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木曜日, 8月 16, 2007

ミネラルウォーター

○ミネラルウォーター

 水が生命活動と健康維持に不可欠な要素であることを疑う人はいないが、世界でも良質な飲料水に恵まれてきたわが国では水質問題に直面することは少なかった。しかし、人口増加と都市への人口集中、生活の質的向上によって年々水道需要が激増する一方、工業排水、農薬や生活雑排水の流入量の増加で水源が汚濁し始めた近年になって、にわかに飲料水の質が関心を集めることとなった。浄水場での沈殿法や活性炭による濾過では除去しきれない種々の有害化合物の溶融という問題が次々に指摘されている。あるいは、潜在や化学肥料の流入で窒素やリンが増えたことによる水の冨栄養化のために、水源の湖沼や貯水池に緑藻類が繁殖して腐敗臭の原因となることも見逃せない。また、有機物が増えて雑菌が繁殖するために塩素の投入量が増え、残留塩素の毒性やカルキ臭さの問題も起きている。

 在留塩素が問題なのは臭気だけではなく、ビタミンCを破壊したり、高血圧の誘引になるという研究も発表されて、その中でも大きな波紋を呼んだのは、発ガン物質であるトリハロメタンが残留塩素によって作られるという警告であった。これはアメリカのR・ハリスが発表した疫学調査(1974年)が発端となったものである。トリハロメタンは水中の腐敗した藻類や屎尿などの有機物に塩素が反応してできる物質である。日本ではハリスの報告から5年ほど遅れて、大阪の水道水などからトリハロメタンが検出されたことと前後して、健康づくりに有益な飲料水を積極的に求めようという気運が盛り上がった。その一つの現われが、発ガン物質などの心配のない清浄なミネラルウォーターの需要増である。

 ミネラルウォーターは「無機塩類やガスを豊富に含む飲用に適した鉱泉の水」と一般に解釈されているが、農林水産省の「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」ではさらに細かく定義されている。それによると、特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・科学的処理を行なわないものをナチュラルウォーターといい、そのうち、地価で滞留・移動中に地層中の無機塩類が溶解して鉱水・鉱泉水(天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水を含む)をナチュラルミネラルウォーターとしている。ミネラルウォーターはナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的からミネラル分の調整、ばっ気(空気と接触させて水に溶存する物質を揮散させる)、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行なわれているものをいう。

 ミネラルウォーターは長い歳月をかけて地下水脈を通るうちに浄化され、それらの成分を微妙なバランスで含んで湧き出たものであるから、まず何よりも美味しい。鉱泉の中には強い酸性もしくはアルカリ性で長期の飲用に適さないものもあるが、多くは体液と々弱アルカリ(ph7.5前後)である。水は毎日相当量を飲むのであるから、微量の含有成分とはいえカルシウム、カリウム、マグネシウム、セレニウム、マンガン、鉄、銅などのミネラルの効果が次第に加重していくことが期待される。反面、累積していくことは有害物質も同様であるから、砒素、カドミウム、鉛、錫などが溶融していてはならないことは言うまでもない。

 ミネラルウォーターは現在、国内はもとより世界各地の鉱泉から採取された多様な銘柄が、さまざまな形で多数の飲料メーカーから供給されており、中には74種もの溶融成分を確認したミネラルウォーターもある。