〇青汁
カロリー偏重の栄養学ではあまり重要視されてこなかった野菜類が生理活性物質の宝庫であると再評価され、食卓に積極的に取り入れられるようになってからかなりの年月が経過した。しかし実際には種類の選択範囲が限られること必要量を満たすには相当量の食材を要すること、常に新鮮なものを調達するには手間暇がかかることなどが負担になっていることは否めない。また、調理時の過熱などによって成分の損失もある。このようなマイナス面を補うとともに、家庭で調理する以上のメリットを持たせることを目指したものが青汁である。
いわば青いジュースであるが、ジュースという言葉には果汁のイメージが強い。それよりも緑ないし緑黄色の植物固有の有効成分を余さずに搾ったからこその青汁である。現在、供給されている青汁製品には、植物の細胞内に含まれた成分を十二分に搾り取り、しかも成分の経時変化を防ぐために、一般家庭のジューサーではできない細胞壁破砕や瞬間密封などが施されいるものもある。
青汁はもともと、粗食に耐えなければならなかった戦後まもなく、岡山県倉敷市の医師・遠藤藤二郎によって学校給食や病院食用に考案されたのが最初であるとされる。それて健康づくりの重要な鍵を握るものとして次第に全国へ広がり、愛飲者によって材料や製法が工夫されていったのであるが、やがて青汁を飲み続けて病気を克服したという事例報告が相次ぎ、研究活動も盛んになったといういきさつがある。
青汁には糖質やタンパク質などカロリーとなる栄養成分のほか、ビタミン、ミネラル、酵素、葉緑素、食物繊維が含まれ、これらすべての複雑な相互作用によって疾病の予防につながるが、その作用機序の解明はまだ緒についたばかりである。しかし、事実を積み重ねていく開発姿勢によって青汁の製法のみならず、利用する原料植物の吟味も慎重に行われたきた。現在、その主要原料としては、ケールと大麦若葉が多く使われている。また最近では食べる青汁と銘打った錠剤タイプの製品もある。
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