※レモングラス
イネ科オガルカヤ属の多年草で、学名はCymbopogon citratus。原産地はインド。レモンのような香りがあり、タイの伝統的スープであるトムヤムクンに欠かせないハーブとして知られている。葉や茎から抽出される精油にはレモンと同じ芳香成分シトラールが含まれ、レモン系食品の香料に利用される。レモングラスティーは貧血や消化不良によいといわれている。
最近の研究では京都大学農学部の大東肇らによって、レモングラスは消化器系ガンを引き起こす細菌に対して殺傷能力の高いことが確認されている(2000年)。精油には鎮静作用や血行改善、抗炎症作用があり、アロマテラピーではストレスからくる諸症状の改善や筋肉痛の緩和などに用いられる。
※バレリアン
オミナエシ科カノコソウ属の多年草で、学名はValeriana offcinalis。原産地はヨーロッパと西アジア。和名はセイヨウカノコソウ。ハーバリストが昔から緊張状態をやわらげるために使用してきたハーブで、近年、その作用に新たな注目が集まっている。バレリアンの薬理作用についてはヨーロッパで1980年代から数多くの臨床試験が実施され、鎮静効果や催眠効果が確認されている。
睡眠薬として利用する場合は、就寝2時間前までに400~900mgのバレリアン抽出物を経口摂取すると効果的である。また、鎮静作用のあるレモンバームと組み合わせると相乗効果を期待できる。生理痛や月経前症候群、筋肉痛にもよいとされている。副作用や依存症はないが、大量摂取すると頭痛・吐き気・不整脈などを生じることがある。ドイツでは医薬品として使用されている。
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火曜日, 11月 29, 2011
月曜日, 11月 28, 2011
色々なハーブ(2)
※セージ
シソ科アキギリ属の常緑性低木で、学名はSalvia offcinalis。ヨーロッパ南部と北アフリカが原産。別名サルビア。開花前の若葉を摘み、乾燥させて使う。セージのある庭に行くものは死なないという格言があるほど、古くから万能の薬草として用いられ、ヨーロッパでは乾燥葉が薬局方に記載されてきた。発汗抑制・利尿・消毒殺菌・収斂・血行促進・疲労回復などの作用が知られている。現在もハーバリストが発汗防止に使用さている。特有の香りや苦味、辛味が食欲を刺激するので、消化不良や食欲不振にもよい。また、煎じたものは口内炎や歯肉炎のうがい薬として使われる。リラックス効果があるので、疲れたときのハーブティーとしても良い。
食材としてソーセージ作りに欠かせないハーブである。肉料理の臭み消しとしても広く使われ、ラムや七面鳥、鴨、レバー料理に使われる。
※キャットニップ
ユーラシア原産のシソ科イヌハッカの多年草で、学名はNepeta cataria。和名はイヌハッカ。猫を興奮させるハーブとして有名だが、人に対しては鎮静作用を持つ。ヨーロッパでは古くから病気の治療に使われてきたハーブで、不眠や頭痛、下痢、腹痛などに効果がある。葉はミントに似た香りで、乾燥葉と花の先端部を用いたハーブティーはリラックス効果をもたらす。発汗作用があり、体を暖めてくれるので入浴剤にも使われている。葉をタバコのようにすうと多幸症を引き起こすことが知られている。
※ヒソップ
シソ科ヤナギハッカ属の多年草で、学名はHysspous offcinalis。地中海と西アジアが原産。和名はヤナギハッカ。ハッカに似た香りがあり、旧約聖書には清めのハーブとして登場している。食用や薬用としてだけでなく、その芳香を生かして病室や台所の床に撒いて消臭剤としても使われたという。
肉や魚など脂肪分の多い料理やスープ、シチューなどの香り付けによく使われるハーブで、香草系の代表的なリキュール「ベネディクティン」の材料の一つでもある。鎮痙作用や抗菌作用があり、風邪や咳、鼻づまりにはドライハーブをお湯に混ぜて飲むと症状を緩和してくれる。うがい薬や外用薬として利用できる。
※ラベンダー
地中海沿岸のシソ科ラバンデュラ属の常緑小低木で、学名はLavandula angustifolia。ラベンダーはラテン語のlavara(洗う)を意味し、古代ローマ人は公共浴場に入れて香りを楽しんだという。その香りは精神を落ち着かせる作用があり、睡眠前など気分をリラックスさせたいときにはラベンダーティーを飲むとよい。アロマテラピーでは精油が不安の解消やリラクゼーションに用いられる。また、皮膚への浸透がよく、スキンオイルやマッサージオイル、ブレンドオイルとしても使われている。花を乾燥させたポプリは香りだけではなく殺菌や防虫にも効果的だ。
シソ科アキギリ属の常緑性低木で、学名はSalvia offcinalis。ヨーロッパ南部と北アフリカが原産。別名サルビア。開花前の若葉を摘み、乾燥させて使う。セージのある庭に行くものは死なないという格言があるほど、古くから万能の薬草として用いられ、ヨーロッパでは乾燥葉が薬局方に記載されてきた。発汗抑制・利尿・消毒殺菌・収斂・血行促進・疲労回復などの作用が知られている。現在もハーバリストが発汗防止に使用さている。特有の香りや苦味、辛味が食欲を刺激するので、消化不良や食欲不振にもよい。また、煎じたものは口内炎や歯肉炎のうがい薬として使われる。リラックス効果があるので、疲れたときのハーブティーとしても良い。
食材としてソーセージ作りに欠かせないハーブである。肉料理の臭み消しとしても広く使われ、ラムや七面鳥、鴨、レバー料理に使われる。
※キャットニップ
ユーラシア原産のシソ科イヌハッカの多年草で、学名はNepeta cataria。和名はイヌハッカ。猫を興奮させるハーブとして有名だが、人に対しては鎮静作用を持つ。ヨーロッパでは古くから病気の治療に使われてきたハーブで、不眠や頭痛、下痢、腹痛などに効果がある。葉はミントに似た香りで、乾燥葉と花の先端部を用いたハーブティーはリラックス効果をもたらす。発汗作用があり、体を暖めてくれるので入浴剤にも使われている。葉をタバコのようにすうと多幸症を引き起こすことが知られている。
※ヒソップ
シソ科ヤナギハッカ属の多年草で、学名はHysspous offcinalis。地中海と西アジアが原産。和名はヤナギハッカ。ハッカに似た香りがあり、旧約聖書には清めのハーブとして登場している。食用や薬用としてだけでなく、その芳香を生かして病室や台所の床に撒いて消臭剤としても使われたという。
肉や魚など脂肪分の多い料理やスープ、シチューなどの香り付けによく使われるハーブで、香草系の代表的なリキュール「ベネディクティン」の材料の一つでもある。鎮痙作用や抗菌作用があり、風邪や咳、鼻づまりにはドライハーブをお湯に混ぜて飲むと症状を緩和してくれる。うがい薬や外用薬として利用できる。
※ラベンダー
地中海沿岸のシソ科ラバンデュラ属の常緑小低木で、学名はLavandula angustifolia。ラベンダーはラテン語のlavara(洗う)を意味し、古代ローマ人は公共浴場に入れて香りを楽しんだという。その香りは精神を落ち着かせる作用があり、睡眠前など気分をリラックスさせたいときにはラベンダーティーを飲むとよい。アロマテラピーでは精油が不安の解消やリラクゼーションに用いられる。また、皮膚への浸透がよく、スキンオイルやマッサージオイル、ブレンドオイルとしても使われている。花を乾燥させたポプリは香りだけではなく殺菌や防虫にも効果的だ。
金曜日, 11月 25, 2011
色々なハーブ(1)
※アニス
セリ科アニス属の一年草で、学名はPimpinella anisum。。地中海東部沿岸地域やエジプトが原産で、古代エジプト時代から薬用や調味料として愛用されてきた伝統的ハーブである。アニスの完熟種子(アニスシード)には特有の甘い香りと味があり、今日でもパンや菓子、スープの香辛料、リキュールの香料などに用いられている。種子はアネトールを主成分とする精油を2~3%含み、これがアニスシード特有の芳香と味のもとになっている。
精油には細菌繁殖を抑える効果がある。種子を潰して煎じたお茶は消化を促す働きがあり、食欲不振、消化不良、腹痛などの改善に適している。また、母乳の分泌を促進する作用があり、種子をお湯に浸すアニスティーはヨーロッパでは古くから授乳期の女性のお茶として知られている。この母乳分泌促進作用は動物実験でも確認されている。アメリカの栄養学者E・ミンデルによると、乳牛にアニスオイルのにおいを嗅がせると牛乳の生産量が増加したという(「ハーブバイブル」同朋社)。精油の香りには虫が嫌う成分が含まれており、防虫にも効果的であるとされる。
○チャービル
セルフィーユとも呼ばれる。ヨーロッパやアジアを原産とするセリ科のシャク属の一年草で学名はAnthricus cerefolium。和名はウイキョウゼリ。上品な甘い香りが特徴。4種類のフレッシュハーブを刻んで混ぜてフィーヌゼルブ(フランスの伝統的なハーブミックス)に使われるほか、葉はサラダやスープ、バーブバターなどに用いられる。古くは薬用として利用され、カルペパー(17世紀英国のハーバリスト)は、チャービルに胃を温める作用があることを見出し、消化促進・利尿・関節痛などの治療に使われた。葉にはビタミンC、カロテン、鉄分、マグネシウムなどが含まれている。
※ディル
セリ科イノンド属のハーブで、学名はAnethum graveoles。別名はイノンド、ヒメウイキョウ。古くから頭痛の治療薬として使われており、古代エジプトの医学古典「エーベルス・パピルス」にも収載されている。日本には江戸時代に渡来し、種子が蒔蘿子と呼ばれて生薬に使われている。
葉を煎じて飲むデイルティーは消化を助ける作用があり、胃の調子を整えてくれる。また、種には神経をやわらげる鎮静作用があるとされ、ヨーロッパでは乳児の夜泣きや不眠症の人に種子を煎じて飲ませる。ディルには独特の香りがあり、スパイスとしても広く使われている。魚料理との相性がよく魚のハーブといわれている。種子はピクルスやクッキーなどに、若葉はワインビネガーに入れて香り付けに用いたりする。
※フェンネル
セリ科ウイキョウ属の多年草で、学名はFoeniculum vulare。原産地はヨーロッパ。和名はウイキョウ。フェンネルは亜種や変種が多く、現在、主に栽培されているのはビターフェンネルスイートフェンネルである。
フェンネルの生理作用はヨーロッパや中国で古くから認められており、腹痛や風邪の治療などに用いられてきた歴史がある。精油にハチミツを加えてお湯で溶かし、咳止めとして飲まれていた。また健胃作用に優れ、腸の痙攣を抑える小腸の運動を高める作用がある。消化を助けて食欲を増進させると共に、腸内ガスの放出や疝痛の緩和に働く。幼児疝痛にも効果があり、スイートフェンネル種子の精油を含有した乳剤を幼児に与えた試験で疝痛が緩和したという報告がある。これは、種子に多く含まれるトランスアネトール、メチルカビコール、フェンコンなどが有効成分と考えられている。
食用としては、茎や葉が魚料理の臭い消しに、種子はクッキーやパンなどの風味付けに利用される。フェンネルは近年、ダイエットハーブとしても市販されているが、その有用性についてはまだ実証されていない。
