、脂溶性成分の解明、臨床研究、さらに成分抽出法の改良が行われた。酵素分解処理や凍結融解処理など各種の処理法によって違いはあるが、各種のアミノ酸、ペプタイド、ミネラル、ビタミン、酵素類、糖類などからなる生理活性物質が分析されており、さらに未知の低分子有機物の存在が推定されている。

 次々に明らかにされた効用は非常に多岐にわたっており、末梢神経促進作用、細胞賦活作用、活性酸素除去作用、抗炎症作用、抗疲労作用、発育促進、造血機能の活性化、細菌感染に対する抵抗力増強、乳汁分泌の亢進、自律神経の調整作用などが認められているが、最近は抗アレルギー作用も明らかにされて花粉症や皮膚炎への対応が期待されているほか、発ガン抑制作用の研究(国立遺伝研究所)にも新たに感心が寄せられている。

 プラセンタエキスは、既に慢性肝炎、胃・十二指腸潰瘍、更年期障害などを適応症とする医薬品(注射薬)として認定されているほか、経口的に摂りやすいエキス類も各種提供されており、肌の若返りを目指す化粧品への活用も盛んに行われている。

 プラセンタエキスの商品一覧

木曜日, 11月 17, 2005

玄米について

○玄米

 玄米は久しく忘れられた存在であったが、近年、加工食品の氾濫、食事の欧米化による弊害が指摘される中で、日本人の主食である米の栄養価が再検討されるに及び、健康回復の決め手として注目されるようになった。

 玄米も白米も同じイネ(稲)であることはいうまでもないが、精米の過程でさまざまな有用物を取り除いてしまったのが白米であるといえよう。稲は外側から順に籾殻、果皮・種皮・糊粉層からなる米糠、胚乳という構造になっており、胚乳には発芽部分である胚芽(米胚芽)がついている。このうち、籾殼のみを取り除いたのが玄米、米糠と胚芽を取り除いて胚乳だけになったのが白米である。また、精米法を工夫して、胚芽を残しながら米糠部分だけを取り除いて胚芽米もある。

 胚乳がほぼデンプンだけであるのに対し、米胚芽にはビタミンB群、ビタミンE、K、ミネラルが豊富に含まれている。また米糠には良質なタンパク質、脂質、植物繊維類が豊富だ。果皮と種皮層には脂肪、タンパク質、植物繊維(セルロース)など、糊粉層には脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをそれぞれ含んでいる。植物繊維は胃や腸の蠕動を活発にし、便秘の予防に役立つほか、腸内でビタミンを合成する働きがあり、現代人に不足がちな成分として重要性が見直されている。このような意味から、玄米を「完全食品」と定義する人も多い。

 そこで白米偏食によって起こる障害であるが、便秘、貧血、不眠、思考力の低下、物忘れ、脚気、自律神経失調症、動脈硬化、肩凝り、慢性疲労のほか、ガンの原因にもなる、と報告されている。なかでも脚気は、江戸時代以降に白米を多く摂るようになったことからビタミンB1が不足して急増したもので、明治時代には日本人の国民病とまでいわれていた疾患である。

 一食に白米を茶わんで2~3膳食べる人が栄養のバランスをとるには、食べきれないほどの副食品を食べる必要があるが、玄米ならばその必要はない。逆にいえば、それほど玄米には各種栄養素がバランスよく含まれているのである。玄米の効用についてまとめてみると、次のようになる。

 ①玄米の外皮のセルロース(植物繊維)が腸壁を刺激し、胃や腸の働きを活性化し、消化吸収を早める。そのため便秘の解消や慢性胃腸病の回復などに効果がある。②血圧を正常に戻し、コレステロールを減少する作用がある。白米は酸性食品だが、玄米は胚芽中のビタミン、ミネラルが豊富で、体内で吸収されると血液をアルカリ性にするアルカリ性食品である。これによって、血糖値が正常に保たれ、ストレスに対する抵抗力がつき、高血圧、動脈硬化に効果がある。また、鉄分をはじめとするミネラルがレバーに匹敵するほど多く、造血機能を高め、貧血の予防・治療にも有効である。③心臓病や痔、あるいは虚弱体質といわれる人にも有効である。また、玄米食をゆっくり食べると過食をしなくなるので、栄養過多にようる糖尿病、肝臓病にも有利に働く。

 玄米は通常、白米と同じように炊いて食べるが、精白米に比べると硬いため圧力釜を利用することが多いが、最近は玄米を簡単に炊くことができる家庭用炊飯器も売られている。普通の炊飯器を使う場合は二度炊きして炊き上げる工夫が必要だ。このほか、普通の土鍋を使い、玄米と一緒に入れて炊くと炊飯中に玄米が発芽し、やわらかく炊き上がるという特殊なセラミック製品も出ている。どうしても玄米の堅さが気になるという人は玄米粥にして食するという方法もある。また最近では、玄米の全粒を微粉末にした製品もあり、さまざまな料理に活用することが可能だ。

水曜日, 11月 16, 2005

牡蠣肉エキスについて

○牡蠣肉エキス

 牡蠣は、欧米では海のミルク、海のフルーツと呼び、日本でも海の玄米といわれるほど、その栄養価の高いことで知られている。そのため、古くから体力増強、滋養に役立つ貴重な栄養食品として利用されていた。(牡蠣殻も良質のカルシウム源として利用されている。)

 牡蠣肉エキスの栄養的特長はタンパク質25%、灰分18%、糖質40%、その他グルコースなどである。この中で、糖質の50%以上がグリコーゲン(貯蔵多糖体)で占められているのが注目される。グリコーゲンは、通常は摂取した糖やグリセリンなどから合成され貯蔵される栄養成分であるが、牡蠣の場合これを食べると、唾液に含まれる酵素のアミラーゼによって消化され、胃腸の働きを要せず直ちに体内に吸収され、滋養となる。そのため、即効的滋養、強壮効果が期待できる。

 次に高タンパクという特徴がある。生100g中、約10gのタンパク質含有率で、さらに、その中身が良質なことも重要である。イソロイシン、リジン、メチオニンなど8種の必須アミノ酸をはじめ、その他10種、合計18種類のアミノ酸が含まれている。

 さらに動脈硬化を防ぎ、血圧を下げるアミノ酸の一種・タウリンの依存がクロースアップされる。研究によると、高血圧自然発症ラットにタウリンを加えた飼料を与えたところ、血圧の上昇を抑え、動脈硬化の発生原因となる血中コレステロールを減らすことを発見した。

