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土曜日, 12月 31, 2005

プルーンについて

○プルーン

 プルーンはバラ科のセイヨウスモモノ一種(乾果専用種)で、長寿地帯のコーサカス地方とカスピ海に近い西アジア地方が原産である。腐らせずに乾燥できるので干しスモモに用いられる。欧米ではミラクル(驚異の)フルーツ、ワンダー(不思議な)フルーツと呼んで活用し、アメリカの病院では妊婦にプルーンジュースを飲ませて便秘や貧血の予防に役立てている。

 プルーンに含まれるビタミンAは多くの果実に比べ数倍、数十倍と多く、B1も小麦胚芽と並ぶほど多い。そのほかB2、ナイアシン、生長促進のパントテン酸、ピリドキシンなど、豊富なビタミン類をバランスよく含有している。また、重要な機能を持つミネラル類が多く、カリウムやリンをはじめ、血液を正常に保つ働きがあるカルシウム、鉄、マグネシウムなども豊富である。

 プルーンは古くから貧血に効くことが知られており、アメリカで行った動物実験(1933年)でも既に、貧血を治すプルーンの能力は食品としてレバーについで高く、ホウレン草やキャベツよりも優れていることが報告されている。また、便秘に効くので、朝食にプルーンを食べる習慣は欧米人の生活の知恵とされる。悪性の便秘が治った例もあり、優れた自然の便秘薬といえるが、この効用については、カリフォルニア大のエマーソンの研究によると、プルーンには水にもアルコールにも溶けやすい緩下作用のある物質が存在するからだと述べている。

 健康食品のプルーンは、乾燥したプルーンのエキスをペースト状やゼリー状に食べやすく加工したものや、粒状タイプのものがある。

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金曜日, 12月 30, 2005

カリウムについて

○カリウム

 カリウムは、生命を維持する上で欠かすことのできない必須の物質であることが知られ、その働きは①細胞内の機能を高める、②電解質や血液中の酸、アルカリのバランスをとる、③神経や刺激の伝達がスムーズに行くようにする、④心臓のリズムの調整、などがあげられるが、特に最近はその生理作用が注目されている。

 例えば、カリウムを摂り過ぎた場合は、慢性腎炎や尿毒症の原因となり、極端に多ければ心臓にも作用して生命に危険が及ぶこともないわけではない。また、通常は過剰分の排除が排尿によって行われるが、次第に機能低下が併発するようになると排泄能力がダウンするため、摂取制限をしなければならなくなる。

 逆に不足した場合は、副腎皮質機能を亢進して、あらゆる筋肉の興奮性が減り、筋肉の収縮・弛緩の調整がうまくいかなくなって、疲れやすくなる。また、腸の蠕動運動が妨げられて便秘を起こしたりする結果、浮腫や半身不随、不整脈、心臓発作に陥りやすくなる。(しかし高カリウム血症と異なり、生命に危険が及ぶことは少ないとされる。)

 カリウムの作用で特徴的なのは、高血圧の原因のひとつと考えられている塩分(ナトリウムか塩素なのかははっきりしていない)の害を防ぐ効果が実験的に証明されたことである。腎臓病には付随して起こる高血圧を2次性高血圧といい、他に特別な原因が見つからない高血圧を本態性高血圧というが、この本態性高血圧の場合、カリウムを多く摂ると発症が抑制されることがわかったのである。

 弘前医大が行った東北地方の高血圧調査では、カリウムを多く含んでいるリンゴをたくさん食べる人と、そうでない人とを比べた結果、リンゴ村の方が高血圧の人が少なく、そうでない方は高血圧の人が多かった。その後の実験でもこれが証明され、本態性効血圧を予防するにはカリウムを多く含んだ食品(例えば海藻、ヒマワリの種子、胚芽、アーモンド、レーズン、パセリ、ピーナッツ、イチジク、大豆、リンゴ、バナナ、ビワ、セロリ、ホウレン草、三つ葉などの野菜、果物類など)を十分に食べる必要があると報告している。

 カリウムの1日所要量は成人で2000mgなので、通常の食事をしていれば不足することはまずないといってよい。

木曜日, 12月 29, 2005

ドロマイトについて

○ドロマイト

 飽食の弊害まで叫ばれる近年の栄養事情の中で、ミネラルに関する認識の遅れが指摘されてきたことはよく知られたところである。日本人の栄養摂取の基準は「食事摂取基準」(第6次改定日本人の栄養所要量・2000年)によっており、カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデンの13種のミネラルに、所要量と許容上限摂取量が策定されている。

 カルシウムの1日所要量は成人男性で600~700mg、女性は600mg(許容上限摂取量は2500mg)、マグネシウムは成人男性で280~320mg、女性は240~260mg(許容上限摂取量は650~700mg)である。

 カルシウムの体内存在量は体重比1.5~2.2%だが、単に骨格の成長に寄与、あるいは骨粗鬆症を防ぐだけでなく、全体の1%は細胞内に、0.1%は血清中に遊離イオン、あるいはタンパク質などに結合して存在し、神経刺激の伝達、心筋の運動の調整、ホメオスタシス(恒常性の維持)といった重要な生理活動をつかさどっていることが明らかにされてきている。また、脳細胞内に有害なアルミニウムが入って、アルツハイマー病やボケを引き起こすことを防ぐ働きも指摘されている。

 マグネシウムの体内存在量は体重比0.01%程度で、ほとんどは細胞内にあって酵素の活性を維持する働きが認められ、心疾患の予防、また糖尿病患者には低マグネシウム血症が多く見られることから、近年激増している糖尿病予備軍の健康維持(糖代謝の正常化)にとっても重要とする指摘もある。

 絶えず排泄されるため、摂取不足は直ちに欠乏症に結びつきやすい。また、カルシウムとマグネシウムは体内で一方が減れば一方が増えるという相補的な関係にあるため、摂取に関してはカルシウム2に対してマグネシウム1の割合を保つことが求められる。

 しかし現実問題として、日本人の平均摂取量はカルシウムが550mg前後、マグネシウムが200mg前後とみなされており、加えて10代の成長期や妊娠女性はカルシウムを50%程度(授乳期は85%前後)増量する必要性も提示されており、摂取量の不足が懸念されるのである。

 ドロマイトは、太古、サンゴなどが海底に堆積して石灰岩を形成したあと、そのカルシウムの一部が海水中のマグネシウムと置き換わった鉱石で、カルシウムとマグネシウムの組成比が2:1という願ってもない理想的な割合で含まれ、しかも純度が高い。

 この生物由来の鉱石を微粉末にすることで、白くて無味無臭の、しかも人体への吸収が高く、サプリメントにも栄養補助食品にも最適の素材(食品添加物ではない)が実現した。デンマーク産天然ドロマイトを使った菓子の輸入も厚生労働省から認可されており、国産のドロマイトも市場に供されている。

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水曜日, 12月 28, 2005

バナ・ウォーターについて

○バナ・ウォーター

 水の持つ健康効果への関心の高まりに呼応する多くの機能水が、比較的広範な効用を標榜してきたことに比べると、このバナ・ウォータは、飲用の目的を血糖値の降下(糖尿病の改善)に絞って登場したところに特徴がある。名称の「バナ」は、微量必須ミネラルのひとつであるバナジウム(V)を意味し、機能性成分として酸化バナジウム(V2O5)がある。

 バナ・ウォーターは富士山山麓の玄武岩層(バサルト層)を150m余りボーリングして採水される。これは、雨水や雪解け水が地中深くしみ込んで伏流水となり、ゆっくりと玄武岩層の間を流れる途中で、玄武岩に多く含まれるバナジウムを溶かし込んでいるからである。近年わが国では、飽食による肥満、運動不足、ストレスなどの累積が原因とされる成人(Ⅱ型)糖尿病がその予備軍を加えると1370万人にも達し、まさに新たな国民病の様相を呈しているが、このようなときに、この機能水の果たす役割には、大きな期待が寄せられて然るべきであろう。