セリ科アニス属の一年草で、学名はPimpinella anisum。。地中海東部沿岸地域やエジプトが原産で、古代エジプト時代から薬用や調味料として愛用されてきた伝統的ハーブである。アニスの完熟種子(アニスシード)には特有の甘い香りと味があり、今日でもパンや菓子、スープの香辛料、リキュールの香料などに用いられている。種子はアネトールを主成分とする精油を2~3%含み、これがアニスシード特有の芳香と味のもとになっている。
精油には細菌繁殖を抑える効果がある。種子を潰して煎じたお茶は消化を促す働きがあり、食欲不振、消化不良、腹痛などの改善に適している。また、母乳の分泌を促進する作用があり、種子をお湯に浸すアニスティーはヨーロッパでは古くから授乳期の女性のお茶として知られている。この母乳分泌促進作用は動物実験でも確認されている。アメリカの栄養学者E・ミンデルによると、乳牛にアニスオイルのにおいを嗅がせると牛乳の生産量が増加したという(「ハーブバイブル」同朋社)。精油の香りには虫が嫌う成分が含まれており、防虫にも効果的であるとされる。
○チャービル
セルフィーユとも呼ばれる。ヨーロッパやアジアを原産とするセリ科のシャク属の一年草で学名はAnthricus cerefolium。和名はウイキョウゼリ。上品な甘い香りが特徴。4種類のフレッシュハーブを刻んで混ぜてフィーヌゼルブ(フランスの伝統的なハーブミックス)に使われるほか、葉はサラダやスープ、バーブバターなどに用いられる。古くは薬用として利用され、カルペパー(17世紀英国のハーバリスト)は、チャービルに胃を温める作用があることを見出し、消化促進・利尿・関節痛などの治療に使われた。葉にはビタミンC、カロテン、鉄分、マグネシウムなどが含まれている。
※ディル
セリ科イノンド属のハーブで、学名はAnethum graveoles。別名はイノンド、ヒメウイキョウ。古くから頭痛の治療薬として使われており、古代エジプトの医学古典「エーベルス・パピルス」にも収載されている。日本には江戸時代に渡来し、種子が蒔蘿子と呼ばれて生薬に使われている。
葉を煎じて飲むデイルティーは消化を助ける作用があり、胃の調子を整えてくれる。また、種には神経をやわらげる鎮静作用があるとされ、ヨーロッパでは乳児の夜泣きや不眠症の人に種子を煎じて飲ませる。ディルには独特の香りがあり、スパイスとしても広く使われている。魚料理との相性がよく魚のハーブといわれている。種子はピクルスやクッキーなどに、若葉はワインビネガーに入れて香り付けに用いたりする。
※フェンネル
セリ科ウイキョウ属の多年草で、学名はFoeniculum vulare。原産地はヨーロッパ。和名はウイキョウ。フェンネルは亜種や変種が多く、現在、主に栽培されているのはビターフェンネルスイートフェンネルである。
フェンネルの生理作用はヨーロッパや中国で古くから認められており、腹痛や風邪の治療などに用いられてきた歴史がある。精油にハチミツを加えてお湯で溶かし、咳止めとして飲まれていた。また健胃作用に優れ、腸の痙攣を抑える小腸の運動を高める作用がある。消化を助けて食欲を増進させると共に、腸内ガスの放出や疝痛の緩和に働く。幼児疝痛にも効果があり、スイートフェンネル種子の精油を含有した乳剤を幼児に与えた試験で疝痛が緩和したという報告がある。これは、種子に多く含まれるトランスアネトール、メチルカビコール、フェンコンなどが有効成分と考えられている。
食用としては、茎や葉が魚料理の臭い消しに、種子はクッキーやパンなどの風味付けに利用される。フェンネルは近年、ダイエットハーブとしても市販されているが、その有用性についてはまだ実証されていない。
木曜日, 11月 24, 2011
アーティチョーク
○アーティチョーク
アーティチョークは地中海沿岸のエジプトから南ヨーロッパ地方に分布するキク科の多年草で、学名はCynara scolymus。アザミの仲間で、和名はチョウセンアザミ。成長すると2mほどにより大型の紫色の花をつける。花の付け根のふくらんだ花托は独特の風味と食感があり、フランスやイタリアでは古くから高級野菜としてして珍重されてきた。
アザミの仲間のハーブは古くから肝臓疾患の症状を和らげる効果のあることが知られており、ヨーロッパ薬草療法では、アーティチョークは肝臓の解毒作用を助ける効果があるほか、肝臓組織の再生にも有効であるとされてきた。20世紀に入ると、多くの生物学者からによってアーティチョークの薬理的研究が行われ、今日では苦味成分を中心とした多種の有効成分が見出されている。それによると、アーティチョークの効果を決定づける成分として、苦味成分のシナリンやフラボノイド、セスキルペンラクトン系のシナロピクリンのほか、イヌリン、キナ酸カフェオイルが単離されている。
アーティチョークの葉の苦味値は15000単位と報告され、苦味成分の含有量が最も高い数値を示すのは開花直前と果実の成熟時とされている。その成分中の苦味成分シナリンには、胆汁の分泌を促進し、血液中の脂肪代謝を活性化することによって血液中のコレステロール値を正常に戻す効果があるとされている。また軽い利尿作用があるほか、胃のもたれや膨満感を解消し、上腹部の痙攣症状の緩和にも効果のあることが臨床試験において確認されている。今日、ドイツの薬品業界ではこのシナリンがアーティチョーク調剤の品質基準を測る指標と見なされている。アーティチョーク調剤には主として糖衣錠や圧搾エキスがある。
アーティチョークは地中海沿岸のエジプトから南ヨーロッパ地方に分布するキク科の多年草で、学名はCynara scolymus。アザミの仲間で、和名はチョウセンアザミ。成長すると2mほどにより大型の紫色の花をつける。花の付け根のふくらんだ花托は独特の風味と食感があり、フランスやイタリアでは古くから高級野菜としてして珍重されてきた。
アザミの仲間のハーブは古くから肝臓疾患の症状を和らげる効果のあることが知られており、ヨーロッパ薬草療法では、アーティチョークは肝臓の解毒作用を助ける効果があるほか、肝臓組織の再生にも有効であるとされてきた。20世紀に入ると、多くの生物学者からによってアーティチョークの薬理的研究が行われ、今日では苦味成分を中心とした多種の有効成分が見出されている。それによると、アーティチョークの効果を決定づける成分として、苦味成分のシナリンやフラボノイド、セスキルペンラクトン系のシナロピクリンのほか、イヌリン、キナ酸カフェオイルが単離されている。
アーティチョークの葉の苦味値は15000単位と報告され、苦味成分の含有量が最も高い数値を示すのは開花直前と果実の成熟時とされている。その成分中の苦味成分シナリンには、胆汁の分泌を促進し、血液中の脂肪代謝を活性化することによって血液中のコレステロール値を正常に戻す効果があるとされている。また軽い利尿作用があるほか、胃のもたれや膨満感を解消し、上腹部の痙攣症状の緩和にも効果のあることが臨床試験において確認されている。今日、ドイツの薬品業界ではこのシナリンがアーティチョーク調剤の品質基準を測る指標と見なされている。アーティチョーク調剤には主として糖衣錠や圧搾エキスがある。
火曜日, 11月 22, 2011
きんかん(金柑)
○きんかん(金柑)
ミカン科の常緑低木の果実で中国が原産。日本へは鎌倉時代末期に渡来し、主として福岡、和歌山、静岡などの温暖な地域で栽培されている。柑橘類の中では実は一番小さい。果皮には甘味と香気があり、皮ごと生食される。12~2月ごろが出盛だが、時期が短いのと量的にも少ないためミカンのようには目に触れないのが残念である。
風邪が流行るとキンカンが売れると昔から言われ、民間薬として親しまれてきた。それはビタミンC・B1・B2・E、ヘスペリジン(ビタミンP)、カルシウムを豊富に含み、柑橘類の中では最も栄養価が高いからで、ビタミンCは100g中49mg、カルシウムは80mである。ビタミンCやカルシウムは皮膚の抵抗力を強めるのにも役立ち、ヘスペリジンはビタミンCの吸収を高め毛細血管を強くする働きがある。従って風邪のみならず、動脈硬化や高血圧の予防、血管の老化防止、歯槽膿漏などにも有効である。キンカンの甘露煮は鎮咳・去痰薬として昔から愛用されている。
ミカン科の常緑低木の果実で中国が原産。日本へは鎌倉時代末期に渡来し、主として福岡、和歌山、静岡などの温暖な地域で栽培されている。柑橘類の中では実は一番小さい。果皮には甘味と香気があり、皮ごと生食される。12~2月ごろが出盛だが、時期が短いのと量的にも少ないためミカンのようには目に触れないのが残念である。
風邪が流行るとキンカンが売れると昔から言われ、民間薬として親しまれてきた。それはビタミンC・B1・B2・E、ヘスペリジン(ビタミンP)、カルシウムを豊富に含み、柑橘類の中では最も栄養価が高いからで、ビタミンCは100g中49mg、カルシウムは80mである。ビタミンCやカルシウムは皮膚の抵抗力を強めるのにも役立ち、ヘスペリジンはビタミンCの吸収を高め毛細血管を強くする働きがある。従って風邪のみならず、動脈硬化や高血圧の予防、血管の老化防止、歯槽膿漏などにも有効である。キンカンの甘露煮は鎮咳・去痰薬として昔から愛用されている。
月曜日, 11月 21, 2011
カボチャ種子
○カボチャ種子
カボチャはウリ科のつる性植物で、β-カロチンや糖質を豊富に含み、健康食材として人気があるが、この種子には頻尿や尿失禁などを改善する有効成分が含まれており、中米などでは古くから天然の利尿剤として使われてきた。また、植物療法の伝統が根強いヨーロッパでは、カボチャ種子の抽出物を配合した医薬品が前立腺肥大や過剰膀胱の治療を目的に使われている。
カボチャには日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3品種あるが、機能性素材として種子が利用されるのはペポカボチャである。ペポカボチャはメキシコ北部から北米が原産地で、低温に強い品種であることから世界各地で栽培されているが、わが国では西洋カボチャが9割を占め、ペポカボチャはあまり馴染みがない。イタリア料理に使われるズッキーニ、二、三倍酢にして食べる金糸瓜(そうめんカボチャ)はペポカボチャの一種である。
ペポカボチャの種子が前立腺肥大を改善するのは、種子に含まれる脂肪酸とシトステロールの作用によるものと考えられている。前立腺肥大は、男性ホルモンとテストステロンが変化して生成されるジヒドロテストステロンが蓄積することによって起こるが、ペポカボチャ種子の脂肪酸は、この生成に関与している5-α-リダクダーゼという酵素の活性を阻害することによってジヒドロテストステロンの蓄積を抑制する。また、レセプター(受容体)への結合を阻害する作用も認められている。このほか女性に多いとされる、くしゃみや咳などで尿が漏れてしまう尿失禁の改善にも効果のあることがわかっている。
カボチャはウリ科のつる性植物で、β-カロチンや糖質を豊富に含み、健康食材として人気があるが、この種子には頻尿や尿失禁などを改善する有効成分が含まれており、中米などでは古くから天然の利尿剤として使われてきた。また、植物療法の伝統が根強いヨーロッパでは、カボチャ種子の抽出物を配合した医薬品が前立腺肥大や過剰膀胱の治療を目的に使われている。
