○ペクチン
ペクチンは果実や野菜類など多くの植物に含まれる天然物質で、細胞間の接着剤として、また組織の安定剤として機能している。ガラクツロン酸(ウロン酸の一種)が鎖状にα-1.4結合したペクチン酸(複合多糖)が主成分で、植物組織中ではセルロースなどと結合し、水に不要のプロトペクチンとして存在している。未熟な状態の果実に含まれているプロトペクチンは、成熟するに従って酵素の作用をうけペクチン酸に変わる。プロトペクチンを水や希酸で加熱すると水溶性のペクチンになる。
ペクチンはゲル化(液体をゼリー状にする)作用、保水性、粘性に優れているため、ジャムのゲル化剤、マヨネーズの乳化剤、ケチャップの増粘剤など食品加工で幅広く使われている。また微生物培養地、、胃腸薬などにも利用されている。
食物繊維としてペクチンの生理作用は、上記のゲル化能、保水性、粘性により、糖質の消化吸収を遅らせて血糖値の上昇を穏やかにし、インスリンの分泌を節約する作用、胆汁酸の吸収を阻害してコレステロールを低減する作用などが知られている。大腸に達したペクチンは腸内細菌による発酵をうけ、その大部分が分解されて短鎖脂肪酸となり1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーとなる。
○こんにゃくマンナン
グルコマンナンともいう。コンニャクイモの塊茎に含まれる天然物質で、グルコースとマンノースがβ-1.4結合した複合多糖である。こんにゃくマンナンに水と消石灰を加えて加熱すると、凝固して食用コンニャクとなる。
コンニャクマンナンは保水性が高く、水を吸収すると膨潤して容積を増す。また、粘性の高い水溶液をつくる性質がある。ヒトの消化酵素では分解されないため、高容積・高粘度の状態で腸管を通過し、その過程で食物繊維としての機能を発揮する。生理作用としてコレステロールの低減、糖尿病の予防、腸の老廃物や有害物質の排出、肥満防止などが知られている。
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