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土曜日, 7月 12, 2008

サラシア

〇サラシア

 サラシアは、インド、スリランカをはじめタイやインドネシアなど東南アジアおよびブラジルなどの熱帯地域に広く分布する。高さ2~3mに成長するサラシア属デチンムル科の植物。サラシア・オブロンガ、サラシア・レティキュラータ、サララシア・ブリノイデスなどがあり、土地によっては、ポンコランチ、コタラヒムブツなどと呼ばれている。

 古代インド医学のアーユルヴェーダでは、その根を現代の病名でいうところのリウマチ、喘息、虫さされなどに活用していた。日本では、サラシア・オブロンガの根部に含まれる成分が、血糖値の上昇を抑制し、αグルコシダーゼ阻害活性を持つことや糖尿病の神経障害をを引き起こすアルドース還元酵素を阻害する活性作用を有することが、動物実験で確認された90年代半ば以降、健康食品素材として注目されるようになった。

 京都薬科大学などの研究では、サラシア・レティキュラータ熱水抽出エキスに糖尿病モデルラットの血糖値降下作用などが確認されている。吉川雅之(京都薬科大学)によって特定された成分(略称:ダスデス・特許成分)には、食物の糖の吸収を抑えることからメタボリックシンドロームに対する作用が注目されている。

日曜日, 6月 08, 2008

コタラヒム

〇コタラヒム

 スリランカ原産のデンチムル科の樹木で、学名はSalacia reticulete(サラシア・レティキュラータ)。原産国スリランカの現地ではアーユルヴェーダ医学に基づき、糖尿病に効果のある薬木としてこの名前で呼ばれ利用されてきた。

 京都薬科大学・吉川正樹の研究によると、コタラヒムは糖尿病治療薬のα-グルコシダーゼ阻害剤と同様の作用を持ち、その有効成分はコタラノール、サラシノールという硫黄を含む糖質であることが同定されており、糖尿病の予防・改善に効果のあることが認められている。

 現在、わが国の健康食品市場では、「コタラヒム」「コタラヒムブツ」と「サラシア」の商品名が使用され流通している。コタラヒム、コタラヒムブツは樹木・樹皮を利用した製品が多くみられる。

月曜日, 5月 26, 2008

大麦

〇大麦

 かつては麦飯として日常的に食べられていた大麦だが、現在では健康を意識した食材として利用されるケースが多い。大麦はイネ科の単子葉類で、米に比べると食物繊維の量が圧倒的に多いのが特徴だ。大麦(七部つき押麦)には、10.3g(100g当たり)の食物繊維が含まれるが、玄米は3gと1/3である。精白米では0.5gしか含まれない。つまり大麦は白米に比べ20倍もの食物繊維を含んでいるわけである。食物繊維は腸の働きを活発にし、便秘の改善、下痢を抑えるという効果がある。

 大麦は精白の仕方によって丸麦、押麦、白麦に分けられる。丸麦は大麦をそのまま精白したもので、もっぱら味噌や醤油などの加工品に使われている。押麦は丸麦を平たく押したもので、麦とろご飯として食べられることが多い。麦を常食するには押麦を白米に混ぜて炊くのが一般的だ。白麦は丸麦を2つ割りにしてから精白し、平たく押したもので押麦よりも食べやすい。また最近では、精白した丸麦を押さずに白米と同じ比重になるように加工した米粒麦というものもある。これは、白米と混ぜて炊くときに麦だけが浮き上がらないので便利である。

土曜日, 5月 24, 2008

そば

〇そば

 ソバはタデ科の一年草で、原産地はアジア北・中部とされ、歴史的には早くからインド北部、東アジア各地へ伝播し、普通種とダッタン種の2種があり、わが国で栽培されているのは普通種である。

 わが国ではソバに薬効を認める基盤は早くからあり、「本朝食鑑」(人見必大撰、1697年)には「気味甘く微寒にして毒なし。気を下し、腸胃のしわい積滞を寛にす。水腫、白濁、泄痢、腹痛、上気を治し、あるいは気盛んにして湿熱あるものによろし」と述べられている。

 寒性なので胃弱の場合には不適とされながら、長寿の食物として好んで常食もされてきた。古くは麦飯のように脱穀したソバを米麦に混ぜたそば飯だったが、粉末にして丸めたそば団子に続いて、ウドンを真似たそば切りが登場したのは江戸時代(17世紀)以降である。

 ソバが栄養価の高い食品であることはよく知られている。全粒中の成分の内、約12%はタンパク質である。70%を占める炭水化物は他の穀類のデンプンより糖化度が高い。そして何よりも特徴的なのはルチンである。ルチンは抗酸化物質として注目されているフラボノイド(植物の色素成分)の一つで、血管の強化作用があり高血圧によいとされている。また、体内でケルセチンに変化して抗腫瘍効果を発揮したり、認知症の改善にも寄与することが明らかになっている。

金曜日, 5月 23, 2008

EPA(イコサペンタエン酸)

EPA(イコサペンタエン酸)

 かつてはエイコサペンタエン酸と呼ばれていたが、近年、イコサペンタ塩酸に改められた。但し略称のEPAはそのまま使われている。炭素数20個、二重結合5カ所のn-3系不飽和脂肪酸で、融点はマイナス54℃。イワシやタラなどの魚油に多く含まれる。血液中の中性脂肪やコレステロール濃度の低下作用、血小板凝集能の抑制作用などが認められている。

 EPAが注目されるようになったのは、1970年代にデンマーク・オールボア病院のダイアベルグがイヌイット(エスキモー人)を対象に行った疫学的調査の結果によってである。それによると、魚やアザラシを主食とするイヌイットはは肉食中心のデンマーク人に比べて動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病が大幅に少なかった。例えばデンマーク人の死亡原因が心筋梗塞だけで40%以上も占めているのに、イヌイットは発症率が高い60歳以上だけを対象にしても3.6%でしかなかった。その原因がイヌイットの食生活にあると考えて研究の結果、魚肉油に含まれるEPAの有効作用にあるとわかったのである。

 最近の研究では、横山光弘(神戸大学)らが日本人約2万人を対象にし大規模臨床試験(5年間の追跡調査)で、EPA薬の摂取により心臓病のリスクが19%減少したという試験結果を発表している(2005年、米国心臓協会学術集会)。EPAは健康食品素材としても広く使われており、(財)日本健康栄養食品協会による「イコサペンタ塩酸(EPA)含有精製魚油加工食品規格基準(1986年8月公示、96年6月一部改正)」がある。

木曜日, 5月 22, 2008

フコキサンチン

〇フコキサンチン

 フコキサンチンはワカメやヒジキ、昆布類などの褐藻類に含まれる赤褐色のカロテノイド色素である。カロテノイドはニンジンのβ-カロチン、トマトのリコピンなどをはじめとして自然界に幅広く存在する黄色~赤色系の天然色素で、酸素と結合しやすいという特徴を有する。ヒトの体内ではいわゆるフリーラジカル(活性酸素)と結びつき、これを無害化する。しかし、動物はこの有効な働きをする物質を自身の体内では生産することができず、食物として摂取しなければならない。栄養面でのカロテンの有用性が注目されている。カロテノイドの一種であるフコキサンチンにも、この作用が備わっている。

 こうした働きに加えて、最近の研究では、フコキサンチンにはエネルギー消費速度を刺激して脂肪燃焼を促し、内臓脂肪を減少させる作用があることがわかってきた。マウスを使った実験によると、フコキサンチンを投与したマウスは体重が5~10%減少したとの報告もある。フコキサンチンは、腹部や肝臓などの内臓脂肪を構成する白色脂肪細胞内への、ある種のたんぱく(ミトコンドリア内の脱共役たんぱく)の発現を増加させる働きがあるとみられている。このたんぱくは脂肪の酸化およびエネルギーの熱への変換を促すことにより、白色脂肪細胞を減少させる。白色脂肪細胞は過剰に摂取された炭水化物や脂肪を中性脂肪形で蓄えるための細胞で、今話題のメタボリックシンドロームの主因とされているものであり、これを減らすことができれば健康増進効果は大きい。白色脂肪細胞を減らす機能性食品への注目度は上昇基調にある中で開発されている。

 食事療法のみの被験者とフコキサンチンを併用した被験者とを比較した新陳代謝実験では、フコキサンチンを併用した被験者のほうが代謝は18.2%高かったという結果も出ている。

 健康食品市場には、フコキサンチンの抗酸化作用・脂肪細胞減少効果を生かした製品など、すでに多く流通しているが、その中でザクロ種子油との相乗作用で脂肪細胞の形成を抑制するなど、フコキサンチンの機能性との組み合わせによる効果を狙った製品開発が注目を集めている。ザクロ種子油には、新しい血管の形成を阻害すること脂肪細胞への血流量を抑制し、血液を介した脂肪の供給を低減させて脂肪細胞の新たな形成を遅らせたり、抑制したりする作用が認められている。ザクロ種子油とフコキサンチンとの相乗効果は臨床実験でも確認されており、16週間の飲用で平均6.5kgの体重減少、5.3kgの体脂肪減少が見られたことが報告されている。

火曜日, 5月 20, 2008

カリフラワー

〇カリフラワー

 アブラナ科のキャベツの仲間で、花のように見える花蕾部分を食用とする。花蕾の色によってホワイト、オレンジ、ムラサキの種類がある。

 カリフラワーはビタミンCの含有量が多く(100g中、生で81mg、茹でたものは53mg)、これはトマトの3倍以上に当たる。レモンの搾り汁100gといえばコップ半分くらいだが、これを飲んで得られるビタミンCは50mgである。タバコ1本吸えば約25mgのビタミンCが破壊されともいわれ、またポーリング理論として知られるビタミンCの大量摂取によるウイルス感染予防には少なくとも1日1g(1000mg)位は必要とされているから、レモン汁をコップに10杯以上も飲み干さなければならない計算である。

 日本人の食事摂取基準20005年度版では、ビタミンCの1日推奨量を100mg(成人)としている。従ってノルマ達成のためならレモンの搾り汁をコップ1杯飲めばよいわけであるが、それならカリフラワーをたっぷりと美味しく食べたほうが賢明であろう。蕾の部分よりも白い芯(茎)のほうが倍近いビタミンCを含んでいるので、塩漬けなど調理を工夫してなるべく残さずに利用するとよい。

日曜日, 5月 18, 2008

スイートコーン

〇スイートコーン

 スイートコーンはイネ科トウモロコシの甘味種で、その未熟種子を食用にする。完熟種子は穀類に分類される。スイートコーンは野菜として扱われる。原産地はペルーで、日本にはポルトガル人によって16世紀中頃に渡来したが、栽培されるようになったのは明治以降である。全国各地で栽培されているが、特に北海道が多い。

 古くからゴールデン種とシルバー種に加え、甘味の強いバイカラー種が品種改良され、現在はこれが主流となっている。黄色と白の粒が混じり合った姿をしており、果皮が柔らかく甘みが強い。スイートコーンの雌穂を若採りしたものはベビーコーン(ヤングコーンともいう)で、中国料理などに使われている。

 スイートコーンの実100g中、カロテン53ug、ナイアシン2.3mg、ビタミンC8mg、カリウム290mg、食物繊維3gなどが主成分。ビタミンCも多い。整腸・便秘・動脈硬化などに食効があるとされ、また糸状の毛を乾燥させてお茶代わりに煎じて飲むと、利尿・強心・膀胱炎・腎臓病に著効があり、昔から民間薬として広く親しまれてきた。

土曜日, 5月 17, 2008

スプラウト

〇スプラウト

 植物の新芽を英語でスプラウトというが、最近、各野菜の新芽が健康野菜としてスーパーの店頭に並び出した。ブロッコリーやマスタードなどの新芽があり、目新しさも手伝ってちょっとしたブームになっている。

 スプラウト人気の発端は、米国のジョンズ・ポプキンス大学の研究者らがブロッコリーの新芽に優れた抗ガン作用があると発表したことによる。発芽3日目の新芽には、成長したブロッコリーの20~50倍のサルフォラフェインという抗ガン成分があるという。また、スプラウト類は全般に植物性タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維に富み、ローファット、ノンコレステロールというのが健康志向の強い米国人に受けたようだ。

 スプラウト野菜はブロッコリーのほか、小豆やソバ、クローバー、レンズ豆、ラディッシュ、ヒマワリ、レッドキャベツ、マスタード、クレス、小麦など種類が多彩だ。サンドウィッチの具やサラダ、スープの具材など食べ方の自由度も高い。家庭でも栽培できるようにスプラウトの栽培キットも販売されている。

金曜日, 5月 16, 2008

そら豆

〇そら豆

 初夏の味覚の一つでとして親しまれているソラ豆だが、これは夏野菜のソラ豆の若莢が未熟なうちに収穫したもので、茹でて食べる。エダ豆と異なり、豆は莢から出して茹でる。ソラ豆が北部アラビアで栽培されたのは有史以前だが、日本へは江戸時代初期に中国から到来したといわれる。莢が天を向いて直列するところから「空豆」と名付けられたもので、豆の形が蚕の繭に似ていることから蚕豆ともいわれる。

 枝豆に匹敵するタンパク質(生100g中10.9g)と糖質(同15.5gでエダ豆の約2倍)が含まれており、タンパク質のアミノ酸組成も非常に優秀で高い栄養効果が期待できる。また、スタミナの元といわれるアスパラギン酸や旨味成分のグルタミン酸が豊富なので、夏へ向けて体力をつけるのにふさわしい食品であるといえる。ミネラルやビタミンB群も豊富で、特にB2は0.2mgと多い。過酸化脂質の生成を防いで血管の若さを保つのに役立つ。ソラ豆の脂質には比較的レシチンも多いので、Bと共に働いて血中の悪玉コレステロールが増えるのを防ぐ。このほか利尿、便通改善効果もある。

木曜日, 5月 15, 2008

オクラ

〇オクラ

 オクラはアオイ科の一年草で1~2mに育ち、夏に黄色い大きな花の後、断面が五角の星型の莢をつけるが、この若い実が食用になる。原産地はアフリカで、エジプトでは紀元前から栽培されてきた歴史があり、現在は世界各地で栽培されている。オクラはアフリカの現地語を起源とする英名。

 オクラを細かく刻むと納豆のようにネバネバの糸を引くが、これはペクチンという食物繊維と糖タンパクのムチンが含まれているためである。野菜のネバネバに強壮効果があるといわれるのは、ペクチンの整腸作用(便秘にも下痢にも効能がある)と、ムチンがたんぱく質の消化吸収を助けるためと考えられる。オクラはまたカルシウムが100g中92mgと、たとえばマイワシ(70mg)のような魚よりも豊富で、平均的にカルシウム不足をきたしている日本人には好適な野菜といえる。ビタミンB1・B2も十分に含まれているので、ネバネバが苦手という人はスープ仕立てにする(ペクチンなどがスープに溶けてしまうのでネバネバはなくなり、とろみのあるスープになる)か、天ぷらなどで工夫して夏場の暑気負け回復のために大いに食べたいものである。

水曜日, 5月 14, 2008

さやえんどう(莢豌豆)

〇さやえんどう(莢豌豆)

 マメ科エンドウ属のエンドウ豆は、ギリシャ・ローマ時代から栽培され品種も多いが、野菜種としては若い莢を食べるサヤエンドウと、未成熟の実を食べるグリーンピースがある。

 サヤエンドウのうち、もっともポピュラーなのはキヌサヤ(絹莢)で、若莢を早採りしたもの。莢が擦れる音が衣ずれの音に似ていることからこの名がついた。このほか、関西でよくつかわれる大型のオランダ大莢、アメリカ産のスナップエンドウがある。スナップエンドウは実が大きくなっても莢が堅くならないため、実と莢を一緒に食べることができる。

 サヤエンドウは栄養バランスが良く、タンパク質は100g3.1gとグリーンピースの半分くらいであるが、遊離アミノ酸が野菜の中で最も多い。カルシウムは35mg、リンは63m含まれている。カロテンも560ugと多めで、これは日本カボチャ(730ug)には及ばないもの青ピーマン(400ug)を上回っている。ビタミンCも豆類の中では飛び抜けて多く、100g60mg含み、Cの補給にはもってこいの食材といえる。風邪の予防、老化防止、利尿のほか、シミやソバカス、高血圧症、胃腸疾患、糖尿病の口乾などに効用がある。サヤエンドウは入手しやすいので常用したい野菜の一つ。油炒めなどにするとたっぷり量も摂れ、熱を加えることで色が鮮やかとなり、食卓に彩りを添える。

火曜日, 5月 13, 2008

えだ豆(枝豆)

〇えだ豆(枝豆)

 えだ豆は大豆の若莢(わかさや)を未熟な内に収穫したもので、茹でて食べる。大豆と同じくタンパク質が豊富に含まれており(100g中11.7g)、これは鶏卵にも匹敵する量である。比較的糖質が少ない代わりに良質の脂肪が含まれ、この脂肪分はニンジンカボチャのカロテンの吸収を助けるという働きもある。

 夏のビールのつまみとして定番のえだ豆だが、豊富に含まれる含流アミノ酸のメチオニンにはアルコールから肝臓を守る働きがあり、つまみとしても理にかなっているわけである。また新陳代謝を促進し自律神経の調整をするビタミンB1も多く(100g中0.31mg)、肩こり・便秘・倦怠感・神経炎・むくみなどを予防する。

 枝豆にはこのほか、大豆には全く入っていないビタミンCが27mgも含まれており、暑さで消耗する夏場には最適である。加えてカロテンを大豆の40倍も含み、皮膚・粘膜の抗菌力を増し、目を守るという意味でも、夏の野菜として是非摂りたいものである。このほか大豆と同じくサポニンが含まれ、体内の過酸化脂質を抑えてこれてロールを下げる働きをする。

月曜日, 5月 12, 2008

香酢(改訂版)

〇香酢(改訂版)

 香酢は中国江蘇省南部の鎮江でつくられる黒酢の一般的な呼称だが、黒酢といっても日本のものとは製法も原材料も異なっている。原料はもち米と麦ふすまで、もち米を蒸して酒を仕込み、これにもみ殻を加えて甕で自然発酵させる。この発酵の仕方を酢酸分層発酵法といい、甕の中を撹拌したり中身を別の甕に入れ替えて熟成させる。

 熟成の時間によって呼称が変わるのも香酢の特徴で、3年以上熟成させたものが高級香酢とされ、これに対して1年未満のものは陳醋と呼ばれ、一般酢(大衆酢)とされる。新年や祝日、特別の行事や珍客をもてなすときは老陳醋が振る舞われるという。香酢の良し悪しは主原料のもち米、水、麹に左右されるが、発酵・熟成の過程での作業時間(年月)、温度管理、容器の選定などによっても違いが生じるといわれる。特に陶製の甕は不思議な力を持っており、長年にわたって使われた甕の内部の小さな穴には菌や発酵微生物など、いわば自然の力がすみつき、穴から出て一時も休むことなく活動している。これが発酵や熟成に欠かせない神秘的な力を発揮するといわれている。

