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金曜日, 3月 31, 2006

紅景天について

○紅景天

 紅景天は、原産地のチベットでは海抜3500~5000mという高地に自生しているベンケイソウ科の野生多年生草木である。茎や花など地表に出ている部分は10cm程度と小型であるが、根や根茎が薬効部分として利用される。紅景天の効用については、8世紀頃のチベット医学経典・四部医典と晶珠本草にその記録が多く残されており、滋養強壮、養肺清熱、止血解毒、滋補元気などと記されている。また、中国高等植物図鑑にも紅景天の植物を高く評価している。

 紅景天の薬効について科学的な研究に取り組んでいるのは旧ソ連と中国である。1970年代に、旧ソ連は宇宙飛行士を無重力・無酸素という未知の環境に適応させるための薬剤を開発するにあたって、紅景天に注目し詳細な研究を行った。それによると、紅景天の有効成分は紅景天ケトンとアグリコン、チロソールで、優れた滋養強壮効果があることが新明し、実際に宇宙飛行士の保健食品として使用されていた。80年代になると中国でも紅景天についての研究が始まり、紅景天が高麗人参やエゾウコギよりも強壮作用を有することが明らかになり、の成分、薬理作用、臨床応用、毒性などに関する研究が飛躍的に進んだ。日本では、京都薬科大学の基礎研究によって、紅景天に含まれるグリコシド(配糖体)がアトピーに効果があること、また、シミ・ソバカスの原因となるメラニンの生成を抑えることなどが明らかにされている。

 紅景天に含まれる有効成分は、これまでの研究から約40種類が認められている。脂質、タンパク質、必須アミノ酸、各種ビタミン、有機酸、ミネラルなど基本的な成分に加え、ロシアチャウスク医科大学が発見した成分は、長期に続く緊張状態下で筋肉と大脳を正常化させ免疫機能を高める作用がある。このように、紅景天には中枢神経システムと内分泌システムを整え、免疫力を高める作用があり、これまでに分かっている効用は、老化防止や疲労回復、高血糖・ガン・ウイルス感染・肝臓病・白血病・酸素不足にも有効であるとされる。特に酸素不足を防ぐについては、海抜4000m以上の模擬環境下で行った実験で、紅景天を飲んだ人は、飲まなかった人に比べて運動能力が13.2%も高いという結果が出ている。そのため、チベットでは古くから高山病の薬としても使われている。

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木曜日, 3月 30, 2006

マツタケについて

○まつたけ

 松茸。キシメジ科のキノコで、秋に赤松林やツガ林などの地上に生える。国内生産量は近年極端に減っており、市場に出回っているものの80~90%は韓国、北朝鮮、カナダ、中国、モロッコ、メキシコ、アメリカ、ブータンなどから入ってくる輸入物である。

 「匂いまつたけ、味シメジ」の言葉通り、珍重される独特の香り成分は、桂皮酸メチルエステル、オクテノール、メチルオルシナートなどで、これらは食用増進や消化酵素の分泌を促す作用がある。成分的にはビタミンB2とナイアシンが豊富で、B1も100g中に0.1mgと、生シイタケと同量である。B2とナイアシンは口内炎、角膜炎をはじめとする皮膚炎の予防、抵抗力の強化、神経障害の予防などの働きがある。

 カロチンはないが、ビタミンDを4ug含むので、体内のカルシウムの働きを助け、骨にカルシウムが吸収されやすくするのに役立つ。その上、農林水産省食品総合研究所蛋白質研究室の研究によると、まつたけからガン細胞のみを選択して殺す蛋白質が発見されたという。まつたけ抗腫瘍タンパク質(MAP)と名づけられたこのタンパク質は、正常な細胞は生かして、ガン細胞だけを選択的に攻撃する性質を持っているという。まつたけは高価なのが難点だが、旬には少しでも味わう価値がありそうである。

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水曜日, 3月 29, 2006

グレープフルーツについて

○グレープフルーツ

 ミカン科の常緑高木の果実で、18世紀に西インド諸島のバルバドス等で発見された。その後アメリカに渡り、アリゾナ、カルフォルニアなどで大々的に栽培されるようになった。柑橘類でありながら、グレープの名があるのは、果実がブドウのように房状につくことに由来している。

 みずみずしさが身上で、水分が89.6%もあり、豊富な果汁と適度の甘み、酸味、ほどよい苦味が混ざり合って、爽やかな風味を出しているのが特質である。

 ビタミンCが豊富なことと、このCの吸収を良くするビタミンPクエン酸にも富むので、吸収されやすく生理作用も高い。疲労を回復し、心身ともに爽やかにする。歯茎から出血しやすい人やタバコを吸う人は、毎朝半分ないし1個を食べると良い。四季を問わずほとんど年中出回っているので、手軽に入手できる。

 ところで、グレープフルーツ独特の苦味はナリンギンという配糖体によるものだが、最近、これがカルシウム拮抗薬(高血圧の薬)や睡眠薬の一部に作用すると、薬効を強くしてしまうことがわかった。ナリンギンが肝臓の酵素の一部に働きかけるために起こる反応だといわれているが、降圧剤などとグレープフルーツを一緒に摂ることは避けたほうが良い。

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火曜日, 3月 28, 2006

紅豆杉について

○紅豆杉

 中国雲南省の山岳地帯(標高4000mの厳寒地)に自生する紅豆杉は、イチイ科に属する樹木で、2億年前(中生代)から生き残ってきた地球に現存する最古の樹木とされている。平均樹齢は3000年以上、幹周5.6m、樹高21m(平均値、中国科学院調査)の巨木である。