 バナ・ウォーターの発見は、全国の岩石分布や、岩石の種類に影響される河川水や地下水のミネラル成分を研究した山梨県環境科学研究所(瀬子義幸・長谷川達也ら)の調査が機縁となった。その調査によって、地元を訪れる相模川と湖水では、他の地域や水系の7~8倍の濃度のバナジウムが認められたのである。そしてこの事実の意味を解析する過程で、1987年に発表されたJ・メイェロヴィッチ(シェバ・メディカルセンター研究所)らによるバナデートの血糖降下作用の研究に結びついた。この研究は、バナデート(酸化バナジウム化合物)の水溶液を高血糖ラットに経口投与したところ、正常値の3倍近かった血糖値が4日後に正常になり、投与を中止すると再び一気に高血糖になった、というものである。

 こうして新たに相模水系の探索が行われ、バナジウムを56ppbの濃度で含む富士山伏流水(バナ・ウォーター)が、高い血糖値効果作用を見出せることが検証された。

 バナジウムがなぜ血糖効果作用を有するかについては、奥田拓道(愛媛大学医学部)らの新しい研究がある。血液中の余分なグルコース(ブドウ糖)やリポタンパクは脂肪細胞に取り込まれて肥満を招くが、肥満状態が続くと、脂肪細胞内の脂肪は自然分解により遊離脂肪酸となって血液中に増えて行く。するとこの遊離脂肪酸にはインスリン抵抗性があるため、筋肉細胞にインスリンの作用で取り込まれたグルコースの代謝を阻害し、次いで筋肉細胞内にグルコースが取り込まれること自体を阻害して、結果的に血糖値を高くし、成人糖尿病を招くことに繋がる。

 このとき、バナジウムは、脂肪細胞内の油滴が自然分解することブロックし、それによって遊離脂肪酸がインスリン抵抗性を出現させることを阻み、血糖の増加を抑え、成人糖尿病の発症にストップをかける、というメカニズムが明らかにされたのである。現在のところ、バナジウム以外で自然分解を抑える物質は知られていない。

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火曜日, 12月 27, 2005

アロエについて

○アロエ

 アロエはアフリカ原産のユリ科の多年草であるが、わが国へ観葉植物として輸入された同属のものだけでも優に200種を超えるほど種類が多い。そのうち日本薬局方への医薬品(苦味健胃・瀉下薬)とされるのはアフリカから輸入されるケープアロエで、従来健康食品や化粧品に繁用されるのはキダチアロエと、比較的新しいアロエベラである。

 アロエの薬用植物として利用は遥か有史前に遡り、史実としてはミイラとともに発掘された古代エジプトのパピルス(紀元前1550年頃)に緩下薬としての利用が記され、また皇帝ネロの侍医ディオスコルテスの書いた「ギリシャ本草」にも薬効の記載がある。こうした歴史を持つだけにヨーロッパ全域で民間薬として定着し、中国へはシルクロードを経由して8世紀頃に生薬名「盧薈」(盧は黒、薈は集まるで、葉の切り口から出る液が空気に触れて酸化すると黒色になり、その塊を意味する)の名でもたらされたとされる。わが国へは鎌倉時代(14世紀)に中国から招来され、18世紀初頭に再びオランダ医学と共に導入されて、以来広く民間薬として今日を迎えている。

 その薬効については、10世紀頃の中国の「開宝本草」に「緩下剤、あるいは火傷、皮膚病、痔疾...」と記されたことの他に、古くから内服によって胃の浄化、健胃、消化促進、便秘、通経に効果が認められ、外用して関節痛、筋肉痛、ヒビ、あかぎれ、イボ、にきびなどの皮膚傷害、脱毛、肌荒れ、水虫などに良いとされてきたが、近年はキダチアロエ、アロエベラ両方の効用として、胃炎、膀胱炎、尿道炎など炎症性疾患、高血圧、浮腫、喘息を含む呼吸器疾患、糖尿病(インスリン様の血糖値降下作用)、悪酔い、痛風、腫瘍やガンなどへの効果が実験的にも臨床的にも繰り返し報告されている。

 薬効成分としては早くからアロイン(苦味配糖体で健胃・瀉血・緩下効果を持つ)、アロエエモジン(苦味健胃・瀉血・緩下効果)、アロエニン(健胃・緩下・抗アレルギー作用)、アロエチン(抗菌・美白)などが確認されていたが、抗菌作用物質とされてきたアロエウルシンに抗潰瘍作用が見出されたり、抗ガン性と関わりを持つ抗腫瘍・免疫機能活性成分として、アロエマンナン、アロミチン、アロエレクチンなど多数が新たに発見されている。そのほか、サポニン、ムコ多糖体、葉緑素、ビタミンA・B12・C・Eなど一般的な薬効成分も加わった相乗作用で、免疫機能が亢進され、その結果として、アロエの多彩な効用が生まれるものと考えられている。

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月曜日, 12月 26, 2005

卵黄油(卵油)について

○卵黄油(卵油)

 卵黄油は、いつの頃からか家庭で作られ、貴重な健康法のひとつとして利用されてきた。現代家庭療法の古典ともいえる「家庭における実際的看護の秘訣」(通称・赤本)が1925年(大正14年)に発刊されたが、その中には心臓病、若白毛などが卵黄油によって良くなった実例が紹介されている。それ以降の用例を見ても、卵黄油が血行を良くし、肩こりや腰の痛みなどを取り、疲労感を和らげ、体全体に活力を吹き込むものとして利用されている。

 人間の体は60兆個ともいわれる膨大な数の細胞からできている。その細胞全てが十分に栄養を摂取し、新陳代謝が行われていれば、健康体を維持できるわけであるが、卵黄油は血液循環を活発にして、体の隅々まで栄養を行き届かせる効用がある。

 卵優の含有成分を見ると、生命の基礎的物質であるレシチンや、血管に溜まった余分なコレステロールを取り除くリノール酸などの不飽和脂肪酸があり、血液循環や新陳代謝を活発するのに役立っていると考えられる。

 こうした卵黄油の効用・作用は、①筋肉に良い栄養となる、②筋力だけでできている心臓の働きに良い、③血の巡りをよくして禿や白髪を防ぐ力がある、④血行不良が原因となる肩こり、筋肉痛の改善に役立つ、⑤外用すれば、痔にも有効である、⑥女性が最も気にする自然の美肌作りにも大いに役立つ、というように多彩である。いずにせよ血液の循環は健康の基本なので、そのほかにも派生的に様々な効能が期待されるのである。

 卵黄油の作り方は、鶏卵の黄身だけを取り出して、長時間にわたって、とろ火で焼き上げていく。終わり頃に少量の油が残る。これが卵黄油である。

 家庭で作るには2時間ほど要する。用意するものは、鶏卵の黄身を10~20個、そしてフライパン、しゃもじ(柄の長いもの)。作り方は、はじめに黄身だけを取り出してフライパンにいれ、とろ火にかける。①火にかけてから煎り卵を作るときのように、良くかき混ぜる。②次第に煎り卵のように黄身がボロボロになってくる。それをしゃもじで押しつぶしながら、平均に焼けるようにかき回す。③ボロボロの塊は細かいつぶになる。④さらにかき混ぜていくと、全体が狐色になり、やがて濃い茶色に変わる。この頃には濃い異臭が立つようになる。⑤黄身はボロボロになり、これを押しつぶすようにかき混ぜる。⑥徐々にベトベトシタ液体になり、黒い液体がにじみ出てくる。この頃にはフライパンを一方へ傾け、黒い液(卵黄油)だけを留めるようにする。⑦十分に油が出たところで、火を止める。(あまり長く焼きすぎると、油がなくなってしまう。)これをさらに取っておく。

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日曜日, 12月 25, 2005

ビフィズス菌について

○ビフィズス菌

 人間の体内には、特に口から肛門までの消化管の中に多くの細菌が集中して棲みつき、増殖と死滅を繰り返している。例えば、口の中で、唾液1ml当たり1000万個もの細菌がいる。それが胃液の中では1000個以下に減ってしまう。これは胃液の殺菌作用によるもので、その中でも生き残るものにビフィズス菌、桿菌、ストレプトコッカスのある種などの有用な乳酸菌がある。このような胃液の殺菌力は空腹時に強く、食物が入ってくると胃液の酸度が低下し、胃の中の細菌数も増加する。また、胃酸と病気の関係で言うと、「胃酸過多の人は胃潰瘍になりやすく、ガンにはなりにくい」、逆に「胃酸の少ない人には胃ガンが多い」といわれる。理由はまだ解明されていないが、胃酸の働きが十分でないと、菌が増殖しニトロソアミンなどの発ガン物質を生成し、これが胃ガンの原因になるのではないかといわれている。

