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水曜日, 11月 16, 2011

米ケフィラン

○米ケフィラン

 米ケフィランは、世界的に有名な長寿地域であるコーカサス地方で、かつて門外不出とされた発酵乳ケフィアに含まれる特徴的な乳酸菌、学名ラクトバチルス・ケフィラノファシエンスを日本人の主食である米を栄養源として単独培養することにより得られる植物性の生成物である。

 同素材は機能性食品の原料メーカーである大和薬品(株)が腸内細菌研究の世界的権威であり、Lactobacillus kefranofaciensの分類・命名に携わった光岡知足(東京大学名誉教授)の技術指導のもと、農林水産省が主管するニューフード・クリエーション技術研究組合の助成を受け開発された。

 米ケフィラン培養物1リットル中には健康に対する有用性が長年注目されながらも大量生産が困難とされていた粘質性多糖「ケフィラン」が約800mgと高濃度含まれている。動物性成分を含まず、低脂質で熱やpHの変動に対して安定という特長を持ち、健康補助食品、一般食品など幅広い商品開発が可能である。

 ケフィランはガラクトース3分子とグルコース3分子を一つのユニットとする水溶性食物繊維の一種(多糖ガラクトグルカン)でこれまでに室伏博士らによるマウス経口投与における抗腫瘍作用(1982)、同マウス経口投与における遅延型アレルギーに対する作用(1983)、同マウス傾向投与における免疫強化作用(1986)、樺山博士らによるストレスホルモンによって抑制された細胞のインターフェロンβ産生促進作用(1997)などの有用性が明らかにされている。近年も数々の動物実験により、整腸作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、脂質代謝改善作用など多彩な機能性が明らかになり、メタボリックシンドローム対応素材としての有用性も期待されている。

 米ケフィランにはケフィランだけでなく、乳酸菌の死菌体や米由来のペプチドなども含まれており、動物実験による抗動脈硬化作用や抗アレルギー作用などのエビデンスが蓄積されつつある。

 光岡名誉教授は2007年5月に発酵乳研究で最も優れた業績を挙げた科学者に贈られる国際賞・メチニコフ賞(国際酪農連盟主催)を微生物部門において受賞、受賞対象となった研究は①腸内細菌の培養法と腸内細菌の同定法の確立、②新種腸内細菌の分離と分類・命名、③腸内細菌の生態系の解析、④腸内細菌の役割の解析、⑤機能性食品創製への応用と展開、の5項目から成り立っている。

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