 香酢の特徴はアミノ酸の含有量が多いことだが、香酢の健康機能性でカギを握っているのはアミノ酸が数個連なっているペプチドと考えられており、今後の研究成果が待たれている。また最近になってメラノイジンという新しい成分が発見された。これは香酢を3年間熟成させると生成されるポリフェノールの一種で、胃や十二指腸の粘膜に作用して健胃・整腸効果を発揮することが報告されている。

日曜日, 5月 11, 2008

卵タンパク質

〇卵タンパク質

 卵タンパク質は卵白タンパク質と卵黄タンパク質に分けられ、鶏卵では、卵白の約10%、卵黄の約15%がタンパク質である。卵白は脂質をほとんど含まないため、牛乳の約3倍という高濃度のタンパク質水溶液になっており、40種類以上のタンパク質が含まれている。その内、約54%は単純タンパク質のオボアルブミンで、それ以外にはオボログロブリン、オボトランスフェリン、オボムコイド、オボスタチン、オボムシン、リゾチームなどが含まれている。卵黄タンパク質の大部分はリポタンパク質(LDL、HDL、リポビテリン)である。

※複合タンパク質

 アルブミンやグロブリンなどの単純タンパク質に糖や脂質などが結合したもので、糖タンパク質、リンタンパク質、核タンパク質、色素タンパク質などがある。

 糖タンパク質は糖質が結合したもので、ムチン、オボムコイド(卵白)など。リンタンパク質はリン酸と結合し、カゼイン(牛乳)、ビテリン(卵黄)など。リポタンパク質は脂質と結合したもので、各種リポタンパク質、リポビテリンなど。核タンパク質はヒストンやプロラミンが核酸と結合したもので、プロタミン(魚の白子)、ヌクレオヒストン(細胞核)など。色素タンパク質はヘム色素などと結合しているもので、ヘモグロビン(血液)、ミオグロビン(筋肉)などがある。

土曜日, 5月 10, 2008

ハーブティー

〇ハーブティー

 ハーブティーは、ドイツではクロイターティー(薬草のお茶)、フランスではティザーヌ(薬草を煎じる)といい、いずれも薬草茶という把え方をしているが、日本では健康のためというよりも趣味性・嗜好性が強く、一種のファッションとして利用される傾向がないわけでもない。ハーブティーの中には、フラワーティー(花茶)として知られるものもあり、花茶は別に分類する考えもあるが、今日ではハーブティーの中に含めたほうが合理的と考えられている。

 ハーブティーはさまさまな種類のものを容易に購入できるようになったが、自分で栽培したり採集した材料が作る人も多い。アルファルファ、カミツレ、ミント、ベニバナなどは種子や苗を入手しやすいし、初めての人でもわずかなスペースやプランターで栽培できる。全草(根を除いて地上部の全部)を用いるものは花の咲き始める頃、満開のものがよい。また、実を用いるものもあるが、これはウイキョウのように完熟した実を使うものもあるし、キササゲのように成熟しきらないものが適したものもあり、ハーブの種類によって使い方が異なるので注意が必要である。

 作り方の基本は、全草を用いるときは、よく水洗したのち水気を切って、広げて日陰で乾かす(ものによっては軽く蒸してから乾燥させるものもある)。花の場合は、採取後、素早く日向で干し上げる。いずれも乾燥させてから細かく切って瓶などに密閉して保存すればよい。また根を用いるときは、よく洗ってから小さく刻み、それを天日で乾燥させる。保存のコツは緑茶と同じく湿気を避けることである。

 ハーブティーの入れ方は自由だが、花の姿を楽しみたいカミツレ、ベニバナ、ハイビスカス、サフランなどはカップに花弁や花2~3個を入れた上から熱湯を注ぐ。香りを求める葉や実の場合は、茶こしに入れて熱湯を注ぐとよい。オオバコのように成分が出にくいものの場合は、ポットに入れて熱湯を注いで5分くらい置いたり、火にかけてひと煮立ちさせてもよい。

金曜日, 5月 09, 2008

ダイジン(大豆イソフラボン)

〇ダイジン(大豆イソフラボン)

 ダイズインともいう。イソフラボン系色素のダイゼイン(daidzein)と糖のグルコースが結合したフラボノイド配糖体で、大豆の胚軸、葛の根に含まれている。大豆イソフラボンとも呼ばれ、女性ホルモン(エストロゲン)と似た作用をすることが知られている。女性に多い骨粗鬆症は女性ホルモンの分泌量と関係しており、中高年になって女性ホルモンの分泌が減少すると骨量も減少することが発症の原因。イソフラボンを摂取すること手骨量の減少が抑えられ、骨粗鬆症の予防につながる。

 また、男性ホルモンの過剰で起きる前立腺ガンに対してもイソフラボンの摂取が予防につながるとされている。大豆イソフラボンは骨からカルシウムが溶け出すことを防ぐ機能がヒト試験で証明され、トホクの関与成分にもなっている。また、大豆イソフラボンを含む健康食品に関しては、(財)日本健康栄養食品協会による「大豆イソフラボン食品規格基準」(2000年11月公示)がある。

※ゲニスチン

 イソフラボン系色素のゲニステイン(genistein)が糖と結合した配糖体で、大豆の胚軸に億含まれている。大豆イソフラボンの一種。

木曜日, 5月 08, 2008

苦丁茶

〇苦丁茶

 苦丁茶は中国の南部、および西部で保健茶として飲用されている茶で、独特の苦みと清涼感を特徴とする。中国でも茶の中では生産量が少なく、大変貴重な高級茶とされる。場所によって、モクセイ科、オトギリソウ科、モチノキ科、ムラサキ科、バラ科などさまざまな植物の葉を用いて作られる。

 四川省産の苦丁茶には、清熱、降圧、防暑の効あり、雲南省産の苦丁茶には、防暑、消炎、増知、抗疲労等の効ありとされる。また、四川省産などのLigustrum属植物を期源とする苦丁茶には、モノテルペンやフェニルエタノイド配糖体が含まれ、特にモノテルペン配糖体にはコレステロールの吸収や生合成に関与するACATという酵素の阻害作用があることが報告されており、血中脂質改善作用が期待されている。

水曜日, 5月 07, 2008

サワーサップ茶

〇サワーサップ茶

 サワーサップ(sour sop)は熱帯アメリカに自生するバンレイシ科の小高木で、和名はトゲバンレイシ。椿の葉を大きくしたような直径19~15cmの光沢のある革質の葉を持ち、細かな棘に包まれた実をつける。サワーサップ茶はこの葉を用いる。原産地の一つである南米ギアナの原住民が、激しい運動を伴う狩猟などに出掛ける前や、豪雨にあって体が冷え切った時にサワーサップの葉を煎じて飲む習慣を持っていたのは、経験的にその強心効果(心臓の収縮増強作用)を知っていたためのと考えられている。

 サワーサップ茶の強心効果が臨床的に認められたのは1985年のことで、成人病を専門とする日本人医師・石垣健一によってである。石垣は、4人の糖尿病患者(高血圧症、高脂血症症、冠動脈症などを併発)に対し、サワーサップの乾燥葉の微粉末g入りのティーバッグに熱湯を注ぎ、濃い番茶のようになるで十分にエキスを浸出させたものを14日間飲用させ、体重変化、血圧、空腹時血糖、血清コレステロール、血清中性脂肪、動脈硬化指数、心電図、副作用の各項目を記録・分析し、あらゆる項目で好結果を得た。心拍数の増加や血圧上昇などの副作用は何一つ認められなかった。

 また、日本化成の研究グループはサワーサップの葉から抽出した精製度の高い粗エキスを用いた動物実験によって、非常に高い心臓収縮増強作用があることを確認している。しかもこの効果は、粗エキスを実験動物の十二指腸内に投与した場合でも発揮されることが実証されたという。現在よく用いられている心不全の治療薬であるニトログリセリンは口腔粘膜からしか吸収されないという弱点があるが、サワーサップにはそれを解決する可能性も期待されている。

月曜日, 5月 05, 2008

マテ茶

〇マテ茶

 マテ茶は、南米パラグアイ、ブラジル西部が原産のモチノキ科の常緑低木イェルバマテ(yerba mate)の葉・茎を用いた健康茶である。南米土着のインディオたちが400年以上も健康茶として飲み続けてきたもので、今ではブラジルをはじめ南米各地で愛飲されている。カフェインが少ないので飲みすぎても胃を刺激せず、子供向きのドリンクにも格好である。

 成分として注目されているのはマテ茶に特有のマテインというアルカロイドで、自律神経を刺激して心身を活動的にし、健胃・整腸作用、肥満防止が期待できるという。一方、神経の興奮を抑制する働きもあり、ストレスによるイライラや二日酔いにも効果を表す。このほかの機能性の研究では、ノーベル医学賞受賞のB・A・ウーサイによる造血作用、美肌作用、消化液の分泌促進作用、グリコーゲン産生と疲労回復効果などに関する報告がある。また、川上美智子(シオン短期大学)は、マテ茶に含まれるタンニンがデンプン分解酵素アミラーゼの作用を阻害して体脂肪を減少させ、便秘を解消すると発表している。活性酸素を消去するSOD活性も高い。

土曜日, 5月 03, 2008

目薬の木茶

〇目薬の木茶

 目薬の木はカエデ科の落葉高木で、イチョウと同じく雌雄異体。日本各地に群生地があるが、多くは山形・岩手以南の本州、四国、九州の深山に分布し、特に福島県とその隣接する県に多い。地方によって千里眼の木、長者の木、三つ花、花楓(ただし同名の別種がある)などの異名がある。

 江戸時代初期に、この木の樹皮を煎じて点眼ないし洗眼薬とし、やに目、ただれ目、かすみ目、鳥目、そこひなどの眼病に用いていた記録があるが、歴史的にはすでに安土桃山時代に活用が始まったと考えられている。以来、文字通り、目薬の木として広く活用され、ごく一部の寺社では1950年代の半ばまで自家製の目薬として販売していたといわれるが、ほとんど知られることはなかった。

 60年代に入って、星薬科大学の伊澤一男が薬用植物の採集過程でこの木の存在を知ったことが契機となり、同大生薬学教室で成分研究に着手した。その後「薬草カラー図鑑」(伊澤一男、主婦の友社)にこの木が収載され認知度が高まる中で、同大の篠田正人らが肝障害に対するメグスリノキの薬理試験と題する学術発表を行って、強制的に肝障害を起こさせたモルモットにメグスリノキのアルコール抽出エキスを用いて改善が見られたことを報告した。同教室の成分分析試験では、樹皮にはα-アミリン、β-システロール、ロドデンドロン、カテキンなどが、木部にはβ-システロール、クマリン誘導体のスコポレチン、エピーロトデンドリンなどが、葉にはβ-アミリン、ケルセチンなどが確認されている。

 目薬の木の成分と種々の眼病、肝障害の改善作用についてはまだ十分に解明はされてはいないが、煎じ液を用いてかすみ目、やに目、老眼、仮性近視、結膜炎、花粉症の涙目などが改善した例、漢方薬との併用による緑内障の眼圧低下、肝炎や蕁麻疹の改善例など、多彩なケースが報告されるようになっている。

金曜日, 5月 02, 2008

健康茶

〇健康茶

 各種の薬草・薬木を使った健康茶は世界各地に伝承されている。中国は広大な国土に多種類の植物があり、まさに薬草の宝庫といってもいいが、それらは実や葉であったり、時には木の皮であったりするが、その地方の人々が古くから健康のために飲用している薬草類が各地にある。その中には漢方薬として使われているものも多い。

 本来、茶とはツバキ科の「茶」の葉を抽出したものだが、茶と同じように湯に浸してのこところから「〇〇〇茶」と呼ばれることが多い。茶の栽培は、気候条件や地形などが適した場所でないと良質のものができないため、茶の木が育たなかった地域では、身近にある植物を利用して茶の代わりに使ったのが始まりではないかと考えられる。

 中国をはじめ、世界各地にさまざまな健康茶がある。わが国では柿の葉茶やハブ茶など1種類の植物からつくられた健康茶のほか、ハトムギ・クコ・オオバコ・カキドオシ・よもぎ・明日葉・紫蘇・延命草・どくだみなど各種の野草をその土地の風土に合わせてブレンドしたものも多く伝わっている。これらの健康茶は茶そのものを使っていないので、カフェインも含まれていないから寝る前に飲んでもよい。また、各種の薬草にはそれぞれに多様な有効成分が含まれており、日常の健康維持・増進に手軽に利用できる格好の健康食品ともいえる。最近ではエキス加工技術の進歩によって、これまでお茶として飲まれるだけだったものが、粉末やカプセルとしても製品化され、より健康食品食が強まっている。

木曜日, 5月 01, 2008

ビール酵母

〇ビール酵母

 ビールの醸造に使われる酵母はサッカロミセス属(Sachatomyces)の単細胞微生物で、発酵槽でホップを加えた麦汁(麦芽を粉にして煮たもの)に入れると、麦汁の糖分(麦芽糖)をアルコールと炭酸ガスに変えてビールをつくり始める。この過程で酵母の中ではアミノ酸やビタミン、核酸などの栄養素も大量につくられる。発酵が終わり、発酵槽の底に沈殿した酵母を取り出し、洗浄して乾燥させたものがビール酵母で、ビール1リットル当たり約1g得られる。

 乾燥ビール酵母に含まれる栄養成分組成は、アミノ酸が約50%、食物繊維が30%、残りがビタミンミネラル、核酸などである。アミノ酸は必須アミノ酸を中心に18種類、ビタミン類はビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸など、B群が豊富である。ミネラル類でカリウム、リン、カルシウムが多い。

 このような豊富に栄養成分を含む乾燥ビール酵母は、早くから胃腸症状の改善に効果のあることが認められ、医薬品(エビオスなど)の原料として使われてきたが、栄養補給効果が高いことからダイエット食品として人気がある。

水曜日, 4月 30, 2008

ガジュツ(莪朮)

〇ガジュツ(莪朮)

 ガジュツはインド原産のショウガ科の多年草で、紫ウコンとも言われる。

 南アジア一帯で広く栽培され、日本では沖縄、屋久島、種子島で良質品を産する。里芋に似た直径4~5cmの卵型の根茎の断面は淡黄色、中央部が淡い紫色を帯び、特有の芳香と強い苦みを持っているが、それを薄く切って乾燥させ粉末にしたものが生薬として用いられる。その形と顕著な薬効とによって、わが国では古くから弘法大師の石芋とも呼ばれていた。中国薬物書の古典本草綱目には、主治として消化器病、感染症、神経症、血の道症、腫瘍、小児喘息などが挙げられ、古今の彼我の文献には健胃、駆風、鎮痛、駆お血、通経薬として薬効顕著であることが紹介されている。ガジュツを主剤とした漢方薬もあり、それだけに有効成分とその薬理作用に関する研究も活発に行われてきた。

 全量の約1~1.5%に当たる精油成分からは多くのモノテルペン類(シネオールやカンファーなど)、セスキテルペン類(アズレンなど)、クルクミン類など微量成分を含めると100種近くが見い出され、それらの作用機序が解明されてきた。芳香性があるため飲んだ時にの中がすっきりとし、特有の苦味(モノテルペン類の配糖体)が刺激となって胃液の分泌を促し、同時に精油成分のシネオールも唾液や胃液の分泌を促すので消化力が高まるという健胃効果をもたらす。シネオールには胆汁の分泌を促す作用もあり、消化を助けるとともに血中コレステロールを下げる働きもする。また強い殺菌・防腐作用があり、同様の作用はカンファーにも認められている。カンファーはカンフル剤の主成分で強心作用がある。

 このような多様な成分の相乗効果によって生ずるガジュツの効果については数多くの報告がなされている。糸川秀治(東京薬科大学)はマウスによる実験で、ガジュツのエキスに抗腫瘍作用、肝障害の発生を抑える作用があることを認めている。また、水野修一(国立小倉病院)は臨床試験によって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性委縮性胃炎の元凶と見られているヘリコバクター・ピロリがガジュツの投与によって胃内から消滅することを確認している。奥田拓道(愛媛大学医学部)らの研究グループは、アルコール抽出分画にアレルギー物質となるロイコトリエン生成に関わる5-リポシゲナーゼを抑制することを見出しており、これはガジュツが抗アレルギー作用を有すると考えられることから、今後の臨床的成果が待ちれる。

 中国では、抽出液の注射で子宮ガン・皮膚ガン・口唇ガンなどに著効を見たという報告が多い。また、慢性肝炎・膵炎、胃潰瘍、不整脈、高血圧、高血糖といった重篤な疾患以外にも、ニキビ、シミ、口臭、便秘、肩こり、腰痛、冷え性、脱毛症、夜尿症などの日常的な不調に対する効果も多数公表されるとともに、ウコンとの併用による相乗的な効果も報告されてきている。

火曜日, 4月 29, 2008

〇鉄

 元素記号はFe。成人の体内には4~4.5g存在している。その内、約70%は血液中のヘモグロビン、筋肉中のミオグロビン、酵素のチトクロームやカタラーゼにヘム鉄として含まれ、機能鉄として酸素の運搬や酸化還元反応、解毒作用に関与している。残りの30%は鉄貯蔵タンパク質(フェリチン、ヘモデシリン)に非ヘム鉄として組み込まれ、肝臓に蓄えられている。動物性食品に含まれる鉄の多くはヘム鉄(二価鉄)だが、穀類や野菜などの植物性食品に含まれる鉄は非ヘム鉄(三価鉄)の形態をとっている。鉄は十二指腸で二価鉄の状態で吸収される。そのため植物性食品の三価鉄は胃酸で二価鉄に還元されなければ吸収されない。この時、ビタミンCとの共存下で吸収率が高めることが知られている。ホウレン草は鉄とビタミンCの両方を含む食品であり、鉄の摂取源として理想的である。鉄が欠乏すると貧血、運動機能や認知機能の低下を招く。

 食事摂取機銃05年版では、の推奨量は1日当たり男性は18~69歳で7.5mg、70位以上で6.5mg、女性は18歳以上(月経あり)で10.5mg、同(月経なし)で6.5mg、上限量は成人男性で45~55mg、成人女性で40~45mgとしている。また保健機能食品制度では、鉄を1日摂取量当たり2.25~10mg含む食品には鉄の機能を表示することができる。