カボチャには日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3品種あるが、機能性素材として種子が利用されるのはペポカボチャである。ペポカボチャはメキシコ北部から北米が原産地で、低温に強い品種であることから世界各地で栽培されているが、わが国では西洋カボチャが9割を占め、ペポカボチャはあまり馴染みがない。イタリア料理に使われるズッキーニ、二、三倍酢にして食べる金糸瓜(そうめんカボチャ)はペポカボチャの一種である。
ペポカボチャの種子が前立腺肥大を改善するのは、種子に含まれる脂肪酸とシトステロールの作用によるものと考えられている。前立腺肥大は、男性ホルモンとテストステロンが変化して生成されるジヒドロテストステロンが蓄積することによって起こるが、ペポカボチャ種子の脂肪酸は、この生成に関与している5-α-リダクダーゼという酵素の活性を阻害することによってジヒドロテストステロンの蓄積を抑制する。また、レセプター(受容体)への結合を阻害する作用も認められている。このほか女性に多いとされる、くしゃみや咳などで尿が漏れてしまう尿失禁の改善にも効果のあることがわかっている。
金曜日, 11月 18, 2011
菊芋
○菊芋
いもという名が付いているが、キク科の多年草である。キクイモの由来はキクのような花をつけ、根の先端が肥大してイモのような塊茎になることから。原産地は北アメリカ北東部で、先住民が古くから食用としていた。ジャガイモの歯ざわりとゴボウの味を混ぜた風味があり、煮ると甘味が出る。日本には江戸時代に到来したが、食物繊維を多く含むため消化吸収が悪く、栄養価の高くないことから食用よりも飼料として使われてきた。戦時中の一時期、食糧難のために栽培され漬け物の材料にされていたこともあるが、近年ではほとんど栽培されていなかった。ところが、この菊芋に糖尿病を改善する作用のあることが分かったことから、にわかに注目を集める健康機能性素材となった。
キクイモ(生)の食品成分をみると、炭水化物が15.1%と非常に多く含まれている。特徴的なのはこの糖質にはデンプンがほとんどなく、大部分がイヌリンという糖質で占められていることだ。イヌリンは多糖類の一種で、果糖(フルクトース)が30個ほどつながった構造をしている。キクイモ以外ではダリアの塊茎やアザミの根などに貯蔵多糖として含まれている。デンプンは体内でブドウ糖に分解され、小腸から吸収されて血糖値に反映されるが、イヌリンはヒトの消化酵素では消化されず、分解されてもブドウ糖ではなく果糖になる。そのため血糖値の上昇とは無縁であるばかりか、腸が糖質を吸収するのを抑える作用があり、血糖値の上昇を背後から抑制する働きもしている。わが国では漬け物の材料にしか使われてこなかったキクイモであるが、今後は抗糖尿病食品として大いに期待される素材である。菊芋は海外でも広く栽培、利用されているが、ドイツではトピナンバーという名で機能性食品素材として活用されている。
※トピナンバー
ドイツのレホルム製品の一つ。キクイモ塊茎に含まれる難消化性多糖のα-イヌリンを中心に、ペクチン、ビタミン、ミネラル、ベタイン、フラボノール・グルコシド、酵素、アミノ酸を配合した機能性素材。300気圧の圧搾装置を使ってキクイモの塊茎から抽出したエキス製品もある。どちらも糖分や糖質の摂取を制限されている糖尿病患者の健康食品として需要がある。
いもという名が付いているが、キク科の多年草である。キクイモの由来はキクのような花をつけ、根の先端が肥大してイモのような塊茎になることから。原産地は北アメリカ北東部で、先住民が古くから食用としていた。ジャガイモの歯ざわりとゴボウの味を混ぜた風味があり、煮ると甘味が出る。日本には江戸時代に到来したが、食物繊維を多く含むため消化吸収が悪く、栄養価の高くないことから食用よりも飼料として使われてきた。戦時中の一時期、食糧難のために栽培され漬け物の材料にされていたこともあるが、近年ではほとんど栽培されていなかった。ところが、この菊芋に糖尿病を改善する作用のあることが分かったことから、にわかに注目を集める健康機能性素材となった。
キクイモ(生)の食品成分をみると、炭水化物が15.1%と非常に多く含まれている。特徴的なのはこの糖質にはデンプンがほとんどなく、大部分がイヌリンという糖質で占められていることだ。イヌリンは多糖類の一種で、果糖(フルクトース)が30個ほどつながった構造をしている。キクイモ以外ではダリアの塊茎やアザミの根などに貯蔵多糖として含まれている。デンプンは体内でブドウ糖に分解され、小腸から吸収されて血糖値に反映されるが、イヌリンはヒトの消化酵素では消化されず、分解されてもブドウ糖ではなく果糖になる。そのため血糖値の上昇とは無縁であるばかりか、腸が糖質を吸収するのを抑える作用があり、血糖値の上昇を背後から抑制する働きもしている。わが国では漬け物の材料にしか使われてこなかったキクイモであるが、今後は抗糖尿病食品として大いに期待される素材である。菊芋は海外でも広く栽培、利用されているが、ドイツではトピナンバーという名で機能性食品素材として活用されている。
※トピナンバー
ドイツのレホルム製品の一つ。キクイモ塊茎に含まれる難消化性多糖のα-イヌリンを中心に、ペクチン、ビタミン、ミネラル、ベタイン、フラボノール・グルコシド、酵素、アミノ酸を配合した機能性素材。300気圧の圧搾装置を使ってキクイモの塊茎から抽出したエキス製品もある。どちらも糖分や糖質の摂取を制限されている糖尿病患者の健康食品として需要がある。
木曜日, 11月 17, 2011
プエラリア・ミリフィカ
○プエラリア・ミリフィカ
プエラリア・ミリフィカはタイ国産のマメ科クズ属の植物で、現地ではガウクルアと呼ばれ、古くから根茎が回春や長寿などの民間薬として利用されている。その活性成分がミロエステロールと呼ばれる女性ホルモン様の物質=植物性エストロゲンであることを指摘し、その構造式を明らかにしたのは、1960年に英国科学雑誌ネイチャーに掲載された論文である。それによると、ミロエステロールは卵巣ホルモン・エストロゲンと類似した強い活性を持つことが解明され、その民間薬としての効能成分が化学的に裏付けられた形となった。
その後1980年代になって、プエラリア・ミリフィカにはプエラリン、ダイズィン、ダイゼイン、ゲニステイン、クメステロールなどのイソフラボノイドが豊富に存在するとの報告がなされた。ちなみに、近年、更年期障害を軽減するとして注目を集めている大豆イソフラボンもイソフラボノイドの一種である。
さらに2000年には、千葉大学薬学部の研究チームが、プエラリア・ミリフィカからミロエステロールを単離すると共に、ミロエステロールの10倍のエストロゲン活性を持つ成分デオキシミロエステロールの単離・同定にも成功するなど、多方面で研究が続けられている。
エストロゲンは女性の卵胞から分泌される性ホルモンで、子宮の機能、膣粘膜細胞の増殖などに働くほか、血管を広げて血流を促進させ、動脈硬化を防止する、LDL(悪玉コレステロール)を低下させHDL(善玉コレステロール)を上昇させる、体内の水分とナトリウムを貯蓄する、骨量のバランスを保つ、コラーゲンやヒアルロン酸を合成する、などの作用がある。プエラリア・ミリフィカに含まれるミロエステロール、デオキシミロエステロールなどの植物性エストロゲンは、このエストロゲンと非常に似た構造と作用を有する物質であり、女性の美容と健康に関与すると見られている。
こうした有効成分に着目して、健康食品市場ではプエラリア・ミリフィカを利用した美容・健康食品、化粧品などの製品開発が進んでいる。美容・健康食品としては、従来、バストアップ(豊胸)促進を訴求する製品が主流だったが、近年は若い女性の生理不順、生理痛肌荒れなどホルモン・バランスの崩れからくる症状の改善や、更年期障害症状の軽減のためのサプリメントとして広く利用されるようになってきた。また、最近は上記の作用を生かした化粧品開発も活発化しており、プエラリア・ミリフィカをベースに、細胞賦活作用を持つプロポリス、抗酸化力を有するブドウ種子エキスなどを配合した自然派コスメティックも登場している。これらの化粧品は、皮膚から植物性エストロゲンを吸収させることで、体内でのヒアルロン酸、コラーゲンの生成を促し、皮膚の保湿を促進させるなどのほか、アトピー性皮膚炎などの改善にも効果があるとされている。
プエラリア・ミリフィカはタイ国産のマメ科クズ属の植物で、現地ではガウクルアと呼ばれ、古くから根茎が回春や長寿などの民間薬として利用されている。その活性成分がミロエステロールと呼ばれる女性ホルモン様の物質=植物性エストロゲンであることを指摘し、その構造式を明らかにしたのは、1960年に英国科学雑誌ネイチャーに掲載された論文である。それによると、ミロエステロールは卵巣ホルモン・エストロゲンと類似した強い活性を持つことが解明され、その民間薬としての効能成分が化学的に裏付けられた形となった。
その後1980年代になって、プエラリア・ミリフィカにはプエラリン、ダイズィン、ダイゼイン、ゲニステイン、クメステロールなどのイソフラボノイドが豊富に存在するとの報告がなされた。ちなみに、近年、更年期障害を軽減するとして注目を集めている大豆イソフラボンもイソフラボノイドの一種である。
さらに2000年には、千葉大学薬学部の研究チームが、プエラリア・ミリフィカからミロエステロールを単離すると共に、ミロエステロールの10倍のエストロゲン活性を持つ成分デオキシミロエステロールの単離・同定にも成功するなど、多方面で研究が続けられている。
エストロゲンは女性の卵胞から分泌される性ホルモンで、子宮の機能、膣粘膜細胞の増殖などに働くほか、血管を広げて血流を促進させ、動脈硬化を防止する、LDL(悪玉コレステロール)を低下させHDL(善玉コレステロール)を上昇させる、体内の水分とナトリウムを貯蓄する、骨量のバランスを保つ、コラーゲンやヒアルロン酸を合成する、などの作用がある。プエラリア・ミリフィカに含まれるミロエステロール、デオキシミロエステロールなどの植物性エストロゲンは、このエストロゲンと非常に似た構造と作用を有する物質であり、女性の美容と健康に関与すると見られている。
こうした有効成分に着目して、健康食品市場ではプエラリア・ミリフィカを利用した美容・健康食品、化粧品などの製品開発が進んでいる。美容・健康食品としては、従来、バストアップ(豊胸)促進を訴求する製品が主流だったが、近年は若い女性の生理不順、生理痛肌荒れなどホルモン・バランスの崩れからくる症状の改善や、更年期障害症状の軽減のためのサプリメントとして広く利用されるようになってきた。また、最近は上記の作用を生かした化粧品開発も活発化しており、プエラリア・ミリフィカをベースに、細胞賦活作用を持つプロポリス、抗酸化力を有するブドウ種子エキスなどを配合した自然派コスメティックも登場している。これらの化粧品は、皮膚から植物性エストロゲンを吸収させることで、体内でのヒアルロン酸、コラーゲンの生成を促し、皮膚の保湿を促進させるなどのほか、アトピー性皮膚炎などの改善にも効果があるとされている。