 近年の研究では、高山や砂漠など過酷な環境に生きる生物ほど、その生命を支えるための特殊な機能物質を体内に豊富に持っていることが明らかにされているが、紅豆杉もまたその例にもれない。万里の長城の建造で知られる秦の始皇帝は不老不死を願ったことでも有名だが、その時代、紅豆杉が塩とともに不老の仙薬に名を連ねていたことが近年明らかにされた。

 紅豆杉が現代に蘇る契機となったのは、1956年にアメリカの化学者ルーカスが、紅豆杉の抽出物質に抗ガン作用があることを発見したことによる。そして71年には同じくヴァニが、抗ガン物質の一つを単離してタキソールと名づけた。その後、合成方が模索されて注射薬ができ、94年には抗ガン剤としてFDA(アメリカ食品違約局)が認可している。日本でも97年に抗ガン剤(保険の適用は卵巣ガン・乳がん・子宮ガン・肺ガン)として認可、今では世界50数カ国で使われている。

 一方、薬剤としてではなく、天然剤としての紅豆杉についても、その薬理研究が進んでいる。富山医科薬科大学和漢研究所の門田重利は、日本薬学第122回年会(2002年)で、紅豆杉のガン細胞に対する作用木序を明らかにした発表を行っている。また、金沢医科大学の平井圭一は、紅豆杉の天然成分が、①正常細胞を傷つけず、ガン細胞だけを狙い撃ちして増殖を阻害し、死滅させる選択的抗ガン性がある、②特異な直接攻撃でガン細胞を自然死(アポトーシス)させる、③免疫賦活作用を併せ持つ、という研究成果を第41回日本癌治療学会(2003年)で発表している。

 紅豆杉にはまた、花粉症などのアレルギーに対しても顕著な改善作用のあることが、北里大学の岡野哲郎らの研究グループによって明らかにされている。実験は、まず最初にマウスを使ってスギ花粉(抗原)に反応する実験用の細胞を調整し、この細胞群にスギ花粉抗原とともに紅豆杉茶を入れ、ヒスタミンやEPOの放出量を調べた。紅豆杉茶は3種類の濃度を用意し、対照には麦茶を用いた。結果は、ヒスタミンの場合も、RPOの場合も、紅豆杉茶の濃度を濃くするほど放出が大幅に減少し、EPOでは紅豆杉茶10ulの濃度でゼロになるという結果を得ている。

 また、この実験と平行して、スギ花粉のメッカである東京・奥多摩の診療所と、花粉が比較的少ない都心の港区の病院患者を対象として、紅豆杉茶の飲用による花粉症改善の臨床試験も行われている。その結果、花粉が少ない都心での病院では、くしゃみを除く全症状(鼻水、鼻閉、鼻・のど・目の痒み、涙目)で、ほぼ100%の改善効果が得られたという。

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月曜日, 3月 27, 2006

アスタキサンチンについて

○アスタキサンチン

 カロチノイドというと一般には植物性色素が多く知られるが、アスタキサンチンは主に海産物に豊富に含まれる赤色色素である。サケやイクラ、鯛やキンキ、エビ、カニなどの呈する赤色は全てアスタキサンチンによるものである。

 アスタキサンチンはこれまで、着色用の食品添加物として使われることが多かったが、1980年代後半に、アスタキサンチンの抗酸化作用はビタミンEやβ-カロチンの数100~1000倍近くもあるという研究報告がなされ、にわかに注目を集める機能性素材となった。また、長い間、アスタキサンチンの原料素材の探索が続けられていたが、近年になって、ヘマトコッカス藻を原料とする大量生産技術が確立したことから、一挙に商品開発が活発化している。

 アスタキサンチンの抗酸化作用の研究では、これまでに免疫賦活、動脈硬化改善、抗ガン、抗糖尿病、美白効果などが報告されている。

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日曜日, 3月 26, 2006

いちじくについて

○いちじく

 クワ科の落葉低木の果実(花嚢)で、アラビア半島が原産。世界各地で栽培されるが、ポルトガル、イタリアが多い。日本ではカリブ系、スミナル系、インターメディア系などが江戸時代の17世紀前半に渡来したが、蓬来と呼ばれていた在来種もある。

 春から夏にかけて緑色の果実(いちじくの場合は花嚢という)を結び、内側に淡紅色の小花を無数につける。花は外から見えないので無花果の名がある。

 主成分は糖で約10%(乾果は6%)含まれ、ビタミン、ミネラル類も少量ずつまんべんなく含んでいる。このほかペクチンという食物繊維があり、腸の働きを活発にし、便秘にも効果的。さらに各種分解酵素が含まれているので、その薬効も多様である。

 いちじくにはまた抗炎症作用があり、喉の痛み、痔疾にも卓効がある。葉の煎じ汁を痔の患部に塗布すると一層効果的。果肉や葉から出る白色の乳液に含まれるペプチドは血圧抑制作用があり、外用ではイボ取りに用いる。果肉には血を清める作用があるといわれ、鼻血や吐血、気血などによく、肺結核の喀血などにも効用があるとされてきた。

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金曜日, 3月 24, 2006

シャンピニオンエキスについて

○シャンピニオンエキス

 フランスで17世紀始めに栽培が始められたハラタケ科のシャンピニオン(英語名=マッシュルーム)は、その優れた風味とともに、ビタミンB2を多く含む食材として各国の食膳をにぎわせているが、その成分を抽出したシャンピニオンエキスが経口摂取できる消臭素材として開発され、広く上市されるようになった。

 食物や体調や、加齢などによって、いわゆる腸内悪玉菌が増殖すると、町内異常発酵による悪臭ガスが腸壁から吸収された不快な体臭や口臭の原因となるほか、発生した有害物質が老化現象などの原因になると指摘されている。