※ヘム鉄

 赤血球のヘモグロビン(色素タンパク質)に含まれる二価鉄。食品ではレバーや赤身肉、カツオなどの動物性食品に多く含まれている。植物性食品に含まれる三価鉄に比べ、吸収率が高い。トクホの関与成分にもなっており、貧血気味の人に適した食品として清涼飲料やゼリーなどがある。

月曜日, 4月 28, 2008

α-リポ酸

〇α-リポ酸

 2004年3月の食薬区分改正で食品にも使えるようになったα-リポ酸は、別名をチオクト酸といい、ドイツでは糖尿病合併症予防の治療薬として、アメリカでは肝臓疾患治療に利用されてきたビタミン様物質である。その作用は大きく2つあり、糖の代謝促進と抗酸化作用である。食事から摂取した糖質は体内で解糖の最終産物であるピルビン酸に変化してミトコンドリアに運ばれ、そこでα-リポ酸によってアセチルCoAに転化し、TCA回路(クエン酸回路)で代謝される。

 α-リポ酸の体内量が少なくなると、糖がエネルギーとして代謝されず肥満の原因となる。一方、抗酸化作用はビタミンC・Eの400倍の強さを持つといわれているが、その酸化物質としての特異性は、細胞膜の脂肪性領域と水溶性領域の両方で働くことができることである。つまり、水溶性ビタミンや脂溶性ビタミンのようにその作用が限定されず、さらに分量が小さいので体の隅々まで浸透しやすい。α-リポ酸は治療目的で使用する場合の摂取量は1日当たり600mgとされているが、サプリメントとして摂取場合は、メーカー推奨量が1日100mg程度ある。

土曜日, 4月 26, 2008

クエン酸

〇クエン酸

 クエン酸はレモンやライムなど柑橘類に多く含まれる爽快な酸味を持つ酸で、レモン1個に約4gのクエン酸が含まれている。ヒトの血液中には総量にして0.1g近く含まれ、常に体中を巡り、生命維持に欠かすことのできないエネルギーを獲得する場面で重要な役割を担っている。

 ヒトの体内でブドウ糖がエネルギーに変わるには2つの方式がある。1つは解糖、もう一つはクエン酸回路だが、この回路のキーを握っているのがクエン酸である。実際にクエン酸を摂取することによって、運動能力の向上、疲労回復、肩こり・腰痛の予防・抗菌・抗ウイルス作用が見出されている。

 クエン酸のもう一つの働きにキレート作用がある。キレートとはギリシャ語でカニのはさみを意味する「ケーレー」に由来する言葉で、金属のイオンを化合物の両端に挟み込み、その金属イオン特有の性質を覆い隠す。クエン酸は生体内でカルシウムやマグネシウム、あるいはアルミニウムなどのミネラルイオンと結合し、イオンとしての作用を現わさないようにする働きがあるため、保存血液の抗凝固剤や大腸ガンの検査時に使われるマグネシウム塩類下剤に応用されている。また、クエン酸と鉄のキレート化合物であるクエン酸鉄はアルツハイマー病の治療薬として用いられることもある。それはクエン酸のキレート形成能力とその無害性によるものである。

 クエン酸は柑橘類のほか、梅干し天然醸造酢などにも多く含まれており、最近は各種機能性素材とクエン酸が組み合わされ、さまざまな健康食品が登場している。

金曜日, 4月 25, 2008

ハスカップ

〇ハスカップ

 ハスカップはスイカヅラ科に属する低木で、7月下旬に1~2cmほどの濃い紫色の実をつける。名前はアイヌ語に由来する。学名はLonicera caerulea var.cmphyllocalyx。和名はクロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)。日本では北海道のほか本州中部の高山のごく一部で見られるが、原産地はロシアのバイカル湖周辺とされており、中国北部の産地にも古くから自生していることが確認されている。ただし、現在栽培されているのは北海道のみ。アイヌの人々の間では、この実が古くから「体を軽くし、不老長寿に役立つ果実」として珍重され、特に心臓病や貧血、慢性疲労、冷え症などに効果があるとされている。

 近年その機能性が注目されてサプリメントとして用いられるようになり、女性向けの美容サプリメントとしても開発されている。

 ハスカップの実には目の疲れに効果的なアントシアニンが豊富に含まれており、なかでも抗酸化活性の高いシアニジン系アントシアニンが、総アントシアニンの100%(主成分はシアニジン-3-グルコシド)を占める。このほか、ビタミンCや、老化防止効果があるビタミンE、抗酸化成分や鉄分などのミネラルが含まれている。

木曜日, 4月 24, 2008

黒酢

〇黒酢

 酢は調味料の一つで日女的な食品だが、これを健康酢の位置にまで高めたのが黒酢である。米酢の一種であるが、特に長期間(6か月以上)発酵・熟成させることによってアミノ酸と糖が反応して黒褐色化することから黒酢と呼ばれている。アミノ酸をはじめとする多くの栄養分を含んでおり、血圧降下作用があるなどの健康効果が広く知られたこともあって、今日の健康酢ブームの主役に躍り出た。

 黒酢の発祥地は鹿児島県福山町で、つぼ酢がそのルーツである。しかし中には過熱気味の黒酢ブームを反映してか、長い熟成期間を置かずに、食酢をカラメルで着色して黒酢と称するようなものまで現れ、消費者を混乱させている。

 このような状況を踏まえ農林水産省は2003年7月、それまで米酢の規定しかなかったJAS規格に、新たに「米黒酢」の規格を設けた。それによると「穀物酢のうち、原材料として米(玄米のぬか層の全部を取り除いて精米したものを除く)、またはこれに小麦もしくは大麦を加えた者ののみを使用したもので、米の使用量が穀物酢1Lにつき180g以上であって、かつ、発酵および熟成によって褐色または黒褐色に着色したもの」と定義された。黒酢は調味料としても利用できるが、価値が高めのことから、特に健康飲料として製品化されるケースも多い。

水曜日, 4月 23, 2008

食用菊

〇食用菊

 は日本の秋を象徴する花として知られるが、中国では延命長寿の花として紀元前7世紀ころから培養され、奈良時代に日本にもたらされた外来植物とされている。旧暦9月9日の重陽の節句は「菊の節句」とも言われ、この習慣が平安時代に中国からもたらされたころから、菊を鑑賞する習慣が生じたとされる。菊は万葉集には詠まれていないが、古今和歌集のころから多くの和歌に詠まれている。その高い品格と清らかなイメージは、鎌倉時代初期に後鳥羽上皇が菊の花のデザインを好み、天皇家家紋としたことで決定的になったといわれている。江戸時代に入ると栽培、育種が盛んになり、多数の品種が生み出された。幕末のころは中国・ヨーロッパに輸出され、それぞれの国の菊事情を一変させるほどの人気を呼び、育種が盛んに行われるようになった。

 食用菊は、大きく分けて花弁が筒状のものと平たいものの2種類がある。特に食用として栽培されている菊を指す。料理のつまに使われるつま菊などの小輪種や、花びらのみを食用とする大輪種がある。つま菊以外は山形、青森など東北地方、新潟県などで栽培される。苦みが少なく甘みがあるのが特徴で、ゆでておひたしや酢の物、和え物、吸い物、天ぷらなどに用いられる。また菊海苔、干し菊など、蒸した後に薄く四角に乾燥させた加工品もある。現在は数多くの品種があり、冬の一時期を除いた一年中の採取が可能になっている。黄色の越天楽、いわかぜ(ともに山形県)、南部菊、阿坊宮(ともに青森県)、金からまつ(新潟県)、湯沢菊(秋田県)や、うすむらさき色のもってのほか(山形県)、延命楽、かきのもの(新潟県)などの品種がある。同一品種で別名のものもある。タンパク質、カリウム、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、β-カロチンなどを含む。

火曜日, 4月 22, 2008

ギャバ(γ-アミノ酪酸)

〇ギャバ(γ-アミノ酪酸)

 γ-アミノ酪酸の英語名の頭文字をとったギャバ(GABA)の略称が一般名に用いられている。哺乳動物の脳から抽出された1950年以降、多くの研究が行われている。ヒトの体内においては、グルタミン酸が脱炭酸する酵素反応によって生成されるアミノ酸で、脳内の主要な抑制性神経伝達物質として存在する。脳の酸素供給量を増やして脳細胞を活性化させ、イライラや不安を鎮める作用がある。近年では、生体内の代謝系に関する作用として血中コレステロール低下作用抗肥満症効果血圧上昇抑制効果、アルコール代謝促進作用などが報告されている。免疫系の作用としてアレルギー予防、アトピー性皮膚炎改善効果、発ガン抑制作用なども報告され、今後の科学的な解析においてさらに明らかになっていくことが期待されている。

 ギャバは哺乳動物科のほか、植物にも存在することが知られている。発芽させることによってさらに増加することも知られている。発芽玄米には白米の約10倍のギャバが含まれているという報告もある。このほか肉類、鶏、魚類、野菜、果物、発酵食品度にも含まれている。

 これらの作用を検討した研究が近年行われている。横越英彦(静岡県立大学食品栄養科学部)は、20~30代の22人の男女を対象に、朝のラッシュ時の満員電車内で増幅するストレスに対する軽減効果を検討、ギャバの摂取によってストレスが半減するという結果が得られたことを平成18年11月に報告している。また日本農芸化学会2007年度大会では、ヒトを対象としたギャバの摂取試験の結果が(株)ファーマフーズの研究グループなどから報告されたが、このうちギャバ配合の機能性飲料による心身疲労軽減効果について検討した報告では、50mgのギャバが配合された飲料の摂取群に疲労感の軽減効果及びストレス緩和効果について有意差が認められたとしているほか、カルビー(株)はギャバを強化したジャガイモを主原料とした菓子の摂取による抗ストレス作用を唾液中のストレスマーカーにより検討し、ストレス館や不安感の抑制に影響した測定数値が報告されている。

 このほか平成19年の第61回日本栄養・食糧学会大会では、横澤隆子(富山大学和漢医薬学総合研究所)が腎摘出ラットにおけるGABAの腎不全進行抑制作用について、また関連企業からギャバの腎線維化の抑制作用について報告している。

 最近の食品研究では、平成19年9月に日本食菌工業の国産姫マツタケ(子実体)100g中のギャバの含有量が1160mgにのぼることが確認された。これは発芽玄米100g当たりのギャバ含有量の58~77倍に相当する量で、これまで確認されているヒメマツタケの食品機能との関係も含めて、さらに解析研究が進展するかの性が生じている。

月曜日, 4月 21, 2008

蟻(あり)

〇蟻(あり)

 は膜翅類アリ科の成虫で、世界に2万種近く生存し、日本だけでも約250種類がいる。古来より乾燥蟻粉末は補腎、養肝、健脾の効ありとされ、周代(紀元前1050~256年)は貴族の滋養強壮剤とされた。漢代(紀元前202~後220年)には蜂蜜と混ぜて骨の鎮痛、強化に「金剛丸」という丸薬として用いられた。また、明代の本草綱目には玄駒の名で記され、搗いて化膿腫や疸毒の外用治療薬とされている。

 現在、中国で食用、薬用、日本で健康食品に用いられる蟻は衛生的な面から木の上に巣を作る疑黒多刺蟻に限定されている。成分としては必須アミノ酸をすべて含むタンパク質を50%以上含み、鉄、マンガン、カルシウム、亜鉛等のミネラルやビタミン1、B2、B12、Eなどを豊富に含有している。また薬効成分としては、鎮痛、消炎、筋肉増強作用を持つとされる昆虫変態ホルモン「エクソジン」、消炎作用を持つサポニン類、殺菌力を持つ蟻酸、多種類の酵素などが見いだされている。

 現在では主としてB型肝炎、変形性関節炎、リウマチ性関節炎の鎮痛改善の用途に頻用されているほか、精力増強貧血や骨粗鬆症の予防改善にも利用される。

 その効果は、中国の周らによるB型肝炎患者168名への投与では、有効率86.9名と報告されている(中薬理と臨床6、1994年)。また呉らのB型肝炎85症例の有効率は81%であったとされた(山東医薬36巻7期、1995年)。さらに、日本の東京理科大学における蟻主剤の健康食品による変形性膝関節炎22症例の4週間投与後の有効率は、痛みに対して73%、こわばりにたいして50%、関節の屈伸に対して64%であった(薬理と治療32、No1.、2004年)

日曜日, 4月 20, 2008

オリザブラン(米糠水溶性多糖類)

〇オリザブラン(米糠水溶性多糖類)

 米ぬかは東洋医学で米皮糠(べいひこう)と呼ばれ、慢性脚気や食道狭窄症の改善、胃の消化力や腸の蠕動運動の促進、自律神経正常化等に用いられている。栄養源としてはもタンパク質約1.32%、脂質約18.3%、炭水化物約38.3%のほか、ビタミン、ミネラル類も多量に含むなど、すぐれた特質を有する。また、日本では石鹸代わりの「ぬか袋」として銭湯で売られていた時期もあり、長年、皮膚やの美容化粧品としても利用されている。

 米ぬかの主成分はオリザノールと呼ばれ、ぬか油(トリテルペンアルコールフェルラ酸エステル)、ビタミンE、脂肪酸、高級アルコールといった、水に不溶の油溶成分に起因すると考えられてきた。しかし、米ぬかが美容を目的として使用されるときは、ぬか袋のように入浴洗顔時に湯水とともに用いることが多いことから、林輝明は、水に溶けにくい油溶成分よりも水可溶成分のほうにいっそうの美容作用を示す有効成分が含まれているのではないかと考え、東北大学薬学部の曳野教授と共同研究を開始、1987年に、米ぬかに約1.8%含まれる水可溶成分の米糠多糖類を抽出した。そして、その主体となる4種類のオリザブランA、B、C、Dを分離し、構造を決定して、生理活性を調べている。その結果、これらの多糖類は血糖降下作用(糖尿改善)、尿素を上回る皮膚への保水作用、荒れ肌改善作用、創傷治癒作用があることが判明した。

土曜日, 4月 19, 2008

CMO

〇CMO

 CMOはctyl myristokete(セチルミリストレイン酸エステル)の略。不飽和脂肪酸のミリストレイン酸のエステル化合物で、関節炎に対してグルコサミンコンドロイチン硫酸を凌ぐ効果があると米国で注目された物質である。ミリストレイン酸はn-5系の脂肪酸だが、従来のn-3、n-6、n-9系を主要に扱ってきた栄養学ではまだ代謝の機構について十分に研究されてない。

 CMOが哺乳類の生体に存在することは、1971年に米国立衛生研究所(NIH)の研究員だったH・ディールによってスイスアルビノマウスの体内から発見されたが、その後、牛や鯨のほか、他のげっ歯類の動物でも確認されている。ヒトは進化の系統樹からみるとげっ歯類からは遠くないため、ヒトの体でも重要な役割をしている可能性があるという。ディールは当時、各種動物に作用する消炎剤の研究をしていたが、その研究の一環として人工的に関節炎を起こさせるためのフロイントアジュバント(熱処理したバクテリア)を動物に注射していった。その際、スイスアルビノマウスだけが炎症を起こさなかったことに気付き、炎症から体を保護している物質としてCMOを特定した。次にこれを別種のネズミに注射してその反応を見たところ、予想通り炎症の保護をしていると推測できる結果が得られたのである。この消炎作用についてディールは、哺乳類全体に適応できる手法として米国特許を取得している。

金曜日, 4月 18, 2008

麦飯石

〇麦飯石

 水道水を入れるとミネラルウォーターに変わるという石。麦飯石の名はその外観からきている。黄褐色または淡灰色の鉱物中に白色の長石という灰色をした石英がちりばめられており、その外観が麦ごはんに似ているところから名付けられた。

 ミネラルウォーターは地中のミネラルがちょうどほどよく水に溶けた状態になっている。麦飯石の組成をみると、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、マンガンなどのミネラル類が豊富に含まれており、これらが水中に溶出する。これは微量だが、細菌などの繁殖を防ぐ働きがあるとされる。麦飯石にはまた非常に多くの孔がある。それは325メッシュ(0.043mm径)という微細なもので、ミネラルがイオン化して水に溶けやすくなり、吸着作用やイオン交換作用がいつまでも強く残り、長期の使用にも耐えるという。

水曜日, 4月 16, 2008

カンカ(砂漠人参)

〇カンカ(砂漠人参)

 カンカ(カンカクニクジュニウ)はハマボウフウ科ニクジュヨウ属植物。砂漠人参とも使用され、砂漠でも育つ強靭な生命力を有する。神農本草経には「肉蓯蓉」として記録され、補腎薬や滋養強壮を目的に多くの漢方薬に配合されている。主にタクラマカン砂漠など砂漠地帯でタマリクス(紅柳)の根部に寄生する多年草の植物で、中国ではウイグル族の民間薬として使われ、漢方生薬として重要な構成生薬であるばかりでなく、カンカ自体が認知症の改善薬として認可されている。

 成分はウイルス感染を防いで免疫力を高める効果があるといわれるエキナコシド(echinacoside)や、ポリフェノールの一種で抗腫瘍作用や肝臓保護作用、ストレス負荷による性行動や学習行動の低下を回復させるといわれるアクテオシド(acteoside)をはじめ、アルカノイド、フラボン類、アミノ酸、フェニルエチルアルコール配糖体、イリドイド類、D-マンニトール、β-シトステロール、多糖類等や無機微量元素を含んでいる。このほか血管拡張作用、抗疲労作用、抗酸化作用、抗老化作用、免疫増強作用、美白作用などが確認されている。

 中国ウイグル自治区のホータン(和田)地区では、産業振興と砂漠緑化の両面から、カンカの人工栽培とタマリクスの植林を進めている。一方、わが国では近畿大学がカンカの有用性に着目、中国中薬民族薬研究所などと共同で「新規機能性食品素材開発共同プロジェクト」を推進するとともに、2006年8月にホータン地区の農民(ニヤ)県政府と提携し、カンカに関する学術研究と砂漠緑化を進めてきた。2007年3月には国際カンカ研究会が発足し、第1回国際カンカ・シンポジムが近畿大学で開催された。2006年には近畿大学薬学部の村岡修と京都薬科大学の吉川雅之との共同研究において、強い抗酸化作用を有する高濃度のポリフェノールが含まれていることや血管拡張作用を示すカンカノシドのA~G、カンカノース、カンカノールなど新規成分が発見されている。

火曜日, 4月 15, 2008

フィチン酸

〇フィチン酸

 化学物質名はイノシトール六リン酸。inositol(イノシトール)とphosphate(リン酸塩)からIP6と略記されることも多い。フィチン酸は米糠や胚芽、穀類、種子などに多く存在し、米ぬかには約8%含まれている。キレート作用があることから、食用油の酸化防止などに利用されている。