 愛媛大学の奥田拓道らの研究グループは、牡蠣肉エキスにインスリン作用があることを見出し、その成分がアデノシンであることを明らかにし、また過酸化脂質投与ラットの肝臓障害及び高脂血症の予防効果を見出して報告している。

 そのほか、ビタミン類ではビタミンEをはじめ、B2、B6、B12などがあり、ミネラル類ではカルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、マンガン、コバルト、要素などを豊富に、かつバランスよく含んでいるのが特徴である。こうした牡蠣の栄養豊かな栄養が、優れた効用を発揮するのに役立つわけである。例えば、肝腎かなめの臓器である肝臓の働きが少しでも低下すると、根気がなくなった、疲れやすい、朝が起きにくい、などの自覚症状が現れる。衰えた肝臓機能の改善・向上を図るには、高タンパク・高ビタミン・高カロリーの食事が基本となるが、牡蠣肉エキスはこうした条件を満たす貴重な健康食品である。

 肝臓に関する効果意外では、①貧血によい、②血圧を正常にする、③ホルモン分泌を促進する、④細菌やウイルスに対する抵抗力が付く、⑤内臓障害を予防する、⑥筋力・体力を付ける、⑦老化を防ぐ、⑧ストレスに強くなるなどがある。

 牡蠣肉エキスの商品一覧

火曜日, 11月 15, 2005

有機ゲルマニウムについて

○有機ゲルマニウム

 ゲルマニウムはという元素は1886年、ドイツのウィンクラーが銀鉱石を分析中に新元素を発見、これを祖国(ゲルマニア)にちなんでゲルマニウムと命名したものである。

 以来、金属とも非金属ともつかぬ元素で科学的にも特殊な挙動を示すことから、有機ゲルマニウム化合物が生体に特徴的な役割を担うと考えられてきた。その半導体としての性質を応用した高性能検波器が発明された1940年頃からは電子工学の飛躍的発展に貢献したが、ゲルマニウムの生理活性作用については、アメリカのハメットやメイヤーらが無機ゲルマニウム(二酸化ゲルマニウム)の貧血や腎毒性について22年に報告して以来、特にみるべきものはなかった。

 ゲルマニウムが石炭にも含まれていることは30年代には既に知られていたが、その生物学的意義については注目されなかった。しかし50年代半ば頃から、(財)石炭総合研究所所長の浅井一彦とその所員たちがこの事実に注目し、植物中に含まれるゲルマニウムの量を分析して、いわゆる生薬に分類される植物に多く含まれていることを確認した。この研究をきっかけに、56年、同研究所の及川浩らはゲルマニウム化合物の生理活性について検討し、「ゲルマニウム果糖錯塩溶液のX線による放射線障害予防効果」を日本医学放射線学会に発表している。

 60年代半ばには及川により水溶性の有機ゲルマニウム化合物である「カルボキシエチルゲルマニウムセスキオキサイド」が合成され、67年に日本化学会に発表された。以後この化合物についての研究は、やはり浅井一彦が創設した浅井ゲルマニウム研究所に継承され、医薬品のガイドラインに基づく厳格な安全試験が実施報告されるとともに、以下に示すような多くの生理活性研究や臨床報告がなされている。

 なお、92年にWHOにより「カルボキシエチルゲルマニウムセスキオキサイド」のINN(国際一般名)の化学名として「p・tCEyGeO」が通知された。

 ゲルマニウムの生理活性に関する研究成果としては、X線による突然変異の抑制作用、化学物質による発ガンや各種ガンに対する抗ガン作用、抗ウイルス、免疫調節、鎮痛、抗炎症、抗酸化作用などに及び、臨床においても肺ガン・女性性器ガンなどの各種ガン、肺疾患、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症などへの適応といった多くの臨床報告があり、特に慢性疾患や痛みを伴う疾患に対するQOLの改善効果が注目される。また、血液流動性改善についても着目すべき研究がある。

 現在「p・tCEyGeO」は健康食品素材として、製品化も実現した。その安全性は高く、生体の機能を適正に調整しつつ健康維持に貢献する「科学された健康食品」としての評価も定着した。

 なお、二酸化ゲルマニウム(無機ゲルマニウム)は毒性があり、また有機ゲルマニウム化合物でも、厳格な安全性試験によってその安全性が保証されたもののみを使うべきである。

有機ゲルマニウムの商品一覧

有機ゲルマニウム(植物性)の商品一覧

月曜日, 11月 14, 2005

日本山人参について

○日本山人参

 セリ科植物には漢方でよくその名を知られたミシマサイコ(三島柴胡)、ウイキョウ(茴香)、センキュウ(川?)、トウキ(当帰)など多くの薬草を数えるが、日本山人参も同じセリ科(シシウド属)の多年草である。尾鈴山で1964年に採集された原標本が残されており、1971年に北川正夫によってヒュウガトウキと名づけられた。

 一方、原植物は1982年に小島正秋(宮崎女子短期大学)らのグループにより「日本山人参」と命名され、翌83年には農事組合法人が設立されて栽培と普及活動を開始。同年、同組合の依頼によって栽培の基礎研究を宮崎大学の実験圃場で開始し、以後約2年間にわたり研究を実施するとともに、廣江美之助の協力を得て、原植物をイヌトウキと報告したが、93年になって、日本山人参の原植物はヒュウガトウキであると訂正している。

 ヒュウガトウキはイヌトウキよりも大きく、草丈2mに達し、イヌトウキが九州・四国・近畿地方南部に分布するのに対し、自生地が宮崎のみに局限しているのが特徴である。

 研究によると、代表有効成分はクマリン系のYN-1のほか、イソプテリキシン、アノマリンなどで、薬理作用は①アドレナリンの作用を抑制して抹消血管を拡張し、血液循環を改善、②インスリンを助長して糖尿症状を改善、③肝臓への脂肪の蓄積を阻む、④生体内の過酸化脂質の蓄積を防ぎ、動脈硬化、肌のあれ、ハゲを予防、⑤ガン患者の英明効果(ガン細胞由来の毒素トキソホルモン-Lを阻害)、⑥アレルギーや炎症の原因となるロイコトリエンC4を抑制、⑦性ホルモン(男性・女性)の分泌促進、⑧血圧降下作用(アンギオテンシン変換酵素を阻害)などであることが和漢医薬学会その他で発表された。