 シャンピニオンエキスはこの腸内異常発酵を抑制する結果、口腔内の臭い、呼気(吐く息)、体臭、便臭を非常によく消臭するとともに、血中への腐敗成分(アンモニア、メルカプタン、硫化水素、インドール、スカトール、クレアチニンなど)の吸収を少なくして、慢性腎不全や高アンモニア血症の進行を阻止する作用のあることが報告されている。

 シャンピニオンエキスは現在、飲料・菓子・健康食品・一般食品(スープ・味噌汁など)、病院の総合栄養流動食・治療用食品などの形で広く供されているほか、ペットフードの分野でも利用が始まり、近年では欧米へも盛んに輸出されるようになった。

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水曜日, 3月 22, 2006

カイアポ芋について

○カイアポ芋

 カイアポ芋は、南米ブラジルの中央に広がるブラジル高原西方のカイアポという山地に自生する白甘藷の一種で、南米の白芋とも称されている。栄養価に優れていることから、インディオの間では健康維持のために、数千年も前から好んで食されていたといわれている。その優れたパワーは、西暦1500年頃、南米に一台帝国を築いたインカ帝国の発展にも多いに寄与したと伝えられている。

 カイアポ芋は、高麗人参などと同様に、土壌に含まれるミネラルや有効成分を満遍なく吸収してしまうため、一度栽培・収穫した土地では、数年以上栽培ができない。

 最近になって、カイアポ芋には、インスリンの分泌や効き目を高め、糖尿病の血糖値を下げる糖の働きがあることが明らかになり、動物実験でも、①インスリン分泌の促進、②インスリン作用の改善などが実証されている。糖尿病の3大合併症といわれる網膜障害、腎臓障害、末梢神経障害に対して、血糖を下げることによる効果が期待されている。

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火曜日, 3月 21, 2006

チェストツリーについて

○チェストツリー

 チェストツリーは、ヨーロッパから中央アジアを原産とするクマツヅラ科の落葉低木で、ヨーロッパでは古くから女性のためのハーブとして使われてきた。チェストツリーの果実に含まれる成分には、女性のホルモン機能を整える作用のあることが古くから経験的に知られており、月経不順の改善薬として有効である。ドイツでは、チェストツリーに黄体ホルモンの分泌を促す作用のあることが認められ、PMS(月経前症候群)の治療薬になっている。

 PMSは、下腹部や頭痛、イライラといった不快症状を呈するが、この原因は黄体ホルモンのプロゲステロンの不足によるものと考えられている。チェストツリーは、脳下垂体から分泌される黄体形成ホルモンの生成を増加させ、その結果、プロゲステロンの分泌を高めることによって、ホルモンバランスを正常化させる。

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月曜日, 3月 20, 2006

しじみエキスについて

○シジミエキス

 シジミ(蜆)の強肝効果については江戸中期(天明元年)の食品国家に「シジミよく黄疸を治し酔いを解す」と記されたことを知れば、そこに医食同源の典型を見る思いの人も多いに違いない。肝臓への効用は医学会でも広く認めるところだが、赤いビタミンの異名を持つビタミンB12(造血・脳細胞の活性化・手足の痺れ改善)が62ugと群を抜いて多い。カルシウム・亜鉛・胴などミネラルにも大きな数字が並ぶ。タンパク質はアミノ酸のバランスがよく、アミノ酸スコアは95。特に高血圧改善や肝臓の解毒作用の亢進、心不全への効果が期待できるタウリンが注目される。

 日常的には味噌汁がほとんどだが、風味のみならず味噌の栄養価も加味されるうえに、食膳に暖かさや懐かしさがあふれて心が和みも食事全体の消化吸収率もぐっと高まる。

 水溶性のエキス成分を採るには、鮮度のよいシジミに同量の水を加えて1~2時間ほど弱火で似たあと汁を濾し、それを半量に煮詰めればよい。それを1回に盃1杯くらいずつ、1日3回ほど飲めば、体力回復、肝機能強化、貧血改善、母乳の出をよくする。肌のシミ取りによいとされるが、その効能が確かなことは、市販のシジミエキスが長い人気を保っていることか何よりの証拠である。

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日曜日, 3月 19, 2006

クランベリーについて

○クランベリー

 クランベリーはブルーベリーと同じツツジ科の常緑低木で、原産地は北米からカナダにかけての一帯である。秋の始めに1~1.5cmの赤い球状の液果を結ぶ。果汁は酸味が強いが、アメリカではクリスマスや祝宴などに食べられる七面鳥料理のクランベリーソースとして利用されることから、よく知られている果実でもある。

 ネイティブアメリカンの間では、古くから尿路感染症の治療にクランベリーの果汁が使われてきた。クランベリーがこうした感染症に効果があることは、現在では多くの研究成果により医学的にも明らかにされている。

 1994年にハーバード大学部で行われた研究によると、クランベリー果汁には尿中のバクテリアと白血球の増加を抑える効果があることが認められている(女性153人を対象にした2重盲検法による試験結果)。また、97年にウェーバー州立大学で行われた研究によると、クランベリー果汁の粉末を使って、尿路感染症の再発防止効果が確かめられている。

 クランベリーが尿路感染症に効果があるのは、古くは、クランベリーが尿を強い酸性にして細菌を増殖しないようにするからだと考えられていた。また、クランベリー果汁に含まれる安息香酸の作用だという説も唱えられたが、現在では、クランベリーのフィトケミカル成分・プロアントシアニジンによる細菌接着阻害作用によるものであることが解明されつつある。このことから、クランベリーには尿路感染予防だけでなく、歯周病や歯肉炎の改善効果、さらにはピロリ菌感染の予防も有効ではないかとする研究も報告され始めた。

 クランベリーを使った食品としては、クランベリージュースの他、果汁エキスを加えたヨーグルト、ジャム、評価などが販売されており、消費者の人気も高い。

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土曜日, 3月 18, 2006

マリアアザミ(シリマリン)について

○マリアアザミ(シリマリン)