水曜日, 11月 16, 2011
米ケフィラン
○米ケフィラン
米ケフィランは、世界的に有名な長寿地域であるコーカサス地方で、かつて門外不出とされた発酵乳ケフィアに含まれる特徴的な乳酸菌、学名ラクトバチルス・ケフィラノファシエンスを日本人の主食である米を栄養源として単独培養することにより得られる植物性の生成物である。
同素材は機能性食品の原料メーカーである大和薬品(株)が腸内細菌研究の世界的権威であり、Lactobacillus kefranofaciensの分類・命名に携わった光岡知足(東京大学名誉教授)の技術指導のもと、農林水産省が主管するニューフード・クリエーション技術研究組合の助成を受け開発された。
米ケフィラン培養物1リットル中には健康に対する有用性が長年注目されながらも大量生産が困難とされていた粘質性多糖「ケフィラン」が約800mgと高濃度含まれている。動物性成分を含まず、低脂質で熱やpHの変動に対して安定という特長を持ち、健康補助食品、一般食品など幅広い商品開発が可能である。
ケフィランはガラクトース3分子とグルコース3分子を一つのユニットとする水溶性食物繊維の一種(多糖ガラクトグルカン)でこれまでに室伏博士らによるマウス経口投与における抗腫瘍作用(1982)、同マウス経口投与における遅延型アレルギーに対する作用(1983)、同マウス傾向投与における免疫強化作用(1986)、樺山博士らによるストレスホルモンによって抑制された細胞のインターフェロンβ産生促進作用(1997)などの有用性が明らかにされている。近年も数々の動物実験により、整腸作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、脂質代謝改善作用など多彩な機能性が明らかになり、メタボリックシンドローム対応素材としての有用性も期待されている。
米ケフィランにはケフィランだけでなく、乳酸菌の死菌体や米由来のペプチドなども含まれており、動物実験による抗動脈硬化作用や抗アレルギー作用などのエビデンスが蓄積されつつある。
光岡名誉教授は2007年5月に発酵乳研究で最も優れた業績を挙げた科学者に贈られる国際賞・メチニコフ賞(国際酪農連盟主催)を微生物部門において受賞、受賞対象となった研究は①腸内細菌の培養法と腸内細菌の同定法の確立、②新種腸内細菌の分離と分類・命名、③腸内細菌の生態系の解析、④腸内細菌の役割の解析、⑤機能性食品創製への応用と展開、の5項目から成り立っている。
米ケフィランは、世界的に有名な長寿地域であるコーカサス地方で、かつて門外不出とされた発酵乳ケフィアに含まれる特徴的な乳酸菌、学名ラクトバチルス・ケフィラノファシエンスを日本人の主食である米を栄養源として単独培養することにより得られる植物性の生成物である。
同素材は機能性食品の原料メーカーである大和薬品(株)が腸内細菌研究の世界的権威であり、Lactobacillus kefranofaciensの分類・命名に携わった光岡知足(東京大学名誉教授)の技術指導のもと、農林水産省が主管するニューフード・クリエーション技術研究組合の助成を受け開発された。
米ケフィラン培養物1リットル中には健康に対する有用性が長年注目されながらも大量生産が困難とされていた粘質性多糖「ケフィラン」が約800mgと高濃度含まれている。動物性成分を含まず、低脂質で熱やpHの変動に対して安定という特長を持ち、健康補助食品、一般食品など幅広い商品開発が可能である。
ケフィランはガラクトース3分子とグルコース3分子を一つのユニットとする水溶性食物繊維の一種(多糖ガラクトグルカン)でこれまでに室伏博士らによるマウス経口投与における抗腫瘍作用(1982)、同マウス経口投与における遅延型アレルギーに対する作用(1983)、同マウス傾向投与における免疫強化作用(1986)、樺山博士らによるストレスホルモンによって抑制された細胞のインターフェロンβ産生促進作用(1997)などの有用性が明らかにされている。近年も数々の動物実験により、整腸作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、脂質代謝改善作用など多彩な機能性が明らかになり、メタボリックシンドローム対応素材としての有用性も期待されている。
米ケフィランにはケフィランだけでなく、乳酸菌の死菌体や米由来のペプチドなども含まれており、動物実験による抗動脈硬化作用や抗アレルギー作用などのエビデンスが蓄積されつつある。
光岡名誉教授は2007年5月に発酵乳研究で最も優れた業績を挙げた科学者に贈られる国際賞・メチニコフ賞(国際酪農連盟主催)を微生物部門において受賞、受賞対象となった研究は①腸内細菌の培養法と腸内細菌の同定法の確立、②新種腸内細菌の分離と分類・命名、③腸内細菌の生態系の解析、④腸内細菌の役割の解析、⑤機能性食品創製への応用と展開、の5項目から成り立っている。
火曜日, 11月 15, 2011
ビタミン様作用物質
○ビタミン様作用物質
ビタミンと類似した作用を持つ有機化合物の総称。コエンザイムQ10、α-リポ酸、コリン、パラアミノ安息香酸、ビタミンPなどがある。
※コリン
脂肪肝を防ぐ因子として発見された水溶性ビタミン様物質(ビタミンB複合体)。ヒトの体内ではメチオニンから合成される。糖質と脂質の代謝に必要な補酵素として働き、不足すると脂肪肝の原因ともなる。コレステロールの血管壁への沈着を防ぐレシチン(リン脂質)の構成要素でもあるので、動脈硬化予防の効果もあり、食品では卵黄、レバー、小麦胚芽、米胚芽、大豆、酵母などに多く含まれる。
※ビタミンP
ネズミの壊血病を予防する因子としてレモン果汁から発見された水溶性ビタミン様作用物質。発見当初はシトリンと命名されたが、同様の作用が柑橘類などの黄色・橙色を呈する色素のヘスペリジン、フラボン類、生薬のオウゴンに含まれるバイカレイン、そば(蕎麦)やエンジュ(槐)に含まれるルチンなどにも同様の作用が見い出され、いずれも毛細血管の透過性を保つ働きがあることから、透過性(permeability)のPをとってビタミンPと総称されるようになった。アンズ(杏)やサクランボにも多く含まれている。毛細血管の透過性を保ち、血管壁を丈夫にするほか、毛細血管の収縮作用や血圧降下作用もある。
※ビタミンU
抗胃潰瘍因子としてキャベツから発見された脂溶性ビタミン様物質。物質名はメチルメチオニン・スルホニウム・クロライド。胃酸の分泌を抑えると共に胃粘膜の新陳代謝を促進させて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを改善する。キャベツやレタスなどに含まれている。
※パラアミノ安息香酸
水溶性ビタミン様物質。グルタミン酸から葉酸を合成する材料となり、パントテン酸の吸収を助ける働きがある。葉酸やパントテン酸と一緒に摂ると白髪や皮膚の老化を防ぐ効果がある。レバー、卵、牛乳、玄米などに含まれる。
※レートリル
アンズ(杏)の種子に含まれるビタミン様作用物質。アミグダリン、ビタミンB17とも呼ばれている。米国の研究では、β-グルコシダーゼ(酵素)を加えたレートリル溶液を腹水ガンに注入したところ、ガン細胞が100%死滅したという報告がある。
ビタミンと類似した作用を持つ有機化合物の総称。コエンザイムQ10、α-リポ酸、コリン、パラアミノ安息香酸、ビタミンPなどがある。
※コリン
脂肪肝を防ぐ因子として発見された水溶性ビタミン様物質(ビタミンB複合体)。ヒトの体内ではメチオニンから合成される。糖質と脂質の代謝に必要な補酵素として働き、不足すると脂肪肝の原因ともなる。コレステロールの血管壁への沈着を防ぐレシチン(リン脂質)の構成要素でもあるので、動脈硬化予防の効果もあり、食品では卵黄、レバー、小麦胚芽、米胚芽、大豆、酵母などに多く含まれる。
※ビタミンP
ネズミの壊血病を予防する因子としてレモン果汁から発見された水溶性ビタミン様作用物質。発見当初はシトリンと命名されたが、同様の作用が柑橘類などの黄色・橙色を呈する色素のヘスペリジン、フラボン類、生薬のオウゴンに含まれるバイカレイン、そば(蕎麦)やエンジュ(槐)に含まれるルチンなどにも同様の作用が見い出され、いずれも毛細血管の透過性を保つ働きがあることから、透過性(permeability)のPをとってビタミンPと総称されるようになった。アンズ(杏)やサクランボにも多く含まれている。毛細血管の透過性を保ち、血管壁を丈夫にするほか、毛細血管の収縮作用や血圧降下作用もある。
※ビタミンU
抗胃潰瘍因子としてキャベツから発見された脂溶性ビタミン様物質。物質名はメチルメチオニン・スルホニウム・クロライド。胃酸の分泌を抑えると共に胃粘膜の新陳代謝を促進させて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを改善する。キャベツやレタスなどに含まれている。
※パラアミノ安息香酸
水溶性ビタミン様物質。グルタミン酸から葉酸を合成する材料となり、パントテン酸の吸収を助ける働きがある。葉酸やパントテン酸と一緒に摂ると白髪や皮膚の老化を防ぐ効果がある。レバー、卵、牛乳、玄米などに含まれる。
※レートリル
アンズ(杏)の種子に含まれるビタミン様作用物質。アミグダリン、ビタミンB17とも呼ばれている。米国の研究では、β-グルコシダーゼ(酵素)を加えたレートリル溶液を腹水ガンに注入したところ、ガン細胞が100%死滅したという報告がある。
月曜日, 11月 14, 2011
ビタミンD
○ビタミンD
抗くる病因子としてタラ(鱈)の肝油中から発見された脂溶性ビタミン。キノコなどに含まれるビタミンD2(物質名はエルゴカルシフェロール)と、動物性食品に含まれるD3(コレカルシフェロール)の2種類があるが、どちらも体内では同様の作用を持つ。また、酵母やキノコに含まれるエルゴステロールや動物性食品に含まれる7-デヒドロコレステロールは、紫外線が当たるとD2、D3に変わるプロビタミンDである。
ビタミンDは体内に入ると肝臓と腎臓で活性型に変わり、甲状腺ホルモンと共に働いてカルシウムとリン酸の骨への沈着を助ける。また、筋肉や血液中のカルシウム濃度をコントロールする働きをしており、カルシウム不足のときには骨からカルシウムを溶出させる調整役もしている。ビタミンDは魚肉、レバー、バター、卵黄、シイタケなどに多く含まれる。「食事摂取基準05年度版」では、ビタミンDの目安量は1日あたり成人男女ともに5ugで、上限量は50ugとしている。また保健機能食品制度では、ビタミンDを1日摂取量あたり1.5~5ug含む食品にはビタミンDの機能を表示することができる。
※エルゴステロール
不飽和ステロールの一種で、エルゴステリンともいう。シイタケなどキノコ類や酵母に多く含まれており、紫外線が当たるとエルゴカルシフェロールになり、体内に振り込まれてビタミンDに変化する。生シイタケは食べる前に日光に当てるとビタミンD2の含有量を増やすことができる。