 そこで、腸内の有用菌、とくに乳酸菌やビフィズス菌などの働きが注目されるのである。

 人間は、母親の胎内にいるときは全くの無菌状態にある。しかし、いったん胎内から生まれ出ると、まず産道の細菌や外界のバイ菌の洗礼を受け、生後1~2日目では大腸菌、腸球菌、ウェルシュ菌などが腸内に発生する。3~4日目にはビフィズス菌が現れて前記の有害菌が減り始め、5日目頃にはビフィズス菌が圧倒的に優勢になる。以後、ビフィズス菌は一定の数を保ち、離乳食から成人に至る。その間に、腸内では有用菌と有害菌のバランスが保たれる。

 それが老齢期に入ると、そのバランスに変化が起こる。ビフィズス菌が減り、代わって大腸菌やウェルシュ菌といった有害菌が急速に増えはじめる。このことから老化は腸内から始まるといわれるわけである。

 これら有害菌は、腸内の食物、特にタンパク質や脂肪を腐敗させ、有害物質を作り出し、これらの物質が血液に乗って体の各細胞に送られる。つまり、細胞の栄養代謝に支障をきたす原因になる。その結果、老化を一層促進すると考えられる。

 人間にとって有用な菌がいくつか発見され、そのたびに脚光を浴びてきた。乳酸桿菌、ヨーグルトに含まれるブルガリア菌、アシドフィルス菌などもそうであるが、最近ではビフィズス菌の重要性が注目されている。それは、健康な人の腸内を調べると、ビフィズス菌が圧倒的に優勢な状態で棲みついているからである。ビフィズス菌の効用について、その全てが解明されたわけではない。肝硬変の末期症状に有効性を発揮したケースもあるが、現段階の知見では、腸内の環境を良くして、健康の維持・増進、老化防止に有効であることは間違えない。

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土曜日, 12月 24, 2005

グァバ茶について

○グァバ茶

 グァバは、熱帯アメリカや東南アジアを原産地とするフトモモ科の落葉小高木で、わが国ではバンジロウとして知られている。中国名は蕃石榴。最近は宮崎、熊本などでも温室栽培されている。

 果実は生食やジュースなどにされるが、葉もお茶として利用されている。沖縄や台湾では、糖尿病、下痢、歯痛、口内炎、胃潰瘍に効果があるお茶として古くから愛飲されてきた。グァバ茶は、見た目は番茶のような色をしているが、味は日本茶とも中国茶とも違い、ヨモギのような薬草の香りがする。

 グァバ茶の主な成分は、葉緑素、葉酸、ビタミンA・B2・C・E、カリウムで、多種類のタンパク質、多糖類を含む。また、グァバ葉の乾物にはビタミンB群・Cのほか、ビタミンUと呼ばれるビタミン様物質も含まれている。ビタミンUは胃酸の分泌を抑え、胃粘膜の新陳代謝を促進させることから、胃潰瘍などを改善させる効果がある。

 グァバ茶には古くから糖尿病を改善する効果のあることが知られていたが、最近、ヤクルトなどの研究により、グァバ茶に含まれるグァバポリフェノールの作用によって、食後の血糖値の上昇を抑え、糖尿病を予防する効果のあることが科学的に明らかにされた。

 食事などで摂られたデンプンや砂糖などの糖質は、消化酵素によってブドウ糖という小さな分子に分解されて、初めて小腸から血液中に吸収される。血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がると膵臓からインスリンが分泌され、血液中のブドウ糖を細胞側にエネルギーとして渡す作業が活発化する。その結果、血糖値は次第に戻るわけだが、インスリンの量が十分でなかったり、その働きが弱い場合は、血糖値はなかなか元に戻らず、長時間にわたって高い状態が続く。これが食事のたびに繰り返されると、糖尿病の発症へと繋がっていくわけである。

 同社の研究によると、体内に入った糖質は、ブドウ糖にまで分解されなければ小腸では吸収されないため、消化酵素の働きを抑えて糖質の分解を減らし、糖の吸収を穏やかにすることで血糖値の急激な上昇を抑えるということだった。グァバポリフェノールには消化酵素の働きを抑える糖質分解酵素活性阻害作用があるため、一部の糖質はブドウ糖に分解されずに、そのまま大腸で腸内細菌に利用されたり、体外に排出される。結果的には、小腸から血液に吸収されるブドウ糖の量が減少するために、血糖値の急激な上昇を抑制するというものである。また、食後の血糖値の急激な上昇は抑えても、血糖値が下がる過ぎることはなく、常に高血糖値にならない状態を継続することで、体のインスリンへの感受性が高まり、糖尿病になりにくい体質に改善されていくことも期待できるという。

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金曜日, 12月 23, 2005

ガルシニア・カンボジア(HCA)について

○ガルシニア・カンボジア(HCA)

 ガルシニア・カンボジアは南アジア(南インドやスリランカなど)の多雨低地帯に自生するオトギリソウ科の果樹で、別名をゴラカ、またはタマリンドマラバールという。オレンジ大の縦溝のある黄色もしくは赤い果実には酸味があり、現地では古くから調味料としてカレーのスパイスやライムの代用にも使われてきた。

 健康食品として注目されるようになったのは、1994年にアメリカで”食べながら痩せられるダイエット素材”として人気を呼んだことが始まりである。ガルシニア・カンボジアの果皮には、ヒドロキシクエン酸(HCA)という物質が含まれている。これは柑橘類に多く含まれるクエン酸に似た物質で、1960年代初めに植物の有益な成分を探す過程で発見され研究が続けられてきたが、次のようなダイエット効果のあることがわかったのである。

 すなわち、食べた糖質や脂肪は体内でブドウ糖に分解されてエネルギー源となるが、エネルギーに使われなかった余剰分はATPクエン酸リアーゼという酵素の働きで脂肪となり、体脂肪として蓄積される。これが肥満の原因となるのであるが、食前にガルシニア食品を摂っておくと、HCAが酵素に結合してその働きを阻害するので脂肪がつきにくく、そのため食べても太らないという結果になるのである。カロリーは十分なので、疲労や倦怠も起こらないで済む。

 さらに、体脂肪にならなかったブドウ糖はグリコーゲンとなり、食後の血糖値がゆっくりと減じていく効果とグリコーゲンが蓄積する効果が相乗的に働いて、満腹中枢が刺激されるために空腹感を感じにくくなり、食事の量が自然に減っていく。また、ブドウ糖が体脂肪に変化するときには体に必要な脂肪酸も一緒にできるのだが、その産生がHCAによってブロックされるために、体の中では蓄積された脂肪を分解してその不足を補おうとするために、効率的に体脂肪を減らせるということになるのである。

 アメリカで1993年に行われた二重盲検法による臨床試験では、標準体重より14~45%重い男女40人(21~55歳)を2組に分け、どちらにも同じ食事指導をしながら、一方にだけガルシニアエキスを使用したところ、その組(23人)は8週間で5キロ体重が減ったのに対し、使わなかった組は1.9キロしか減らなかったという結果を得ている。

 ガルシニア・カンボジアの健康機能性では、運動持久力を高める効果も見出されている。日本ハム商品技術研究所と日本新薬食品開発研究所、韓国老人健康研究所の共同研究「ガルシニアエキス入りハムの人の活動力に及ぼす影響」(2000年11月、第3回日本補完・代替医療学会で発表)によると、韓国の大学でサッカー選手6人にガルシニアエキス入りボンレスハムを毎朝50g、5日間食させ、その効果をエルゴメーター(固定式自転車)による運動負荷後の選手の体力測定により検証したところ、ガルシニアエキスを含まないハム摂取時に比べ、運動開始時から脂肪酸酸化量が増加し、高負荷条件で体力が尽きるまで運動できた時間が延長するなどの効果が確認された。同研究ではさらに、ガルシニアエキスに脂肪燃焼速度を増加させる機能も見出している。研究グループでは、この機能を活かし、タンパク質を補給しながら脂肪の燃焼速度を高め、運動エネルギーの増加が見込めるような畜産製品の開発が期待できるとしている。