 以後、多くの臨床医が研究に参加し、NK細胞活性化作用、血小板凝固抑制作用、アルドース還元酵素阻害作用などを見出すとともに、臨床的には各種新抗ガン組織の縮小あるいは延命効果、また、インスリン非依存性糖尿病の高血糖値の改善、インターフェロンとの併用もしくは単独使用によるC型肝炎の治癒、帰化し喘息や慢性関節リウマチなどの治験例、性機能改善例、冷え・頭痛・肩こりなどの不定愁訴への効果などが明からされている。

 日本山人参の商品一覧

日曜日, 11月 13, 2005

花粉(ポーレン)について

○花粉(ポーレン)

 ヨーロッパでパーフェクトフーズとも呼ばれる花粉(ポーレン)は、蜜蜂が自らの餌として花蜜と一緒に集めて体内にある酵素を加えたもので、働き蜂はこれを食べることでローヤルゼリーを分泌することができる。組成はタンパク質が約35%(そのうち半分が吸収されやすい遊離アミノ酸)、各種糖分が約40%で、ほかに有効成分としてビタミンA・B1・B2・パントテン酸・ナイアシン・B6・葉酸・C・E・ルチン、さらにミネラルとしてはカリウム・カルシウム・リン・マグネシウム・鉄・亜鉛・銅・珪素などと豊富である。

 長寿で知られるコーサカスのグルジア族を生物学者ニコライ・ティシティンが調査し、100歳以上の老人の大多数が養蜂家で、花粉の混ざった蜂蜜原液を常食していることがわかってから健康食品的価値が注目され、各国で効能の研究が行われるようになった。

 フランスの化学者レミー・ショーハンは早くも1957年に①腸の機能(便秘や下痢)の正常化、②血中ヘモグロビンの増加(貧血に有効)、③滋養と体力回復、④精神安定、⑤副作用は皆無と臨床実験の結果を発表している。やがて多くの研究者によって、花粉食品には抗生物質的なもの、ホルモン的成分、成長促進物質などが含有されていることが明らかにされていったが、中でもとりわけ目立つのは前立腺肥大に対する効果である。

 1959年に始めて研究成果を明らかにしたのはスウェーデンのエリック・ウプマルクで、5年間に及ぶクロロマイセチン(抗生物質)の大量投与でも無効だった前立腺肥大の患者に花粉を投与し、奇跡的な回復を見たのである。1962年には同国の医師ゴスタ・リンダーが、前立腺の感染症にも顕著な効果を見たと発表した。その後、ドイツやアメリカの医学会でも同様の成果が明らかにされるとともに、単に排尿困難、激痛、頻尿といった症状の改善に留まらず、前立腺疾患が原因の性欲減退、性交不能が治ったというケースが次々に報告された。スウェーデンでは早くから花粉が栄養剤、感冒剤、強壮剤として用いられてきたが、前立腺肥大の治療剤として花粉だけを使った薬剤も開発されて、これはわが国でも使われている。

 中国では陳怒仁らのグループが破砕処理した花粉(固い外皮を破砕して成分を浸出しやすくしたもの)を用いて、前立腺炎ないしそのための不妊症の患者423例を他の薬剤を一切使わずに治療した結果、27%が治癒(妊娠)、54%が肥大・炎症の快癒と自覚症状の消失、11%が好転。無効はわずか8%であったと報告し、「植物の精子に当たる花粉の成分が、人間の精子の成分に転換されるのではないか」と述べている。

 こうした顕著な効果は花粉全体の作用であるが、特に含有成分のマグネシウムと亜鉛に着目した研究が欧米に多い。どちらも健全な前立腺や精子に比して、患者のそれは大幅に減少していることが明らかにされており、この欠乏が前立腺ガンの危険に結びつくことも指摘されている。

花粉の商品一覧

土曜日, 11月 12, 2005

サメ軟骨(コンドロイチン)について

○サメ軟骨(コンドロイチン)

 サメはガンに罹らないという事実から研究が進み、それがサメの全身を構成している軟骨の主要成分に深く関係していることが解明されるに及んで、一躍世界的に注目されることになったのが、サメ軟骨である。その主要成分はムコ多糖体と呼ばれる粘性物質で、コンドロイチン硫酸がその重要な構成成分のひとつである。

 コンドロイチン硫酸の化学構造が決定されたのは1946年のことであるが、その薬理作用の研究はその10年前に偏頭痛、抗潰瘍性を目標として臨床実験が行われている。コンドロイチン硫酸はコンドロムコ蛋白という形でタンパク質と結びつき、主に皮膚、血管壁、軟骨、人体、関節、眼球、角膜、粘液、各臓器などに分布して体内の結合組織を構成し、組織に保水性、潤滑性、弾力性を与え、皮膚のみずみずしさ、若々しさを向上させ、関節や靭帯の弾性、円滑性を保ち、栄養成分の消化吸収・運搬・新陳代謝の促進、骨の成長や骨折の回復、骨粗鬆症の防止などとともに、老化による眼球角膜の混濁を防ぎ、血液中のコレステロールや過酸化脂質を除去して、動脈硬化や高血圧、血液が凝固して血栓ができるのを防ぐなど、多彩な働きを持つ機能性物質である。

 そのため、腎炎・リューマチ・神経痛・五十肩・肩こり・夜尿症・眼疾患・脱毛症などの医薬品にも用いられてきたのであるが、ここに来て俄然コンドロイチン硫酸が脚光を浴びるきっかけを作ったのはサメ軟骨であった。1992年にアメリカのウィリアム・レーンがサメの軟骨がガンを治すを刊行、追いかけるようにしてCBSテレビが末期ガン患者による臨床試験の好結果を報道したことが発端になった。

 アメリカでは早くから、サメ(骨格全てが軟骨である)にガンができないことに気づき、1983年にはすでにマサチューセッツ工科大学らによって、ガンが成長する時生ずる新生血管の形成を阻害する物質が軟骨に含まれていることが解明されていたが、わが国でもその新生血管阻害作用を実験的に確認、さらにサメ軟骨粉末の投与による腫瘍重量の減少と鎮痛作用を認めたのをはじめ、追いかけるように多数の研究者によって前記の生理作用、薬理作用のほか、抗ガン性などの実験結果が次々に公表されている。

 需要が拡大しても化学的に合成することが困難なコンドロイチン硫酸は、生物資源から直接分離精製する方法がとられており、以前から牛軟骨と気管が用いられてきたが、中でも純度の高い高品位のものが抽出できて、しかも抗ガン生の高いことが明らかにされたサメ軟骨が最近は健康食品用として注目されてきている。