 キク科のオオヒレアザミで、一般にマリアアザミと呼ばれているこのハーブは、ヨーロッパでは古くから種子を含む全草に強壮、利胆、利尿効果が認められており、肝臓の民間薬として用いられてきた。生活習慣病をはじめとする諸病の根底に肝機能不全があることが指摘されているが、マリアアザミはまさにそこへ焦点を絞って登場したハーブのニューフェイスである。

 種子に含まれるシリマリンが肝機能を改善することが知られており、ドイツやイタリアの製薬メーカーなどでの研究から、有効成分がフラボノリグナンに分類される化合物群であり、特に重要な作用を持つフラボノイドとして、シリビン、シリジアニン、シリクリスチンの3種が単離された。

 多様な有効性が明らかにされているが、最も注目される肝機能の改善にはシリマリンの有効成分が細胞膜の過酸化脂質の発生を抑えていることが考えられ、これについては体内で合成される抗酸化物質であるグルタチオンの生成を促進する作用が実験的に明らかにされている。体内に発生するフリーラジカルが、様々な老化現象、認知症、ガン、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中などの元凶であることが次々に明らかにされてきている現在、シリマリンの抗酸化作用への期待が高まり、人気を博しているのも不思議ではない。

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金曜日, 3月 17, 2006

すっぽんについて

○すっぽんエキス

 スッポン料理は、強精・強壮に特効のある料理として世界に知られている。中国では3000年前の周時代に王室の膳に供えられ、以来滋養強壮・不老不死の保健食として珍重されていた。特に中国料理のスープでは漢方薬としての効用が認められ、鯉の生き血と並んで、強精の用をなしている。また、フランス料理でもスッポンのコンソメが一級の料理とされ、スープの主要素材として栄養を逃すことなく料理されている。

 スッポンはカルシウムやタンパク質、特に必須アミノ酸やビタミンが豊富で、栄養価が高く、動物でありながらその脂肪は植物性油脂と同じ不飽和脂肪酸で、リノール酸を多く含んでいる。

 その栄養的特徴は、まずタンパク質にある。タンパク質は生物細胞(血液、筋肉、皮膚、骨髄、角質、腱、爪など)を形成する主要物質であり、成長期に不足すると体位の成長に支障をきたすだけでなく、血管が充分に発育せず、加齢とともに脳卒中を誘発する要因にもなる。その点、すっぽんのタンパク質はアミノ酸が豊富で、すっぽんエキスの分析によると、アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グリシン、アラニンなど18種にも及ぶアミノ酸組成は良好である。

 次に、カルシウムの含有率が高い。これはすっぽんの硬組織部分にのみならず、血液をアルカリ性に保ち、心筋の収縮を活発にする作用がある。さらに、神経の働きにも影響し、ストレスへの対応には欠かせないものである。

 そのほか、ビタミン類ではB1、B2、B6、葉酸、パントテン酸などを含み、ミネラル類では鉄分とナトリウムが特に多く、造血作用を活発にする効果が期待できる。

 さらに、前期のようにスッポン油は動物でありながら不飽和脂肪酸を多く含んでいる。不飽和脂肪酸は結腸コレステロールの増加や血管への沈着を防ぎ、動脈硬化・脳卒中の予防に効果がある。また、すっぽんにはコレステロールも含まれているが、コレステロールは①胆汁の合成素材として、②細胞膜をつくる構成成分の一つとして、③性ホルモンや副腎皮質ホルモンが体内で合成されるときの素材として、など重要な役割も持っている。このコレステロールがホルモンを合成するときに、すっぽん肉などに含まれる酵素活性ビタミン群の働きが加わり、精力増強に効果を発揮すると考えられている。

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木曜日, 3月 16, 2006

舞茸(マイタケ)について

○舞茸(マイタケ)

 その昔、山中で発見した人が喜んで舞い踊ったことから舞茸の名を与えられたといわれるマイタケは、人工栽培技術も確立して食材としての認知度はつとに高いが、近年は薬用キノコとして日本のサプリメント市場に歓迎されている。

 同じサルノコシカケ科に属する霊芝やカラワタケと同時に行われた子実体由来のβ(1-3)-D-グルカンによるマウスの抗腫瘍活性試験で、非常に高い腫瘍完全退縮率を得た報告もなされていたが、その後、難波宏彰(神戸薬科大学)らはMD-フラクションと名づけた精製ペプチドグルカン(タンパク多糖複合体)を用い、ザルコーマ180担ガンマウスに対して腫瘍増殖抑制率86.6%という好結果を得、それがT細胞など免疫細胞の活性化によることを突き止めた。乳ガン、肝ガンなどの快癒や改善に関する、医療現場からの報告も続いている。

 同じく難波らの研究による後天性免疫不全症候群(エイズ)への活用研究は米国で注目され、多くの医師や研究者による臨床研究も報告され、マイタケの評価を高めることとなった。また、作用気序の全体は明らかではないが、血圧降下作用、血糖抑制作用、高コレステロール血症の改善、抗アレルギー作用、便秘の改善、ダイエット効果などの実例報告も多い。

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水曜日, 3月 15, 2006

枸杞茶について

○枸杞茶

 枸杞はナス科の落葉小低木で、わが国では本州・四国・九州の原野や水辺に自生する。高麗人参とともに古くから中国で漢方薬の上薬として珍重されており、漢方薬の聖典とされる神農本草経にもその効能が記されている。漢方で用いるのは枸杞の実(枸杞子)、根、皮の部分だが、若芽や幼葉を乾燥させて煎じたものが枸杞茶として飲まれている。