 最近の研究では、フィチン酸にガン細胞の発生と増殖をコントロールする働きのあることがわかり、世界の研究者が注目している。特に米国メリーランド大学医学部のA・シャムスディンはIP6の研究の第一人者として世界的に知られており、日本でもその著作「天然抗ガン物質IP6の驚異」(坂本孝作訳、講談社、2000年)が邦訳され、多くの関心を集めた。1998年に京都で開催された「米糠国際シンポジウム」では、シャムスディンをはじめ多くのアメリカの研究者が参加し、その発表の大半はIP6がテーマとして取り上げられ、免疫活性のほか、少量アスピリンのように血液凝固を防ぐことで心筋梗塞や脳血栓を予防すること、高脂血症の予防、尿結石抑制への有効性などが報告された。

月曜日, 4月 14, 2008

キクカ(菊花)

〇キクカ(菊花)

 キクカ(菊花)はキク科の植物で、釣藤散、菊花散などに配合されるなど、生薬として用いられている。日本薬局方外生薬規格集が規定する基原は「Chrysanthemum indicum又はそれらの種間雑種の頭花」とされている。中国の中華人民共和国薬典ではこの2つを区別し、キクおよびその品種の頭状花を乾燥したものを「菊花」、シマカンギクまたはその近縁種の頭状花を乾燥したものを「野菊花」としている。

 菊花は味が甘く料理や喫茶用にも用いるが、野菊花は味が苦く食用には用いられない。中国では神農本草経の上薬に収載されるほか、唐代の「新修本草」、明代の「本草綱目」にも記載されている。日本では「本草和名」「医心方」にも記載されており、古くから薬物と考えられてきた。薬能としては「菊花は能く頭目風熱解し、肝を平らにし、目を明らかにする効がある」と言われ、風邪をひいて熱のある者、頭痛でフラフラする者、目が充血して痛む者、あるいは目がかすむ者に用いるとされる。特に野菊花については清熱、解毒の効に優れており、悪性のおでき、目の充血や腫れ、あるいは頭が痛くてフラフラするときによいとされる。含有成分は精油、セスキテルペン、フラボノイドおよびその配糖体が知られている。

 近年の研究では、菊花には抗原抗体作用および毛細血管抵抗力増強作用が、また野菊花には降圧作用および抗菌・ウイルス作用が報告されている。京都薬科大学生薬学教室では、野菊花に糖尿病合併症予防が期待できるアルドース還元酵素阻害活性と、血管内皮機能を調節するNOの産生抑制活性を見出している。また抗アレルギー作用のある新規成分型として、3種のオイデスマン型セスキテペンと5種のゲルマクラン型セスキテルペン、2種のフラバノン配糖体、1種のフェニルブタノイド配糖体を単離し化学構造を決定するとともに、野菊花の抗アレルギー作用成分を見出し、フラボノイド類における構造と活性、アレルギー反応を有意に抑制する作用機序を明らかにしたことを報告している。

日曜日, 4月 13, 2008

乳酸菌酵母分泌物

〇乳酸菌酵母分泌物

 乳酸菌生産物質が乳酸菌を培養・発酵させて作るのに対して、乳酸菌酵母分泌物は原料のベースに乳酸菌なと酵母菌の2つの菌を使い、両者を「共棲培養」という技術で発酵させる。乳酸菌と酵母菌はともに腸内細菌の善玉菌で、お互いの分泌物(生産物質)をエサとして繁殖するという特徴がある。すなわち、2つの菌を一緒に培養すると、乳酸菌だけの時より発酵が飛躍的に促進されるわけである。

 この乳酸菌酵母分泌物を生み出す母体となったのは、農学博士・小牧久時(現・国際地球環境大学名誉総長)が開発し、1988年に「腸内細菌叢を改善する健康食品製造法」として特許をとった「小牧原液」である。小牧は乳酸菌がなかなか腸まで到達できないという問題を解決するにあたり、腸内では乳酸菌は酵母菌の分泌物の助けを借りて繁殖し、酵母菌もまた乳酸菌の分泌物の助けを借りて繁殖している、という事実から推論を組み立てた。「乳酸菌と酵母菌、双方の微生物は分泌物を挟んで共栄共存の関係にある。そうであるなら、より大切なのは乳酸菌、酵母菌の生きた菌体ではなく双方の菌体成分である。分泌物ならば、胃液に分解されることなく腸に到達できる。腸内を善玉菌優勢にするには、双方の分泌物を届けてやればよい」と考えたわけである。

 小牧はこの考えをもとに、菌同士の相性等を精査した結果、多くの乳酸菌、酵母菌の中から16種の乳酸菌と24種の酵母菌を選び出した。これら40種の善玉菌に、栄養が非常に高いことで知られるニンニクの無臭成分「サチヴァミン複合体」を与えて共棲培養し、そこへ、腸内到達率・増殖率が極めて高く組成に優れたタイプの乳酸菌=有胞子乳酸菌を加えて作られたのが、「腸内細菌叢改善食品」であり、この製品は1989年の世界発明博覧会・生物分子部門でグランプリを受賞している。製品の完成までは31もの工程をけ経る上、40種の異なる培養条件を満たすには1000リットル以上の大きなタンク培養器が必要となる。また、添加物・抗生物質を一切使わないという条件下で細菌の侵入を防ぐためには、完璧なクリーンルームが必要条件とされるなど、高度や設備と管理技術が要求される製品でもある。

金曜日, 4月 11, 2008

乳酸菌生産物質

〇乳酸菌生産物質

 乳酸菌生産物質とは、乳酸菌そのものではなく、乳酸菌が生産した物質=分泌物を指す。いわば乳酸菌のエキスとも呼ぶべきものであり、乳酸菌とは似て非なるものである。乳や大豆、黒糖などの天然素材の培地に乳酸菌を加え、発酵させて作る。

 この乳酸菌生産物質の歴史自体は非常に古く、仏教の経典「大般若経」に「醍醐」の名前で登場する。日本には20世紀はじめ、西域に仏跡調査に赴いた大谷探検隊が持ち帰ったとされる。現地(中央アジア)では牧畜が盛んな土地柄から、乳を培地として発酵させるのが主流だが、豆腐、味噌醤油など大豆の加工技術が発達していた日本では大豆培地を使って成功し、これが現在の乳酸菌生産物質の原型となっている。のちに黒糖培地等を使った製造技術も開発された。

 乳酸菌生産物質が注目されているのは、乳酸菌そのものと比べて、腸に到達する力が格段に強いである。一般の乳酸菌は胃酸や胆汁に弱く、ヒトが摂取しても腸に届く前にそのほとんどが死滅してしまうと見られる。もちろん、死滅しても菌自体は残るので、効果はゼロということにはならないが、できれば胃酸や胆汁に負けることなく腸まで届いて、乳酸菌本来の機能を発揮することが望ましい。

 腸内に達した後も、乳酸菌単体よりスピーディーで強力な力を発揮する。乳酸菌の場合、腸内に入ると、まず自身が増殖して十分に働ける態勢を整えてから、身体に有用な物質(乳酸菌生産物質)を生成する一方、有害菌や有害物質の除去に働くが、乳酸菌生産物質では自身が増殖する過程を省いて、腸にダイレクトに働きかけることが可能となる。

 この乳酸菌生産物質の主成分は乳酸、乳酸カルシウム、ペプチン、酵素類、それがさまざまな生理活性物質(サイトカインなど)で、これらは胃酸の分泌軽減、カルシウムの吸収促進、肝機能の増強などに関与する。また、体の細胞の生産・増殖を支配する核酸が非常に多く含まれている点も大きな特徴で、この核酸が新しい細胞の形成を助け、老化をコントロールしてアンチエイジング(抗加齢)に働くと目されている。

 現在、健康食品市場では「乳酸菌生産物質」をベースとする多くの商品が流通しており、もととなる乳酸菌の種類や発酵に使う培地、発酵の方法などのほか、プラスαとして加えられるほかの成分などもメーカーにより異なっている。それらが各社のノウハウともなっている一面もある。また、ネーミングの点では「乳酸菌生産物質」のほか「乳酸菌発酵エキス」も使われている。なお、菌の種類や数はともかく、乳酸菌と酵母菌の両方を発酵に関与させているという点で、次に記述する乳酸菌酵母分泌物に相当すると思われる製品が「乳酸菌生産物質」のネーミングで販売されているケースもあり、名称の統一・整備等は今のところ必ずしもできていない。

木曜日, 4月 10, 2008

ルイボスティー(改訂)

〇ルイボスティー

 ルイボスティーは、南アフリカ共和国のごく一部の山野にのみ自生するマメ科植物ルイボスの針葉樹様の細かな葉を採取して発酵後、乾燥させた健康茶である。ルイボスは現地語で赤い灌木の意味だが、原住民は古くから不老長寿、万病への妙功を信じて愛飲してきたという。

 1900年代初頭にロシア系紅茶商人がヨーロッパへ紹介し、ついで1930年頃、現地の開業医で市長も務めたイギリス系のP・ノーティエが品種改良の末、人工栽培による農作物化に成功した。味・香り・色ともに優れ、現在では同国の重要な輸出産品として生産・加工・品質管理が政府の肝いりで行われている。

 我が国の健康茶の中では新顔に属するルイボスティーだが、飲み始めて比較的早くわかる効用として便秘の改善、ペンの性状の変化(難便は固く、固い便は柔らかくなる)、腹部膨満感や痛みなどの改善などが挙げられる。アトピー性皮膚炎や口内炎、ニキビ、イボ、肌荒れなどの改善、高血圧、高血糖などの快方、精神的に安定するという報告例も多いが、このような顕著な諸作用に対して、前田浩(熊本大学医学部)、中野昌俊(愛知医科大学加齢医科学研究所)らが多くの研究成果を発表している。

 長崎大学医学部ではマウスの胎児から得た培養細胞による実験で、ルイボスティーの発ガン抑制作用を見出している(小松賢志ほか)。また、横越英彦(静岡県立大学食品栄養科学部)らはラットを用いた実験で、ルイボスティーの抽出液と茶葉粉末を投与することで血液中の中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを上昇させることを確認した。これは心臓疾患などへのルイボスティーの寄与を示唆するものである。

 そのほかにも加齢による認知症の防止作用、肝機能亢進作用、抗菌・殺菌作用、便臭の改善作用、さらに新しいところでは愛知医科大学と山梨医科大学との共同研究で、エイズウイルスの増殖を抑制する働きなども報告された。こうした各種作用の根底には、ルイボスティーが活性酸素消去作用を持つことが指摘されており、その作用はほかの野菜類などの数倍ないし数十倍にも達することがわかってきている。

水曜日, 4月 09, 2008

チア・シード

〇チア・シード

 チアシードはメキシコ原産のシソ科の植物「チア」の種子で、大きさは1mmほど。黒褐色をした種である。中南米にあってはアステカ族、マヤ族などがとうもろこし、豆類に次ぐ主要植物として位置づけ摂取していたが、スペインの征服により、この食文化はいったん途絶えた。近年になってこの食品が注目を浴びることになった原因は、オメガ3系の脂肪酸であるα-リノレン酸科の含有量の多さと優れた栄養成分が高いエネルギーと持久力の源になることと、ダイエット効果とデトックス効果を有ていることだ。FDA(米国食品医薬品局)は、このチアシードを同局が確立した「健康に良い食材」としての栄養成分規制をクリアする「食餌療法サプリメント」として認可している。

 栄養成分の面で特筆されるのは脂質(含有量33%)、たんぱく質(同20%)、およびビタミンB群の多さで、なかでもビタミンB群のナイアシン含有量はコーン、大豆を上回る。またミネラルについても、カルシウムが小麦、オートミル、コーンに比べて70~100倍、カリウムは7~16倍含まれている。

 オメガ3系の脂肪酸は人体では作ることのできない脂肪酸=必須脂肪酸の一つで、生命の維持や健康増進によ重要な役割を果たすものであるが、チアシードには30%もの油分が含まれているうえ、その60%以上がα-リノレン酸である。

 チアシードのもう一つの特徴であるデトックスしながらダイエット効果が期待できるのは、シードの40%を占める食物繊維の9割が不溶性のため、腸の蠕動運動を正常に保つうえ、皮膚を覆う繊維に高い吸水性があり、水を含むと約10倍に膨張し、摂取すると満腹感をもたらすからである。さらにα-リノレン酸と食物繊維の相乗効果として、食後の血糖値上昇抑制作用も臨床試験で確認されている。

土曜日, 4月 05, 2008

ぶどう葉(葡萄葉)

〇ぶどう葉(葡萄葉)

 フレンチパラドックスという言葉で、赤ワインに含まるポリフェノール類の健康効果(動脈硬化や心臓病のリスクを減らす)が注目され、わが国でも赤ワインブームが起きたが、その原料となる黒ブドウの葉には赤ワイン以上(100~300倍)のポリフェノール類が含まれている。ヨーロッパのワイン農家では古くから黒ブドウの葉を煎じて健康茶として飲んだり、葉そのものを料理に混ぜて食用にしてきた。黒ブドウ葉の抽出物には血管保護作用のあることが認められており、フランスやドイツでは医薬品として扱われ、静脈疾患の治療などに使われている。

 ポリフェノール類は体内で抗酸化物質として働き、老化防止や生活習慣病の改善に効果のあることは広く知られているが、黒ブドウ葉に含まれるポリフェノール類としては、特にアントシアニンとリスベラトールが注目されている。アントシアニンは強い抗酸化作用を持ち、血管の保護、血液循環の改善、動脈硬化の予防に効果がある。

 リスベラトールはブドウ樹が真菌や紫外線から身を守るために産生するファイトケミカル(植物微量成分)の一種で、葉に最も多く含まれ、果肉中にはほとんど存在しない。人の体内でLDL(悪玉コレステロール)を減らし、血管の炎症や血栓の形成を抑える働きがあるとされている。海外では抗ガン効果についての報告もある。健康食品としての黒ブドウ葉は主に乾燥葉が売られているが、エキスを加工したものも製品化されている。

金曜日, 4月 04, 2008

大麦若葉

大麦若葉

 イネ科大麦の葉で、幼穂を形成し始める草丈20~30cmの頃の若葉をいう。ビタミンやミネラル、タンパク質、酵素、食物繊維の含有量が多く、ホウレン草と比較してカリウムが18倍、マグネシウム3.8倍、鉄4.8倍、カロチン6.5倍、ビタミンC3倍、タンパク質が15倍含まれる。そのため、最近では青汁の原料として利用れることが多い。また、キスを乾燥させ粉末化した健康食品もある。大麦の葉は成長するに従って栄養素の含有量が減少するため、若葉だけが使われている。(財)日本健康栄養食品協会による「麦類若葉加工食品規格基準」(1987年8月工事、93年7月一部改正)では、麦類若葉加工食品を「イネ科の大麦、小麦、ライ麦の幼穂形成開始期の草丈20~30cmのものを採取し、その葉、葉柄、茎の全部、または一部を搾汁した液を噴霧乾燥等の方式で乾燥したもの、あるいは搾汁液に適当な賦形剤を加えて噴霧乾燥等の方法で乾燥したもの」と定義されている。

◆麦緑素

 大麦若葉から搾汁した液を低温で噴霧乾燥させて粉末化した健康食品。長く漢方薬の研究に携わってきた医学博士の萩原義秀によって開発、命名された。ビタミン、ミネラル、タンパク質、酵素を豊富に含んでいる。

木曜日, 4月 03, 2008

でんぷん(澱粉)

〇でんぷん(澱粉)

 デンプンは、穀類やイモ類などに多く含まれる植物の貯蔵多糖類で、ヒトのエネルギー源として最も重要な物質である。植物は葉緑体と呼ばれる細胞小器官で大気中の二酸化炭素と水を原料とし、太陽エネルギーを利用(光合成)してデンプンを作り出し、種子や球根、塊根などに蓄えている。動物はこれを摂取してエネルギー源としている。デンプンを作れるのは植物と藻類だけである。

 デンプンはグルコース(ブドウ糖)のみで構成される単一多糖で、アミロース(約1000個のグルコースが直鎖状にα-1.4結合したもの)と、アミロペクチン(アミロースのところどころがα-1.6結合で枝分かれし、別のアミロース単位を含んだもの)からなっている。アミロースとアミロペクチンの含有比率はデンプンの種類によって異なるが、平均するとアミロースが20%、アミロペクチンが80%である。米の粘りはアミロペクチンによるもので、もち米に粘りがあるのは、ほとんど100%のアミロペクチンでできているためである(うるち米は83%)。

 デンプンを水と混合して加熱すると糊状となり最後には糊化するが、これをα-化デンプンという。これに対し、生のデンプンをβ-デンプンと呼ぶ。α-化デンプンをそのまま放置して冷えるとβ-デンプンに戻るが、これをデンプンの老化という。

 食事で摂取したデンプンは消化酵素のアミラーゼによってマルトース(麦芽糖)に分解され、さらにマルターゼという酵素でグルコースに分解されて小腸から吸収され、エネルギー源として利用される。

水曜日, 4月 02, 2008

少糖類

〇少糖類

 少糖類は、単糖が2~10個程度グリコシド結合(縮合)してできた糖で、オリゴ糖とも呼ばれる(オリゴは少ないという意味)。結合する単糖の数によって二糖類、三糖類、四糖類などに分けられるが、ヒトでは二糖類(スクロース、マルトース、ラクトースなど)が重要である。また、これらの糖を材料に酵素の働きなどを利用して工業的に作られる各種オリゴ糖があり、健康機能性の面から関心を集めてる。

※ラクトース

 乳糖ともいう。ガラクトースとグルコースがβ-1.4結合した二糖類で、動物の乳汁中にのみ存在する。人乳に約7%、牛乳に約4%含まれている。甘さはショ糖の1/5程度だが、消化・吸収に優れているため、乳児の栄養源として欠かせない糖である。また、カルシウムやマグネシウムの吸収を高める働きもある。

 ラクトースは、小腸でガラクターゼという酵素によってガラクトースとグルコースに分解され吸収される。ラクターゼが欠損する人では、ラクトースの分解が阻害され吸収不全となり下痢などの胃腸障害を起こす。これを乳糖不耐症。

※トレハロース

 2個のグルコースがα-1.1結合した二糖類で、砂漠や寒冷地など極限的な環境に生息する生物に多く見出されている。これは、生物に不可欠な水分を保持する役割をトレハロースが担っているためと考えられている。食品ではキノコや酵母に多く存在し、乾燥シイタケには約20%含まれている。甘味度はショ糖の6割程度。

 トレハロースは耐熱、耐酸性に優れているため、タンパク質の変性防止、味質の保持などを目的に幅広く食品に用いられている。従来は酵母らの抽出物が専ら利用されて生きたが、近年、メーカーの林原がデンプンに酵素を反応させて安価に大量生産する技術を開発、市場が一気に広がった。トレハロースの生理機能としては、腸内善玉菌の増加作用、低カロリー。非うし蝕性、抗酸化作用などがあるが認められているほか、点眼によるドライアイの軽減、経口摂取による骨強化作用などがある。