 サメ軟骨(コンドロイチン)の商品一覧

金曜日, 11月 11, 2005

キャッツクローについて

○キャッツクロー

 キャッツクローは南米ペルーのジャングルに生育するアカネ科ウンカリア属の蔓性1年草で、樹木に絡みながら伸び、最終的には直径20cm余り、長さ30m以上にも達する。ちょっと風変わりなこの名前の由来は、小枝から出る葉柄の付け根(基部)に、あたかも猫の爪のような形の鈎が突き出しているところから、現地で「ウーニャ・デ・ガト」(猫の爪)と呼んでいたことに由来する。

 樹皮(靭皮部)を煎じて飲むのが一般的な用い方だが、健康食品としてティーバッグのほかにも樹皮から抽出したエキスを粉末やソフトカプセル、糖衣錠にしたものなど、いろいろなタイプのものが市販されている。

 ペルーの先住民インディオは、蔓を切ったときに溢れ出てくる樹液を飲んだりして、消化器官や免疫系の疾患に用いられたとされるが、体系的調査は早くも1950年にペルーで開始され、74年にオーストリアのケブリンガーが抗腫瘍精物質を発見、次いでドイツ、イタリア、イギリス、ハンガリーなどでも研究が行われた。異説もあるが、いずれにせよヨーロッパで1970年代の中頃にも医学者らの研究対象とされたのに比べ、米国でもわが国でも当時キャッツクローは知られておらず、研究開始までに10年ほどの遅れがある。

 当時既にリマ(ペルー)で開催の国際シンポジウムでは、ペルー外科医師メルガレージョが樹皮抽出物に各種進行ガンに効果ありとする臨床例を、また、サンマルコス大学のタンポらは同エキスが合成薬品よりも高い抗炎症作用を見せたことを発表した。そしてこの頃から各国での研究が盛んになり、90年はオースリトアのケンブリガーがキャッツクローの根を6種類のオキシインドールアルカロイドを抽出、そのうち4種類(キャッツクローに特有で活性の高いイソプテロポディン、プテロポディン、イソミトラフィリン、インリンコフィリン)が、白血球の貪食作用を著しく活性化(すなわち免疫力を増強)することを明らかにし、ペルー、イタリアの研究者は、抗酸化性、抗微生物性、抗腫瘍性などを持つ成分の存在を明らかにした。

 現在ペルーの農業省が公表しているキャッツクローに関する資料(1996年3月)によれば、キャッツクローの樹皮から熱水抽出、またはアルコール抽出で得られた成分は、気管支喘息、気管支炎、関節炎、リウマチ、肺や頚部などのガン、ヘルペス(疱疹)、胃腸障害(潰瘍性の胃炎・腸炎を含む)、膵臓炎、肝炎、痔患などに効能があることを明らかにし、「樹皮に含まれるアルカロイドは免疫組織を刺激して抵抗力を増強させ、自然治癒力を活性化させる。また、ポリフェノール類のカテキンやアントシアニジンは潰瘍抑制効果を発揮する。その他、アレルギー抑制効果、胃や肝臓の保護、膵臓や子宮の調整効果も、種々の実験で証明されている」と明記している。

キャッツクローの商品一覧

木曜日, 11月 10, 2005

梅肉エキスについて

○梅肉エキス

 梅は原産地中国の医薬書の古典「神農本草経」にもその薬効が説かれており、この時代から健康に役立つ食品として知られていた。日本には奈良時代に伝わり、平安時代には当時の医薬書である「医心方」にのどの渇き、息切れなど梅干しの効用が記されているが、一般大衆に広く普及したのは江戸時代の初期である。

 梅の薬用効果を強化したのが梅肉エキスである。この原型は中国の烏梅(梅の実をいぶしながら乾燥させたもの)にあり、これをさらに発展させたのが日本独特の梅肉エキスで、江戸時代の医療書「諸国古伝書秘方」には当時の製法が記され、その効用については、赤痢、腸チフスに該当する伝染病や、食中毒、吐き下し、下痢、便秘、消化不良などが示されている。

 経験的にも学術的にも梅(梅肉エキス)の効果が再認識されてきた中で、農林水産省食品研究所と(財)梅研究会が行った共同研究では、毛細血管と同じ孔経7ミクロンのフィルターを血液が通過する時間を測定した結果、梅肉エキスを加えると通過時間が半分(約30秒)に短縮される血流改善効果が明らかにされ、ムメフラールと名づけられた新規物質も見出されて、生活習慣病の改善に役立つことが期待されるようになった。

 そのほか、医学的見地からも認められる効用をまとめると次のようになる。①血液を弱アルカリに保つ浄血作用があり、新陳代謝を活発にして諸器官を正常化する。②クエン酸の働きで疲労物質である乳酸の発生を抑え、体の活性化、老化防止に効果的である。乳酸が蓄積されると動脈硬化、高血圧、肝臓病など老化現象を起こす。③血液を弱アルカリ性に保つので老化防止に有効である。さらにクエン酸が「若返りホルモン」といわれる唾液腺ホルモン(パロチン)の代謝を活発にさせるので、二重の老化防止効果がある。④梅に多く含まれている有機酸のピクリン酸が肝機能を高める。⑤体内からの美容効果のほか、整腸作用に優れ、便秘や下痢に効く。梅に含まれているカテキンは腸の働きを活発にする作用があり、便秘、ニキビや肌荒れに効果的である。⑥殺菌作用が強く、腸チフス、コレラ、赤痢菌のほか、抗生物質の効かないMRSAや、病原性大腸菌O-157などにも非常に強い殺菌・抗筋力を発揮する。⑦梅肉エキスは各種有機酸の相乗作用で胃液の分泌を抑え、胃潰瘍を予防する。

 梅肉エキスを使った健康食品は、錠剤、粒・顆粒・ペースト・ドリンクなど様々なタイプのものがある。

梅肉エキスの商品一覧

水曜日, 11月 09, 2005

マカについて

○マカ

 マカはアブラナ科に属する多年草で、性質は強靭、世界で最も標高が高いペルー山中4000mの高地で栽培されており、仲間のカブと同様の膨らんだ根は辛さと甘さを抱き合わせた風味があって、焼く・蒸す・煮込みなどして食べる。1ヶ月前後自然乾燥させたものは、牛乳などで煮てポリッジにする。また、発酵飲料マカチャーチャの原料にもなる。

 かつて征服者のスペイン人が持ち込んだ馬や羊の繁殖に行き詰ったとき、原住民の忠告に従って餌にマカを与えたところ眼をみはる結果を得たことから、ペルーの高麗人参と呼ぶようになったとも伝えられる。