 葉の主要成分は、ビタミンC・B1・B2、タンパク質、メチオニン、ルチン、硝酸カリなどであるが、特にルチンの効用が大きい。ルチンは体内の活性酸素消去作用とあいまって毛細血管を強化する作用があり、高血圧症や低血圧症に効くと言われる。これは血管が強化されることにより、血行が順調になるからで、高血圧症の症状として現れる肩こり、頭痛、手足の痺れがなくなり、動脈硬化の予防にも役立つ。逆に低血圧症では、ルチンの作用とビタミンCの貧血に対する作用で2重の効果があることも見逃せない。

 さらに、葉の葉緑素に肝臓の解毒作用を助ける働きを持つため、肝臓病の予防・治療に効果があるとされる。葉緑素に共通の性質で、体内に振り込まれるとアルカリ性に働き、体内の酸毒症状を改善するので、疲労回復、ストレスの防止、肝臓の強化、あるいは利尿作用の促進などに効く。また、クコタンニンという枸杞の葉だけに含まれている種類のタンニンは、酸化還元作用を持ち、老化を防ぐとともに、ガンの予防にも効果が期待されている。

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月曜日, 3月 13, 2006

セントジョーンズワート

○セントジョーンズワート

 セントジョーンズワートは、WHO(世界保健機構)が全人口の3%にも達すると試算するほど増えているうつ症状への著しい効果でアメリカに旋風を起こしたハーブである。オトギリソウ科の多年草(和名は西洋オトギリソウ)で、古代ギリシャ以来、悪魔を払うハーブとして、外用で切り傷、やけど、神経痛、内服して不眠・不安症・更年期障害・うつ症状に対して伝統的に用いられてきた。中国や日本に産する同じ仲間のオトギリソウも、全草を採取・乾燥したものが小連翹の名で、漢方薬(止血・消炎・鎮痛・通乳・通経など)に処方され、民間でも打撲・創傷・痛風・神経痛などの外用薬とされてきている。

 薬草としての近年の研究・利用は特にドイツで盛んに行われ、副作用のある抗うつ剤に代わり年間300万枚もの処方箋が書かれていると言われ、その人気がアメリカへ飛び火したことになる。含有成分としては多数のフラボノイドの他に精油成分のヒペリシンが特徴的で、ヒペリシンはうつを起こす酵素であるモノアミンオキシターゼ(MAO)の作用を阻害することが認められ、さらに老化・成人病・不眠症・高血圧・高脂血症などを改善する奇跡の脳内ホルモンといわれるメラトニンの活性を高める作用を持つと考えられている。

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日曜日, 3月 12, 2006

葉酸について

○葉酸

 アミノ酸代謝、核酸成分の合成に補酵素として関与する成分で、免疫力を高め、ビタミンB12とともに造血にも働くので、欠乏症は貧血(巨赤芽球性貧血)のほか、細胞の成長、再生に支障が生じて胃潰瘍や口内炎、舌炎の原因ともなり、神経過敏、健忘症、また胎児や乳幼児では発育不全を招くことがある。

 2000年末に厚生省の検討会がまとめた報告書によると、妊娠を予定している女性に対し、妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月までの間、葉酸を含むバランスのとれた食事に加えて、栄養補助食品による1日0.4mgの葉酸摂取を勧めている。妊娠初期に適量の葉酸を摂取すれば、2部脊椎など先天性異常の子を出産する危険性を減らすことが欧米の研究で報告されているためだが、サプリメントなどを奨励しているのは、葉酸は水溶性で熱に弱く、食品に含まれる葉酸の体内利用効率は50%と低いからである。サプリメントの場合は利用効率が85%にまであがるといわれており、また、欧米で報告されている研究データは全て栄養補助食品によるもので、食品中の葉酸の効果が実証されていないため、サプリメントでの摂取を奨励している。

 成人の1日所要量は200ugだが、妊婦は+200ug、授乳期は+80ugとされている。許容上限摂取量はいずれも1000ug、葉酸を多く含む食品はレバー、牛乳、卵黄、酵母、豆類、緑黄色野菜、サツマイモ、クルミなど。

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土曜日, 3月 11, 2006

フコイダンについて

○枇杷(びわ)の葉茶

 枇杷はバラ科の常緑高木で、冬に花が咲き、果実は初夏に熟す。ほんのりとした甘みと夏の訪れを告げる旬の果物として人気がある。枇杷の葉についてインド仏教の教典には、葉は無憂扇と呼び、万病に効を奏すと記されている。また本草網目では胃を和し、気を下し、熱を清し、諸毒を解し、脚気を療ずと、その効用を説明している。現在でも中国では枇杷葉湯として多くの愛飲者がいる。夏には清涼剤として夏負けによいばかりではなく、健胃整腸、解毒作用にも効果がある。また、枇杷葉湯に水アメを入れて飲むと、鎮咳、去痰、慢性気管支炎に効くほか、尿の出が悪く浮腫のある場合にも、よく利尿効果を発揮するという。

 効した効用について、古くから民間療法の一つとして伝えられてきたが、最近では枇杷の葉に含まれるビタミン様物質のレートリネ(ビタミンB17とも)の働きが解明され、注目されている。アメリカ間研究報告によると、長寿国であるフンザ王国の人々は杏子(アンズ)の種を常用しているが、レートリルはこの杏子の種から見つかった成分で、アメリカでは抗ガン作用があるのではないか、と考えられている。レートリル溶液中にβ-グルコシダーゼという酵素を加えた液を腹水ガンに注入したところ、ガン細胞が100%死滅したという報告もある。

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金曜日, 3月 10, 2006

フコイダンについて

○フコイダン

 フコイダンは海藻から得られる多糖体で、科学的にはフコースを構成糖とし、それに硫酸やウロン酸が結びついた物質である。ほかの多くの多糖体と同じく、このフコイダンにも抗腫瘍作用が認められるという学術研究が発表され、海藻由来の抗腫瘍物質として注目を集めるようになった。

