〇ギャバ(γ-アミノ酪酸)
γ-アミノ酪酸の英語名の頭文字をとったギャバ(GABA)の略称が一般名に用いられている。哺乳動物の脳から抽出された1950年以降、多くの研究が行われている。ヒトの体内においては、グルタミン酸が脱炭酸する酵素反応によって生成されるアミノ酸で、脳内の主要な抑制性神経伝達物質として存在する。脳の酸素供給量を増やして脳細胞を活性化させ、イライラや不安を鎮める作用がある。近年では、生体内の代謝系に関する作用として血中コレステロール低下作用、抗肥満症効果、血圧上昇抑制効果、アルコール代謝促進作用などが報告されている。免疫系の作用としてアレルギー予防、アトピー性皮膚炎改善効果、発ガン抑制作用なども報告され、今後の科学的な解析においてさらに明らかになっていくことが期待されている。
ギャバは哺乳動物科のほか、植物にも存在することが知られている。発芽させることによってさらに増加することも知られている。発芽玄米には白米の約10倍のギャバが含まれているという報告もある。このほか肉類、鶏、魚類、野菜、果物、発酵食品度にも含まれている。
これらの作用を検討した研究が近年行われている。横越英彦(静岡県立大学食品栄養科学部)は、20~30代の22人の男女を対象に、朝のラッシュ時の満員電車内で増幅するストレスに対する軽減効果を検討、ギャバの摂取によってストレスが半減するという結果が得られたことを平成18年11月に報告している。また日本農芸化学会2007年度大会では、ヒトを対象としたギャバの摂取試験の結果が(株)ファーマフーズの研究グループなどから報告されたが、このうちギャバ配合の機能性飲料による心身疲労軽減効果について検討した報告では、50mgのギャバが配合された飲料の摂取群に疲労感の軽減効果及びストレス緩和効果について有意差が認められたとしているほか、カルビー(株)はギャバを強化したジャガイモを主原料とした菓子の摂取による抗ストレス作用を唾液中のストレスマーカーにより検討し、ストレス館や不安感の抑制に影響した測定数値が報告されている。
このほか平成19年の第61回日本栄養・食糧学会大会では、横澤隆子(富山大学和漢医薬学総合研究所)が腎摘出ラットにおけるGABAの腎不全進行抑制作用について、また関連企業からギャバの腎線維化の抑制作用について報告している。
最近の食品研究では、平成19年9月に日本食菌工業の国産姫マツタケ(子実体)100g中のギャバの含有量が1160mgにのぼることが確認された。これは発芽玄米100g当たりのギャバ含有量の58~77倍に相当する量で、これまで確認されているヒメマツタケの食品機能との関係も含めて、さらに解析研究が進展するかの性が生じている。
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