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木曜日, 12月 22, 2005

シイタケ菌糸体エキス(L.E.M)について

○シイタケ菌糸体エキス

 キノコは、発芽した胞子から菌糸が伸び、地中や原木中で増殖して菌糸体となる。温度や湿度などの条件が揃うと菌糸体が集合した子実体と呼ばれるキノコを発生させ、胞子を形成して残す。つまり食用にする子実体の部分は、キノコ類が子孫を残すために胞子に作る生殖体、すなわち”菌糸が高度に集合したもの”である。言い換えれば、菌糸体こそ子実体を発生させる力を持つキノコの正体であり、キノコの有効性の基はここに内在しているということが考えられる。

 この菌糸体が内包する強靭な生命力を利用する目的で「シイタケ菌糸体培養抽出技術」が開発された。培養基はバガス(サトウキビを搾った残りの繊維質)に米糠を混合し水分調整されることで作られる。それを高圧蒸気滅菌した上で、雑菌の進入を防ぎながら厳選された特定の種菌を摂取して培養。やがて白色糸状の菌糸が培地全体に蔓延した段階で低温ショックを与えたあと、倍地を解束し抽出タンクに投入、加水・加温する。酵素を添加して攪拌・擂潰することで有効成分が代謝産物と共に抽出されてくるというのが、その製法の概略である。

 この抽出物「シイタケ菌糸体培養抽出物(L.E.M)」であり、多糖タンパク質、β-D-グルカン、エリタデニン、リグニンなどが含まれ、子実体の成分とは異なる。この培養抽出物を用いた健康食品の免疫調節作用、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用などを中心とする多くの機能が、大学や製薬会社、民間研究機関などによって明らかにされてきた。抗ガン作用については、乳ガン自然発症とランスジェマニックマウスにL.E.Mを4週間投与して延命効果及び腫瘍組織の病理学検討を行った研究で、無処置群に比べて平均2週間の延命効果を示した。さらに腫瘍組織の病理検査を行ったところL.E.M投与群では腫瘍細胞にγδT細胞を中心としたリンパ球の顕著な浸潤が認められ、一部腫瘍の壊死像も観察された(佐賀生活習慣病対策研究会、1999年)。オーストラリアで行われた第17回国際栄養学会(2001年)で発表された動脈硬化に対する研究は、病変占有面積がL.E.Mを8週間与えた群は対照群48.7±15.3に比べて、26.2±10.8と優位に改善され、動脈硬化指数も対照群16.96±9.2に対し6.62±4.31と優位に改善されており、その動脈硬化に対する予防・改善効果は注目を浴びた。

 また、肝細胞ガンのハイリスクグループとされるC型ないしB型肝炎に対する効果も臨床的に確認されており、ウイルスの減少等が報告されている。そのほかにも、チロシナーゼ活性阻害作用による美白効果があり、すでに粧源基として認められていることから健康食品分野のみにとどまらず、化粧品原料としても今後更なる展開が期待される。

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水曜日, 12月 21, 2005

シイタケについて

○シイタケ

 シイタケは(椎茸)は日本人の食生活に欠かせないシメジ科の食用菌で、江戸時代中頃にはすでに栽培されていたが、「原木(榾木)栽培」やおが屑栽培(菌床栽培)などの人工栽培法が確立したのは昭和に入ってからで、昭和30年代以降は年間を通じて生シイタケが供給されている。

 中国でもその香りや味か好まれ「香蕈、香菌」などの字が充てられるとともに、古くからその健康効果が認められてきた。明治初期に呉端(医者)は「シイタケは気を益し、飢えず、風を治し、血を破る」と「日用本草」(1620年)に記載しており、その認識は現代中国医学にも引き継がれ「中国薬用真菌」(1974年)には「気力を高め、五風(風邪・中風・痛風・瘋癲・頭痛)を改善し、血液を固まらせないように保ち、体内の余分な水分を防ぎ、気力を調える。そして肝硬変を予防し、血中コレステロールを下げ、動脈硬化や血管の弱くなるのを防ぎ、常食すればガンを予防できる」と記されている。この記載の正しいことはわが国の現代医学でも立証済みで、子実体から抽出されたレンチナンという多糖体は、抗ガン剤として認可(胃ガンの注射薬、1985年)されている。レンチナンにはまた、その他の機能として、抗菌、エイズへの有効性を含む抗ウイルス作用、免疫細胞の活性化(生体防御機能の増強)作用などが見出されている。

 シイタケは栄養的にはビタミンDの前駆体であるエルゴステロールの含有量が多く、これがカルシウムの吸収を高めるほか、ビタミンB1は心臓肥大を防いで炭水化物の代謝を促進し、B2は脂肪の過酸化を抑制して動脈硬化を防ぎ、B6は皮膚炎・貧血・糖尿病などに有効である。さらにビタミンB群とカリウム、食物繊維などの相乗効果による抗血栓作用、さらにエリタデニン(レンチナシン)という核酸誘導体の働きも加わって、血行改善、血中コレステロール値の改善、高血圧、動脈硬化、肥満、便秘、美容などへの効果が期待されている。

 このようなシイタケの機能性の恩恵を積極的に享受する目的で、シイタケ子実体から抽出したエキス、またそれを粉末化して製品とした健康食品が供給されている。

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火曜日, 12月 20, 2005

甜茶について

○甜茶

 甜の文字の意味は、「甜い・旨い」であり、甜茶は文字通り甘いのであるが、それは味覚だけ出なく、甘い言葉というときの甘さのニュアンスも込められているという。その甜茶には、牛白藤(アカネ科)、土常山(ユキノシタ科)、多穂石柯葉(ブナ科)の3種類があることが中薬大辞典に記載されているが、最近わが国で優れた特性が注目されている甜茶は、そのいずれとも異なるバラ科キイチゴ族の甜葉懸鈎子という植物である。

 この正式名称は日中共同の「日本と中国南部の常緑広葉樹林構成植物の化学分類学的細胞分類学的比較研究(1994年)」において確定された。

 甜葉懸鈎子は、葉柄に刺を持つ高さ2~3mの潅木で中国南西部の広西壮族自治区の山岳地にのみ産し、特に瑤族の人々に愛され、桂林では開胃茶とも呼ばれて食欲増進、去痰、咳止め、解熱に効くとされてきたもので、「中国本草図録」、「広西薬用植物名録」などにその記載がある。

 わが国への招来当初は”肥満しない甘味料”として、砂糖の75倍にもなる甘み成分(本来の化学名はルブソシド)が注目され、酵素反応によりさらに味質と甘味度を改良する方法が研究される一方、日常的な新しい健康茶としての飲み方の工夫やエキス化も実現したが、開発の過程で抗炎症作用、抗アレルギー効果、ミネラルバランスの良さ(ナトリウムに比してカリウムが圧倒的に多く、カルシウム、マグネシウムの含有量が多い)などが次々に見つかった。

 すでに多くの基礎研究、臨床試験が報告されているが、目覚しいものとして抗炎症、抗アレルギー効果があげられよう。くしゃみ・鼻水・鼻づまり、嗅覚障害、目のかゆみや涙目などで毎シーズン話題を呼ぶ花粉症もそのひとつであるが、三重大学医学部の鵜飼幸太郎らは喉の異常を含めたこれら諸症状に通念的に苦しんでいる患者を対象に、甜茶エキス飴(1粒に40mg、1日3粒)を投与して、4週間の全般改善では著名改善を含む中等以上の改善47.6%、軽度以上の改善76.2%という好結果を得ている。投与全平均1日5.3回だったくしゃみ発作回数が、2週間後4.1回、4週間後3.3回になったという数字は、患者にとって福音であろう。

 アレルギー反応は、体内の肥満細胞(マスト細胞)から分泌されるヒスタミンが引き金となるI型アレルギーの例が多いが、このことを逆に利用して甜茶の活性成分(ヒスタミンの分泌抑制成分)がGOD型エラジタンニンのポリマーであることも明らかにされた。

 そのほか、難治性の湿疹やアトピー性皮膚炎などへの効用(起炎物質の生成抑制)や、ダイエットに冠してデンプンの消化酵素であるα-アミラーゼの働きを阻害したり、脂肪分解酵素リパーゼの働きを阻害することで肥満を防ぐ作用のあること、あるいは歯周病の原因菌が歯に付着するのを強くブロックする(歯周病や口臭を防ぐ)作用なども報告され、広範な需要に応えてそれらの働きを相乗的に高める食材をブレンドした製品も市場に出ている。