 第55回日本癌学会総会(1996年)において、昆布を原料にしたフコイダンの抗ガン研究が発表された。この研究では、フコイダンがガン細胞をアポトーシス(ガン細胞の自殺)に追い込むという作用機序が示された注目された。

 その後、モズク(オキナワモズク)から得られたフコイダンの抗ガン効果が発表されたが、この研究では、ガン細胞を皮下に移植した10匹ずつのマウス2群に対し、1群にはオキナワモズク由来フコイダンを2日間投与、もう1群は何の処置もせず飼育し、30日間後に解剖してガンの大きさを比較したところ、フコイダン投与のマウスは、10匹中6匹のガンが完全消滅、残る4匹のガンも無投与の対照群に比べて、その大きさが1/10から半分になっていた、と報告している。

 オキナワモズクはまた、他の海藻類に比して純度の高いフコイダンが得られることも明らかにされている。琉球大学の研究によると、オキナワモズクのフコイダンの構成糖の大部分はL-フコースで、他にわずかに含まれるD-キシロースとともに、その機能性が発揮されると考えられている。

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木曜日, 3月 09, 2006

亜鉛について

○亜鉛

 亜鉛も、必須微量元素として脚光を浴びることになったミネラルのひとつである。従来、亜鉛が毛髪、肝臓、腎臓など新陳代謝の盛んな細胞に多く含まれ、成長期の子供に不足すると発育が阻害されることなどが知られていたが、いずれもたんぱく質の代謝に関わっており、それを司る多種類の酵素に亜鉛が不可欠なことが解明されたのである。

 例えば、食べ物の味を感じ取る味蕾細胞は絶えず生まれ変わる活発な細胞であるが、そのため亜鉛不足の影響を受けやすく、欠乏すると味覚障害を招く。

 あるいは睾丸や前立腺の亜鉛濃度が高いのは精子や精液の産生に亜鉛が必要なためで、不足すれば性的機能障害を招く。膵臓でのインスリン産生にも関与して、不足すれば糖尿病の引き金となり、糖尿病性の壊疽の悪化にも繋がる。免疫を司るリンパ球やT細胞の機能を高めるのにも関与して不足すれば感染症に罹りやすくなるのである。

 一部の食品添加物や降圧剤には、体内の亜鉛の働きを奪って欠乏症を引き起こすので、食生活が不十分な人や食事制限中で不足しがちな人以外でも、努めて意識的に摂取する人が必要である。1日所要量は成人男子で10~12mg、女性は9~10mgである。許容上限摂取量は30mg。

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水曜日, 3月 08, 2006

ヤマブシタケ(山伏茸)について

○ヤマブシタケ(山伏茸)

 広葉樹林で時に採取されることもあるハリタケ科のキノコで、子実体は傘型ではなく、白うさぎが長い房を垂らしてうずくまったような珍しい形をしており、兎茸、針千本などの別名がある。漢方ではその乾燥物を猴頭といいい、虚弱・消化不良、神経衰弱・胃潰瘍などに用いてきた。

 さまざまな菌類のこう主要活性に注目が集まる中で、ようやく安定した人工栽培も確立されたことから改めて本格的検証が行われて、有効成分の分析をはじめ、優れた抗ガン作用を示す詳細な研究(共立薬品工業による)も学会発表されるようになった。

 それによると、①ヤマブシタケ子実体を予備処理ののち熱水処理して乾燥粉末を得る、②その乾燥粉末にイヌリンを添加したもの、③さらに②にキトサンを加えたもの、の3種類の試料をザルコーマ180固型ガンを移植したマウスに対して、経口投与、腹腔内投与(注射)の方法がとられた。その結果、腫瘍増殖抑制率は①の経口投与(500mg/kg)で51.8%、腹腔内投与(100mg/kg)で63%、②の経口投与で54.8%、③の経口投与で59%というヤマブシタケの大きな可能性を示す成績を得たのである。

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火曜日, 3月 07, 2006

ラブレ菌について

○ラブレ菌

 乳酸菌の利用に新時代を開くものとして注目される菌である。発酵乳製品を常食するコーサカスの人々に長寿者が多く、これが乳酸菌の恩恵であることはよく知られた事実であるが、100種を越えるとされる乳酸菌のうち、腸内で増殖して有効性を示すのは15~20種程度といわれている。このラブレ菌はそのうちの一種であるとともに、新しく日本の学者によって、京都・上賀茂の特産漬物”すぐき”から発見されたところが珍しい。

 正式名「ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシーズ・コアギャランス」と名づけられたこの菌の発見者は岸田網太郎(京都パストゥール研究所)で、1993年末に発表された。岸田は1972年にわが国で初めて人・白血球インターフェロンを生成して、肝炎、悪性黒色腫、白血病患者に用いたことで知られているが、新たに発見したこのラブレ菌も、体内でのα-インターフェロン産生能を高めることが確認された。すなわちそれによって体の酵素活性やナチュラルキラー細胞の活性が向上して免疫能が高まり、ウイルス性の疾患(例えばC型肝炎など)の改善が期待できるという、安全性が高く、かつ予防医学的に見ると極めて意義のある素材である。慢性の便秘や喘息が軽快したという報告もある。

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月曜日, 3月 06, 2006

レシチンについて

○レシチン

 大豆レシチンの名ですっかり有名になったリン脂質の一つ。最近はホスファチジリコリンという化学名で呼ばれることも多いが、生体膜を形成する主要成分で、肝臓や血液などの代謝にも深く関与している。また脳の栄養素として注目され、高齢化社会で増えている血管性認知症(痴呆症)やアルツハイマー病への予防や改善への有効性がアメリカやヨーロッパで盛んに行われており、わが国でも基礎研究報告が増えてきている。

