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水曜日, 12月 28, 2005

バナ・ウォーターについて

○バナ・ウォーター

 水の持つ健康効果への関心の高まりに呼応する多くの機能水が、比較的広範な効用を標榜してきたことに比べると、このバナ・ウォータは、飲用の目的を血糖値の降下(糖尿病の改善)に絞って登場したところに特徴がある。名称の「バナ」は、微量必須ミネラルのひとつであるバナジウム(V)を意味し、機能性成分として酸化バナジウム(V2O5)がある。

 バナ・ウォーターは富士山山麓の玄武岩層(バサルト層)を150m余りボーリングして採水される。これは、雨水や雪解け水が地中深くしみ込んで伏流水となり、ゆっくりと玄武岩層の間を流れる途中で、玄武岩に多く含まれるバナジウムを溶かし込んでいるからである。近年わが国では、飽食による肥満、運動不足、ストレスなどの累積が原因とされる成人(Ⅱ型)糖尿病がその予備軍を加えると1370万人にも達し、まさに新たな国民病の様相を呈しているが、このようなときに、この機能水の果たす役割には、大きな期待が寄せられて然るべきであろう。

 バナ・ウォーターの発見は、全国の岩石分布や、岩石の種類に影響される河川水や地下水のミネラル成分を研究した山梨県環境科学研究所(瀬子義幸・長谷川達也ら)の調査が機縁となった。その調査によって、地元を訪れる相模川と湖水では、他の地域や水系の7~8倍の濃度のバナジウムが認められたのである。そしてこの事実の意味を解析する過程で、1987年に発表されたJ・メイェロヴィッチ(シェバ・メディカルセンター研究所)らによるバナデートの血糖降下作用の研究に結びついた。この研究は、バナデート(酸化バナジウム化合物)の水溶液を高血糖ラットに経口投与したところ、正常値の3倍近かった血糖値が4日後に正常になり、投与を中止すると再び一気に高血糖になった、というものである。

 こうして新たに相模水系の探索が行われ、バナジウムを56ppbの濃度で含む富士山伏流水(バナ・ウォーター)が、高い血糖値効果作用を見出せることが検証された。

 バナジウムがなぜ血糖効果作用を有するかについては、奥田拓道(愛媛大学医学部)らの新しい研究がある。血液中の余分なグルコース(ブドウ糖)やリポタンパクは脂肪細胞に取り込まれて肥満を招くが、肥満状態が続くと、脂肪細胞内の脂肪は自然分解により遊離脂肪酸となって血液中に増えて行く。するとこの遊離脂肪酸にはインスリン抵抗性があるため、筋肉細胞にインスリンの作用で取り込まれたグルコースの代謝を阻害し、次いで筋肉細胞内にグルコースが取り込まれること自体を阻害して、結果的に血糖値を高くし、成人糖尿病を招くことに繋がる。

 このとき、バナジウムは、脂肪細胞内の油滴が自然分解することブロックし、それによって遊離脂肪酸がインスリン抵抗性を出現させることを阻み、血糖の増加を抑え、成人糖尿病の発症にストップをかける、というメカニズムが明らかにされたのである。現在のところ、バナジウム以外で自然分解を抑える物質は知られていない。

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