火曜日, 4月 01, 2008

フルクトース

〇フルクトース

 果糖ともいう。グルコースとともに自然界に広く存在する単糖(六炭糖)で、遊離の形で果物やハチミツに多く含まれている。グルコースと結合してスクロース(ショ糖)となる。糖類の中ではもっとも甘く、グルコースの約2.5倍の甘味がある。

 フルクトースは血糖指数(グルコースを100とした時の血糖上昇度)が20%と非常に低いため、血糖値を急速に上昇させず、インスリン分泌を刺激しないのが特徴である。そのため糖尿病患者の病人食に使用されている。またグルコースに比べて、肝臓や筋肉中でグリコーゲンへ変化する率が高いため、運動前に摂取するとスタミナが長続きする。このほか、血中アルコールの分解を促進する働きがあり、二日酔いにハチミツがよいとされる理由の一つになっている。

 フルクトースは小腸で吸収され、肝臓で酵素の作用によりグルコースに変わるが、その過程で生成するグリセロアルデヒドという物質は中性脂肪の合成にも利用される。このためフルクトースは、グルコースに比べて体内で脂肪に変わりやすいという性質がある。

 フルクトースは果物や砂糖などから摂取されるが、加工食品ではベビーフードや栄養補助食品、ドリンク剤、ダイエット食品、スポーツドリンク、和・洋菓子(ゼリー・ケーキ類、餡)などにも使われている。

月曜日, 3月 31, 2008

グルコース

〇グルコース

 ブドウ糖ともいう。自然界に最も多く存在する単糖(六炭糖)で、ブドウやバナナ、アンズなどの果実やハチミツに遊離の形で含まれるほか、少糖類(スクロース、マルトース)や多糖類(デンプン、グリコーゲン)の構成糖として存在している。水に溶けやすく、甘みはスクロース(ショ糖)の約70%である。

 動物は、植物に含まれるデンプンを摂取して体内でグルコースに変え、エネルギー源として利用している。肝臓に吸収されたグルコースの一部は血液に供給される。血液中に含まれるグルコースを血糖といい、その血中濃度(血糖値)は空腹時で70~110mg/dlであるが、食後は120~140mg/dlにまで上昇する。しかし、グルコースが生体内の各組織に取り込まれてエネルギー源として利用されることによって、血糖値は徐々に低下していき、食後約3時間で正常濃度に戻る。

 グルコースはまた、肝臓でグリコーゲン(貯蔵多糖)に合成・貯蔵されており、なんらかの理由で血液中のグルコース濃度が低下した時などは、分解してグルコースとなり血液中に供給される。グルコースはこのほか、脂肪酸やアミノ酸の合成にも関与している。

土曜日, 3月 29, 2008

単糖類

〇単糖類

 糖質の中で、分子構造的にこれ以上分解されない最小単位の糖を単糖という。含まれる炭素の数から三炭糖・、四炭糖・五炭糖・六炭糖に分けられるが、天然に広く存在するのは五炭糖と六炭糖である。この内、ヒトの栄養と重要な関係があるのは六炭糖で、食品の中に遊離の状態で含まれるほか、少糖類や多糖類の構造糖として広く存在している。グルコース(ブドウ糖)、アルクトース(果糖)、ガラクトース、マンノースなどがある。五炭糖は食品中に遊離の状態で含まれることはなく、各種多糖の構成糖として存在している。リボース、キシロース、アラビノースなどがあるが、ヒトのエネルギー源として利用されることはほとんどない。

 単糖類にはこのほか、誘導体として糖アルコール(ソルビトール、マンニトールなど)やアミノ酸(グルコサミン、ガラクトサミン)がある。

金曜日, 3月 28, 2008

ふくろたけ(袋茸)

〇ふくろたけ(袋茸)

 テングタケ科のキノコで、学名はVoluariella volvacea。秋に有機物の多い地上に発生する。初期の傘は卵型であるが、生育するに従って中高に開いて直径5~10cmほどになる。繊維状近視で覆われており、中央部は灰褐色、周辺部は白くなる。肉は白く乾燥質。ひだは密生して紅色を帯びる。太さ1cm止まりの白い柄は高さ10cm内外になる。東南アジアや中国、台湾で盛んに栽培されており、成長初期の卵型をしたものは中華料理によく使われている。欧米でもストロー・マッシュルームと呼ばれ、ポピュラーなキノコである。

 フクロタケに含まれるβ-1.3-D-グルカンに強い抗腫瘍活性があることが報告されている。マウスにガンの一種である肉腫を移植した上で、ふくろたけの冷アルカリ抽出グルカンを注射で、腹腔内投与し、5週間後に固形腫瘍の大きさを調べた結果、増殖抑制率が73~97%という高い値を示したという。

木曜日, 3月 20, 2008

せみたけ(蝉茸)

〇せみたけ(蝉茸)

 バッカクキン科のキノコで、学名はCordyceps sobolifera。中国では蝉花、蝉踊草などと呼ばれる。セミタケは地中にいるセミ(蝉)の幼虫に寄生してその体内に菌核を形成し、やがてセミを死なせてその頭部に発生する。薬用となる中国産のセミタケは冬虫夏草の一種で、ヤマセミ(山蝉)に寄生したものである。その円柱形の柄と紡錘形の頭部を丸ごと採集して乾燥させたものが薬用に供され、特に金蝉花とも呼ばれている。セミタケそのものは日本でも春から夏にかけて、庭園や山林中によく発生する。

 セミタケには、抗腫瘍活性を示すβ-1.3-D-グルカン、細膜内皮系組織のマクロファージ亢進作用や血糖値降下作用のあるガラクトマンナンなどの多糖が含まれている。古来中国では、子実体と虫体を一緒に乾燥したものが薬用とされ、証類本草(唐慎微、1108年)には小児の驚癇、夜泣き、心悸亢進」などに効くと記されている。さらに鎮静・鎮痛・鎮痙薬として、また眼病、麻疹、発熱、炎症性疾患にも良いとされてきた。子実体だけでも滋養強壮効果があるとして、食用に珍品として供されてもいる。

水曜日, 3月 19, 2008

こふきさるのこしかけ

〇こふきさるのこしかけ(粉吹き猿の腰掛)

 サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はGanoderma applanatum。中国名は樹舌、龍眼菰、梅寄生など。広葉樹のケヤキ、梅、桜、シイ、カシ、栗、キク(椈)、ミズナラなどの枯れ木や倒木に発生する。幹にまさかりを打ち込んだように扁平な半円形ないし丸山形の外観で着生し、大きなものは直径30cm以上、厚さ20cmにも達する。傘の表面は灰白色か灰褐色で年輪状の紋が入り、傘裏(管孔面)は白色または黄色を呈する傘表面にココア色の粉末(胞子)がつくので「コフキ」の名がある。肉は茶色のコルク質で固く、もっぱら薬用となる。

 コフキサルノコシカケはグルコースを主体とする多糖体の含有量の多さ(約74%)が特徴で、その子実体に含まれるβ-グルカンは抗ガン剤のクレスチン、レンチナン、シゾフィランと比較しても劣らない抗腫瘍活性を示す。また培養菌糸体に含まれる多糖類の中では、βー1.3-グルカンだけが顕著な抗腫瘍活性を示している。漢方では止血・健胃・中風・心臓病・腎臓病・脳卒中・胃ガンに効能があるとされている。

火曜日, 3月 18, 2008

ちょれいまいたけ(猪苓舞茸)

〇ちょれいまいたけ(猪苓舞茸)

 サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はPolyporus umbellatus。中国名は野猪糞。傘が丸く、中心部の下に隠れているゴツゴツした菌核が猪の糞に見えるところから、この名がついた。ブナやカエデの枯れた根に菌核を形成する。外面は黒褐色で不整魂。長さは5~10cmで多数のくぼみと荒いシワがある。肉は固く折れやすい。内部は白色から淡褐色で無味無臭。国内では北海道と長野県でわずかに産するが、ほとんどは中国から輸入されている。

 チョレイマイタケの菌核の乾燥したものを猪苓と呼び、古くから生薬として利用されている。猪苓の成分はエルゴステロール、有機酸、β-グルカン、ビオチンなどだが、漢方薬として利尿・解熱・止瀉作用に優れた薬効を持つことが知られている。猪苓を用いた漢方処方としては猪苓湯・五苓散が代表的なもので、主に膀胱炎・尿道炎・淋病・腎臓病などに用いられている。最近ではまた、制ガン効果が脚光を浴びている。発表された動物実験によると、腹水ガンマウスに対して体重1kg当たり1日100mgの猪苓抽出液を投与したところ、抽出エキスを投与しなかったグループは35日目に10匹全部が死亡したのに対し、投与したグループは10匹中1匹しか死亡せず、ガン組織は完全に消失していたという。ヒト血清において強い補体活性能(補体は血漿中に含まれるグロブリン系タンパク質で、抗原抗体反応を促進させる働きがある)を示すとする研究も多い。

月曜日, 3月 17, 2008

かわらたけ(瓦茸)

〇かわらたけ(瓦茸)

 サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はlusversicolor。中国名は霊芝。春から秋にかけて、枯れ木や枯れ枝に重なり合うように密生する木材腐朽性のキノコである。傘は幅2~5cm、厚さ1~2cmで、半円形、扇型、ヘラ形など様々な形状を見せ、表面には黒色、灰色、褐色、藍色など多彩な同心紋があり、革質で固い。傘の裏は白色ないし黄ばんだ淡灰色を呈する。成長中のものを採取して、専ら薬用にされる。サルノコシカケ科のキノコはどこにでも寄生するわけではない。そのための希少価値もあって、古くから仙薬・妙薬として珍重されてきた。

 カワラタケが注目されたのは20余年前、呉羽化学工業がそのエキスからクレスチン(PS-K)という抗がん剤を開発したことに始まる。この抗ガン効果はいわゆる免疫療法で、ヒトが生まれつき持つガンに対する抵抗力を強めることが分かり、一躍ガンの免疫療法のエースとして脚光を浴びた。クレスチンは綿密な基礎実験が繰り返された結果、(財)癌研究会化学療法センターの塚越茂が、①薬の与え方(経口投与、静脈注射、腹腔内注入)の差によって毒性がほとんどない(副作用がない)、②口から与えると、ある種の抗ガン剤が効果を示さないガンにも効いた、③作用の主体は体の免疫力を高めて増強する、④ガン細胞に対して強くはないが直接働く作用を認めた、と発表した。

 これを受けて国立病院や医療センターなどで肺ガン・食道癌・乳ガン・胃ガン・悪性リンパ腫などに臨床応用され、制ガン作用が認められた。1976年8月に厚生省(当時)の許可が下り、翌年5月には保険も適用されるようになった。この免疫効果は、カワラタケエキス中にインターフェロン・インデューサー(インターフェロンの産生を促す物質)が含まれているためと考えられている。インターフェロン効果とは、外からウイルスや細菌などの異物が侵入してきたとき、これを排除しようとする生体の防御機能であり、白血球の一種であるリンパ球中のT細胞(胸腺細胞)とB細胞(骨髄細胞)の働きによるものである。カワラタケエキスのクレスチンはそのT細胞に強く働きかけて、ガン細胞を抑える作用を持つ(これと同じような作用を持つ制ガン剤としては、シイタケエキスから抽出したレンチナンがある)。

 カワラタケの免疫作用は、在来の化学療法や放射線療法などに比較すると効果は地味であるが副作用がなく、宿主に抵抗力をつけるので自然な療法といえる。さらに免疫体質を強くすることから、ガンの予防にも有効性が期待されている。

日曜日, 3月 16, 2008

重曹

〇重曹

 重曹は炭酸水素ナトリウムの俗名で、わが国では明治時代から掃除に欠かせない道具として一般家庭などで広く活用されてきた。最近は合成洗剤の普及で、掃除用として使われることは少なくなったが、軟水作用や消臭作用など様々な機能性で改めて注目され、また環境にやさしい素材ということからも再び脚光を浴びるようになった。

 重曹には数多くの機能性がある。例えば、制酸剤としての活用ではコップ1杯の温水に重曹を少量入れて飲むとゲップや消化不良を和らげてくれる。また風呂に重曹を入れると循環を良くして美肌効果がある。黒豆と一緒に調理すると煮える時間が短くなる。また、肉を軟らかくし、魚の臭みを消す作用もある。このように重曹には中和作用、軟水作用、研磨作用、消臭・吸湿作用、発泡・膨張作用などが知られており、食品添加物として使われるだけでなく、その活用範囲は極めて広い。天然の重曹(シリンゴル重曹)はトロナ鉱石から採られるが、地球上でトロナ鉱石を産出する鉱山は少なく、現在、天然重曹の主産地は内モンゴルが中心となっている。

土曜日, 3月 15, 2008

コブラエキス

〇コブラエキス

 コブラはタイ、ビルマ、フィリピンなど東南アジア一帯に広く分布するコブラ科の毒ヘビで、全長2mにも達する。毒蛇は強精・強壮剤という考え方は世界共通のもので、それも毒性の強いものほど効果があると信じられているが、これまでの関心は専らヘビ毒に向けられており、強壮効果などは科学的に裏付けられているわけではない。したがって、コブラの食効は体験から推察するしかないが、古くからその肝臓や胆嚢は目の薬とされ、老眼も回復するといわれている。

 肉と骨だけの乾燥コブラ製品の分析結果(日本食品分析センター)ではタンパク質7.24%(スペルミンなどアミノ酸18種類を含む)、脂質1.9%、灰分19.4%(カルシウム5.7%、リン3%)、また100g中に鉄4.21mg、カリウム795mg、ビタミンB1・0.3mg、B2・0.39mgが含まれている。スペルミンは精子を作り、勃起中枢を刺激する。

 動物実験でスペルミンを投与すると性腺刺激ホルモンが分泌され、メスは子宮壁や膣壁が充血、オスは精液の産生が高まることが認められている。そのほかエネルギー代謝に関与する補酵素のコエンザイムQ10も含まれており、これらが精力増強に寄与すると考えられている。インドの研究者ブラガンザは、コブラの毒に制ガン作用があると発表している。

金曜日, 3月 14, 2008

エスカルゴエキス

〇エスカルゴエキス

 エスカルゴはマイマイ科の食用カタツムリ(蝸牛)で、フランス料理の前菜として馴染み深い食材である。味覚の楽しみもさることながら、カルシウム、コンドロイチン硫酸、タウリンといった注目の栄養素を多く含むところから、健康食品素材としても利用されている。カタツムリは中国薬草書の古典・本草綱目に消渇(糖尿病を指す)、丹毒、利尿、鼻血、耳鳴り、痔疾などへの効用が記され、わが国の民間療法では黒焼きを腎臓病に用いてきた経緯がある。

 エスカルゴエキスはカルシウムが100g中550mgと多いことが特徴である。また、ネバネバの主成分であるコンドロイチン硫酸は腎炎や肝疾患、動脈硬化などの医薬品成分として知られている。アミノ酸のタウリンは高脂血症、動脈硬化、不整脈などの予防に効果がある。健康食品素材の条件の一つに、それが入手しやすいということがあるが、その点、輸入に頼るしかなく品薄だったブルゴーニュ地方産のエスカルゴはハンディを背負っていた。しかし、大平章((財)高冷地農業研究所)らによって独特の人工飼育方が確立され、1994年には農水省の飼育許可も下りて供給が可能になったことで、おいしい健康食品が実現した。

木曜日, 3月 13, 2008

布海苔

〇布海苔

 刺身のツマや汁の実のほか、古くから糊料の原料としても使われてきた布海苔は紅藻の一種で、日本近海では主にマフノリ、フロクフノリ、ハナフナリを産する。

 わが国では江戸時代に黄疸や食中毒、疫痢、難産などの民間薬として用いられた記録があり(救民単方など)、中国にも解熱、胆石、去痰、止瀉などへの薬効を記した医典(食性本草、本草綱目など)があるが、アーユルヴェーダ医学研究家の北村慧光によってこの布海苔が健康食品として現代に蘇ることとなった。

 布海苔の特異的な有効成分は、α型とβ型のガラクトースが交互に鎖状に結びついた構造のフノランという粘性多糖類である。野田宏行(三重大学)は高血圧・高脂血症・移植ガンへのマウスを用いて実験し、フノランが血圧降下・動脈硬化指数の大幅な改善、血中ナトリウムの低減、エールリッヒ腹水ガンやザルコーマ180固形ガンなどに対し顕著な増殖抑制と延命効果のあることを見出している。また糖尿病に関しては、長村洋一(藤田保健衛生大学)が高血糖マウスを使って布海苔顆粒を投与した実験があり、ここでも良好な血糖降下が認められている。布海苔を水や温湯に数時間浸漬すればフノランが得られるが、最近では手軽で便利な顆粒製品もある。

水曜日, 3月 12, 2008

藻類

〇藻類

 クロレラや昆布、海苔、テングサ(天草)など、水中に生息して光合成する下等植物を藻類という。淡水産のものと海産のものがあり、海産で大型の藻類を海藻と呼んでいる。また、光合成色素の違いから藍藻、緑藻、褐藻、紅藻に分類される。

 藍藻は藍青色の藻類で、昆布をワカメ、ヒジキ、モズクなど海藻類に多く、藻類全体の3/4を占めている。褐藻には多糖の一種であるアルギン酸が多く含まれている。これはヒトの消化酵素では消化されないため、食物繊維として利用されている。紅藻は紅褐色の藻類で、浅草海苔やテングサ、布海苔などがある。紅藻には多糖の一種であるカラギーナンが含まれており、血液凝固防止作用のあることが知られている。また、抗炎症作用のあるアガロオリゴ糖も多く含まれている。

 健康食品としての藻類はクロレラやスピルリナがよく知られている。これらはどちらもたんぱく質の含有量が多く(乾燥重量の50~60%)、古代から食料として利用されてきた長い歴史があり、栄養補助食品としての評価も定まっている。一方、海藻類はミネラルの宝庫といわれ、カルシウム、リン、亜鉛、ヨウ素などが多い食品として知られているる日本人は世界で最も多く海藻を食べてきた民族だが、そのため海藻は健康食品というより、ごく日常的な保健食材として捉えられてきた。

月曜日, 3月 10, 2008

しそ油

〇しそ油

 シソ科のシソ(紫蘇)やエゴマ(荏胡麻)の種子から採られる油脂で、エゴマの油脂はえ油(荏油)と呼ばれる。個の油脂が近年脚光を浴びる理由は、他の植物油ではアマニ油以外にはほとんど含まれないα-リノレン酸が主体(含有量約70%)だからである。α-リノレン酸はn-3系の多価不飽和脂肪酸で、 ヒトの体内では合成されないため食品から摂取しなければならない必須脂肪酸である。体内ではEPAやDHAに退社されるので、これらの機能も合わせ持っている。この脂肪酸の高揚が明らかにされたことから、第2の健康油として健康食品業界の寵児となった。