抗くる病因子としてタラ(鱈)の肝油中から発見された脂溶性ビタミン。キノコなどに含まれるビタミンD2(物質名はエルゴカルシフェロール)と、動物性食品に含まれるD3(コレカルシフェロール)の2種類があるが、どちらも体内では同様の作用を持つ。また、酵母やキノコに含まれるエルゴステロールや動物性食品に含まれる7-デヒドロコレステロールは、紫外線が当たるとD2、D3に変わるプロビタミンDである。
ビタミンDは体内に入ると肝臓と腎臓で活性型に変わり、甲状腺ホルモンと共に働いてカルシウムとリン酸の骨への沈着を助ける。また、筋肉や血液中のカルシウム濃度をコントロールする働きをしており、カルシウム不足のときには骨からカルシウムを溶出させる調整役もしている。ビタミンDは魚肉、レバー、バター、卵黄、シイタケなどに多く含まれる。「食事摂取基準05年度版」では、ビタミンDの目安量は1日あたり成人男女ともに5ugで、上限量は50ugとしている。また保健機能食品制度では、ビタミンDを1日摂取量あたり1.5~5ug含む食品にはビタミンDの機能を表示することができる。
※エルゴステロール
不飽和ステロールの一種で、エルゴステリンともいう。シイタケなどキノコ類や酵母に多く含まれており、紫外線が当たるとエルゴカルシフェロールになり、体内に振り込まれてビタミンDに変化する。生シイタケは食べる前に日光に当てるとビタミンD2の含有量を増やすことができる。
土曜日, 11月 12, 2011
深海鮫エキス
○深海鮫エキス
サメ(鮫)は軟骨魚類からエイ類とギンザメ類を除いたものの総称で、アイザメ、アブラザメ、シュモクザメ、ホシザメ、ネコザメ、ノコギリザメ、ジンベイザメなど大小種々のものが含まれる。肉はカマボコなど練製品に使われるが、肝臓からは肝油が作られる。特にアイザメの肝油は良質で、女性の高級美顔料として使われているほか、健康食品としては深海鮫エキスとして加工されている。
このエキスに含まれる油性物質のスクアレンは細胞の新陳代謝を活発にし、健康の維持・増進に役立つ機能成分とされている。深海鮫の肝臓は体重の17~27%に及び、特にアイザメは肝臓の重さが体重の25%を占め、その1/4が肝油であり、9割近くをスクアレンが占めている。スクアレンは、日本の油脂科学のパイオニアであって辻本満丸が1906年(明治39)年にアイザメ肝油から発見した高純度不飽和炭化水素(油脂)である。
この油脂は化学的に安定するために水を還元して水素を取り込み、その結果、酸素を発生させる。これは深海で生息するサメの体内で必要とされる酸素を補給する働きをしているのではないかと考えられている。
深海鮫エキスは栄養やエネルギー源としてばかりでなく、臓器の機能回復を手助けする”整備エンジニア”のような役目を果たす。その作用として、①浸透性がよい(化粧品素材として利用)、②賦活作用がある(細胞や皮膚の発育を促進させる作用)、③殺菌作用がある、④浄化作用がある(体内の新陳代謝を促す還元作用)、などが挙げられる。
サメ(鮫)は軟骨魚類からエイ類とギンザメ類を除いたものの総称で、アイザメ、アブラザメ、シュモクザメ、ホシザメ、ネコザメ、ノコギリザメ、ジンベイザメなど大小種々のものが含まれる。肉はカマボコなど練製品に使われるが、肝臓からは肝油が作られる。特にアイザメの肝油は良質で、女性の高級美顔料として使われているほか、健康食品としては深海鮫エキスとして加工されている。
このエキスに含まれる油性物質のスクアレンは細胞の新陳代謝を活発にし、健康の維持・増進に役立つ機能成分とされている。深海鮫の肝臓は体重の17~27%に及び、特にアイザメは肝臓の重さが体重の25%を占め、その1/4が肝油であり、9割近くをスクアレンが占めている。スクアレンは、日本の油脂科学のパイオニアであって辻本満丸が1906年(明治39)年にアイザメ肝油から発見した高純度不飽和炭化水素(油脂)である。
この油脂は化学的に安定するために水を還元して水素を取り込み、その結果、酸素を発生させる。これは深海で生息するサメの体内で必要とされる酸素を補給する働きをしているのではないかと考えられている。
深海鮫エキスは栄養やエネルギー源としてばかりでなく、臓器の機能回復を手助けする”整備エンジニア”のような役目を果たす。その作用として、①浸透性がよい(化粧品素材として利用)、②賦活作用がある(細胞や皮膚の発育を促進させる作用)、③殺菌作用がある、④浄化作用がある(体内の新陳代謝を促す還元作用)、などが挙げられる。
金曜日, 11月 11, 2011
インドボダイジュ
○インドボダイジュ
クワ科の常緑高木。別名にアッシュバッタ、ピッパラ、菩提樹、印度菩提樹、思惟樹などがある。原産地のインド、スリランカを中心に、南アジアから東南アジアなど熱帯地域に分布する。葉は先のとがった広卵心形で、わずかな風にも揺れてさらさらと音をたてる。花はイチジク形花序(隠頭花序)といって、花軸の先端が大きく膨らんで壷型となり、その壷の内側面に雄しべ・雌しべのいずれか一方だけをもつ単性花をつける。雌花と雄花とを同一の個体につける雌雄同株。同じクワ科のガジュマルのように気根をおろして大きくなる。
原産地では10数メートルから20メートル以上に及ぶ大木に生長するものもあり、大きな茂みとなる。お釈迦様が49日間の思惟の後、その下で悟りを開いた木とされており、ヒンドゥー教の整地でもあり仏教の最高聖地とされるインドのブッダガヤに植えられ、神聖な木とされている。東アジアでは、仏教寺院に中国原産のシナノキ科シナノキ属の落葉高木ボダイジュが植えられているが、葉の形がインドボダイジュに似ていることから、熱帯植物で栽培しにくいインドボダイジュの代わりに栽培したと考えられている。わが国では、鉢植えの小さなものが観葉植物として販売されている。
インドボダイジュの樹皮は、収斂作用があり、インドでは歯痛やひび割れして炎症を起こした足の治療などに用いられるほか、中国では歯痛や歯茎の強化に用いられている。薬理効果としては抗菌作用、脂質低下作用、血糖降下作用などが報告され、用途としては止血、月経過多、子宮出血、吐き気、眩暈に50%アルコール抽出物が用いられる。
クワ科の常緑高木。別名にアッシュバッタ、ピッパラ、菩提樹、印度菩提樹、思惟樹などがある。原産地のインド、スリランカを中心に、南アジアから東南アジアなど熱帯地域に分布する。葉は先のとがった広卵心形で、わずかな風にも揺れてさらさらと音をたてる。花はイチジク形花序(隠頭花序)といって、花軸の先端が大きく膨らんで壷型となり、その壷の内側面に雄しべ・雌しべのいずれか一方だけをもつ単性花をつける。雌花と雄花とを同一の個体につける雌雄同株。同じクワ科のガジュマルのように気根をおろして大きくなる。
原産地では10数メートルから20メートル以上に及ぶ大木に生長するものもあり、大きな茂みとなる。お釈迦様が49日間の思惟の後、その下で悟りを開いた木とされており、ヒンドゥー教の整地でもあり仏教の最高聖地とされるインドのブッダガヤに植えられ、神聖な木とされている。東アジアでは、仏教寺院に中国原産のシナノキ科シナノキ属の落葉高木ボダイジュが植えられているが、葉の形がインドボダイジュに似ていることから、熱帯植物で栽培しにくいインドボダイジュの代わりに栽培したと考えられている。わが国では、鉢植えの小さなものが観葉植物として販売されている。
インドボダイジュの樹皮は、収斂作用があり、インドでは歯痛やひび割れして炎症を起こした足の治療などに用いられるほか、中国では歯痛や歯茎の強化に用いられている。薬理効果としては抗菌作用、脂質低下作用、血糖降下作用などが報告され、用途としては止血、月経過多、子宮出血、吐き気、眩暈に50%アルコール抽出物が用いられる。
木曜日, 11月 10, 2011
くま笹(改訂版)
○くま笹
クマ笹はイネ科の笹の一品種で、葉の緑が白くなる(隈ができる)ために隈笹、冬眠から覚めた熊が好んで食べて体力の回復を図るところから熊笹とも書かれる。古くから若葉を煎じたものが民間薬として胃病・糖尿病・高血圧・喘息などの改善に利用されてきた。
クマ笹にはタンパク質や葉緑素が豊富に含まれているほか、生体の免疫力を高め、ガン細胞の増殖を抑える作用があるといわれる笹多糖体の存在も注目されている。九州大学農学部の村上浩紀、山藤一雄が、クマ笹の葉から抽出したリグニンに動物実験で制ガン作用を認めたと報告している。また、ささの防腐作用をつかさどる多糖体のパーフォリンにも、生体の免疫力を強くしてガンの増殖を抑えること、なおかつ正常細胞に対する害がないことなどがわかり、その効用が期待されている。
最近、クマ笹の有効成分を効率よく抽出する循環多段式加圧抽出法(菊地式抽出法)が考案され、より多くの多糖成分が抽出できるようになった。この抽出法は、最初に100℃以下の熱水抽出によって主としてミネラル、ビタミン、アミノ酸を採り出し、その後、加圧のレベルを何段階かに変えることによってさらに多糖成分を抽出するという方法である。近藤勇(東京慈恵会医科大学名誉教授)らは、これによって得られたクマ笹エキス(AHSS)をヘリコバクター・ピロリ菌に作用させ、鞭毛を溶かすことで菌が死滅することを発見、第11回国際ピロリ菌学会(2001年9月、ドイツ)で報告している。
慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の発症に大きく関わっているとされるピロリ菌だが、日本では50歳以上の70%以上がピロリ菌感染者であるこという報告もあり、ピロリ菌対策が本格的に始まっている。しかし、抗生物質を使った除菌では耐性菌の問題も大きなネックとなっている。近藤らの研究結果は、クマ笹エキスが植物由来の天然物質であることから抗生物質が直面している耐性菌問題にも新しい展望を開く可能性を秘めているといえよう。
クマ笹はイネ科の笹の一品種で、葉の緑が白くなる(隈ができる)ために隈笹、冬眠から覚めた熊が好んで食べて体力の回復を図るところから熊笹とも書かれる。古くから若葉を煎じたものが民間薬として胃病・糖尿病・高血圧・喘息などの改善に利用されてきた。
クマ笹にはタンパク質や葉緑素が豊富に含まれているほか、生体の免疫力を高め、ガン細胞の増殖を抑える作用があるといわれる笹多糖体の存在も注目されている。九州大学農学部の村上浩紀、山藤一雄が、クマ笹の葉から抽出したリグニンに動物実験で制ガン作用を認めたと報告している。また、ささの防腐作用をつかさどる多糖体のパーフォリンにも、生体の免疫力を強くしてガンの増殖を抑えること、なおかつ正常細胞に対する害がないことなどがわかり、その効用が期待されている。
最近、クマ笹の有効成分を効率よく抽出する循環多段式加圧抽出法(菊地式抽出法)が考案され、より多くの多糖成分が抽出できるようになった。この抽出法は、最初に100℃以下の熱水抽出によって主としてミネラル、ビタミン、アミノ酸を採り出し、その後、加圧のレベルを何段階かに変えることによってさらに多糖成分を抽出するという方法である。近藤勇(東京慈恵会医科大学名誉教授)らは、これによって得られたクマ笹エキス(AHSS)をヘリコバクター・ピロリ菌に作用させ、鞭毛を溶かすことで菌が死滅することを発見、第11回国際ピロリ菌学会(2001年9月、ドイツ)で報告している。
慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の発症に大きく関わっているとされるピロリ菌だが、日本では50歳以上の70%以上がピロリ菌感染者であるこという報告もあり、ピロリ菌対策が本格的に始まっている。しかし、抗生物質を使った除菌では耐性菌の問題も大きなネックとなっている。近藤らの研究結果は、クマ笹エキスが植物由来の天然物質であることから抗生物質が直面している耐性菌問題にも新しい展望を開く可能性を秘めているといえよう。
水曜日, 11月 09, 2011
穀物酢
○穀物酢
JAS(日本農林規格)では、醸造酢のうち、原料の穀物使用量が40g/L以上のものを穀物巣としており、米を40g/L以上使用しているものを米酢、それ以外のものを単に穀物酢としている。
※米酢
わが国を代表する伝統的な穀物酢で、こめずともいう。調味料として最も多く使われている食酢である。蒸米を麹で糖化し、酵母でアルコール発酵させた後、酢酸菌で酢酸発酵してつくる。JASの食酢品質表示基準により、製品に米酢と表示できるのは原料の米を40g/L以上使用しているものである。
玄米酢に比べるとアミノ酸の含有量は少ないが、米に由来する独特の芳香があり、料理にコクと深みを加えるので寿司飯や酢の物に使われる。市販されている米酢製品の中には、酢1Lにつき100~200g(JAS規格の2~5倍)の米を使い、濃厚な旨味を持つ米酢もある。
※粕酢
米酢と共にわが国を代表する伝統的な醸造酢で、JASでは穀物酢と果実酢以外の醸造酢に分類される。1年以上貯蔵・熟成された酒粕に水を加えて粥状にし酢酸発酵を経てつくられる。高級品は色が濃く、米酢とは異なる独特の香りと旨味を持ち、江戸前寿司の赤酢として使われている。
※麦芽酢
イギリスやアイルランドを代表する穀物酢の一種で、モルトビネガーという。大麦や小麦、ライ麦を原料とし、麦芽の酵素で糖化した後、アルコール発酵、酢酸発酵を経てつくられる。麦に含まれるタンパク質からアミノ酸が多量に生成されるため、米酢などとは違った香り、コクがある。イギリスではフィッシュ・アンド・チップス(鱈のフリッター)にかけて食べたり、ピクルスやマヨネーズなどに使われる。
JAS(日本農林規格)では、醸造酢のうち、原料の穀物使用量が40g/L以上のものを穀物巣としており、米を40g/L以上使用しているものを米酢、それ以外のものを単に穀物酢としている。
※米酢
わが国を代表する伝統的な穀物酢で、こめずともいう。調味料として最も多く使われている食酢である。蒸米を麹で糖化し、酵母でアルコール発酵させた後、酢酸菌で酢酸発酵してつくる。JASの食酢品質表示基準により、製品に米酢と表示できるのは原料の米を40g/L以上使用しているものである。
玄米酢に比べるとアミノ酸の含有量は少ないが、米に由来する独特の芳香があり、料理にコクと深みを加えるので寿司飯や酢の物に使われる。市販されている米酢製品の中には、酢1Lにつき100~200g(JAS規格の2~5倍)の米を使い、濃厚な旨味を持つ米酢もある。
※粕酢
米酢と共にわが国を代表する伝統的な醸造酢で、JASでは穀物酢と果実酢以外の醸造酢に分類される。1年以上貯蔵・熟成された酒粕に水を加えて粥状にし酢酸発酵を経てつくられる。高級品は色が濃く、米酢とは異なる独特の香りと旨味を持ち、江戸前寿司の赤酢として使われている。
※麦芽酢
イギリスやアイルランドを代表する穀物酢の一種で、モルトビネガーという。大麦や小麦、ライ麦を原料とし、麦芽の酵素で糖化した後、アルコール発酵、酢酸発酵を経てつくられる。麦に含まれるタンパク質からアミノ酸が多量に生成されるため、米酢などとは違った香り、コクがある。イギリスではフィッシュ・アンド・チップス(鱈のフリッター)にかけて食べたり、ピクルスやマヨネーズなどに使われる。
火曜日, 11月 08, 2011
果実酢
○果実酢
JAS(日本農林規格)では、醸造酢のうち、原料の果実搾汁使用量が300g/L以上のものを果実巣としており、ブドウの搾汁を300g/L以上使用しているものをブドウ酢、りんごの搾汁を300g/L以上使用しているものをリンゴ酢、それ以外のものを果実酢としている。
※ぶどう酢
フランスを代表する果実酢で、ワインビネガーという。ブドウ果汁を酵母でアルコール発酵させ、酢酸菌による酢酸発酵を経て作られる。ヨーロッパで最も多く使われている酢である。ワインと同じく、白と赤の2種類がある。穀物酢に比べて酸味度が高く、カリウムやポリフェノールの含有量も多い。主にドレッシングソースやマリネなどの調理に使われる。
フランスなどではわが国の米酢のように古くから伝わる製法で作られるものが多いが、酸敗ワインやブドウ粕を原料にしたものもある。わが国ではJASの食酢品質表示基準で、製品にブドウ酢と表示できるのは原料にブドウの搾汁を300g/L以上使用しているものである。
※バルサミコ酢
バルサミコ酢は北イタリアのモデナ地方に古くから伝える果実酢で、バルサミコはイタリア語で”芳香がある”を意味する。イタリア産のワインと白ブドウ果汁を煮詰め、木樽で長期間熟成させて作られる。色は濃い茶色で、酸味や香りが強く同時にまろやかな甘味もある。イタリアでドレッシングソースといえば、オリーブオイルとバルサミコ酢の組み合わせである。
バルサミコ酢はリンゴや赤ブドウ酢に比べてカリウムが2倍以上、ポリフェノールが黒酢の3倍以上含まれている((独)農林水産消費技術センター調べ、2001年)。最近はわが国でもよく知られるようになり、高価ではあるが日常的に利用する家庭も増えている。JASでは、果実酢の中のブドウ酢に分類されている。なおイタリアでは、伝統的なバルサミコ酢は最低12年の熟成と原料となるブドウの種類が厳格に決められており、モデナ産のバルサミコ酢はDOP(原産地保護名称)指定になっている。
※りんご酢
アメリカを代表とする果実酢で、アップルビネガー、シダービネガーともいう。リンゴ果汁を原料としてアルコール発酵させ、酢酸発酵を経て作られる。リンゴ酸が多く含まれるため酸味がまろやかで甘い香りがあり、サラダドレッシングやマヨネーズ、ソースに使われる。アミノ酸の含有量が少ないが、カリウムを多く含んでいる。
わが国ではJASの食酢品質表示基準で、製品にリンゴ酢と表示できるのは原料にリンゴの搾汁を300g/L以上使用しているものである。リンゴ酢は調味料のほか、ハチミツで薄めて健康ドリンクとして用いられることも多い。
JAS(日本農林規格)では、醸造酢のうち、原料の果実搾汁使用量が300g/L以上のものを果実巣としており、ブドウの搾汁を300g/L以上使用しているものをブドウ酢、りんごの搾汁を300g/L以上使用しているものをリンゴ酢、それ以外のものを果実酢としている。
※ぶどう酢
フランスを代表する果実酢で、ワインビネガーという。ブドウ果汁を酵母でアルコール発酵させ、酢酸菌による酢酸発酵を経て作られる。ヨーロッパで最も多く使われている酢である。ワインと同じく、白と赤の2種類がある。穀物酢に比べて酸味度が高く、カリウムやポリフェノールの含有量も多い。主にドレッシングソースやマリネなどの調理に使われる。
フランスなどではわが国の米酢のように古くから伝わる製法で作られるものが多いが、酸敗ワインやブドウ粕を原料にしたものもある。わが国ではJASの食酢品質表示基準で、製品にブドウ酢と表示できるのは原料にブドウの搾汁を300g/L以上使用しているものである。
※バルサミコ酢
バルサミコ酢は北イタリアのモデナ地方に古くから伝える果実酢で、バルサミコはイタリア語で”芳香がある”を意味する。イタリア産のワインと白ブドウ果汁を煮詰め、木樽で長期間熟成させて作られる。色は濃い茶色で、酸味や香りが強く同時にまろやかな甘味もある。イタリアでドレッシングソースといえば、オリーブオイルとバルサミコ酢の組み合わせである。
バルサミコ酢はリンゴや赤ブドウ酢に比べてカリウムが2倍以上、ポリフェノールが黒酢の3倍以上含まれている((独)農林水産消費技術センター調べ、2001年)。最近はわが国でもよく知られるようになり、高価ではあるが日常的に利用する家庭も増えている。JASでは、果実酢の中のブドウ酢に分類されている。なおイタリアでは、伝統的なバルサミコ酢は最低12年の熟成と原料となるブドウの種類が厳格に決められており、モデナ産のバルサミコ酢はDOP(原産地保護名称)指定になっている。
※りんご酢
アメリカを代表とする果実酢で、アップルビネガー、シダービネガーともいう。リンゴ果汁を原料としてアルコール発酵させ、酢酸発酵を経て作られる。リンゴ酸が多く含まれるため酸味がまろやかで甘い香りがあり、サラダドレッシングやマヨネーズ、ソースに使われる。アミノ酸の含有量が少ないが、カリウムを多く含んでいる。
わが国ではJASの食酢品質表示基準で、製品にリンゴ酢と表示できるのは原料にリンゴの搾汁を300g/L以上使用しているものである。リンゴ酢は調味料のほか、ハチミツで薄めて健康ドリンクとして用いられることも多い。
土曜日, 11月 05, 2011
牛乳
○牛乳
牛乳は三大栄養素の糖質・脂質・タンパク質をほぼ同じ割合で含み、さらにカルシウムやカリウムなどのミネラル類も豊富に含むことから、子供の成長期には欠かせない栄養食品として古くから用いられてきた。わが国で市販されている牛乳(市乳)は、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」によって細かく規定されており、大きく「牛乳」「加工乳」「乳飲料」に分けられる。牛乳とは生乳のみを原料とし、無脂乳固形分(水分と乳脂肪分以外のタンパク質、炭水化物、カルシウム、ビタミンなど)を8%以上含むもので、、しぼったままの生乳をそのまま加熱殺菌したものと、生乳から水分、乳脂肪分、ミネラルなどなどの一部を取り除いた成分調整牛乳とがある。前者は、牛乳パックの種類別欄に「牛乳」と表示されている最も一般的な牛乳で、乳脂肪分は3%以上。一方、成分調整牛乳の内、乳脂肪分を0.5~1.5%にしたものを低脂肪乳、0.5%未満にしたものを無脂肪牛乳という。
加工乳は、生乳のほかに脱脂粉乳や無塩バターなどの乳製品を加え、乳成分を増やしたり、乳脂肪分を減らしたりしたもので、無脂乳固形分は牛乳と同じく8%以上含む。「特濃乳」などがそうである。
乳飲料は牛乳や脱脂粉乳を主原料とし、これに糖分や香料、コーヒー、果汁、ビタミンやミネラル類を配合したもので、無脂乳固形分の含有量は規定されていない。一般に”コーヒー牛乳””フルーツ牛乳”などとも呼ばれているが、乳飲料の商品名には「牛乳」「ミルク」「乳」という言葉は使用できないことになっている。
