○はちみつ
ハチミツ(蜂蜜)は、ミツバチが採集した花蜜がミツバチの体内で酵素(α-グルコシダーゼ)によって変化したものである。花蜜それ自体にはショ糖(スクロース)が5~40%含まれ、これが花蜜の甘さを形成しているが、ミツバチの酵素はショ糖を分解してブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の混合液に変える。この混合液を熟成させたものがハチミツである。
ハチミツの成分は水分20%、ブドウ糖40%、果糖40%である。甘さは花蜜に比べて格段に強い。その理由のひとつは、果糖はショ糖に比べて約1.5倍の甘味を持っていること、もう一つは水分が少なく、糖分が濃くなっていることによる。花蜜は水よりも比重が少し重い程度で、ミツバチが巣に持ってきた時点では約1.1倍に濃縮された状態にある。働き蜂は蜜房に自らの羽で風を送ることによって、これを1.33~1.5倍という高い濃度に濃縮する。同時に、グルコースオキシダーゼ(酵素)の作用でブドウ糖が低pHのグルコンさんに変わり、その時発生する過酸化水素などと共に殺菌作用のある理想的な保存状態が長期間にわたって保たれる。
ショ糖はヒトの体内で単糖にまで分解されなければ吸収されないが、単糖である果糖はそのまま吸収されてエネルギー源となる。このように消化・分解の過程を経ずにエネルギー源となるハチミツは疲労回復に有効で、貴重な即効的栄養源であるといえよう。糖分以外にはタンパク質、ミネラル、ビタミン類がバランスよく含まれ、酵素やアセチルコリン、抗生物質なども含有している。ハチミツの効用をまとめると以下のようになる。
①疲労回復に即効。ブドウ糖や果糖には栄養増進、強心・利心・利尿・解毒などの作用があり、糖類の中で最も早く吸収されるため、尿酸の分解作用とともに疲労回復に役立つ。②生活習慣病に有効。ハチミツ中のミネラルはコレステロールを除き、内臓の働きを活発にして高血圧・心臓病などに有効性を発揮する。さらに肥満防止、脳卒中・貧血・前立腺肥大の予防があり、不眠症・頭痛・神経痛などによい。また、ガンや潰瘍の進行を防ぐ効果も期待されている。③豊富なビタミンB群、パントテン酸の作用で老化防止、美容効果が高い。
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