 α-リノレン酸の注目度が高まる中で、その独自の効果も次第に明らかにされてきた。例えば、乳ガンの抑制効果に関してはアメリカのE・キャメロン(カリフォルニア州ガン予防研究所)、米倉郁美・佐藤彰夫(山梨大学)、長澤弘(明治大学)らが、また大腸ガンについては成澤富雄(秋田大学)、広瀬雅雄(名古屋市立大学)らが有効性を解明している。また、体液性免疫を司る生理活性物質のロイコトリエンがリノール酸から代謝された場合よりも、α-リノレン酸から代謝される場合の方が、数十分の一も作用が穏やかで、アレルギーによる炎症反応に対し抑制的に働くことを奥山治美(名古屋市立大学)らが報告している。このほか、血圧の上昇を抑え、血小板凝集を抑制して脳梗塞や心筋梗塞を予防するという報告もある。

日曜日, 3月 09, 2008

キャラウェイ

〇キャラウェイ

 セリ科カルム属の1~2年草で、学名はCarum carui。和名はヒメウイキョウ。紀元1世紀に著されたディオスコリデスの薬物誌にも収載されているほど古くから利用されてきた。駆風薬、鎮痛薬、健胃薬のほか、媚薬としても使われた。

 咳や風邪の時に果実(キャラウェイシード)を煎じて飲むと、症状を和らげてくれる。消化促進作用があり、おなかの調子が優れない時にも効果的である。また、母乳の出をよくするハーブとしても知られている。その場合は、果実をそのまま噛んだり、煎じたりして用いる。果実から得られる精油には大腸菌や連鎖球菌に対する抗菌作用が認められている。果実には独特の甘い香りがあり、ザワークラフトに欠かせないスパイス。葉はサラダに用いられる。

土曜日, 3月 08, 2008

クミン

〇クミン

 セリ科クミヌム属の一年草で、学名はCuminum cyninum。原産地はエジプトや地中海東部沿岸、インド。和名はマキン。独特の香りと辛味・苦味のある種子はインド料理に欠かせないスパイスとして知られており、カレーパウダーやチリパウダーの材料となる。また、チーズやケーキ、パンなどの風味づけにも使われる。

 薬用植物としても古くから利用され、古代エジプトの医学古典エーベルス・パピルスにも収載されている。駆風薬や鎮痛薬、覚醒薬として、またミイラを作る際にも使われた。インドの伝承医療アーユルヴェーダでは健胃薬として用いれている。クミンの摂取が膀胱ガンの発症率を低めるというイスラエルの研究報告もあるが、クミンのガンに対する効果についてはまだ明確にされていない。種子に含まれる精油は抗微生物活性をもつ。

金曜日, 3月 07, 2008

コリアンダー

〇コリアンダー

 地中海沿岸を原産とするセリ科コアンドムル属の一年草で、学名はCoriandrum sativum。世界各地で最も親しまれているハーブで、中国では生の葉を香菜と呼び、お粥やスープ料理に使われている。インドでは種子がカレーに欠かせないスパイスとなる。

 コリアンダーの種子は古くから食材や薬用に利用されてきた。紀元前1500年のエジプトですでに登場し、古代ギリシャやローマでは消化薬やワインの香りづけ、肉の保存剤として、中国では長寿薬として用いられてきた。また、精油には健胃作用、刺激作用、鎮静作用、駆虫作用などがあり、リューマチ痛や神経痛を緩和するマッサージオイルとしても使われている。

木曜日, 3月 06, 2008

アニス

〇アニス

 セリ科アニス属の一年草で、学名はPimpinella anisum。地中海東部沿岸地域やエジプトが原産で、古代エジプト時代から薬用や調味料として愛用されてきた伝統的ハーブである。アニスの完熟種子(アニスシード)には特有の甘い香りと味があり、今日でもパンや菓子、スープの香辛料、リキュールの香料などに用いられている。種子はアネトールを主成分とする精油を2~3%含み、これがアニスシード特有の芳香と味のもとになっている。

 精油には細菌繁殖を抑える効果がある。種子を潰して煎じたお茶は消化を促す働きがあり、食欲不振、消化不良、腹痛などの改善に適している。また、母乳の分泌を促す作用があり、種子をお湯に浸すアニスティーはヨーロッパでは古くから授乳期の女性のお茶として知られている。この母乳分泌促進作用は動物実験でも確認されている。アメリカの栄養学者E・ミンデルによると、乳牛にアニスオイルのにおいを嗅がせると牛乳の生産量が増加したという(ハーブバイブル、同朋社)。精油の香りには虫が嫌う成分が含まれており、防虫にも効果的であるとされる。

水曜日, 3月 05, 2008

アンゼリカ

〇アンゼリカ

 セリ科シシウド属の多年草で、学名はAngelica archangelica。和名はヨロイグサ、ヨーロッパトウキ。原産地は北ヨーロッパだが、用途の広いハーブであることから多くの国で栽培されている。根や葉、茎、果実から抽出した精油は薬用として、また、茎はシロップで煮詰めて菓子の飾りに、果実はジンの香り付けなどに用いられる。

 薬用として使う場合には抽出液を飲んだり、患部に塗ったりする。消化や健胃の効果がよく知られているほか、呼吸器疾患にも良いとされ、痰を取り除く。アンゼリカには体を温める作用があり、お茶などに混ぜて飲むと血行をよくし、手足の冷えを緩和してくる。民間療法ではリューマチの塗り薬としても利用されてきた。大量に摂取すると血圧や心拍数、呼吸が乱れるので注意が必要。妊娠中は避けたほうがよい。

火曜日, 3月 04, 2008

アンティチョーク

〇アンティチョーク

 アンティチョークは地中海沿岸のエジプトから南ヨーロッパ地方に分布するキク科の多年草で、学名はCynara scolymus。アザミの仲間で和名はチョウセンアザミ。成長すると2mほどになり大型の紫色の花をつける。花の付け根の膨らんだ花托は独特の風味と食感があり、フランスやイタリアでは古くから高級野菜として珍重されている。

 アザミの仲間のハーブは肝臓疾患の症状を和らげる効果のあることが知られており、ヨーロッパの薬草組織療法では、アンティチョークには肝臓の解毒作用を助ける効果があるほか、肝臓組織の再生にも有効であるとされたきた。20世紀に入ると、多くの生物学者らによってアンティチョークの薬理研究が行われ、今日では苦味成分を中心とした多種の有効成分が見いだされている。それによると、アンティチョークの効果を決定つける成分として、苦味成分のシナリンやフラボノイド、セスキルペンラクトン系のシナロピクリンのほか、イヌリン、キナ酸カフェオイルが単離されている。

 アンティチョークの葉の苦味値は15000単位と報告され、苦味成分の含有量が最も高い数値を示すのは開花直前と果実の成熟時とされている。その成分中の苦味成分シナリンには、胆汁の分泌を促進し、血液中の脂肪代謝を活性化することによって血液中のコレステロール値を正常に戻す効果があるとされている。また軽い利尿作用があるほか、胃のもたれや膨満感を解消し、上腹部の痙攣症状の緩和にも効果のあることが臨床試験において確認されている。今日、ドイツの薬品業界ではこのシナリンがアンティチョーク調剤の品質基準を測る指標とみなされている。アンティチョーク調剤には主として糖衣錠や圧搾エキスがある。

月曜日, 3月 03, 2008

まこも(真菰)

まこも(真菰)

 マコモはイネ科マコモ族の草木で、中国南部から東南アジア一帯で水田に栽培されている。わが国ではコモ、コモガヤ、カツミ、、チマキグサと呼ばれ、古くはマコモの実を粥に炊いて食べていたこともあるという。中国では、新芽にマコモ黒穂菌が寄生して細いタケノコ状になったものが中華料理に利用される。マコモは神仏に供せられるケースもよく見かれられる。例えば東京の神田明神では毎年6月にマコモで編んだ輪の中をくぐらせている。出雲大社ではマコモの上を歩かせて、1年間の無病息災を願う行事が古くから引き継がれている。こうした例はマコモの持つ薬効や生命力、食料としての価値を経験で知っていたことによるものであろう。

 その効用について古くは本草綱目などにも記載されている。マコモの根は、「無毒、止小便、止瀉、利腸胃」に、種実は「止瀉、利五臓、利大小便」に、中心茎は「滋人歯、止渇、胸中浮熱風気、水痢」に有効性があるという。これを現代風に解釈して、高血圧・糖尿病・肝炎など卓効があることを示した文献もある(和漢薬1974年、医歯薬出版)。マコモを使った動物実験によると、①腸内の大腸菌を減らし、慢性疾患などに予防効果が認められた。②脳血管障害の予防効果が示唆された、③補体(血漿中の免疫作用をもつタンパク質)の活性が62~82倍となり、免疫力あるいは抵抗力の賦与などに役立つことが示された、などが報告されている。

 マコモを素材とした健康食品には、葉や茎を乾燥させ粉末化したものや、納豆菌を加えて発酵させた後に乾燥・粉末化したものなどがある。

日曜日, 3月 02, 2008

エスピニェイラ・サンタ

〇エスピニェイラ・サンタ

 わが国で漢方薬に使われる生薬は200種ほどだが、「ブラジル産薬用植物事典」(橋本梧郎著)には2168種も収載されている。そのような生薬の宝庫の国から送り届けられてきたのがエスピニェイラ・サンタ(意味は聖女の棘)という薬用植物である。現地で別名「神の棘」「救命の木」などと呼ばれるこの植物はブラジル(特に南部地方)に自生するニシシギ科の灌木で、互生する葉は我が国のヒイラギに似て鋭い棘をもつ。古くから原住民の間で、、胸やけや吐き気を伴う胃酸過多や腸内異常発酵の防止、利尿や緩下剤、虚弱体質の改善などの目的で愛用されてきた。

 近年の研究では内臓の腫れ、肝炎、肝機能障害、膀胱炎、静脈瘤、子宮筋腫、子宮ガンなどへの効果が見いだされているが、なによりも顕著なのは即効性を持つ鎮痛薬としての働きである。向精神薬への関心が高いといわれる現地においてもこのエスピニェイラ・サンタの鎮痛作用はモルヒネやコカインに匹敵するとまで評価されており、胃痙攣、頭痛、神経痛などに葉の煎じ液を飲むだけで劇的な効果を示すという。さらに特徴的なのは単に麻酔性の鎮痛効果ではなく、痛みの原因となる潰瘍などの疾患を修復する作用を併せ持つことである。従って、切り傷、可能、皮膚病などに葉や樹皮の粉末を外用することもお行われてきた。

 ペインクリニック(痛みの療法)への関心が日毎に高まりを見せるわが国にとって、上記のような薬効は座視できるものではない。最近のわが国での実験によれば、ラットを拘束ゲージに入れて浸水を浸すことで生ずるストレス性胃潰瘍に対し、エスピニェイラ・サンタ(以下、ESと省略)のエタノール抽出エキス(500mg/kg)経口投与群は未投与群に比して43.4%も潰瘍発生を抑えた。さらに、ラットに塩酸とエタノールを強制的に投与して胃潰瘍を起こさせた潰瘍モデルに対して、ES抽出エキスの使用性画分、水溶性画分はいずれも潰瘍治療薬であるセトラキサートと同等、またはそれ以上の潰瘍発生抑制効果を示し、その抗潰瘍活性成分がβ-シトステロール及びその誘導体であることも突き止められている。

 また、マウスに刺激性の強いホルマリンを注射すると、最初は直接的な痛みのため(この痛みを一相反応といい、モルヒネで抑えられる)、次いで炎症による痛み(これは二相反応で、アスピリンで抑制できる)のために患部を舐めるしぐさを繰り返すが、この一、二相反応に対してES(とくに脂溶性画分)が優れた鎮痛効果を示すことが確認されており、その活性本体の有効成分がフリーデラン-3-β-オールという物質であることが解明されている。

土曜日, 3月 01, 2008

ヤムいも

〇ヤムいも

 漢方で滋養・強壮・強精・止瀉薬とされる山薬は、我が国が自生するヤマノイモの一種だが、ヤムイモも同じくヤマノイモ科に属し、フィリピンをはじめとする東南アジアで広く自生している。フィリピンではUBEの名があるが、わが国ではヤムいもという通称以外に、根茎を切ると鮮やかな赤紫色を呈するところからパープル・ヤム、乾燥後に微粉末にした健康食品素材を特にパープル・ワイド・ヤムと呼んでいる。

 原産地フィリピンでは一般的に食材として茹でたり焼いたりスプレッド状にして食べられているほか、粉末にしてケーキ、タルト、シャーベットなどにも用いられる。栄養的には炭水化物(粉末で87%)と食物繊維(同約10%)が中心で、カルシウム(100g当たり28.9mg)と鉄(同10.7mg)の含有量が多いのが特徴だ。

 ヤムイモで特に注されるのは、赤紫色の色素成分であるアントシアニン(ポリフェノール)をはじめとするファイトケミカル(植物微量成分)が多く含まれていることである。ポリフェノールはタンニンやカテキン、フラボノイドなどを含めた総称だが、ヤムイモ(エキス・パウダー)の総ポリフェノール含量は9.31%にも及ぶ。アントシアニンは目の疲労回復や近視予防効果で知られる物質だが、体内で活性酸素の生成を抑制することを通じて発ガン・動脈硬化・心疾患・炎症性疾患を予防し、老化現象にブレーキをかける働きのあることが最近の数多くの研究で明らかにされている。

 また、前述の山薬やヤマノイモの滋養強壮効果は、サポニンの働きに加えてネバネバ成分であるムチン(ムコ多糖体)がタンパク質の効率的な代謝を促すことによるとされているが、ヤムイモにもサポニンのようにステロイド核をもついくつかの物質が見いだされており、その一つがジオスゲニンである。ジオスゲニンハDHA(デヒドエピアンドロステロン。副腎で作られるホルモンで、若さを保つホルモンとして知られる)の前駆体となる物質で、女性ホルモンの失調によって生ずる月経前症候群、子宮内膜症、過敏性乳房、不定愁訴、骨粗鬆症、更年期障害(高血圧、のぼせ)、乳ガンなどを防ぐことに寄与するとされている。卵巣を摘出したマウスにジオスゲニンを投与することによって、乳房上皮の発達が確認されたという実験結果が報告されている。

火曜日, 2月 26, 2008

黄精

〇黄精

 中国原産のユリ科の多年草で、本来の黄精のほか、同類に嚢糸黄精、熱河黄精、滇黄精、巻葉黄精などの種類があり、それぞれ形状や性質、分布は多少異なるが、いずれも1本の直立する茎(40~80cm)から葉柄のない葉(ときに非常に短い葉柄を持つ)が輪生もしくは互生し、5~6月に葉腋から数個の筒状の花が垂れ下がって咲く。日本各地の丘陵や林に生えているのは同類の鳴子百合で、黄精の代わりとして用いられることがある。薬用成分が含まれているのは地下茎(根茎)で、ショウガの根のように節くれ立ちながら横に伸びている。これを掘り起こして洗い、蒸したり煮たりした後で乾燥させたものが漢方薬に用いられる。

 根茎の主成分は粘質多糖類で、薬用成分としては、カルボン酸、アスパラギン酸、ホモセリン、ジアモノ酪酸、ジギタリス配糖体などが含まれており、①抗菌作用(結核菌やチフス菌に有効)、②真菌(白癬菌など)に対する抑制作用、③血圧降下作用、④痛風の改善、などが実験的に認められている。古来、漢方では「気を益し、心配を潤し、筋骨を強める」とされており、長期にわたる闘病で衰弱した体力を賦活させ、病後の食欲不振や倦怠感、筋骨の衰弱などを補い、精力をつけ、産後の肥立ちを良くするとされてきた。

 肺結核のような消耗性の患者に対しては黄精エキスがよいとされている。エキスは、蒸して日干しした旺黄精に5倍量の水を加えて24時間とろ火で煎じた後、濾過した液を常にかき混ぜながら濃縮させると、黄精の重量のほぼ1/5のエキスが採れる。これを1回10ml位ずつ、1日4回をめどに服用する。また水虫などの真菌症に対しては、粉砕した黄精をアルコールに1~2日漬けたあと過熱してアルコール分を蒸散させ、3倍量の水を加えて濾過してから、さらに薄い糊状になるまで煮詰めたものを患部に塗って用いると卓効があるとされている。

月曜日, 2月 25, 2008

甘草

〇甘草

 甘草はマメ科の多年草で、根茎が甘味料や漢方の解毒・消炎薬として広く用いられている。医学の原点といわれる「ヒポクラテス全集」にもその効用が述べられており、洋の東西を問わずその価値は高く評価されている。漢方の古典傷寒論には一味処方として紹介され、「急を暖め、諸悪を和し、百薬の毒を消す」とされている。甘草は種類が多く、漢方で用いられのはシベリアや蒙古、中国東北部に産すウラル甘草と呼ばれるものである。日本で見られるのはユリ科に属する野生の植物で、漢方の甘草とは異なる種類である。

 肝臓の根から抽出されるグリチルリチンは味噌や醤油などの甘味添加物として利用されているが、1977年の国際細胞生物学会議で動物実験による制ガン作用が発表されて大きな反響を呼び、世界的に注目された。以来、甘草あるいはグリチルリチンに関する研究が世界各地で行われるようになった。特に注目されたのは肝臓病に対する効果である。日本人に多いウイルス性肝炎は慢性化してしまうと幹細胞が破壊され、肝硬変から肝臓ガンへ進行する危険性が高くなるが、グリチルリチンには肝臓の機能を高めて解毒作用を助けるだけでなく、肝細胞の粘膜を強化し、細胞が破壊されないように保護する働きがある。そのため、グリチルリチン製剤は肝臓病の治療薬として用いられている。このほか、①抗胃潰瘍作用、②電解質ホルモン様作用(細胞の活動を正常にする)、③抗炎症作用、④抗アレルギー作用、⑤解毒作用、などが認められたため、胃潰瘍やアレルギー性皮膚疾患などの治療にも利用されている。

 これに加えて、制ガン作用も注目される。動物実験で殺虫剤のBHCや発ガン物質のPCBなどを混ぜた餌を与えたマウスには肝障害や肝臓ガンが発生したが、同時にグリチルリチンを混ぜた餌を与えたマウスに肝障害、肝臓ガンともに発生しなかった。グリチルリチンの制ガン作用についての詳細はまだ分かっていないが、細胞膜を修復し強化する作用が関連し、細胞の解毒作用が増して抵抗力が強まるからではないかと考えられている。

