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月曜日, 2月 25, 2008

甘草

〇甘草

 甘草はマメ科の多年草で、根茎が甘味料や漢方の解毒・消炎薬として広く用いられている。医学の原点といわれる「ヒポクラテス全集」にもその効用が述べられており、洋の東西を問わずその価値は高く評価されている。漢方の古典傷寒論には一味処方として紹介され、「急を暖め、諸悪を和し、百薬の毒を消す」とされている。甘草は種類が多く、漢方で用いられのはシベリアや蒙古、中国東北部に産すウラル甘草と呼ばれるものである。日本で見られるのはユリ科に属する野生の植物で、漢方の甘草とは異なる種類である。

 肝臓の根から抽出されるグリチルリチンは味噌や醤油などの甘味添加物として利用されているが、1977年の国際細胞生物学会議で動物実験による制ガン作用が発表されて大きな反響を呼び、世界的に注目された。以来、甘草あるいはグリチルリチンに関する研究が世界各地で行われるようになった。特に注目されたのは肝臓病に対する効果である。日本人に多いウイルス性肝炎は慢性化してしまうと幹細胞が破壊され、肝硬変から肝臓ガンへ進行する危険性が高くなるが、グリチルリチンには肝臓の機能を高めて解毒作用を助けるだけでなく、肝細胞の粘膜を強化し、細胞が破壊されないように保護する働きがある。そのため、グリチルリチン製剤は肝臓病の治療薬として用いられている。このほか、①抗胃潰瘍作用、②電解質ホルモン様作用(細胞の活動を正常にする)、③抗炎症作用、④抗アレルギー作用、⑤解毒作用、などが認められたため、胃潰瘍やアレルギー性皮膚疾患などの治療にも利用されている。

 これに加えて、制ガン作用も注目される。動物実験で殺虫剤のBHCや発ガン物質のPCBなどを混ぜた餌を与えたマウスには肝障害や肝臓ガンが発生したが、同時にグリチルリチンを混ぜた餌を与えたマウスに肝障害、肝臓ガンともに発生しなかった。グリチルリチンの制ガン作用についての詳細はまだ分かっていないが、細胞膜を修復し強化する作用が関連し、細胞の解毒作用が増して抵抗力が強まるからではないかと考えられている。

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