牛乳の摂取で最も期待されている栄養成分はカルシウムで、100g中110mgと豊富に含まれている。カルシウムは体内へ吸収されにくい成分だが、牛乳・乳製品の吸収率は高く、約50%である。因みに古くから日本人のカルシウム供給源となっていた小魚で約30%、青菜で約18%である。牛乳のカルシウム吸収率がよいのは吸収を助ける乳糖やアミノ酸のリジンなどが含まれていることによる。
さらに牛乳のタンパク質の約80%を占めるカゼインが体内でCPP(カゼインホスホペプチド)に分解され、カルシウムの吸収を高める働きをする。ただし、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする人や下痢をする人(乳糖不耐症)は乳糖を分解する酵素ラクターゼの活性が低く、牛乳からのカルシウムの吸収率も低下する。乳糖不耐症の人用に乳糖分解乳が市販されている。牛乳にはもう一つの効能として安眠作用がある。牛乳に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンが催眠作用のある神経伝達物質セロトニンの原料となるからである。神経を鎮静化する作用はカルシウムにもある。
※粉乳
牛乳を濃縮して乾燥させ、粉末状にしたもの。そのまま粉末にした全粉乳、乳脂肪を取り除いた脱脂粉乳、成分を調整した調製粉乳がある。母乳の成分に近くなるように調整したものは乳児用粉ミルクである。
※練乳
練乳は牛乳を濃縮したもので、そのまま濃縮したエバミルク(無糖練乳)、加糖して濃縮したコンデンスミルク(加糖練乳)がある。
牛乳は三大栄養素の糖質・脂質・タンパク質をほぼ同じ割合で含み、さらにカルシウムやカリウムなどのミネラル類も豊富に含むことから、子供の成長期には欠かせない栄養食品として古くから用いられてきた。わが国で市販されている牛乳(市乳)は、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」によって細かく規定されており、大きく「牛乳」「加工乳」「乳飲料」に分けられる。牛乳とは生乳のみを原料とし、無脂乳固形分(水分と乳脂肪分以外のタンパク質、炭水化物、カルシウム、ビタミンなど)を8%以上含むもので、、しぼったままの生乳をそのまま加熱殺菌したものと、生乳から水分、乳脂肪分、ミネラルなどなどの一部を取り除いた成分調整牛乳とがある。前者は、牛乳パックの種類別欄に「牛乳」と表示されている最も一般的な牛乳で、乳脂肪分は3%以上。一方、成分調整牛乳の内、乳脂肪分を0.5~1.5%にしたものを低脂肪乳、0.5%未満にしたものを無脂肪牛乳という。
加工乳は、生乳のほかに脱脂粉乳や無塩バターなどの乳製品を加え、乳成分を増やしたり、乳脂肪分を減らしたりしたもので、無脂乳固形分は牛乳と同じく8%以上含む。「特濃乳」などがそうである。
乳飲料は牛乳や脱脂粉乳を主原料とし、これに糖分や香料、コーヒー、果汁、ビタミンやミネラル類を配合したもので、無脂乳固形分の含有量は規定されていない。一般に”コーヒー牛乳””フルーツ牛乳”などとも呼ばれているが、乳飲料の商品名には「牛乳」「ミルク」「乳」という言葉は使用できないことになっている。
牛乳の摂取で最も期待されている栄養成分はカルシウムで、100g中110mgと豊富に含まれている。カルシウムは体内へ吸収されにくい成分だが、牛乳・乳製品の吸収率は高く、約50%である。因みに古くから日本人のカルシウム供給源となっていた小魚で約30%、青菜で約18%である。牛乳のカルシウム吸収率がよいのは吸収を助ける乳糖やアミノ酸のリジンなどが含まれていることによる。
さらに牛乳のタンパク質の約80%を占めるカゼインが体内でCPP(カゼインホスホペプチド)に分解され、カルシウムの吸収を高める働きをする。ただし、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする人や下痢をする人(乳糖不耐症)は乳糖を分解する酵素ラクターゼの活性が低く、牛乳からのカルシウムの吸収率も低下する。乳糖不耐症の人用に乳糖分解乳が市販されている。牛乳にはもう一つの効能として安眠作用がある。牛乳に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンが催眠作用のある神経伝達物質セロトニンの原料となるからである。神経を鎮静化する作用はカルシウムにもある。
※粉乳
牛乳を濃縮して乾燥させ、粉末状にしたもの。そのまま粉末にした全粉乳、乳脂肪を取り除いた脱脂粉乳、成分を調整した調製粉乳がある。母乳の成分に近くなるように調整したものは乳児用粉ミルクである。
※練乳
練乳は牛乳を濃縮したもので、そのまま濃縮したエバミルク(無糖練乳)、加糖して濃縮したコンデンスミルク(加糖練乳)がある。
金曜日, 11月 04, 2011
中国茶
○中国茶
中国茶には非常に多くの種類があるが、中国茶葉学会が編集している農業学校用教科書では、次の通り精茶を色によって6つに分類している。
※緑茶
中国で生産される茶の半数以上(約54%)が緑茶である。日本の緑茶は摘み取ったばかりの生葉を水蒸気で蒸して乾燥させるが、中国緑茶は生葉を釜の上で加熱して酵素活性を止める。そのため日本の緑茶のような青臭さが少なく、軽快な風味がある。不発酵茶に分類される。
※黄茶
新芽の未成熟の部分を用い、加熱後、悶黄(堆積して変色させる)の工程があるのが特徴である。生産量は極めて少ない。不発酵茶に分類される。
※青茶
成熟した新梢を用い、製造工程は細かく分けて17工程もあり、上品質のものほど手数をかけている。発酵は最初に葉を日光に当てて行い、その後、室内でも萎凋(葉を萎えさせる)が行われる。做青(青色出し)の工程があるのが特徴である。これらの一連の過程で青茶に特有の香気成分が生じる。中途で加熱により酵素活性を止めて乾燥するので半発酵茶に分類される。ウーロン茶がよく知られている。
※白茶
大白、小白、水仙白といった特別な茶樹の銀白色の産毛に覆われた若芽からつくられる。わずかに発酵させるので弱発酵茶に分類される。福建省産の「銀針白毫」「白牡丹」などが知られている。点てた茶は色が淡く、香りや刺激性も強くない。
※紅茶
英語ではブラックティーだが、中国や日本では紅茶と呼んでいる。十分に発酵させるので強発酵茶または全発酵茶に分類される。カテキン類の多くが高分子のテアフラビンに変化しているのが特徴である。
※黒茶
新梢の成熟した茶葉を用い、最初に緑茶の一種である釜炒り茶を製造し、集散地で黒麹菌を用いて発酵熟成させるので後発酵茶に分類される。茶葉組織が柔らかく易溶性になっており、茶葉のカテキン類や他の成分が前述の5品目と異なった成分となり、栄養学上の有用性を高めている。中医学で「薬茶」と呼んでいるのは、この黒茶のことである。蒸気を加えて加圧成型したものもある。代表的なものにプーアル茶がある。
中国茶にはまた、花茶と呼ばれる付香茶が数多くある。これは加湿した中国緑茶やウーロン茶に様々な花を加えて香り付けをし、その後に花を除いて乾燥させたもので、中国料理に添えられるジャスミン茶がよく知られている。
中国茶には非常に多くの種類があるが、中国茶葉学会が編集している農業学校用教科書では、次の通り精茶を色によって6つに分類している。
※緑茶
中国で生産される茶の半数以上(約54%)が緑茶である。日本の緑茶は摘み取ったばかりの生葉を水蒸気で蒸して乾燥させるが、中国緑茶は生葉を釜の上で加熱して酵素活性を止める。そのため日本の緑茶のような青臭さが少なく、軽快な風味がある。不発酵茶に分類される。
※黄茶
新芽の未成熟の部分を用い、加熱後、悶黄(堆積して変色させる)の工程があるのが特徴である。生産量は極めて少ない。不発酵茶に分類される。
※青茶
成熟した新梢を用い、製造工程は細かく分けて17工程もあり、上品質のものほど手数をかけている。発酵は最初に葉を日光に当てて行い、その後、室内でも萎凋(葉を萎えさせる)が行われる。做青(青色出し)の工程があるのが特徴である。これらの一連の過程で青茶に特有の香気成分が生じる。中途で加熱により酵素活性を止めて乾燥するので半発酵茶に分類される。ウーロン茶がよく知られている。
※白茶
大白、小白、水仙白といった特別な茶樹の銀白色の産毛に覆われた若芽からつくられる。わずかに発酵させるので弱発酵茶に分類される。福建省産の「銀針白毫」「白牡丹」などが知られている。点てた茶は色が淡く、香りや刺激性も強くない。
※紅茶
英語ではブラックティーだが、中国や日本では紅茶と呼んでいる。十分に発酵させるので強発酵茶または全発酵茶に分類される。カテキン類の多くが高分子のテアフラビンに変化しているのが特徴である。
※黒茶
新梢の成熟した茶葉を用い、最初に緑茶の一種である釜炒り茶を製造し、集散地で黒麹菌を用いて発酵熟成させるので後発酵茶に分類される。茶葉組織が柔らかく易溶性になっており、茶葉のカテキン類や他の成分が前述の5品目と異なった成分となり、栄養学上の有用性を高めている。中医学で「薬茶」と呼んでいるのは、この黒茶のことである。蒸気を加えて加圧成型したものもある。代表的なものにプーアル茶がある。
中国茶にはまた、花茶と呼ばれる付香茶が数多くある。これは加湿した中国緑茶やウーロン茶に様々な花を加えて香り付けをし、その後に花を除いて乾燥させたもので、中国料理に添えられるジャスミン茶がよく知られている。
木曜日, 11月 03, 2011
茶類
○茶類
茶の始まりは非常に早く、既に5世紀の中国の農業書にその記録が残されているが、やがて”茶聖”陸羽が「茶は南方の嘉木なり」で書き始められる「茶経」(760年頃成立)を著したことによって中国全土に広められ、その書は茶に関する最も有名な聖典として取り扱われるようになった。
茶樹そのものはツバキ科のチャ(学名Camellia sinensis L.)で、中国南部・雲南の山岳地帯で発見されたものが最初と伝えられている。大部分の栽培種は喬木で、葉の大きさから小葉種、中葉種、大葉種の3種に分かれる。小葉種は中国や日本の緑茶、大葉種は紅茶の原料となる。中葉種は主にウーロン茶の原料に使われている。
陸羽によって中国全土に広まった中国茶の栽培は、温暖な地域で昼夜の温度差の多い山岳地方に良品を産するが、その消費は中国全土に及ぶようになり、その消費は中国全土に及ぶようになり、さらにまた中国人の古来の思想である”薬食同源”のもとに、より健康によいものをつくる努力が長い間続けられ、加工方法によっても数えきれないほどの多種類の製品が生産されるようになった。中国茶は葉中の酵素活性を利用して発酵させるが、その程度によって発酵茶、半発酵茶、不発酵茶に分かれる。さらに、微生物を利用して発酵させる後発酵茶がある。
茶の始まりは非常に早く、既に5世紀の中国の農業書にその記録が残されているが、やがて”茶聖”陸羽が「茶は南方の嘉木なり」で書き始められる「茶経」(760年頃成立)を著したことによって中国全土に広められ、その書は茶に関する最も有名な聖典として取り扱われるようになった。
茶樹そのものはツバキ科のチャ(学名Camellia sinensis L.)で、中国南部・雲南の山岳地帯で発見されたものが最初と伝えられている。大部分の栽培種は喬木で、葉の大きさから小葉種、中葉種、大葉種の3種に分かれる。小葉種は中国や日本の緑茶、大葉種は紅茶の原料となる。中葉種は主にウーロン茶の原料に使われている。