金曜日, 2月 22, 2008

夕顔

〇夕顔

 夕顔はウリ科の蔓性一年草で、夏の夕方に清楚な白い花をつけ、翌朝にはしぼむとことからこの名がある。はかない花の姿とは裏腹に蔓は6m以上にも達する旺盛さで、開花後3週間前後で収穫できる果実は6~7kgにも達する。果肉は紐状にそぎ取って乾燥し、カンピョウ(干瓢)とする。

 カンピョウは江戸時代には高尚な食べ物として微妙な風味と歯ざわりが好まれる一方、妊産婦の滋養食品(栄養的にはカルシウム、リン、鉄分の含有量が多い)として漢方薬的に扱われた。さらに利尿・解毒の効もあり、特に太りすぎの女性に好適といわれる。

 近年、夕顔で最も注目されているのは食物繊維の多いことで(乾燥100g中に30.1g)、水溶性と不溶性繊維のバランスもよい。食物繊維腸内有用菌であるビフィズス菌を増やして腸内環境を改善、整腸作用を発揮するとともに血中コレステロールの上昇を抑制し、発ガン因子となる生体異物の分解と体外排出の促進などの効果が認められている。夕顔の食物繊維は膨潤性が非常に高いのでダイエット食品としても好適で、前記の効用と合わせて注目され、粉末状に加工された健康食品も登場して、伝統食品に2度目のスポットを当てることとなった。

木曜日, 2月 21, 2008

ベリー

〇ベリー

 イチゴやブルーベリー、クランベリー、ラズベリーなど、キイチゴ類・コケモモ類・スグリ類の小果類を総称としてベリーと呼ぶ。いずれも豊富に含まれる多彩なフラボノイドが抗酸化物質として働くことから、その健康機能性が注目されている。

 キイチゴ類はバラ科の落葉低木で、花が咲いた後、子房壁が肉質に膨らみ集合果をつける。ラズベリー、ブラックベリーなどがよく知られている。ブラックベリーの果実は黒く、甘味は少ないが、ベリー類の中では最もビタミンEを多く含み、葉酸の含有量も多い。コケモモ類はツツジ科の常緑低木で、ブルーベリー、クランベリー、コケモモなどがある。スグリ類はユキノシタ科の落葉低木で、グーズベリーやブラックカラント(カシス)などがよく知られている。グーズベリーは直径1~3cmの淡い緑色の液果をつけるが、これにはビタミンC・E、カロチンなどの抗酸化物質が豊富に含まれている。ブラックカラントはグーズベリーと同じような液果が房状につくが、色は濃い紫である。これは抗酸化色素であるフラボノイドによるものである。

水曜日, 2月 20, 2008

庭梅種子

〇庭梅種子

 庭梅は(中国名は郁李)は中国北部原産のバラ科の落葉低木で、日本には江戸時代に渡来し、花が美しいため観賞用として栽培されてきた。種子は郁李仁と呼ばれ、漢方では潤腸・利水消腫の効能があり、便秘や排尿減少、浮腫に用いられている。庭梅はサクランボ大の果実をつけるが、これを摘み取り果肉を除去し、核の殻を割って種子を取り出す。種子は6×4mm位で、小さなアーモンドの形をしている。

 種子の成分は青酸配糖体のアミグダリンのほか、サポニン、シトステロール、ビタミンB1などが含まれる。郁李仁は麻子仁(麻の実)よりもやや強い潤下作用があり、以下のように他の生薬類と組み合わせて利用する。①高齢者や産後の慢性の便秘には柏子仁・桃仁などと配合する(五仁丸)、②顔面及び手足の浮腫には防巳・青皮などと配合する(郁李仁湯)、③脚気の浮腫にはヨクイニン・杏仁などと配合して用いる(三仁丸)。なお、庭梅の根(郁李根)は歯の治療薬として知られており、歯痛や歯肉炎にはこれを煎じた液でうがいする。現在、郁李根の市場品には大李仁と小李仁の2種類がある。ただし大李仁は主にバラ科のユスラウメ(山桜桃)の種子であり、薬用には小李仁(庭梅)が正品とされている。

火曜日, 2月 19, 2008

発芽大麦

〇発芽大麦

 大麦はイネ科の単子葉類で、種実が食用となる。かつては日常的に食べられていたが、現在では味噌や醤油の原料として、また麦芽としてビールの醸造に使われることのほうが多い。種実を水に浸けて発芽させたものを発芽大麦という。

 大麦には食物繊維が多く含まれており、押麦(七分つき)100g当たりの食物繊維量は10.3gで、玄米(同3g)の3倍以上である。この点に着目して、腫瘍性大腸炎の患者用食品が作られている。キリンビールは発芽大麦から調整した食物繊維素材を使い、軽症から中等症の腫瘍性大腸炎患者の便の性情を整える食品「発芽大麦GBF」を開発。厚生労働省の個別評価型病者用食品(特別用途食品)として販売している。

月曜日, 2月 18, 2008

青汁

〇青汁

 カロリー偏重の栄養学ではあまり重要視されてこなかった野菜類が生理活性物質の宝庫であると再評価され、食卓に積極的に取り入れられるようになってからかなりの年月が経過した。しかし実際には種類の選択範囲が限られること必要量を満たすには相当量の食材を要すること、常に新鮮なものを調達するには手間暇がかかることなどが負担になっていることは否めない。また、調理時の過熱などによって成分の損失もある。このようなマイナス面を補うとともに、家庭で調理する以上のメリットを持たせることを目指したものが青汁である。

 いわば青いジュースであるが、ジュースという言葉には果汁のイメージが強い。それよりも緑ないし緑黄色の植物固有の有効成分を余さずに搾ったからこその青汁である。現在、供給されている青汁製品には、植物の細胞内に含まれた成分を十二分に搾り取り、しかも成分の経時変化を防ぐために、一般家庭のジューサーではできない細胞壁破砕や瞬間密封などが施されいるものもある。

 青汁はもともと、粗食に耐えなければならなかった戦後まもなく、岡山県倉敷市の医師・遠藤藤二郎によって学校給食や病院食用に考案されたのが最初であるとされる。それて健康づくりの重要な鍵を握るものとして次第に全国へ広がり、愛飲者によって材料や製法が工夫されていったのであるが、やがて青汁を飲み続けて病気を克服したという事例報告が相次ぎ、研究活動も盛んになったといういきさつがある。

 青汁には糖質やタンパク質などカロリーとなる栄養成分のほか、ビタミン、ミネラル、酵素、葉緑素、食物繊維が含まれ、これらすべての複雑な相互作用によって疾病の予防につながるが、その作用機序の解明はまだ緒についたばかりである。しかし、事実を積み重ねていく開発姿勢によって青汁の製法のみならず、利用する原料植物の吟味も慎重に行われたきた。現在、その主要原料としては、ケール大麦若葉が多く使われている。また最近では食べる青汁と銘打った錠剤タイプの製品もある。

土曜日, 2月 16, 2008

砂糖

〇砂糖

 砂糖は甘味調味料として広く料理に使われるほか、菓子類の材料となったり、各種飲料の甘味成分としても利用される。佐藤には甘味料としての働き以外に、防腐作用(砂糖漬け、ジャム)、デンプンの老化防止作用(羊羹など)、油脂の酸化防止作用(バターケーキ)などもある。砂糖は人のエネルギー源(約4kcal)として重要である。また、脳に安定をもたらす働きがあるとされている。砂糖の主成分はショ糖(ブドウ糖と果糖が結合した二糖類)で、95~99%を占めている。

 砂糖は熱帯地域に生育するサトウキビ(甘蔗)、温帯の比較的寒冷地で栽培されているサトウダイコン(甜菜、ビート)を原料として作られる。世界の生産量ではサトウキビから約6割、残りがサトウダイコンからのものである。わが国では、沖縄や鹿児島でサトウキビから、北海道でサトウダイコンからの生産が行われている。

 砂糖は大きく含密糖と分密糖に分けられる。サトウキビから搾った糖液にはショ糖のほかミネラルやビタミンが含まれているが、この液をそのまま煮詰めて固めたものが含密糖である。代表的なものに沖縄の黒砂糖(黒糖)がある。黒砂糖にはカリウム1100mg(白糖は2mg)、カルシウム240mg(同1mg)、ビタミンB20.07mg(同0mg)、葉酸10ug(同0ug)など、分密糖に比べて微量栄養素が豊富に含まれている。

 分密糖は、糖液をイオン交換樹脂膜に通して不純物を取り除き、ショ糖だけにしたものを結晶化せたもので、精製糖とも呼ばれている。ショ糖純度がほぼ100%に近いザラメ糖、純度が95~97%の車糖がある。ザラメ糖は結晶の大きい白ザラメ糖、結晶の小さいグラニュー糖があり、グラニュー糖からは角砂糖、氷砂糖、顆粒糖などが作られている。車糖にはショ糖純度が97%の上白糖、96%の中白糖、95%程度の三温糖があり、調味料として最も多く使われている砂糖である。このほか、スクロースを酸で加水分解してグルコースとフルクトースの混合物にした転化糖がある。溶解度が高く、甘味はスクロースの1.3倍あり、安価に製造できるため砂糖に代わる甘味料として需要が増えている。

 これらの工業的に製造される砂糖に対し、香川県や徳島県で伝統的製法で作られている砂糖に和三盆がある。サトウキビの煮汁から室温で自然結晶させたものを手搾りで分密、手摘みで微細化するために粒が細かくなり、口当たりがよい。味が良いため高級和菓子などに用いられている。

金曜日, 2月 15, 2008

豆鼓

〇豆鼓

 塩納豆ともいう。納豆(糸引き納豆)は大豆を納豆菌で発酵させて作られるが、豆鼓は大豆を麹菌で発酵させ、塩を加えて作られる。中国の伝統的な食材の1つで、中華料理の調味料として幅広く活用されている。わが国では、最初に中国から製法を伝えた僧たちがそれぞれの寺で作ったので寺納豆と呼ばれ、大徳寺納豆がよく知られている。また、浜名湖半の名物である浜名納豆が有名だ。

 大豆はさまざまな健康効果を発揮する食材だが、その発酵物である豆鼓も、本場中国では解熱・消炎・解毒・鎮静・健胃整腸・鎮咳などの効果があるとされてきた。最豆鼓近このに糖尿病の予防効果のあることが北海道大学農学部などの研究で明らかにされた。豆鼓がα-グルコシダーゼ(消化酵素)の働きを阻害して、血糖値の上昇を抑える作用のあることがヒト試験で証明され、豆鼓エキスを関与成分としたお茶がトクホ商品として開発・販売されている。

木曜日, 2月 14, 2008

テンペ

〇テンペ

 テンペは蒸煮した大豆をテンペ菌で発酵させたインドネシアの伝統食品である。テンペ菌はクモノスカビの一種で、ハイビスカスやバナナの葉などに付着している糸状菌のリゾープス・オリゴスポラスである。わが国の糸引き納豆と作り方が似ていることから、インドネシアの納豆とも呼ばれている。

 日本にテンペが紹介されたのは1950年以前だが、全国的な普及はせず、一部の地域でわずかに生産されているに過ぎなかった。ところが近年の健康志向の高まりで健康食として脚光を浴びるようになり、2003年ごろから一挙に話題の食品となった。

 栄養面ではタンパク質、リノール酸などの不飽和脂肪酸、ビタミン類、ミネラル類、イソフラボン・大豆サポニンなど納豆とほぼ同じ成分が含まれているが、テンペはビタミンKの含有量が格段に少なく、ナイアシンや食物繊維が多めである。また、納豆同様に大豆のタンパク質が発酵によって消化されやすくなっている。地元インドネシアでは古くから、テンペは赤痢や下痢によいとされているが、これはテンペの持つ強い抗菌作用によるものと考えられている。

 テンペは納豆のように糸を引かず、臭いもなく味も淡白なので、納豆が苦手な人にも奨められる大豆発酵食品である。インドネシアでは薄くスライスして油で揚げて食べることが多いが、日本ではカレーやグラタンの具、サラダ、炊き込みご飯、揚げ物、ケーキなど、さまざまな料理法が工夫されている。

火曜日, 2月 12, 2008

酒粕

〇酒粕

 酒粕は清酒醸造の副産物で、もろみ(醪)から清酒を搾った残滓である。清酒は以下のように作られる。蒸米、麹、水に酵母を入れてモロミを作り、この中で麹による米の糖化(デンプンを少糖にまで分解)と、酵母によるアルコール発酵を同時に進行させる。20日程度でアルコール分が18%前後に達すると発酵が終了する。

 発酵中に麹の酵素作用や酵母の代謝作用により、モロミに清酒独特の香味成分が生成される。清酒はこのモロミを圧搾して得られるもので、搾った後に残ったものが酒粕である。酒粕には未分解の蒸米や酵母、麹が含まれ、アルコール分は約8%である。食材としては奈良漬や粕汁、魚の粕漬けなどに利用される。

 奥田拓道(愛媛大学医学部)らは酒粕中の生理活性物質とその医学的効果の研究において、酒粕がガン患者の急激な痩せを改善し、食欲を増進させ、患者の闘病体力の維持に役立つという研究結果を報告している。

 ガンによる急激な痩せは、ガン細胞から出るトキソホルモン-Lという毒素が脂肪細胞に作用して、脂肪細胞中の脂肪を分解したり、脳の満腹中枢を刺激して常時満腹感を覚えさせ食欲を低下させることが原因だとされている。奥田らはマウスを使った実験から、酒粕に含まれるグルコサミンなどの物質がトキソホルモン-Lの働きを阻害し、急激な痩せを防止する効果のあることを明らかにした。

 奥田らはまた、酒粕中にデンプンの消化酵素であるα-アミラーゼの作用を妨げる物質が含まれていることも発見している。この物質によってデンプンの分解速度が遅くなり、インスリンが余り上昇しなくなることから血糖が脂肪細胞に取り込まれず、結果として脂肪の蓄積が少なくなると報告している。また、酒粕中にはインスリンに似た働きをする物質があり、この反対作用のホルモンの働きを弱めて脂肪の分解を抑制することも明らかにしている。

月曜日, 2月 11, 2008

キムチ

〇キムチ

 キムチ、は塩漬けした野菜を主原料にトウガラシやニンニク、生姜、ネギなどの薬味、塩辛などの海産物を混ぜ合わせ、低温で乳酸発酵させた朝鮮の漬物である。や日本では白菜(ペチュキムチ)やキュウリ(オイキムチ)、大根(カクトゥギ)のキムチがよく知られているが、韓国では地域や季節、材料、漬け方などによってさまざまなキムチがあり、その数は200種類以上あるといわれている。

 キムチはカロチンやビタミンC・B群などのビタミン類、ミネラル類、食物繊維などの栄養成分を含み、特に野菜の少ない冬場にはビタミンの供給源としての役割を果たしている。キムチのビタミンは原料の野菜が持つビタミンと乳酸菌の働きによるもので、発酵が進むに従ってビタミンB群の含有量が増える。また、乳酸菌を含でむキムチにはヨーグルトと同じように腸内環境を整える作用がある。

 キムチに欠かせないトウガラシはカロチンやカプサイシンを豊富に含む。辛味成分であるカプサイシンは胃液分泌を促して食欲を高め、消化を助ける作用がある。また、体内のエネルギー代謝を促進する作用があるため、ダイエット食品にも利用されている。薬味のニンニクに含まれるアリシンは強い抗菌作用があり、風邪の予防などに役立つとともに、ビタミンB1と結合して疲労回復に働く。

日曜日, 2月 10, 2008

機能性飲料

〇機能性飲料

 機能性飲料は体によい影響を与える清涼飲料水の総称で、飲用シーンや健康目的を考慮した成分が配合されている。機能性飲料の草分け的存在はスポーツドリンクで、1960年代には、すでにアメリカで製造されていた。スポーツドリンクはナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウム゛のミネラルのほか、疲労物質といわれている乳酸を分解するクエン酸、エネルギー源となるブドウ糖などが報告されており、大量発汗によって失われた水分とミネラルを効率的に体内に補給することができ、脱水症状や熱中症の予防に役立つ。このほか、筋力や持久力の向上、疲労の回復に役立つアミノ酸を加えたものもある。

 スポーツドリンクはスポーツシーンを意識した機能性飲料だが、2000年頃から日常シーンで飲め、かつダイエットや疲労回復などに効果のある成分を配合した機能性飲料が登場してきた。ダイエットを意識した飲料ではオクタコサノール(米や小麦胚芽に含まれる微量成分)や茶カテキンなどダイエット素材、俗に脂肪燃焼系アミノ酸といわれるアスパラギン酸、リジン、アルギニンなどを配合したものが多い。また、従来のスポーツドリンクは糖度が高めだが、これらの飲料は低カロリー、ノンシュガーがほとんどである。

 疲労回復を意識した飲料では、疲労回復や集中力を高める効果があるとされている大豆ペプチド、リラックス作用のあるテアニンなどが配合されている。このほか、食物繊維入りの機能性飲料も多い。食物繊維を補うことを目的としたものだけでなく、血糖値が気になる人向けに難消化性デキストリンを配合、お茶タイプにするなど食後に飲みやすいように工夫された飲料もある。その他、お茶タイプのものでは、骨の健康が気になる中高年女性をターゲットにイソフラボン入りの飲料もある。

土曜日, 2月 09, 2008

機能性ガム

〇機能性ガム

 日本でガムが一般的になったのは第二次世界大戦後である。当初は子供向けのお菓子的な存在であったが、1980年代半ばから眠気を予防するガム、口臭を抑えるガム、虫歯やカロリーを意識したシュガーレスガム、虫歯になりにくいガムなど、機能性を持ったガムが次々と登場してきた。

 最近の機能性ガムの主流は歯を丈夫にするガムで、トクホ表示の認可を受けて市販されているものが多い。歯の表面では、酸が歯のエナメル質からカルシウムや燐酸などを溶かしだす脱灰と、唾液中のカルシウムとリン酸塩を脱灰したエナメル質に取り込んで修復する再石灰化が繰り返されている。このバランスが崩れ、脱灰に再石灰化が追いつかなくなると虫歯が発生する。歯を丈夫にするガムには再石灰化作用を促す成分が含まれており、その成分は商品よって異なる。

 キシリトール・ガム+2(ロッテ)は再石灰化作用を持つキシリトールに、その効果をさらに促進させるフノラン(海藻のフクロフノリ抽出物質)とリン酸カルシウムを組み合わせている。

