〇黄精
中国原産のユリ科の多年草で、本来の黄精のほか、同類に嚢糸黄精、熱河黄精、滇黄精、巻葉黄精などの種類があり、それぞれ形状や性質、分布は多少異なるが、いずれも1本の直立する茎(40~80cm)から葉柄のない葉(ときに非常に短い葉柄を持つ)が輪生もしくは互生し、5~6月に葉腋から数個の筒状の花が垂れ下がって咲く。日本各地の丘陵や林に生えているのは同類の鳴子百合で、黄精の代わりとして用いられることがある。薬用成分が含まれているのは地下茎(根茎)で、ショウガの根のように節くれ立ちながら横に伸びている。これを掘り起こして洗い、蒸したり煮たりした後で乾燥させたものが漢方薬に用いられる。
根茎の主成分は粘質多糖類で、薬用成分としては、カルボン酸、アスパラギン酸、ホモセリン、ジアモノ酪酸、ジギタリス配糖体などが含まれており、①抗菌作用(結核菌やチフス菌に有効)、②真菌(白癬菌など)に対する抑制作用、③血圧降下作用、④痛風の改善、などが実験的に認められている。古来、漢方では「気を益し、心配を潤し、筋骨を強める」とされており、長期にわたる闘病で衰弱した体力を賦活させ、病後の食欲不振や倦怠感、筋骨の衰弱などを補い、精力をつけ、産後の肥立ちを良くするとされてきた。
肺結核のような消耗性の患者に対しては黄精エキスがよいとされている。エキスは、蒸して日干しした旺黄精に5倍量の水を加えて24時間とろ火で煎じた後、濾過した液を常にかき混ぜながら濃縮させると、黄精の重量のほぼ1/5のエキスが採れる。これを1回10ml位ずつ、1日4回をめどに服用する。また水虫などの真菌症に対しては、粉砕した黄精をアルコールに1~2日漬けたあと過熱してアルコール分を蒸散させ、3倍量の水を加えて濾過してから、さらに薄い糊状になるまで煮詰めたものを患部に塗って用いると卓効があるとされている。
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