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月曜日, 12月 19, 2005

コンドロイチン硫酸について

○コンドロイチン硫酸

 動物の細胞、線維、組織、器官の間を結び付けて、それらの支持、保護、栄養補給の役目をする組織を結合組織といい、その主要成分はムコ多糖体と呼ばれる粘性物質(ネバネバ成分)であるが、コンドロイチン硫酸はその重要な構成成分のひとつで、骨の形成、傷の治癒、感染防止(免疫体の産生)などの生理作用を持つ物質である。

 19世紀半ばに動物の軟骨の研究から発見された物質にコンドロイチン(軟骨という意味のギリシャ)という名が与えられたあと、ようやく1946年になってその化学構造が決定されたが、その薬理作用については早くから注目が集まり、すでに1936年には偏頭痛、抗潰瘍の薬剤として臨床実験が行われたという古い歴史を持っている。

 コンドロイチン硫酸は、体内ではタンパク質と結びついたコンドロムコ蛋白という形で、主に皮膚、血管壁、軟骨、人体、関節、眼球、角膜、粘液、各臓器などに分布して、後述のような様々な働きをする。しかし、若い成長期には体内でも生合成されるのであるが、加齢とともに産生されなくなり、欠乏症を招いたり、例えば皮膚の保水性や潤滑性が失われて老人性の皺やカサカサ肌の原因となったりするので、どうしても外部から補給しなくてはならないのである。

 コンドロイチン硫酸の体内における生理作用としては、①線維(コラーゲン、エラスチン)や細胞群とともに結合組織を構成し、体細胞が正常に生存できる基盤となる、②組織に保水性、潤滑性、弾力性を与え、栄養分の消化吸収・運搬・新陳代謝を促進する、③カルシウムの代謝に深く関与して、骨の成長、骨折の回復、骨粗しょう症の防止する、④傷ついた皮膚や組織の参照を補修する、⑤血液中のコレステロールや過酸化脂質を除去し(脂血清澄作用)、動脈硬化や高血圧を予防する、⑥関節軟骨の成分の27~43%も占めて、関節・靭帯・腱の弾力性、円滑性を保つ、⑦皮膚のみずみずしさ、若々しさを向上させる、⑧目の角膜や水晶体の透明性や弾力性を保持する、⑨細胞の増殖を促進し、精子を増殖する(造精作用)、などがあげられ、こうした作用が実証されていく過程で、コンドロイチン硫酸は動脈硬化、解毒、代謝異常、腎疾患、難聴、炎症などへの薬理効果が次々に明らかにされ、わが国でもすでに腎炎、ネフローゼ、リウマチ、神経痛、腰痛、五十肩、肩こり、夜尿症、眼疾患、脱毛症などを適応症とする医薬品に用いられている。

 一般の食物として植物性、動物性を問わずネバネバしたもの、例えば納豆、山芋、オクラ、なめこ、海草、フカひれ、ツバメの巣、スッポンなどに若干含まれており、植物性よりも動物性のほうが体内の効率は高いのであるが、いずれにせよ含有量がそれほど多いわけではない。そこでこの優れた機能性を誰もが日常的に享受して、老化防止や健康の維持回復を図りやすくした健康食品も各種開発されており、原料にはサメの軟骨、牛の軟骨が用いられている。

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日曜日, 12月 18, 2005

エキナセアについて

○エキナセア

 エキナセア(エキナケア、エヒナセアとも呼ばれる)は、北アメリカ平原一帯に分布するキク科の多年草植物で、和名をムラサキバレンギクという。夏から秋にかけて紫色の美しい花を咲かせ、観賞用ハーブとしても人気が高い。

 ネイティブ・アメリカンの間では古くから薬草としてつかられてきた歴史があり、根の部分を噛んで風邪の予防や歯痛・喉の痛みを治したり、石ですりつぶして液上にしたものを傷・火傷の外用薬として用いてきた。19世紀末になって、その薬効は医療関係者にも広く知られるようになり、20世紀初頭にはアメリカの医者が最も良く購入する薬草にまでなった。

 エキナセアはヨーロッパで知られるようになったのは1895年頃で、ドイツの科学者が自国へ持ち帰り、ヨーロッパでの栽培が始まってからである。その後、ミュンヘン大学などが中心になって臨床研究を実施、経験的に知られていた風邪やインフルエンザなど感染症の予防と治療、抗菌性などから、気管支炎、尿路感染症、疝痛、浮腫、鼻粘膜の乾燥、アレルギーなどに対する作用、免疫力賦活作用、抗バクテリア、抗ウイルス作用(抗生物質作用)、抗炎症作用などが認知された。

 含有成分の分析も早くから行われており、今日では、エキナセアの有効成分としてシコリック酸(多糖類)、アルカミド(ドデカ四酸イソブチルアミド)、ポリサッカロイド、フラボノイド、グリコプロティン、コーヒー酸などが同定されている。特に免疫促進作剤としての可能性に焦点を当てた成分研究では、ミュンヘン大学薬学部のH・ワグナーらによって、エキナセアに含まれるフコガラクトキシログルカンと酸性アラビノガラクタンの2の多糖が、好中球やマクロファージなどの免疫細胞を活性化させ、免疫応答物質として知られるインターロイキンなどの産生を促進することが報告されている。

 現在、エキナセアはドイツで最も人気のあるメディカルハーブとして、280種類を超える関連製品が作られている。ドイツではハーブから抽出した成分が規格に定める量含まれる製品をフィト(植物性)医薬品と呼び、適応症に対する効能が認められているが、エキナセアのエキスやチンキ製剤は風邪やインフルエンザ、感染症の緩和と予防に、また、細胞の免疫力を促進し安定させる非特異的免疫作用促進剤として感染症の治療にも使われている。エキナセアの軟膏は、傷やただれ、湿疹や火傷、日焼けなど炎症性の皮膚疾患に良く使われている。

 エキナセアは原産国アメリカでの人気も高く、ハーブ市場では風邪予防や免疫力向上に有効なハーブとして売り上げトップの位置を維持している。最近は、わが国でもメディカルハーブとしての地歩を固めてきており、1997年にはH・ワグナーが来日し、日本薬学会で特別講演を行っている。

 フィト医薬品は品種やエキスの抽出法によって効果が大きく異なるため、ドイツでは成分含有量の厳格な規格化が行われているが、エキナセアについても1990年代に規格化の検討が開始され、97年には一連の検討結果が公表されている。

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土曜日, 12月 17, 2005

サジー(沙棘)について

○サジー(沙棘)

 サジーはナワシログミ科の多年草植物で、ユーラシア大陸全域、とくに中国黄河流域を中心に自生分布している。自然条件の厳しい乾燥した寒い山間部で育つことから、その強い生命力と、豊富に含まれる薬理成分によって、中国では珍しい果実、中国国宝とまで言われ、高い評価を得ている薬用植物である。サジーはまた、土壌流失の防止、自然環境の保全にも有効であることから、特に中国内陸山間部の経済発展を促進する重要な植物として期待されている。

 サジーの薬用植物としての評価は古く、唐の時代に編集された「月王薬珍」「四部医典」、清の時代の「晶珠本草」などの古典医学書に医薬用途が記載されている。1977年に中国衛生部が中国薬典に、サジーを薬と食物の両用品目として正式記載している。また、旧ソ連でも早くからサジーの薬理研究に取り組み、数多くの基礎研究と臨床実験を通じて、サジーの果実やサジー油の活性成分は160~190種類あることを見出し、いち早くサジーを正式な医薬品として認め、宇宙事業の医学部門においては宇宙飛行士の保険薬品にも指定している。

 60年代から始まった中国におけるサジーの薬理研究によると、サジーは果汁、果実油、種子油、葉など各部位に有効成分が含まれるが、果汁のビタミンC含有量は他の果物の含有量を全て上回っているという。また、種子油、果実油はビタミンEとβ-カロチンの含有量が高く、他に必須アミノ酸を始め、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、セレンなどの微量元素やクマリン、ヒロカテコール、グリシン、ペタイン、5-オキシトリプタミンといった抗酸化物質や生理活性成分が含まれている。

 サジーの薬理効果として現在までに明らかにされているのは、①循環器疾患に対する効果、②虚血性脳血管障害に対する効果、③新陳代謝及び自己免疫系統に対する効果、④腫瘍・ガンに対する効果、⑤呼吸器疾患に対する効果、⑥消化器疾患に対する効果、⑦肝臓の保護作用、⑧各種炎症・皮膚再生効果、⑨脳代謝改善作用、⑩老化防止作用などである。