陸羽によって中国全土に広まった中国茶の栽培は、温暖な地域で昼夜の温度差の多い山岳地方に良品を産するが、その消費は中国全土に及ぶようになり、その消費は中国全土に及ぶようになり、さらにまた中国人の古来の思想である”薬食同源”のもとに、より健康によいものをつくる努力が長い間続けられ、加工方法によっても数えきれないほどの多種類の製品が生産されるようになった。中国茶は葉中の酵素活性を利用して発酵させるが、その程度によって発酵茶、半発酵茶、不発酵茶に分かれる。さらに、微生物を利用して発酵させる後発酵茶がある。
水曜日, 11月 02, 2011
納豆
○納豆
蒸し煮した大豆に枯葉菌の一種である納豆菌を加えて粘質発酵させた糸引き納豆と、蒸した大豆に麹を加え、塩水につけて熟成させた塩納豆(豆鼓)の2種類がある。近年、機能性食品として注目されているのは糸引き納豆である。植物性タンパク質の供給源であるだけでなく、骨の健康に役立つ、血栓を溶かす、動脈硬化の進行を抑える、お腹の調子を整える、抗菌力があるといった機能性が明らかになってきた。
納豆の栄養組成を見ると、タンパク質やリノール酸、ビタミンK、パントテン酸、葉酸、ビタミンB2、カリウム、鉄、銅、マグネシウムなどが多く含まれていることがわかる。納豆中のタンパク質は納豆菌によって分解されているため、大豆の状態より消化しやすく、また、ほとんどの栄養成分が大豆(ゆで)の時よりも増えている。そのほか、ナットウキナーゼ、イソフラボン、ポリアミンといった成分も含まれる。
納豆はビタミンKの含有量がトップクラスの食品である。天然のビタミンKは2種類あって、植物の葉緑体で作り出されるビタミンK1と、微生物が合成するビタミンK2だが、納豆は後者のほうである。ビタミンK2には骨のカルシウムの流出を防ぎ、骨を丈夫にする働きがある。ビタミンK2の作用を生かしたトクホ納豆も市販されている。さらに、納豆には骨量の減少を防ぎ、骨粗鬆症の予防に働くイソフラボン、骨の主成分であるカルシウム、骨の正常な代謝に必要なマグネシウムなど、骨の健康に役立つ成分が多い。厚生労働省の調査によると、中高年女性の骨折の割合は東日本が低く、西日本は高い傾向があり、これは納豆の消費量とほぼ比例しているという。
納豆のネバネバ部分に含まれる酵素のナットウキナーゼには、脳卒中や心筋梗塞の原因となる血栓を溶かす作用があることが知られている。ナットウキナーゼの血栓溶解作用は強力で、血栓溶解剤ウロキナーゼと同様な効果があるという。また最近では早田邦康(自治医科大学大宮医療センター)らが、納豆に多く含まれるポリアミン(低分子有機化合物)の動脈硬化抑制作用について報告している。日本は動脈硬化の因子となる喫煙率が先進国で最も高く、コレステロールの摂取量もアメリカを超えているといわれているが、動脈硬化による疾患の発生率は低い。その背景には大豆類を多く摂ることが関係しているのではないかという。
納豆は昔から、”風邪の引き始めにはネギ入り納豆汁がよい”といわれたり、食中毒予防の民間薬に使われたりしたが、これはジコピリン酸やリゾチームといった抗菌成分が含まれているためである。ジコピリン酸は病原性大腸菌O-157への抗菌効果が既に確認されている。納豆1パック(50g)に約10mgのジコピリン酸が含まれている。リゾチームは納豆のネバネバに含まれている溶菌酵素である。さらに、納豆菌は腸内で善玉菌の働きをするので整腸作用もある。また、納豆に含まれる大豆サポニンは強い抗酸化作用を持ち、老化やガン、生活習慣病の予防も期待できる。このように、身近な機能性食品といえる納豆だが、抗血液凝固薬(ワーファリンなど)を服用している場合、ビタミンKが薬の作用を低下させる可能性があるので、納豆の摂取については医師に相談したほうがよい。
蒸し煮した大豆に枯葉菌の一種である納豆菌を加えて粘質発酵させた糸引き納豆と、蒸した大豆に麹を加え、塩水につけて熟成させた塩納豆(豆鼓)の2種類がある。近年、機能性食品として注目されているのは糸引き納豆である。植物性タンパク質の供給源であるだけでなく、骨の健康に役立つ、血栓を溶かす、動脈硬化の進行を抑える、お腹の調子を整える、抗菌力があるといった機能性が明らかになってきた。
納豆の栄養組成を見ると、タンパク質やリノール酸、ビタミンK、パントテン酸、葉酸、ビタミンB2、カリウム、鉄、銅、マグネシウムなどが多く含まれていることがわかる。納豆中のタンパク質は納豆菌によって分解されているため、大豆の状態より消化しやすく、また、ほとんどの栄養成分が大豆(ゆで)の時よりも増えている。そのほか、ナットウキナーゼ、イソフラボン、ポリアミンといった成分も含まれる。
納豆はビタミンKの含有量がトップクラスの食品である。天然のビタミンKは2種類あって、植物の葉緑体で作り出されるビタミンK1と、微生物が合成するビタミンK2だが、納豆は後者のほうである。ビタミンK2には骨のカルシウムの流出を防ぎ、骨を丈夫にする働きがある。ビタミンK2の作用を生かしたトクホ納豆も市販されている。さらに、納豆には骨量の減少を防ぎ、骨粗鬆症の予防に働くイソフラボン、骨の主成分であるカルシウム、骨の正常な代謝に必要なマグネシウムなど、骨の健康に役立つ成分が多い。厚生労働省の調査によると、中高年女性の骨折の割合は東日本が低く、西日本は高い傾向があり、これは納豆の消費量とほぼ比例しているという。
納豆のネバネバ部分に含まれる酵素のナットウキナーゼには、脳卒中や心筋梗塞の原因となる血栓を溶かす作用があることが知られている。ナットウキナーゼの血栓溶解作用は強力で、血栓溶解剤ウロキナーゼと同様な効果があるという。また最近では早田邦康(自治医科大学大宮医療センター)らが、納豆に多く含まれるポリアミン(低分子有機化合物)の動脈硬化抑制作用について報告している。日本は動脈硬化の因子となる喫煙率が先進国で最も高く、コレステロールの摂取量もアメリカを超えているといわれているが、動脈硬化による疾患の発生率は低い。その背景には大豆類を多く摂ることが関係しているのではないかという。
納豆は昔から、”風邪の引き始めにはネギ入り納豆汁がよい”といわれたり、食中毒予防の民間薬に使われたりしたが、これはジコピリン酸やリゾチームといった抗菌成分が含まれているためである。ジコピリン酸は病原性大腸菌O-157への抗菌効果が既に確認されている。納豆1パック(50g)に約10mgのジコピリン酸が含まれている。リゾチームは納豆のネバネバに含まれている溶菌酵素である。さらに、納豆菌は腸内で善玉菌の働きをするので整腸作用もある。また、納豆に含まれる大豆サポニンは強い抗酸化作用を持ち、老化やガン、生活習慣病の予防も期待できる。このように、身近な機能性食品といえる納豆だが、抗血液凝固薬(ワーファリンなど)を服用している場合、ビタミンKが薬の作用を低下させる可能性があるので、納豆の摂取については医師に相談したほうがよい。
火曜日, 11月 01, 2011
酢
○酢
酢は塩と共に古くから用いられてきた調味料で、世界各地で数多くの種類がつくられている。フランスではビネガー(vinaigre)といい、”ワイン(vin)が酸っぱく(aigre)なったもの”が語源だが、このことが示すように、酢は酒に由来する調味料である。
酢の一般的な製法は、原料となる穀物や果実を酵母でアルコール発酵させてまず酒をつくり、その後、酢酸菌でアルコールを酢酸に分解する2段階発酵でつくられる。酢酸菌はアルコールの分解能が高いアクトバクター属の菌が使われる。原料となる糖質は東洋では穀物類(米、麦、大豆など)が、西洋では果実類(ブドウ、リンゴなど)が多く使われている。
日本へは応神天皇の時代に中国から和泉の国(今の堺あたり)に伝えられたといわれる。その後、江戸時代になって相模(神奈川県)の中原、駿河(静岡県)の善徳寺、尾張(愛知県)の半田などでもつくられるようになり、これは日本伝統の米酢であった。
現在、わが国ではJAS(日本農林規格)により一般的な酢を食酢と呼称し、ポン酢などの加工酢と区別している。食酢は製造法により「醸造酢」と「合成酢」に分けられる。醸造酢は前述のように穀物や果実から酒をつくり、それを酢酸発酵させたもので、「穀物酢」「果実酢」「醸造酢(穀物酢と果実酢以外の醸造酢)」がある。合成酢は希釈した酢酸原液に調味料などを加えて工業的につくられるもので、使用和40年代頃までは相当量が市場に出回っていたが、現在ではほとんど流通していない。
酢には3~5%程度の酢酸のほか、コハク酸、リンゴ、各種アミノ酸が含まれている。酢の健康機能は古くから知られており、①強い殺菌力と防腐力があり、食品を長期間保存したり、外用の殺菌剤として利用できる、②細胞の新陳代謝を活性化する、③食欲を増進させる、④善玉コレステロールを増やし、動脈硬化や高血圧を改善する、⑤疲労回復、肩こりの解消に良い、⑥唾液や胃液の分泌を促し、消化を促進して便秘を防ぐ働きがある、などの作用がある。
酢は塩と共に古くから用いられてきた調味料で、世界各地で数多くの種類がつくられている。フランスではビネガー(vinaigre)といい、”ワイン(vin)が酸っぱく(aigre)なったもの”が語源だが、このことが示すように、酢は酒に由来する調味料である。
酢の一般的な製法は、原料となる穀物や果実を酵母でアルコール発酵させてまず酒をつくり、その後、酢酸菌でアルコールを酢酸に分解する2段階発酵でつくられる。酢酸菌はアルコールの分解能が高いアクトバクター属の菌が使われる。原料となる糖質は東洋では穀物類(米、麦、大豆など)が、西洋では果実類(ブドウ、リンゴなど)が多く使われている。
日本へは応神天皇の時代に中国から和泉の国(今の堺あたり)に伝えられたといわれる。その後、江戸時代になって相模(神奈川県)の中原、駿河(静岡県)の善徳寺、尾張(愛知県)の半田などでもつくられるようになり、これは日本伝統の米酢であった。
現在、わが国ではJAS(日本農林規格)により一般的な酢を食酢と呼称し、ポン酢などの加工酢と区別している。食酢は製造法により「醸造酢」と「合成酢」に分けられる。醸造酢は前述のように穀物や果実から酒をつくり、それを酢酸発酵させたもので、「穀物酢」「果実酢」「醸造酢(穀物酢と果実酢以外の醸造酢)」がある。合成酢は希釈した酢酸原液に調味料などを加えて工業的につくられるもので、使用和40年代頃までは相当量が市場に出回っていたが、現在ではほとんど流通していない。
酢には3~5%程度の酢酸のほか、コハク酸、リンゴ、各種アミノ酸が含まれている。酢の健康機能は古くから知られており、①強い殺菌力と防腐力があり、食品を長期間保存したり、外用の殺菌剤として利用できる、②細胞の新陳代謝を活性化する、③食欲を増進させる、④善玉コレステロールを増やし、動脈硬化や高血圧を改善する、⑤疲労回復、肩こりの解消に良い、⑥唾液や胃液の分泌を促し、消化を促進して便秘を防ぐ働きがある、などの作用がある。
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