 マカはアンデス地域で数千年から栽培され、滋養食材として貴族の間で重宝されたきた。その後、一時絶滅の危機に直面したが、1980年代に入って、住民の健康維持にとって有益な食用及び薬用の植物であることが再認識され、ペルー政府の肝いりで増産が奨励されてきた。

 乾燥マカは米はトウモロコシ、あるいは小麦に勝る栄養成分を持ち、その上、アルギニン酸やリジンを初めとする必須アミノ酸も豊富である。鉄分とカルシウムはジャガイモ以上含有され、不飽和脂肪酸はリノール酸、リノレン酸、パルミチック酸など、さらにカリウム、リン、亜鉛、銅、マンガンなどの微量元素も多く含まれて、まさに栄養の缶詰といっても過言ではない。

 現在最も一般に認められている機能としては、①活力増強、集中力・記憶力の向上、ストレス疲労の軽減、性生活の円滑化、②更年期障害の除去、月経不順の正常化、精子・卵子の増殖など不妊症の解消を含む生殖機能の促進効果、③免疫賦活作用、抗酸化作用、抗ガン作用などがあるとしているが、これらは特定成分の直接的効果ではなく、数種類のアルカロイド、ステロイド、テルペノイド、サポニン、タンニン、アントシアニン、イソチオサイアネート、グルコシノレートなど、第二代謝物が下垂体を刺激した結果、内分泌腺の活動が活性化されるためとも考えられる。

マカの商品一覧

火曜日, 11月 08, 2005

ギムネマ(シルベスタ)茶について

○ギムネマ(シルベスタ)茶

 インドには2000年以上にもわたって伝わるアーユルヴェーダと呼ばれる伝承医学があり、それは天然自然の動植物や鉱物を巧みに用いた医療法、病気予防法の一大体系であるが、その中に糖尿病、健胃、利尿、強壮に効く生薬としてメーシャシュリンギーが伝えられる。

 現地名でグルーマールと呼ぶこの薬草は、ラテン名でギムネマシルベスタといい、インド中南部を中心に、東南アジアからオーストラリアを含む広範な地域に自生するガガイモ科の蔓性多年草である。蔓は木に絡むようにして3~4mに伸びるが、その成熟した葉を採集して乾燥させたものが、ギムネマ茶の原料となる。

 ギムネマの葉には特有の匂いと苦味があるが、この葉を噛んでしばらくしてから砂糖をなめると、不思議なことに全く甘みを感じなくなってしまう。この不思議な作用を始めてヨーロッパに伝えたのは19世紀中頃、イギリスの軍人であったが、その後今から100年前ほど、同国の科学者フーバーがこの奇妙な作用を持つ物質の抽出に成功してギムネマ酸と名づけた。

 近年、ギムネマ酸がトリテルペンを骨格としたグルクロン酸を持つ配糖体であることがわかり、甘みだけが消えてしまう理由は、このブドウ糖に似た構造を持つグルクロン酸が、舌の甘みを感ずる部分にある甘味受容体に結合して、後から来る砂糖を受け付けなくするからではないかと考えられている。

 ギムネマシルベスタが糖尿病の改善に効果を発揮することは多くの実験で認められているが、その作用機構もこれと同じで、ギムネマ酸がブドウ糖を輸送する担体と結合して糖の吸収を防げるからではないかという考えがある。

 糖尿病には、血糖を抑える働きをするインスリン(膵臓で作られるホルモン)の不足によるもの(Ⅰ型糖尿病)と、多色と肥満によって起こる成人型のもの(Ⅱ型糖尿病)とがあるが、いずれにしても過食と糖分摂取を控える食事療法を長期間続けなくてはならない。この場合は、食べても腸管からの糖分の吸収が抑制されれば、節食したことと同じ効果が得られるわけだが、ギムネマ酸にその働きがあることが実証された。ギムネマ酸のこの吸収抑制効果によって血糖値が下がると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量が減り、それがひいては膵臓の負担を軽くして回復を促進することも期待できるのである。

 ギムネマ酸によって糖分の吸収が少なくなるということは、成人病(生活習慣病)の温床とされる肥満を抑制する上でも効果的であることは言うまでもない。

 糖尿病にせよ、肥満にせよ、強壮にせよ、実際的には長い時間をかけて対処しなくてはならないものであり、継続するためには手軽に飲めるお茶タイプのものはありがたい。ギムネマ茶はギムネマシルベスタの乾燥葉を焙煎した番茶状のもので、こうすることによって苦味も消えて風味が増し、ウーロン茶感覚で飲み続けることができる。また最近では、お茶以外にもエキスを粉末、顆粒、ゼリー、ペースト状に加工した健康食品も出ている。

ギムネマシルベスタの商品一覧

月曜日, 11月 07, 2005

小麦胚芽について

○小麦

 日本人の主食として、米と並んで多く摂られているのが小麦である。ざっと見渡しても、パン、うどん、中華麺、そうめん、ひやむぎ、スパゲティ、マカロニなど、朝食や昼食の主役となるものは小麦を原料にしたものが多い。このほか、麩や餃子・焼売の皮なども小麦である。

 このように、もっぱらパン類や麺類として摂取される小麦だが、小麦成分を健康機能素材として利用した加工食品もある。古くから知られているのは小麦胚芽や小麦胚芽油だが、最近は小麦タンパク質も注目されている。小麦の水溶性タンパク質である小麦アルブミンは、ヒトの唾液や膵液に含まれるデンブン消化酵素(アミラーゼ)の働きを穏やかにする。そのため、食事の中に含まれる糖質の大部分を占めるデンプンの消化吸収を遅らせ、急激な食後血糖値の上昇を緩和する作用がある。この機能性に着目して、小麦アルブミンを含んだ粉末野菜スープなどが特定保険用食品として商品化されている。このほか、大腸ガンの予防効果が期待される食物繊維として小麦フスマもよく知られている。

○小麦胚芽

 パンの原料である小麦は、本来栄養のバランスがとれえた穀物であるが、パンは胚芽を取り去った小麦粉だけで作るので、かたよった栄養になってしまう。「玄米」の項で述べたように、穀類の外皮(糠)や発芽部分(胚芽)はタンパク質や脂肪、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれ、栄養価値は大きいが、消化が悪くて食用に不向きなので、あまり使われていない。こうした欠点を除き、小麦の胚芽の持つ栄養を生かしたのが、健康食品の小麦胚芽である。