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金曜日, 12月 16, 2005

三七(田七)人参について

○三七(田七)人参

 三七人参は中国南西部(雲南省・四川省・広西省)を原産とするウコギ科の多年草で、別名を田七人参、特に三七、参三七、田三七などとも呼ばれる。和名は人参三七。

 珍しいこの三七の名称は、根が生薬とするに必要な大きさに育つのに3~7年かかるからともいわれるが、茎から伸びた3本の枝の先にそれぞれ7枚の葉からつくからともいわれる。同じウコギ科に、北方に産する高麗人参があるが、三七人参は生薬としてまさしくその対抗馬のような存在といえよう。

 三七人参は、古くから雲南地方では金不換(金で買えないもの)といわれるほど、数多い生薬の中でも最高級の秘薬としてされてきた。古くから止血作用がよく知られ、本草綱目では戦場での金瘡(切り傷)の要薬としての卓効があるとして、漆のように傷口をしっかり防ぐのでヤマウルシとも記されている。本草綱目拾遺(趙学敏著)は、高麗人参が補気第一であるのに対し、三七人参は補血第一と述べ、精がつくというよりもむしろ力が溢れるように働く三七人参の特徴を指摘している。

 一般的には滋養強壮、疲労回復、血圧調整、狭心症、脳出血、自律神経失調症、減肥、美肌効果などが広く知られているが、独自のフードダイナミックス理論による医療を行っている医学博士・重野哲寛の臨床研究によると、三七人参は低血圧の無気力状態から脱出できる一方、高血圧の血圧降下作用を併せ持ち、また慢性肝炎や肝硬変ではGTO、GPT値が低下、慢性肝炎では尿の潜血反応が陰性になるなどの効果があるとしている。横田直美による「インターフェロンが適応しなかった慢性C型肝炎の改善例」報告(日本東洋医学会、1995年)も、三七人参の新局面を示唆している。

 また、高麗人参よりも含有量が数倍多く7~12%も含まれる人参サポニンは、血中コレステロールの低下、活性酸素による過酸化脂質生成の抑制、痩身効果などのほか、免疫力増強、核酸の合成促進、血糖値の改善、中枢神経の鎮静などの薬理作用が明らかにされており、サポニンが他の有効成分と相乗的に働いて、ガンやアレルギーあるいはリウマチなど、免疫に関わる異常に対し有効に働くとする研究発表も多い。

 抗ガン性に関する研究では、京都薬科大学の木島孝夫が行ったマウスを使った実験がよく知られている(1992年、日本癌学会総会で発表)。それによると、背中に皮膚ガンの発ガン物質を塗ったマウスと、発ガン物質を塗った後に三七人参のエキスを塗ったマウスの腫瘍発生を比べたところ、三七人参エキスを塗ったマウスは発ガンが30%に抑制された。この実験は肝臓ガンと肺ガンについても行われたが、どちらも発ガンが抑えられた。これは、人参サポニンが免疫力の増強に働いていること、また、三七人参に含まれる有機ゲルマニウムが体内のウイルス感染を防ぐ、インターフェロンを誘発させ、これらが相乗的に作用しているからではないかとしている。

 三七人参の抗ガン作用に関する研究は京都薬科大学のほか、静岡薬科大学、昭和大学などでも進められている。

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木曜日, 12月 15, 2005

食物繊維(ダイエタリーファイバー)について

○食物繊維(ダイエタリーファイバー)

 植物は炭酸ガスと水から光合成によって炭水化物(炭素・酸素・水素の化合物である単糖類や多糖類)を作り、動物はそれを摂取して栄養とするが、その場合、それらを消化できる消化酵素がなければ、糖質の分子が大きすぎて腸管から吸収することができず、栄養として役立てることができない。したがって、草食動物ならそれを消化吸収できる植物の硬い繊維質(粗組織)を、人間は利用できない無用の残りかすとして、栄養価のない、便量を増やすくらいの働きしかないものと見なして来たのが従来の古典的な栄養学であった。

 しかし近年、これら難消化性の繊維質が、全く別の積極的な役割を持つことが順次明らかにされて注目を集めるようになったばかりか、それらを含めて食物繊維(ダイエタリーファイバー)を新たに栄養素のひとつに加えようという考え方が主流になってきている。

 また日本では「五訂日本食品標準成分表」において(現在は六訂)、従来は単に炭水化物のうちの繊維としていたものを食物繊維として独立させ、その総量、水溶性、不溶性を食物ごとに明示することになった。

 そして「食物繊維は人の消化酵素では消化されない、食品中の難消化成分」とし、主要成分は炭水化物(一部はキチンのような非炭水化物も含まれる)であり、その性質から植物ガム、粘質物(マンナン)、海藻多糖類・ペクチン・ヘミセルロースの一部などの水溶性食物繊維と、同じく海藻多糖類・ペクチン・ヘミセルロースの一部、セルロース、リグニン、キチンなどの不溶性食物繊維とに区分した。

 このように食物繊維の働きが世界的に注目されるようになったのは、医学上の統計的研究によるところが大きく、そのひとつに欧米諸国とアフリカ原住民とを比較した英国医師バーキットの研究(1971年)がよく知られている。

 それによれば、いわゆる文明国では、心臓病、糖尿病、脳卒中、ガンなどの病気が大幅に増えてきているのに比べて、アフリカ原住民には糖尿病、動脈硬化、大腸炎、虫垂炎、大腸ガン、結腸ガンなどか少なく、さらに、同じ種族であって、欧米式の食生活をしている住民にはそれらの病気が多かった。

 この結果の背後にある要因として、アフリカ原住民のカロリー源には穀類や野菜など炭水化物が多く、そのため繊維質(粗組織)の摂取量が多いのに対し、欧米人は肉食中心で、またパン類の原料も繊維質を除いた精白小麦粉であるから、食事全体を比べると両者の繊維質の摂取量は極端に違うという事実がクローズアップされたのである。

 こうした先駆的研究を追う形で、それまで栄養にならない不要の成分と見られてきた食品中の繊維質(粗組織)に関する研究が急テンポで進み、初期の研究としては、例えば動物実験で高コレステロール食に繊維質(いずれか一種)を加えて飼育すると、加えないグループよりコレステロール値は著しく低く、肝機能も正常で、特にペクチン、こんにゃくマンナンに効果があったとするものや、あるいは多量の亜鉛や砒素、有害食品添加物である赤色2号を食餌に混入しても、同時に大根、人参、ゴボウ、タケノコなど粗繊維の多い食物を与えたラットは正常や成長過程をたどることを見出した実験なども報告されている。

 このような初歩的実験が近年行われたことからもわかるように、食物繊維に関する認識は遅れをとっていたのであるが、その後急速にその機能性が解明されて、コレステロールの吸収抑制、摂取ナトリウムの対外排泄、糖質の消化吸収抑制、腸内有用菌の増殖効果、便秘の改善、血圧の正常化、美肌、虫歯予防、大腸ガンや憩室症の予防効果などが報告されている。

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水曜日, 12月 14, 2005

シルク(絹)について

○シルク(絹)

 シルク(絹)が優れた天然素材であることはことを俟たないが、本来の繊維としての需要は、このところ他の素材に追われて低迷を続けてきた。しかし、あまりにも伝統的に完璧な繊維素材であったために、タンパク質の宝庫であることは分かりながら、絹を繊維以外の分野で新たに復活させようという発想は、なかなか生まれるものではなかった。この壁をクリアして、絹の機能性食品化に道を開いたのは平林潔(信州大学教授)らである。

 蚕が作る絹糸は、二条の絹フィブロン(絹糸フィブロイン)という水溶性の繊維タンパク質を、セリシンという水溶性のタンパク質が被覆する形をとっている。全体の80%を占めるこの絹フィブロンは、分子量が30万以上もある高分子であるため、食べても消化吸収することはできない。しかし、希薄な炭酸水素ナトリウム溶液で外側のセリシンを取り除いたあと、アクチナーゼなどの酵素、もしくは塩化カルシウム、酸による加水分解などを行うことによって、絹フィブロインは飛躍的に分子量の小さいアミノ酸やオリゴペプチド(10個未満程度のアミノ酸が連なった比較的小さいタンパク質)にまで分解され、爽やかな甘みを有する水溶液、または粉末が得られる。これによって消化率は90%台にまで向上するため、機能性成分としての食効が期待されるのである。

