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木曜日, 10月 13, 2011

キノコ類

○キノコ類

 キノコは昔から世界各地で食され、その種類も膨大であるが、第1に特有の風味や香りを持つ嗜好食材として、第2にタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素供給源として、第3に免疫力の向上、抗菌、体調リズムの調節、病気回復、老化抑制などの生理活性機能によって、改めて菌食の必要性を教えてくれる注目の健康食品素材であるといえよう。なからは食べるというよりも専ら漢方薬、民間薬として用いられるものも多く、その成分が抽出されて抗癌剤に用いられているものもある。キノコの成分を概観しておこう。

【一般成分】

 キノコは全般に脂質が少なく、食用キノコの可食部の乾燥重量比で2~5%程度であるが、タンパク質が多いもの(20~50%含有)、糖質が多いもの(50~80%含有)、両者が相半ばしているものなど、それぞれに特色がある。薬用キノコとされる一群には、例えばマイタケやヒメマツタケのように賞味されるものもあるが、特有の苦さや固さなどのために専ら薬用に供されるものも多く、それらの一般成分は食用に順ずる。

【無機成分】

 キノコは全体としてみるとミネラルの種類が多く、霊芝のゲルマニウム、シイタケの亜鉛やマンガンのように、それぞれ特定の元素を凝縮する性質が認められており、キノコの種類によって含有量の差は数千倍に達するが、カルシウム、カリウム、リン、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ゲルマニウムなどいずれかのミネラルがとりわけ多いという特徴がある。食用キノコのビタミン類はシイタケのビタミンD(エルゴステロール)が著名であるが、ほかにビタミンB1はエノキダケ、ハツタケ、マッシュルーム、マイタケに多い。またB2はハツタケ、ホンシメジ、マッシュルーム、マツタケなどに多く含まれる。ナイアシンの含有はどの種類にも比較的多く、ヒラタケ、ホンシメジ、マイタケ、ナメコなどに特に顕著である。

【生理活性と薬効成分】

 日常生活において一般的な栄養摂取量として満ち足りていながら、生活習慣病の多発と若年化、ガンの増大、アレルギー性疾患の多様化など多くの問題を抱える中でキノコの薬効成分が研究され、例えばシイタケやアガリクスを筆頭としてその主要成分である多糖類(β-グルカン)を持つ抗腫瘍活性(抗がん性)以外にも、イルーディン(テルペノイド化合物)、エリタデニン(核酸誘導体)、ウデノン(酵素阻害物質)など各種の薬効成分かせ発見されて、①抗菌・抗ウイルス作用、②強心作用、③血糖降下作用、④コレステロール低下作用、⑤抗血栓作用、⑥血圧降下作用を示すことなどが立証されている。これらの効能はキノコを直接食べることでも得られるが、漢方や民間療法では煎じる汁を服用することがよく行われる。

【抗腫瘍活性】

 既にキノコからの3種類の抗癌剤が開発され、医薬品として供給されている。発売の順に記すと、まずクレスチン(PS-K)であるが、これはサルノコシカケ科のカワラタケの一系統の培養菌糸体から製造され、1977年に肺ガン、消化器ガン、乳ガンの治療薬として市販されれた。ついで85年には、シイタケの子実体から製剤されたレンチナンが胃ガンの注射薬として開発され、翌86年にはスエヒロタケから得られたシゾフィランが子宮頸がんなどを適応とする注射薬として登場している。

 これらの中心成分はいずれも構造的特徴を持つβ-グルカンであり、これが制ガンを目的に漢方的、民間薬的に用いられている多くのキノコ、例えばヒメマツタケ、霊芝、マイタケ、チョレイ、フクロタケ、チャーガなどに共通する成分であることは興味深いことである。キノコの成分で制ガン製を期待されるものとしては、ほかにエルゴステロール、ピログルタミン酸、糖タンパク質、核酸、ステロイド剤、テルペノイド類、ゲルマニウムなども数えられる。これらのみせる効果はガン細胞を直接攻撃するのではなく、生体に本来備わっている免疫力を高める結果であると考えられている。

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