 リン酸と脂質の二つで構成されるレシチンは、この特徴によって動脈硬化の予防にも大きく貢献すると考えられている。すなわち、リン酸の部分は親水性で水の分子と結びつきやすく、脂質の部分は親油性だから脂肪の分子と結びつきやすい。この本来溶け合わないはずの水と脂肪が、レシチンの介在によってよく混ざる(乳化する)ようになるため、レシチンが豊富にあると、コレステロールが血管壁に沈着するのを防ぐ。コレステロールそのものは体に必要な成分だが、多過ぎると血管の内壁にどんどん付着し、内腔が狭まって動脈硬化や高血圧を招き、同時に心臓への負担もかかるといった問題を引き起こすことになる。レシチンはこのコレステロールを乳化して肝臓へ運び込む働きをするので、動脈硬化も初期の段階なら、レシチンを摂ることによって改善される。さらに血管を強くする働きもあるので、高血圧や動脈硬化で悩んでいる人には心強い味方となる。

 レシチンを多く含む食品の代表は、大豆と卵黄である。近年、アメリカからレシチンをベースにした各種サプリメントが輸入されているが、これは日本人に非常に馴染み深い大豆が原料とされており、その意味では、いわば逆輸入された健康食品であるともいえよう。

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日曜日, 3月 05, 2006

メグスリノキ(目薬の木)茶について

○メグスリノキ(目薬の木)茶

 メグスリノキ(目薬の木)茶は、わが国特産のカエデ科の落葉高木で、イチョウのように雌雄異株。近年のブーム以後、各地に群生地のあることが明らかになったが、山形・岩手以内の本州、四国、九州の深山に分布し、特に福島県とその隣接する県に多い。和名の目薬の木他、地方によっては千里眼の木、長者の木、三つ花、花楓などの異名で呼ばれている。

 江戸時代初期にこの木の樹皮を煎じて、点眼ないし洗眼薬として、やに目、ただれ目、かすみ目、鳥目、そこひなどの眼病に用いていた記録があるが、歴史的には既に安土桃山時代に活用が始まったと考えられている。以後、文字通り、目薬の木として広く活用され、ごく一部の寺社では1950年代半ばまで自家製の目薬として販売していたといわれるが、ほとんど知られることはなかった。60年代に入って、星薬科大学の伊沢一男が薬用植物の採集過程でこの木の存在を知ったことが契機となり、同大学生薬学教室で成分研究に着手した。その後、薬草カラー図鑑にこの木が収載され認知度が高まる中で、同大学の篠田正人らが「肝障害に対するメグスリノキの薬理試験」と題する学術発表を行って、強制的に肝障害を起こさせたモルモットにメグスリノキのアルコール抽出液を用いて改善が見られたことを報告した。

 星薬科大学教室での成分分析試験では、樹皮にはα-アミリン、β・システロール、ロドデンドロン、カテキンなど、木部にはβ・システロール、クマリン誘導体のスコポレチン、エピーロトデンドリンなど、葉にはβ・アミリン、ケルセチンなどが確認されている。

 メグスリノキ(目薬の木)の成分と種々の眼病、肝障害の改善作用については、まだ十分に解明されていないが、煎じ液を用いてやに目、ただれ目、かすみ目、老眼、仮性近視、結膜炎、花粉症の涙目などが改善した例、漢方薬との併用に緑内障の眼圧低下、肝炎や蕁麻疹などの改善例など、多彩なケースが報告されるようになった。

 なお、この木を目薬として用いるには小枝や青い葉を細かく刻んで乾燥させたものを煎じ、肝炎や利尿などに飲用するときは乾燥させた小枝や樹皮をまた動脈硬化の予防などのために常用するときは、乾燥させた葉をお茶のように煮出して飲むとよいとされている。最近はティーバッグのメグスリノキ100%のお茶やエキス剤も市販され、恩恵に浴しやすくなっている。

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明日葉について

○明日葉

 明日葉は房総半島や三浦半島、伊豆七島など、温厚な地方の海岸に野生するセリ科の植物で、「今日その葉を摘んでも明日には新しい葉が出てくる」ということで明日葉の名がついたといわれるほど生育力、生命力が旺盛な植物である。大形の多年草で、茎は1mぐらいに伸び、葉は茎を包むように付き、5月から10月頃にかけて淡黄色の花が咲く。

 その強い生命力のためか、大和本草にも不老長寿の植物として紹介されている。わが国での食用の始まりは、江戸時代の八丈島からだという。かなり古くから食用に供されていたと考えられ、また、乳牛の牧草としても栽培され、乳の出をよくし、乳質を高めるといわれる。

 こうした明日葉の効用は、まだ、普通の植物には余りないビタミンB12を豊富に含んでいること。B12は人体の発育成長に欠かせないビタミンで赤いビタミンともいわれ、造血作用のあることで知られている。また、葉緑素が多いのも特徴の一つであろう。

 明日葉の茎や葉を切ると黄色の汁が出るが、この汁の成分には薬効として利尿・緩下作用のほか、抗ガン作用のあることで知られている。その中でルテオリンという成分は強心・利尿剤として有名である。また、キサントアンゲロールというカルコン類化合物には抗潰瘍作用や血小板凝集抑制作用が報告されている。このほか、精油、アンゲロールなどの成分を含み、特殊芳香、苦味等が食欲の増進、疲労回復、強精の効果があると考えられている。

 最近では、抗ガン物質として注目されているゲルマニウムを含んでいることでも注目されているほか、カルシウムやカリウムも多く、健康の維持・増進に役立つ薬草として、大いに期待されている。