 絹フィブロインは、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、トリプトファン、メチオニンという必須アミノ酸(重量比合計7.7%)のほか、グリシンの重量比35.5%を筆頭に、アラニン、セリン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、シスチン、ブロリン、ヒスチジンなど計18種のアミノ酸からなるが、食べるシルクはこれら貴重なアミノ酸の集合体ということになる。

 従来のアミノ酸研究によって、例えばアラニンのアルコール代謝促進(悪酔いの防止効果)、グリシンやセリンの血中コレステロール低下、チロシンの痴呆症予防効果などが報告されているが、平林らは水溶性シルク粉末を用いたラットの実験によって、いずれの効果も確認している。

 とりわけ注目すべきは、生活習慣病の中でも圧倒的に患者または予備軍の多い糖尿病に対し、シルク粉末投与が血中のインスリン濃度をほぼ倍増させる(例えば5.33mg/kg→11.43mg/kg)ことが実証されたことであろう。これは絹ペプチドのアミノ酸構造が、細胞壁のインスリンレセプターの構造に似ているため、速やかに吸収され、その活性を高めるためと考えられている。

 また、アトピー性皮膚炎への効果は、シルク粉末の主要な機能成分であるオリゴペプチドが、過敏な自己免疫作用を抑制するためと見られる。さらに、痴呆症の予防効果は、ドーパミンなど脳内伝達物質の調整作用によると考えられている。いずれの働きも現代人特有の肉体的悩みを癒す働きを持つものであり、繊維の王者・絹にふさわしい見事な復活として歓迎されることであろう。

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火曜日, 12月 13, 2005

姫マツタケ(アガリクス・ブラゼイ・ムリル)について

○姫マツタケ(アガリクス・ブラゼイ・ムリル)

 今でこそアガリクスという名称が一般的になっているが、日本では姫マツタケとして世に出ており、抗ガン効果に優れた薬用キノコとして早くから地歩を固めてきた。特に日本癌学会総会などで発表された一連の研究成果のほとんどは姫マツタケによるものである。

 姫マツタケ(学名=アガリクス・ブラゼイ・ムリル)は、担子菌類ハラタケ化に属するキノコで、カワリハラタケの別名もあるが、学名に即して最近はアガリクス・ブラゼイとも呼ばれている。わが国への招来は、ブラジル在住の古本隆寿が岩出菌学研究所に送った1965年が最初である。同研究所ではそれ以来、食品化や薬効への期待をこめて研究を続け、ほぼ10年後に人工栽培法を開発、活性の高い菌株の作出にも成功し、その薬効成分や機能性に関する研究成果が広く発表されるようになった。その過程で確定した和名姫マツタケの名は、姿と形がマツタケに似ていることに由来する。

 姫マツタケの含有成分を乾物で見ると、他のキノコに比べて粗タンパク質(各種アミノ酸を含む)が43%と多く、粗脂肪はほぼ4%と平均的である。ビタミン・ミネラル類も比較的多く含まれ、中でもビタミンB2やD、マグネシウムやカリウムなどが多いといった特徴があるが、現在は食用としてではなく専ら食薬キノコ、機能性食品として広く用いられている。

 姫マツタケへの強い関心を集める契機となって歴史的な学術発表は、1980年の抗腫瘍多糖体によるC3とマクロファージの関連について(第53回日本細菌学会総会)及びその翌年のアガリクス抽出マンナン画分の抗腫瘍性と生物活性(第53回日本薬理学会総会)である。以後、姫マツタケの抗ガン作用について精力的に動物実験を行い、その成果を多くの学会や学会誌、専門誌に発表するとともに、固形ガンのみならず腹水ガン、化学発ガンに対しても優れた制ガン作用を示すことを日本癌学会でも数次にわたり報告、そられ先端的研究を通じて薬用キノコへの一般の評価も高めてきた。

 姫マツタケの制ガン物質の中心は①子実体から精製した多糖であるが、ほかに、②培養した菌糸体から抽出したタンパク多糖、③菌糸の培養濾液から採取した多糖、という3種類のものが用いられるようになってきており、ザルコーマ180固形ガン移植マウスによる近年の実験では①を10mg/kg投与で腫瘍抑制率100%、②を20mg/kg投与で同98.2%、③を20mg/kg投与で同99.3%(いずれも10日連続投与)というように、いずれも非常に高い制ガン作用を示すことが判明している。

 これまでの研究によって、抗ガン作用に止まらず、脱コレステロール作用、四塩化炭素誘発肝障害抑制作用、血清脂質低下作用、インターフェロン誘発作用なども明らかにされてきているが、中国では王軍志、蘭州医学院の王鏡らによるガン患者への臨床応用も行われ、その有効性が裏付けられる段階を向かえている。

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月曜日, 12月 12, 2005

すぎな茶について

○すぎな茶

 すぎな(杉菜)はトクサ科の多年生シダ類で、緑色の茎葉(栄養茎)である。空き地や堤、農道などに自生しており、春先に根茎の節の所々から出るのがつくし(土筆。胞子茎という)である。茎の節々から多数の枝が輪生する5~6月以降に緑色の地上部全体を採集し、天日でよく乾燥して健康茶に用いる。

 本草綱目には生薬「問荊」として収載され、「味苦し、平にして毒なし。主効は結気、瘤痛、上気、気急」とあり、また本草綱目拾遣(1765年、趙学敏著)には、利尿、血圧降下、心血管・膵臓の強化、去痰、鎮咳、便血や鼻血の止血などの効用が記されている。欧米でも近年は薬草として関心をもたれており、ドイツのメディカルハーブにも加えられている。オーストリアの文献にも悪性腫瘍や肛門のポリープの成長を抑制するとの報告が見られるし、アメリカではホーステイル(馬の尻尾)と呼ばれ、肉体疲労、貧血、前立腺肥大、尿路結石、肺結核、子供の夜尿症によいとされている。日本でも、伝統的民間療法の見直し気運が盛んな中でのすぎな信奉者の努力によって、愛好者の輪が大きく育ってきた。

 すぎな茶を飲み始めると、まず尿が大量に出るようになり、病気の場合だと色が濃くなって体内の毒が排出される感じであるという。腎臓や膀胱の結石を溶かし、時にはガン細胞さえ破壊するエネルギーがあるともいわれている。

 すぎなはリン・カルシウム・マグネシウム・鉄・銅、マンガン、ゲルマニウムといったミネラルを多く含み、カルシウムなどはホウレン草の150倍(100g中1740mg)にも達するが、すぎな研究の第一人者として知られる医学博士の山原條二は、ミネラルの中でも特にケイ素(シリカ)に注目している。それは、多くの現代病は加工食品の有害物質などによって組織に起こっている酸素欠乏が原因になることが多いが、珪素は酸欠状態を招く物質を吸着して改善し、赤血球を増やし、組織を活性化するからである。珪素は他にも、体内のカルシウム代謝の促進、血管壁へのコレステロール付着の抑制、収斂作用による止血、消炎、鎮痛などへの有効性が報告されている。

 特徴的な成分の第二は葉緑素である。植物の血液ともいわれる葉緑素は、炎症の抑制、肝臓の強化、造血、血液の浄化、生体のバランス維持などに不可欠の成分だが、最近の化学肥料やハウス栽培の野菜は生命力に乏しく、必要な葉緑素を十分に補えない。この点でも、野にあってたくましく生育し、日を浴びて葉緑素をふんだんに蓄えたすぎなは注目されてよい。

 すぎな茶は他の野草茶、たとえばカキドオシ、センブリ、オオバコ、どくだみ、よもぎ、タラの木、ウコギ、たんぽぽなどと相性がよく、ブレンドによる相乗効果も期待できる。また粉末や煎出液を、温湿布、パスタ(軟膏)、美肌パックなどの外用にも利用できる。

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日曜日, 12月 11, 2005

ノニについて

○ノニ

 ノニは熱帯アジアからポリネシアにかけて広く生育している常緑潅木で、学名はモリンダ・シトリフォリア。わが国では沖縄県の八重山地方で植樹されており、ヤエヤマアオキとして知られている。

 ノニは高さ6mぐらいにまで成長すると楕円形の緑色の葉をつけ、黄色いごつごつした果実をつける。これを採取して日光に当て、完全に熟したものを搾ってジュースにする。味はチーズのような腐臭があるため、グレープフルーツジュースなどとミックスして飲まれることが多い。