 小麦胚芽は、小麦の粒にある胚芽部分を集めて食べやすくしたもので、白米(精白米)の20倍のビタミンB1、B2が含まれている。そのほかにもビタミンE・B12などが豊富なのが特徴。とくに、ビタミンEは小麦胚芽油でもよく知られているように、その効果は大である。血液の循環をよくし、脳に十分な酵素を補給したり、新陳代謝に必要な酵素の働きを促したりするほか、細胞の老化を防止する、などに役立つ栄養である。

 ビタミンB群の重要さにも注目すべきものがある。B1が不足すると、たとえば脚気になりやすくなる。これは「疲れやすい」「根気がない」といった症状を呈するもので、戦前は栄養不足のために、かなり多く見られた疾病である。ところが一時はほとんど影をひそめたこの病気が、食生活が豊富といわれえる近年、再び、見られるようになり、ビタミンB1不足の子供たちが急増しているという調査が発表され、各方面から注目された。

 こうしたビタミンB群不足を補うのに、小麦胚芽は格好の栄養食品なのである。その効用は、①ビタミンB1やB2が多く糖質の代謝が円滑に進むので、便秘も解消し、痔も治る、②カルシウムの吸収率を高め、さらにビタミンEが心筋の働きを強化し、毛細血管の新陳代謝を促進するので、心臓病、喘息に効果がある、③疲れやすく、寝つきの悪い人にはビタミンB2、B6不足の人が多いので、こうした人の栄養補給によい、④ビタミンやミネラルは関節リューマチに効果があるなどである。

小麦胚芽の商品一覧

日曜日, 11月 06, 2005

グルコサミンについて

○グルコサミン

 グルコサミンは、構造的には糖とアミノ酸(タンパク質の構成成分)が結びついた代表的な天然のアミノ糖の一種で、人の体では細胞同士や組織同士を結びつける結合組織として、特に軟骨、腱、爪、皮膚などに広く分布している。カニやエビなど甲殻類の外殻を形成するキチン質のほか、ムコ多糖などにも含まれるが、機能性食品としてはキチンを塩酸または硫酸で加水分解して単離、精製して作られる。水には易容性を示す。

 キチン・キトサンの食効に関する基礎研究や応用を追いかける形でヨーロッパからアメリカへとグルコサミンの研究開発が広がった背景には、細胞の若返りといった美容効果、壮健効果への期待はもちろんとして、関節症に対する有効性という大きなニーズが横たわっていた。というのは、高齢化、肥満、運動不足といった現代人の抱える不都合な因子のために、全員いたるところの関節内で軟骨の磨耗、炎症が起こっており、特に腰や膝の慢性関節炎に罹患するケースが増え続けているからで、そのため軟骨の構成成分であるグルコサミンやコンドロイチンに脚光が当てられたのである。ちなみにわが国の関節症患者は約80万人、その8割は女性である。

 欧米では、製造過程で加水分解に硫酸を用いる硫酸塩グルコサミンを用いた製品や研究成果が多く、わが国では塩酸を用いた塩酸塩グルコサミンの研究も盛んであるが、関節症(変形性関節症及び類似症)に対する機能はどちらにも優れたものがあり、甲乙付けがたいことも明らかになった。現在は、その摂取法や他の機能性成分との効果的な組み合わせに関心が移行し始めている。

 もうひとつ別の面からの研究として、グルコサミンがガン細胞から出る「やせる毒素」を阻害して食欲不振を改善し、ガンによる衰弱を防ぐとする奥田拓道(愛媛大学医学部)らの報告がある。

 その毒素は米国の学者グリーンシュタインの発見した「トキソホルモン」で、ガン細胞が分泌するこの物質によって、脂肪細胞の脂肪が分解されることを、奥田らはザルコーマ180ガン細胞を移植したマウスによって確認した。さらに、ガン細胞から精製したトキソホルモンをマウスの脳側室に注入すると、急激に食餌量が低下することが確認され、それが脳の満腹中枢を刺激する結果であることも明らかになった。すなわち、ガンに罹った患者が急激に痩せるのは、トキソホルモン(ガン毒素)のために脂肪細胞内の脂肪がどんどん分解されていく一方、食欲不振に陥るためである。

 この場合、実験に用いられた種々の物質の中で、グルコサミンだけがトキソホルモンの作用を阻害して、脂肪細胞内でいたずらに脂肪が分解されることを抑え、また満腹中枢の興奮を抑える働きを持つことが確認された。すなわち、グルコサミンには、ガンによる急激な痩せと、それによる衰弱を食い止める働きが期待されるのである。

グルコサミンの商品一覧

土曜日, 11月 05, 2005

AHCCについて

○AHCC

 AHCCは、一口にいえばキノコに由来する機能性物質ということになる。高度なバイオ技術によって培養された複数のキノコ(坦子菌類)の菌糸体から抽出されたもので、1981年に北海道に本社を置くアミノアップ化学によって開発された。キノコらしくないAHCCというネーミングは「A=Active(活性化された)HC=Hemi-Cellulose(ヘミセルロース)C=Compound(調合する、集合体)」という意味が織り込まれている。

 菌糸体抽出物質であるAHCCは、当初からその抗腫瘍活性に期待が寄せられたが、それは開発当時すでに、カワラタケというキノコの培養菌糸体から得たクレスチンが制ガン剤としての医薬品の認可を受けて市販されており(1977年)、シイタケの子実体から得たレンチナン、スエヒロタケの液内培養生産物から得られるシゾフィランが、ともに抗ガン剤として医薬品の認可を受ける前夜であったからである。

 しかし期待の中で生まれたAHCCの大きな可能性が、わが国でしっかり認識されるチャンスを作ったのは、アメリカの免疫学者で臨床医でもあるマンドー・ゴーナムである。ゴーナムは自ら末期ガン患者(多発性骨髄腫、頚部ガン、乳ガンなど)13人に対してAHCCを用い、全員が治癒もしくは軽快したという3年間の治験を、1993年10月に東京で発表し、医師や研究者に驚きを持って迎えられたのである。以後、各地の医療現場でも積極的に研究されるようになった。

 キノコの抗腫瘍活性のほとんどは、含まれている多糖類(β-D-グルカン)に由来しており、その分子構造のわずかな違い、あるいはそこに一定のタンパク質が化合しているか否かによって、活性の差が生ずることがわかっている。AHCCが見せる強い抗腫瘍活性も、活性ヘミセルロースやβ(1-3)D-グルカンといった多糖体と、単離できない生体機能調節物質とが、相乗的に効能を発揮するのであろうと推察されている。

