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火曜日, 4月 15, 2014

敗醤

○敗醤(はいしょう)

 日本各地や朝鮮半島、中国名とに分布するオミナエシ科の多年草オトコエシ(Patrinia villosa)やオミナエシ(P.scabiosaefolia)を正条品としている。根のついた全草を敗醤あるいは敗醤草、根だけを敗醤根という。

 神農本草経の中品に収載されている敗醤もオトコエシのこととされている。しかし、現在の中国市場に出ている基原植物はおもにアブラナ科のグンバイナズナ(Thlaspi arvense)やキク科のアキノノゲシ(Lactuca indica)などの全草といわれ、はなはだ混乱している。日本産の敗醤根はオミナエシの根である。

 敗醤の名は乾燥させた根茎が醤油の腐った臭いのすることに由来する。オトコエシ(男郎花)やオミナエシ(女郎花)の名の由来は定かではないが、オトコエシの方が茎が太くて毛で覆われ男性的である。またオミナエシの花は黄色く、オトコエシの花は白い。

 オトコエシの果枝にはシニグリン、根には苦味配糖体のロガニンが含まれ、オミナエシの根にはオレアノール酸などが含まれている。漢方では清熱解毒・排膿の効能があり、虫垂炎、下痢、帯下、腫れ物などに用いる。おもに虫垂炎に用いるため「腸癰の要薬」ともいわれる。

 急性虫垂炎や虫垂炎周囲には薏苡仁・附子などと配合する(薏苡附子敗醤散)。また皮膚の化膿などには金銀花・連翹などと配合して煎服したり、生のものを患部に添付する。