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土曜日, 3月 04, 2006

舞茸(マイタケ)について

○舞茸(マイタケ)

 その昔、山中で発見した人が喜んで舞い踊ったことから舞茸の名を与えられたといわれるマイタケは、人工栽培技術も確立して食材としての認知度はつとに高いが、近年は薬用キノコとして日本のサプリメント市場に歓迎されている。

 同じサルノコシカケ科に属する霊芝やカラワタケと同時に行われた子実体由来のβ(1-3)-D-グルカンによるマウスの抗腫瘍活性試験で、非常に高い腫瘍完全退縮率を得た報告もなされていたが、その後、難波宏彰(神戸薬科大学)らはMD-フラクションと名づけた精製ペプチドグルカン(タンパク多糖複合体)を用い、ザルコーマ180担ガンマウスに対して腫瘍増殖抑制率86.6%という好結果を得、それがT細胞など免疫細胞の活性化によることを突き止めた。乳ガン、肝ガンなどの快癒や改善に関する、医療現場からの報告も続いている。

 同じく難波らの研究による後天性免疫不全症候群(エイズ)への活用研究は米国で注目され、多くの医師や研究者による臨床研究も報告され、マイタケの評価を高めることとなった。また、作用気序の全体は明らかではないが、血圧降下作用、血糖抑制作用、高コレステロール血症の改善、抗アレルギー作用、便秘の改善、ダイエット効果などの実例報告も多い。

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木曜日, 3月 02, 2006

杜仲葉について

○杜仲葉

 高血圧・老化・記憶力減退に有効古代中国の薬物書『神農本草経』に「上薬」として収められた杜仲は、中国西南部原産の樹高20mにも達するトチュウ科の落葉高木トチュウの樹皮である。漢方では「肝や腎の機能を高め、陰気を去り、精をつける」としており、わが国へは10世紀前後(平安時代中葉)に不老長寿の高貴薬として招来したと考えられている。現在中国の医学処方(中薬)にも用いられ、早くから中国江蘇医学院、アメリカ・ウイスコンシン洲立大学で行われた血圧投下作用を認める研究などを通じて注目を集めてきた。日本でも樹皮は医薬品成分に指定されているが、葉を干して焙じたものが杜仲茶としてよく知られている。また、杜仲葉を熱水やアルコールで抽出して精製した濃縮エキスから作られた飲料が、高血圧症を予防する特定保健用食品として販売されている。


 杜仲葉エキスは、ゲニポシド酸やピノレジノールジグリコシドといった配糖体が血圧を調整する機能成分として働いていることが、最近の研究で明らかになっている。その作用機序は、杜仲葉配糖体(主にゲニポシド酸)が体の中に吸収されると副交感神経が刺激され、それにつながる抹消動脈の平滑筋を刺激して血管が拡張されるため、血流の抵抗が減少し、血圧の上昇を抑制するというものだ。また、ピノレジノールジグリコシドには抹消血管の拡張、血行障害の改善、リウマチや神経痛の症状改善、利尿のほか、発ガンの原因となるDNAの損傷を修復する作用も認められている。このような杜仲葉エキスの血圧調節作用は高血圧ラットを使った動物実験で証明されており、ヒト試験でも同様な効果が確認されている。

 また、杜仲葉に含まれるタンパク質はコラーゲンの新陳代謝を促進する機能とメカニズムを有し、これが血管・内臓・骨・皮膚・毛髪などを若返らせる作用を持つことが、各種の実験を通じて明らかにされている。ミネラル類ではカルシウム、亜鉛、マンガン、リン、カリウムなど、多様な種類をバランスよく含んでいることも、きわめて大きな特徴かつ特性である。

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水曜日, 3月 01, 2006

免疫ミルクについて

○免疫ミルク

 アメリカのスターリ研究所が開発した免疫作用を持つ粉ミルク。免疫機能を高めるラクトフェリンは母乳に多く含まれているが、免疫ミルクは、ラクトフェリンを母乳以上に多く含み、さらに他の免疫活性物質も加えてある。ガンの予防やC型肝炎の治療を目的に医療現場で活用され始めている。また、ラクトフェリンを多く含んだ飲料や顆粒タイプの食品も乳業メーカーを中心に各社から出されており、一般消費者にも身近な機能性食品となりつつある。

 ラクトフェリンは哺乳動物の乳の中に含まれているタンパク質で、抵抗力の弱い乳児を細菌やウイルスから防御する役割をしている。ラクトフェリンは人間の唾液、涙、血液中にも含まれているが、最も多いのが初乳(出産後3日以内の母乳)で、哺乳動物の中では人間の母乳に一番多く含まれており、牛の約10倍といわれる。

 乳児の免疫力を高めるラクトフェリンだが、その生理作用は成人にも有効だ。これまでの研究では①抗炎症作用、②免疫調節作用、③抗菌作用、④抗ガン作用のあることが実験でわかっている。

 抗菌作用では、水虫治療や胃ガン発症に関連するといわれるピロリ菌減少のほか、C型肝炎ウイルス、ネコヘルペウイルス、単純ヘルペスウイルス、ロタウイルス、ポリオウイルスに対して有効であることが報告されている。

 また抗ガン作用では、経口投与したウシラクトフェリンがラットのアゾキシメタン誘発大腸ガンの発生を抑制した、家族性大腸線腫症も出るマウスにおいてラクトフェリンが遺伝性のガン予防に有効である可能性を示した。多臓器発ガンモデル(ラット)や肺への転移モデル(マウス)でも発ガンを抑制したなどといった報告がある。ラクトフェリンの抗ガン作用については、胸腺由来T細胞欠損ヌードマウスではガン抑制効果がないことから、細胞性免疫が関与している可能性が指摘されている。

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