 このような抗ガン性に止まらず、B型及びC型のウイルス性慢性肝炎、糖尿病、慢性関節リウマチ、自律神経失調症など、治療の難しい疾患に用いて有効性があったとする報告も多い。このような難治性の病気が改善したとき、理由は未解明でも明らかにその健康回復に寄与した物質を医学的にアダプトゲンというが、AHCCはまさにその名にふさわしいものといえよう。

金曜日, 11月 04, 2005

大豆(イソフラボン)について

○大豆

 マメ科の一年生植物の種子で、五穀の一つに挙げられるほど日本人の大事な食糧源とされてきた大豆は、そのまま煮豆などにされるほか、豆腐、湯葉、揚げ、納豆、味噌、醤油などに加工されたり、大豆油の原料となるほど利用範囲は驚くほど広いが、これら多彩な大豆加工食品が生まれる主役を担っているのは、大豆に35~44%も含まれる、大豆タンパク質である。それ故に”畑の肉”と称される大豆だが、大豆にはタンパク質以外にも数多くの有効成分が含まれており、最近の研究から多彩な健康機能性が明らかにされている。

 現在、日本人の1日1人当たりのタンパク質摂取量は80gで、動物性タンパク質が55%、植物性タンパク質が33%となっている。植物性タンパク質では、米や小麦などの穀物タンパク質が多く(タンパク質全体の24.3%)、次いで大豆などの豆類が8.6%となっている。

 一般的に動物質タンパク質の必須アミノ酸組成はヒトのアミノ酸必要量のパターンに近く、植物性タンパク質よりも良質であるとされている。動物性タンパク質の摂取比率が下がり、逆に植物性タンパク質の比率が上がると、不足するアミノ酸(制限アミノ酸)が生ずる可能性も出てくる。しかし、動物性タンパク質を多く摂取すると動物性脂質の過剰摂取が起こり、別の健康障害を引き起こしかねない。『第六次改定・日本人の栄養所要量』では、動物性タンパク質比率を40~50%の範囲に保てば、飽和脂肪酸の過剰摂取を避け、食事として摂取するタンパク質の質も確保することができると指摘している。

 現状日本人の動物性タンパク質の比率は55%とやや高めである。豆腐や納豆といった身近な大豆食品を多めに摂ることで、日常的にこの比率を改善していくことが可能だろう。また、牛乳の代わりに豆乳を利用すれば、中性脂肪の摂取量を減らし、動物性タンパク質の比率を下げることにもつながる。

 さて、大豆タンパク質の健康機能性で最近注目されているのは、血清コレステロールの低下作用である。脱脂大豆から得られた分離大豆タンパク質を使った動物実験やヒト試験では、①コレステロール値の高い人に対しては総コレステロール値を下げる、②正常なコレステロール値の人に対してはコレステロール値を下げない、③悪玉コレステロールであるLDLやVLDLだけを選択的に下げ、善玉コレステロールのHDLは下げない、などの効果が得られている。分離大豆タンパク質を活用した食品は多数出回っており、ソーセージ、からあげ、ミートボール、ハンバーグ、乾燥スープ、清涼飲料水などが特定保健用食品として販売されている。

 なお、アメリカでは1999年11月、FDA(食品医薬品局)が大豆タンパク質を含む食品に対して「飽和脂肪酸とコレステロールを低減させることで心臓疾患のリスクを減らす」といった効能をラベルに明記してよいことを許可している。規定によれば、一食相当6.2gの大豆タンパク質を含み、余分な油脂を含まないことが最低の条件になっている。

 大豆の胚軸に多く含まれる。大豆サポニンには過酸化脂質の生成を抑制し、高血圧・動脈硬化を改善する効果が認められている。また、フラボノイドの一種である。大豆イソフラボンは、乳ガンや前立腺ガンを予防するほか、骨粗鬆症の予防にも効果があるという研究報告が出ている。さらに、大豆に多く含まれるレシチンにはコレステロールが血管壁に沈着するのを防ぐ働きがあることも知られている。

      

木曜日, 11月 03, 2005

イチョウ葉について

○いちょう葉

 イチョウの出現は約2億5000年前(古生代中葉~末期)であるとされる。十数種類が地球全域にわたって繁殖したが、6000万年前の大氷河期に一属一種を中国の南部地帯に残して絶滅したと考えられている。残されたその樹種が11、2世紀頃に中国からわが国へもたらされ、江戸時代中期(1700年頃)に長崎に滞住したドイツ人医師によってヨーロッパへ紹介されたという。

 古くから中国でもわが国でもイチョウに薬効を認め、外種皮を除いた種子の銀杏(漢方では白果仁)は鎮咳、去痰、夜尿症、頻尿によいとし、民間療法では葉を煎じて心臓病(動脈硬化)に用いたりしてきた。しかし、ドイツで開発されたイチョウ葉エキスは、高年者のボケ防止、血流循環改善(血行促進)剤などとして高く評価され、先導役のドイツをはじめ、フランス、イタリア、スイス、オーストリア、さらに台湾や韓国などでも医薬品とされ、アメリカやイギリスでも非常に有望なサプリメントとして扱われている。とくにアメリカの医療関係者によって、イチョウ葉エキスが痴呆症やアルツハイマー病に有効であるとの報告が行われた1997~98年以降は、その影響が世界的に及んだ感がある。

 イチョウ葉の有効成分としては、30種類以上にものぼるとされるフラボノイドがある。フラボノイドは植物に含まれる色素成分で、種子の発芽や成長の調節物質であるとともに、太陽の紫外線を吸収し内部組織を保護する作用などが考えられており、人体に入ると毛細血管の保護、活性酵素を抑制する機能などを発揮するが、とくにイチョウ葉には二重フラボン(ギンケラチンやイソギンケラチンなど)が含まれ、他の植物のフラボノイドに比べ血液循環効果が数倍強いとの研究もある。

 イチョウ葉に特有の成分であるギンコライドは、化学的にはチルペン類に属する有機化合物で、血小板活性化因子(PAF)の働きを阻害し、毛細血管の拡張と血行促進、血栓防止、血圧の調整、脳の血流量の増加、老廃物の排泄を促進する作用があり、老人性痴呆症に有効であると考えられている。

 ほかにも毛細血管を強化するルチン、血圧投下作用のあるケルシトリン、肝臓機能を高めるシリマリン、血管を拡張し血流をよくするテポニンなども検出され、これらが相乗的に働くことによって、生活習慣病や高齢化に伴う不定愁訴、退行性痴呆症、慢性脳血管障害、虚血性抹消循環不全、心不全、平衡障害などにまでその効果が及ぶと考えられる。