 リカルデント(キャドバリー・ジャパン)はCPP-ACP(カゼインホスホペプチド・非結晶リン酸カルシウム複合体)を配合している。同成分は虫歯の始まりを抑える脱灰抑制とエナメル質にミネラルを戻す再石灰化に加え、酸に溶けにくい歯を作る耐酸性効果がある。

 ポスカム(グリコ)はPO3-Ca(リン酸化オリゴ糖カルシウム)を配合している。PO3-Caは馬鈴薯デンプンから調整したオリゴ糖で、唾液中の水溶性カルシウムの濃度を高めて、カルシウムとリン酸の濃度を再石灰化しやすいバランスに整える働きがある。

金曜日, 2月 08, 2008

うに(海胆、雲丹)

〇うに(海胆、雲丹)

 ナマコ、ヒトデなとと同じ棘皮動物の仲間で、イガグリのような形をした海生動物の総称である。多くは浅海の岩礁の間や砂底に生息する。世界中に約860種分布しており、生殖巣部分を食用にする。わが国で食べられているのはバフンウニ、アカウニ、ムラサキウニなどだが、最近では南米産の輸入物も多く出回っている。

 ウニの主成分はタンパク質(生100g中16g)と脂質(同4.8g)で、エネルギーは120kcalである。ビタミンD以外の栄養素のほとんどが含まれており、カロチン(レチノール当量120ug)やビタミンE・B2・B12、葉酸も多いので、疲労回復や造血にも有効である。それほど多くは食べられないが、生食のほかに塩ウニ(粒ウニ)、練りウニ、蒸しウニ、焼きウニなどバラエティーに富んでおり、酒の肴にもよい。

木曜日, 2月 07, 2008

かに(蟹)

〇かに(蟹)

 日本近海だけでも1000種を数えるというカニの中で、一般に食用とされているのは、タラバガニ、ケガニ、ズワイガニ、ガザミ、モ、クズガニ、アサヒガニ、ハナサキガニ、サワガニなどである。食用のベストワンといえばズワイガニ(松葉ガニ、越前ガニ)であろうが、このカニは雄が圧倒的に大きく、雌の甲羅の直径は雄の半分にも満たない。日本近海産のタカアシガニは甲長が40cm迫る世界最大のカニである。美味で定評のある北海度近海産のタラバガニはヤドカリの仲間で、ハサミを加えて足が8本しかない。サワガニは淡水産である。

 カニの肉はいずれも脂質、糖質はゼロに近く、タンパク質が15~20%程度である。旨味成分のグルタミン酸、グリシンなどが多い。栄養的な特長はエビと同じく、タウリンが多いことである(ズワイガニで牛・豚肉の約11倍)。さらに亜鉛や銅の含有量も多く、前立腺肥大・貧血を予防する働きがある。

 カニを茹でると赤くなるが、これはカロチノイド色素のアスタキサンチンを含むためである。アスタキサンチンはカニやエビ、サケ、イクラなど海産物に含まれる赤色色素でビタミンEの100倍以上の抗酸化力があるとして注目されている物質である。研究はまだ始まったばかりであるが、生体内でのフリーラジカル(活性酸素)消去作用をベースとして、日周リズムの調節効果や糖尿病とその合併症の抑制効果などが報告されている。

水曜日, 2月 06, 2008

えび(海老)

〇えび(海老)

 近海産のエビには大きい順にイセエビ、クルマエビ、コウライエビ(別名タイショウエビ)、ボタンエビ、シバエビ、ホッカイエビ、ホッコクアカエビ、サクラエビなどがあり、分類上は同一の科ではない。このほか淡水性のテナガエビ、ザ、リガニ輸入種のロブスター(アカザエビ科)などもある。エビは種類が多い分、食べ方も多様である。主に生食されるのはイセエビ、クルマエビ、ホッコクアカエビ(甘エビ)、ボタンエビなどである。ロブスター(別名オマール)やザリガニはフランス料理の食材として欠かせないもので、コキールやソースなどに用いられる。全長5cmほどのサクラエビは天日で乾燥させ素干しや釜揚げなどに使われる。

 エビはいずれも高タンパクで低脂肪、糖質はほとんど含まないのでダイエットに好適な食材である。それぞれのエビ固有の旨味はグリシン、のベタインなどのアミノ酸の組み合わせが微妙に異なることによる。栄養的な特質としては含硫アミノ酸のタウリンが多い(クルマエビで牛・豚肉の約6倍)。タウリンは血中コレステロールを抑え、動脈硬化を予防する。また、小さなエビを殻ごと食べたり、天ぷらやフライにして尻尾まで食べると、優れたカルシウム補給源にもなる。

火曜日, 2月 05, 2008

いか(烏賊)

〇いか(烏賊)

 食用にするのはスルメイカ、ヤリイカ、アオリイカ、コウイカ、ケンサキイカ、カミナリイカ、アカイカ、ホタルイカなどであるが、このほかにも、市場には遠海物や輸入物など非常に多くの種類が流通している。

 スルメイカは国内での漁獲量が最も多く、主に北海道や日本海沿岸で水揚げされる。旬は夏から秋で、生食のほかに一夜干し、スルメなどに利用される。ヤリイカは胴が槍のように細いイカで、北海道以南に生息し、冬が旬である。刺身にすると美味である。コウイカは本州中部以南から四国・九州に分布し、旬は秋から冬。刺身、煮付け、焼き物で食べられる。ケンサキイカは四国・九州に分布し、旬は春から夏。刺身や煮付け、、焼き物で食べられるほか、スルメに加工される。長崎県五島列島のケンサキイカから作られるスルメは五島スルメと呼ばれ最上品とされている。アカイカは北海道で多く漁獲され、スルメイカに次いで漁獲量が多い。旬は夏で、北海道名物のイカ飯のほか、塩辛、燻製などに加工される。ホタルイカは全長5cm程の小さなイカで富山湾で多く獲れる。旬は春から初夏までで、生食や煮付けにされる。

 イカの重量のほぼ82%が水分(生の場合)だが、脂質がほとんどない代わりにタンパク質が15~18%という数字は、牡蠣の6.6%、アワビの12.7%を凌ぎ、ワカサギに匹敵する。タウリンの含有量が多く、よく引き合いに出されるマグロの血合い肉が100g中に954mgの含有量であるのに対し、コウイカは1212mgもあって魚介類ではトップである。(ヤリイカは766mg、スルメイカは686mg)。タウリンは含硫アミノ酸の一種で、血中コレステロールの減少、貧血の予防、強心作用、血圧の正常化、肝機能の賦活、糖尿病の予防などに効果をもたらす。

 イカ墨には抗ガン作用があるという研究も発表されている。これは、青森県産業技術開発センターなどが中心となって行ったマウスを使った実験から分かったもので、イカ墨に含まれるムコ多糖ペプチド複合体が、ガン細胞の増殖を抑える作用のあることを報告している。イカ墨はあまり食卓には上がらないが、最近はパスタのソースとして市販されている。

月曜日, 2月 04, 2008

ほたてがい(帆立貝)

〇ほたてがい(帆立貝)

 イタヤガイ科の二枚貝で、扇形をして貝殻に特徴がある。陸奥湾からオホーツク海、朝鮮半島東岸から沿海州にかけて分布する。北海道のサロマ湖が主要生産地である。近年は輸入物も多くなり、冷凍食品に加工されたものも出回っている。身全体を食用とするが、特に貝柱が美味で人気がある。また、貝柱の周囲にある外套膜は”ひも”と呼ばれ、こちらも人気がある。

 主成分はタンパク質(生100g中13.5g)で、旨味成分のグルタミン酸やイノシン酸などアミノ酸含有量が多い。脂質は0.9gと少ないので、カロリー制限をする人には都合のよい食材といえる。

 栄養効果の期待できる成分はビタミンB1(生100g中0.05mg)、ミネラルの亜鉛(同2.7mg)といったところ。B1含有量は魚介類のトップクラスであるタラコ(同0.71mg)の1/15ほどであるが、ホタテガイは1回に食べる量が多いので有益である。B1は消化液の分泌を促進して食欲を高め、糖質の代謝を促し神経の働きを活発にする。ホタテガイには、準と必須アミノ酸いわれるようになったタウリンが1006mg(冷凍品の場合)と多い。血中のHDL(善玉コレステロール)を増やし、血圧をゆっくりと下げるなど、生活習慣病予防には不可欠の成分である。

 ホタテガイは身全体はバター焼きや照り焼き、ボイルしたものを濃い醤油味で煮るなどすると美味しい。貝柱は刺身、酢の物、焼き物、揚げ物、スープ、ムニエルなどに用いられる。また、干し貝柱も中華料理などに使われている。

日曜日, 2月 03, 2008

はまぐり(蛤)

〇はまぐり(蛤)

 ハマグリ科の二枚貝で、色や形が栗に似ていることからハマグリという名がついたといわれる。北海道南部から九州、東シナ海に分布し、内湾の砂地の深いところに潜って生息しているが、春先になると表面へ出てくる。国内産の内湾性のものが美味しいのは秋から翌春まで。輸入物の外洋性のチョウセンハマグリ(殻にあまり模様がない)は肉質がやや硬く、味も香りも若干劣る。

 ハマグリの旨味成分はアミノ酸のグリシン、アラニン、グルタミン酸とグリコーゲンやコハク酸などで構成されている。肉の脂質はほとんどなく(100g中0.5g)、炭水化物も少ない(1.8g)ので、カロリー制限をしている人でも安心して食べられる(生100gで38kcal)。栄養的にはビタミンB12(100g中28.4mg)、カルシウム(130mg)、鉄(2.1mg)、銅(0.1mg)、亜鉛(1.7mg)、マグネシウム(81mg)、タウリンが比較的多く含まれる。亜鉛は不足すると味覚障害を起こす微量栄養素であるが、新陳代謝に必要な各種酵素の働きを支える重要な役目も担っているため必須ミネラルのひとつとされている。また、タウリン(カツオ血合肉よりも多く889mg)は血中コレステロールを下げ、血圧を正常化し、肝臓の解毒作用を強化するなどを働きを持つ。

 味はもとより貝殻の美しさでも料理に花を添えるハマグリだが、焼き物、酒蒸し、吸い物、時雨煮、串焼き、寿司ネタなどに使われるほか、フライやクラムチャウダーといった洋風料理にも、また中華料理の食材にも利用されている。

金曜日, 2月 01, 2008

あさり(浅蜊)

〇あさり(浅蜊)

 マルスダレガイ科の二枚貝で、歴史的に最も古い食材のひとつといわれる。アサリには利尿作用があり、古くからむくみを治すとされてきた。栄養素としてはビタミン12が多く、①性腺や甲状腺の働きを活発にする、②DNAの体内合成に関与してタンパク質の代謝をコントロールする、③赤血球の形成に重要な役割を果たす、④神経を活性化する、などの作用を持つ。ミネラル類では亜鉛(100g中1mg)と鉄(同3.8mg)が比較的多い。亜鉛も造血作用を高める働きがある。

 アサリは冬から春にかけてが旬。殻つきのまま味噌汁の具や酒蒸しにするほか、むき身は酢の物、和え物、スパゲティ、チャウダーなどに利用される。東京・深川の名物である深川飯はアサリのむき身を醤油でサッと煮て汁ごとご飯にかけたもので、別名ぶっかけ飯といわれ、庶民の味となっている。

木曜日, 1月 31, 2008

しじみ(蜆)

しじみ(蜆)

 シジミガイ科に属する二枚貝の総称。殻の直径が4cm近くにもなるマシジミ、琵琶湖水系の特産であるセタシジミ、全国各地の河口付近で採れる、ヤマトシジミ奄美以南に棲むヒルギシシミなどが代表的な種類だが、よく食べられているのはヤマトシジミである。日本各地の河川や湖沼、あるいは海水の混ざる河口付近に棲むシジミは古くから日本人に好まれ、貝塚からの発掘も多いことから分かるように食用の歴史は長いが、近年は河川や湖沼の環境汚染によって収量が減り、輸入物が相当出回っているのが現状である。

 シジミの味噌汁は日本人にとって忘れられない味の1つであるとともに、シジミに豊富なアミノ酸(タウリン、アラニン、アルギニンなど)、ビタミンB群(B1・B2・B12)、ミネラル類(カルシウム、カリウム、鉄)に味噌の栄養価が加わり、またとない美味しい健康食となっている。昔からシジミは黄疸によいとされてきたのは、タウリンやビタミンB2・B12が肝臓の働きを助けるためでもあるので、面倒がらずに身を残さず食べることが大事である。悪性貧血や皮膚疾患にも徐々にではあるが効を奏する。

水曜日, 1月 30, 2008

牡蠣

牡蠣

 イタボガキ科の二枚貝で、一般に広く出回っているのはマガキであるが、このほかにもイワガキ、スミエノガキ、イタボガキなどが食用とされている。マガキは日本全土のどこでも獲れるが、養殖の主産地は広島、宮城である。わが国で牡蠣の養殖が始まったのは17世紀と早く、広島、汽船沼、松島、志摩、浜名湖などが中心となっている。

 海のミルク、海の玄米などといわれる牡蠣は栄養的に優れた食品で、糖質の大部分をグリコーゲンが占めている。他の貝類に比してたんぱく質や脂質は量的に少ないが、タウリンやグルタミン酸などの遊離アミノ酸が多い。ビタミンA・B1・B2などのほか、鉄・カルシウム・亜鉛・銅などのミネラル多く含むため、貧血にはもってこいの食品として珍重されている。ビタミンB群は代謝機能を活発にし、疲労回復や虚弱体質の改善に有効である。また、タウリンには脂質やビタミンA・Eなど脂溶性ビタミンの消化吸収を助ける働きがあり、血中コレステロールを減らし動脈硬化の予防にも役立つ。

 牡蠣が食べごろとなるのは体内にグリコーゲンを多く蓄えた時期で、マガキは冬(11~2月頃まで)、イワガキは夏(8月)が旬である。

日曜日, 1月 27, 2008

どじょう(泥鰌)

〇どじょう(泥鰌)

 ドジョウ科の淡水魚で、水田や小川などの泥底に棲み、日本や朝鮮半島、中国に分布する。全長12cm位になり、口辺りに五対のひげがあり腸呼吸をする。脂がのって美味しくなる5~7月頃が旬である。

 ドジョウはカルシウムが多く、生100g中に1100mg含まれ、魚類中ではトップクラスである。これはシシャモ(330mg)の3倍、マイワシ(75mg)の16倍になる。また、カルシウムの利用効率を高めるリンが690mgとバランスよく含まれており、格好のカルシウム供給源である。日本人のカルシウム不足はよく指摘されることだが、カルシウムは骨を強くするばかりでなく、精神の安定をはかりイライラの解消にも役立つ。

 そのほかビタミンB2・B12・D、鉄、ナイアシンなども多く含むので、泥臭いからと毛嫌いするには惜しい魚である。ドジョウといえば柳川鍋で、裂いたドジョウとささがきゴボウを一緒に煮て卵でとじた料理だが、使われる独特の鍋が福岡県柳川付近の窯で焼かれていたことからこう呼ばれている。

土曜日, 1月 26, 2008

わかさぎ(公魚)

〇わかさぎ(公魚)

 キュウリウオ科の小型魚で全長15cmほど。背は灰色で側面は銀白色をしており、海水域から淡水域に生息し、北海道から九州に至る各地の湖沼に棲む。古くはチカと呼ばれ、別名アマサギともいう。脂がのっておいしくなる旬は3月頃。

 肉は白身なのでさっぱりしており、脂質は生100g中1.7gと少なく、マイワシの約1/3。栄養面では、カルシウムを100g中450mとマイワシの6倍以上含み、頭ごと内臓も一緒に食べるので骨作りに適している。また、リン350mg、カリウム120mg(いずれも生100g中)とミネラル類も豊富。加えてビタミンB12、Dなども含むので、バランスのよいミネラル補給食品といえよう。から揚げやフライなどのほか、佃煮、あめ煮など保存食として常備しておくとよい。ワカサギの唐揚げにレモン汁をかけると、生臭みを消すばかりでなく味も引き立て、唯一足りないビタミンCも補えるので一石二鳥である。

火曜日, 1月 22, 2008

うなぎ(鰻)

〇うなぎ(鰻)

 精力がつく食べ物といえば誰でも真っ先に思い浮かべるほど古くから重要な栄養源として親しまれてきたウナギ(ウナギ科)は、海で生まれ、河川や湖沼の淡水域で全長約60cmまでに成長するが、棲む場所や餌によって味が異なるといわれている。養殖ウナギは、海で産卵されて5cmくらいの大きさになったものを河口付近で採取し成長させたものである。

 日本のかば焼きに限らず、スペインのオリーブオイル煮、フランスのパイ、イギリスの燻製、イタリアのムニエルなど外国でも盛んに食べられているが、欧米産と日本産とは同じウナギ科でも別種で、世界で約20種あるという。

 強力スタミナ食として有名な八つ目うなぎは別の科に属すが、栄養的特徴はウナギも八つ目ウナギも同様で、なんといってもビタミンAの含有量が豊富である。かば焼き100g中には1500ug含まれているが、これはアナゴ(蒸し)の約2倍である。50gの串焼き1本で成人の1日推奨量(男性750ug、女性600ug)をまかなうことができる計算だ。ビタミンAは夜盲症の予防、細菌感染への抵抗力増強のみならず、抗ガン効果への期待から近年改めて注目されている栄養素である。このほかビタミンB1の含有量も多く(かば焼きで0.75mg)、マガレイ(焼き)の25倍にも及ぶ。さらにビタミンEやEPAも含まれており、老化防止、生活習慣病の予防にも有効である。

月曜日, 1月 21, 2008

ししゃも(柳葉魚)

〇ししゃも(柳葉魚)

 ワカサギと同じキュウリウオ科の魚で、シシャモの呼び名はアイヌ語である。北海道南東部に分布するが、近年市場で出回っているシシャモの多くはオランダなど北ヨーロッパから輸入されているカラフトシシャモ(別名カペリン)と呼ばれるものであわが国では10月頃に十勝川その他の川をる。シシャモは通常沿岸を群泳し、遡り、河口から4~10km余り上流の海水の入らない流域、底が砂利または砂轢の場所で産卵する。

 鮮魚、冷凍品、干物などがあるが、卵を持った雌のほうが喜ばれる。一夜干し程度の干物が一番多く消費されるが、頭から丸ごと食べてカルシウムを摂取できるのが利点であろう。安価で入手しやすいので大いに利用したい食材であるが、酸化して黄ばみやすいので、鮮度をよく確かめて求めたい。カルシウムに関しては国産のものよりも輸入物のほうが多く、味の点で多少遜色があるにしても輸入物も捨てがたい。その他の栄養素としてはビタミンB12、D、パントテン酸などのビタミン類も比較的多く含まれ、骨の強化、老化防止、細胞の活性化などにも効果的である。