水曜日, 11月 02, 2005

桑の葉について

○桑の葉

 桑はクワ科の落葉高木で、漢方では冬に採取した根皮を「桑根白皮」「桑白皮」といい、消炎・去痰・利尿などに用いている。また、葉を集めて乾燥したものは「桑葉」と呼ばれ、これも生薬として使われている。桑の葉はとくに晩秋の霜に当たったものが良品とされている。

 桑の乾燥葉100g 中にはキャベツの60倍のカルシウム、総カロチンはホウレンソウの約10倍、血圧を下げるγ-アミノ酪酸も300~400mg と豊富。シトステロールなどの殺菌・消炎作用を持つステロール類、カビを抑える作用を持つカプロン酸、サリチル酸メチルなどが含まれる。

 桑の葉を煎じて飲んでいると、血圧が下がったり、肥満を予防する効果があることは古くから経験的に知られてきたが、桑の葉には高血圧・高脂血症・糖尿病・ガンなどの生活習慣病を予防するすぐれた効果があることが、1992年から5年間にわたって神奈川県衛生研究所などが参加して行った「機能性食品の共同研究」(96年、神奈川県科学技術政策推進委員会発表)で明らかにされている。

 それによると、桑の葉から抽出したエキスを使った動物実験の結果、①コレステロール値、中性脂肪値の改善(ウサギの実験)、②肝臓の脂肪と機能の改善(マウスの実験)、③血糖値の上昇を抑え糖尿病を予防する(ラットの実験)、④インスリンの分泌不足とイスタリン分泌細胞の破壊を防止する、⑤体脂肪を抑制、脂肪の排泄量を増やす(ラットの実験)、⑥正常血圧には影響を与えずに高血圧を下げる(ラットの実験)、⑦緑黄色野菜や緑茶と同様に、ガンの予防に効果がある(ラット・マウスの実験)などが確かめられている。また、肥満を防止し内臓脂肪を抑制してダイエット効果のあることが、群馬県医療短期大学の下村らの研究によって報告されている(1996年、日本肥満学会)。

 これら一連の研究の中でとくに注目されたのは、血糖値を抑制し糖尿病を予防する効果で、その機能性成分として桑の葉に特異的に含まれる1-デオキシノジリマイシン(DNJ)の作用が明らかにされた。DNJは、糖質を分解するα-グルコシターゼという酵素の働きを阻害し、ブドウ糖の吸収を阻害することによって血糖値の上昇を抑制すると考えられている。この効果は糖尿病発症ラットで確認され、神奈川県衛生研究所では、ヒト成人においても同様の効果があることを報告している。このDNJ は桑の葉以外の植物には見出されておらず、桑葉には乾燥量で約0・1%のDNJが含まれている。

 健康食品としての桑の葉は、お茶として飲用するティーパック、エキスを固めた粒状タブレット、顆粒粉末など、さまざまなタイプのものが市販されている。

火曜日, 11月 01, 2005

クマザサについて

○くま笹

 クマ笹はイネ科の笹の一品類で、葉の緑が白くなる(隈ができる)ために隈笹とも書くが、冬眠から覚めた熊が好んで食べて体力の回復をはかるところから熊笹としてよく知られている。

 その成分を見ると、100g中にタンパク質13g、脂肪3g、カルシウム360g、ビタミンB1・0.4mg、B2・0.5mg、ビタミンKが1.8mgも含まれている。さらに神秘的ともいえる多様な働きをもつ葉緑素は80mgと多く、マグネシウムやリン、鉄などのミネラルも豊富である。このうちでビタミンKは、血液を固めるのに必要なプロトロンビンを増やす作用により、血液中のカルシウムイオンを増やし、酸性体質をアルカリ性体質にする。

 クマ笹のエネルギーの素は、タンパク質(アミノ酸)のほか、葉緑素、笹多糖体にあるといわれている。笹多糖体は、弱った細胞膜に働きかけ、細胞を丈夫にする。細胞膜を強化するので、あらゆる病気に効果を示す万能選手で、ガンにも効果があると注目されている。こうした効用はとくに緑色の濃いクマ笹の若葉(1年物)が強く、煎じて常用すると強壮、血圧の安定、さらに結核、喘息、カゼなどに効くことが伝承されてきた。また、クマ笹の若葉と紅花を一緒に煎じると、いっそう効果を発揮するとされる。

 さらにクマ笹のエキスでは、慢性肝炎、胃潰瘍、白内障などのほか、口内炎や胸やけには即効性のあることも確かめられている。また、ガンの予防作用については、九州大学農学部の村上浩紀、山藤一雄が、クマ笹の葉から採り出したリグニンという高分子化合物に、動物実験で制ガン作用を認めたと報告している。一方、笹の防腐作用をつかさどる多糖類の一つパンフォリンにも、生体の免疫力を強くしてガンの増殖を抑えること、なおかつ正常細胞に対する害がないことなどがわかり、その効用が期待されている。

 このように多彩な機能成分を豊富に含むクマ笹であるが、最近、植物の有効成分を壊すことなく、しかも効率よく採り出す技術が開発され、クマ笹エキスの抽出にも使われている。新しい抽出法は、「循環多段式加圧抽出法」(菊地式抽出法)と呼ばれ、最初に100℃以下の熱水抽出によって主としてミネラル、ビタミン、アミノ酸を採り出した後、加圧のレベルを何段階かに変えることによって、さらに数多くの多糖成分を抽出するという方法である。東京慈恵会医科大学名誉教授の近藤勇らは、この抽出法によって得られたクマ笹エキス(AHSS)をピロリ菌に使い、それによって菌が死滅することを発見した。しかも「ピロリ菌の鞭毛を溶かす」という、これまでのピロリ菌研究では報告されたことのない除菌現象であったため、国際ピロリ菌学会でも注目されたのである。

 慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の発症に大きく関わっているとされるヘリコバクダー・ピロリ菌だが、日本では50歳以上の70%以上がピロリ菌感染者であるという報告もあり、ピロリ菌対策が本格的に始まっている。しかし、抗生物質を使った除菌のため耐性菌の問題も大きなネックとなっている。近藤らの研究結果は、クマ笹エキスが植物由来の天然物質であることから、抗生物質が直面している耐性菌問題にも新しい展望を開く可能性を秘めているといえよう。

ホシ隈笹エキス  ハイブリッドAHSS