 ノニという名称はタヒチやハワイでの呼び名で、オーストラリアではチーズフルーツ、インドではインディアン・マルベリーと呼ばれている。古くから世界各地で薬用に使われてきた歴史があり、インドの伝承医学でも利用されていた。特に南太平洋の島々では日常的な健康飲料として用いられ、糖尿病、高血圧、心臓病、関節炎、結核、老化防止の他、外傷や腫れ物、ニキビなどに塗ったり、うがい薬としても使われてきた。

 近年になって、ノニの薬理成分の研究はハワイ大学などによって進められ、これまでにプロキセロニン、スコポレチン、アスコルビン酸、モリンジン、テルペンといったフィトケミカルの他、ノニの根からはダムナキャンソールという抗ガン物質も見出されている。

 プロキセロニンは、パイナップルに含まれる消化酵素ブロメリンの研究で知られる米国の生化学者ラルフ・ハイニッケらによって見つけられた天然アルカロイド成分で、スプーン1杯のノニ果汁にパイナップル10個分のプロキセロニンが含まれる。プロキセロニンは、プロキセロニナーゼという酵素の存在下で他の物質と結合したとき、体内でキセロニンに変換される前駆物質である。キセロニンは人体の自然治癒力を高める働きをするほか、一連の生化学的反応を行って細胞が正常な機能を維持する作用があるため、ガン細胞の増殖を抑制する効果も期待されている。

 スコポレチンは、1993年にハワイ大学でノニの果実から抽出された物質だが、その後の研究で①血圧効果作用、②バクテリアなどに対する抗菌作用、③鎮痛作用、④うつ症や睡眠障害の改善作用のあることがわかっている。スコポレチンは、セロトニンという神経刺激伝達物質の合成に関与しており、セロトニンが欠乏するとアルツハイマー症などの原因となるという報告もある。

 ノニにはビタミンCの前駆体として知られるアスコルビン酸も豊富だ。①広範囲な有害成分やストレスから体を守る、②ビタミンDとともに鉄分の吸収を高める、体内で発ガン物質の生成を防ぐなどである。

 このほか、ノニのフラボノイド(色素成分)であるモリンジンには鎮痛・鎮静作用がある。また、ノニの実に含まれるテルペンには体力増強作用が見込まれている。

 ノニはジュースとして飲まれるのが一般的だが、最近は果汁だけ出なく、ノニの他の部分の抽出液を加えた製品が多く発売されるようになってきている。このはノニの根の部分にダムナキャンソールという抗ガン物質が含まれていることが明らかにされたからだ。

 ダムナキャンソールは日本人研究者・平松朋紀によって、ヤエヤマアオキの根から単離されたもので、1993年にガン専門誌「キャンサーレター」にその抗ガン性が掲載され、薬学者の間でも大きな話題になった。研究では、ダムナキャンソールはガン細胞を正常な細胞に見せかけることで、ガン細胞の増殖を停止させるか少なくとも低下させていると考えられ、肺ガン、大腸ガン、膵臓ガン、各種白血病を含む人の複数のガンに対して有効であることが明らかにされている。

 このほか、ノニが免疫システムの増強に有望であることを示唆する報告もある。1997年にハワイ大学で行われた研究では、ノニを飲用することでマクロファージの活性が通常より3倍高くことが明らかにされた。また、別の免疫機能物質であるインターフェロンと結びついたときは、この効果はさらに増加することも明らかにされた。研究者らは、サイトカインの定量と一酸化窒素の確認の実験から、ノニがマクロファージの活動を刺激していることを確認している。

 さらにノニには、生体内で一酸化窒素の酸性を増強することも明らかにされた。一酸化窒素は、進入してきた病原菌を死滅させる作用を持っている。ノニが効果的な抗菌剤であることを示す報告があることは、ノニによる一酸化窒素の増加と関係があると考えられている。

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土曜日, 12月 10, 2005

緑イ貝エキスについて

○緑イ貝エキス

 緑イ(胎)貝は、ニュージーランドにのみ生息するイガイ科の緑色の二枚貝で、ムール貝やカラス貝と同じ仲間である。原住民マリオ族の間ではそのまま食用にされているが、「食べれば痛みが去り、体に春が戻ってくる」といった意味の伝承歌があるほど、その薬効は古くから認識されていたようである。こうしたことを背景に、ニュージーランド漁業委員会の厳しい規制の元に積極的に養殖が行われるようになり、現在は特に効能の強い生殖器を多く含んだ部分の凍結真空乾燥処理した粉末も生産している。

 世界的にその効能が注目されるようになったのは、1960年代に米英共同で新しい抗ガン物質を探す研究が行われた際、アメリカのミラーらがこの貝の抽出エキスをガン患者に与える実験に取り組んだことがきっかけとなった。ガンは治らなかったが、たまたまその患者が患っていたリューマチの痛みが著しく改善されたのである。1974年には米国農水省水産研究部のワークが、リューマチ以外にも神経痛、腰痛などに効果があるとの報告書を発表して俄然注目を浴び、ついで英国ホメオパシー病院(臨床薬理科)でもリューマチの改善率75%、関節炎の改善率45%という成果を発表した。

 日本では小菅卓夫(静岡薬科大学)らの研究が出色である。小菅らは、現地調査や臨床テストでは明らかにリューマチの改善を認めながら、その薬理の作用が説明できない時期が続いたが、試行錯誤の後、中国医学によるアプローチによって難解を突破することができた。すなわち、中国医学では、生命活動の根源に「気・血・水」の交流を置いているが、これは言い換えれば「エネルギーの供給・代謝・排泄」に該当するといえる。中国医学がリューマチの治療に用いる種々の処方を分析してみると、寒さや冷えを取り除く作用と、気を補う作用を持つ薬剤の両方が巧に組み合わされているのであるが、緑イ貝の効能をこの「気の補給(補気)」という面から見直して、合理的に解釈できたのである。

 補気作用の強い生薬の代表は高麗人参、甘草、黄耆などであるが、臨床実験の結果、小菅らはこの薬理作用について、この補気作用は、具体的には脾臓の働きを助けて血液の新陳代謝を促すように働く。脾臓で古い血が処理されると、今度は骨髄に対して新しい血球の産生を促す指令が出されるというフィードバック現象が起こり、それによって新鮮な血液が供給されると説明している。すなわち「気・血・水」の滞りのない循環が、リューマチや神経痛の原因を取り除くのである。そのように捉えると、緑イ貝が血の若返りをもたらすとともに、強精剤としても有効であることが理解できる。

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金曜日, 12月 09, 2005

月見草油について

○月見草油

 アカバナ科に属する月見草は、和名をオオマツヨイグサといい、欧米ではイブニング・プリムローズと呼ばれて公式の薬用植物リストにも収載されている。北米の東部海岸地域に居住するネイティブ・アメリカンたちが、1000年以上の前から咳止めや痛み止めなどに内服したり、おできや発作、外傷など外用薬として使っていた。

 これが17世紀頃ヨーロッパに伝えられると、たちまちのうちに普及して、キングス・ケア・オール(王様の万能薬)と呼ばれて珍重されるようになった。しかし、それも19世紀末頃までで、その後はすっかり忘れ去られていた。

 月見草は再び注目を浴びるようになったのは、1930年代になって、この種子にリノール酸が豊富に含まれていることが発見されてからである。リノール酸は人の体内では合成できない不飽和脂肪酸で、必須脂肪酸に加えられている。しかし、リノール酸が豊富なものには、紅花油(サフラワー油)、ヒマワリ油、大豆油、綿実油などがあり、それだけなら取り立てていうべきことではない。だが、月見草にはそれらにはないγ-リノレン酸が、全脂肪酸の7.5%も含まれているのである。このγ-リノレン酸が天然物の中に含まれているのは、今のところ月見草の種子と母乳、僅かに含むものとしてヒマワリの種子と昆布にあるだけである。つまり月見草油の特異的な有用性というのは、このγ-リノレン酸にあるといってよい。

 γ-リノレン酸n-3系の多価不飽和脂肪酸で、生体内ではリノール酸から代謝されて作られる。したがって食生活が適切で健康な人は直接摂取する必要はないのだが、最近の食環境の悪化(加工食品の添加物による害)や美食、飽食による肥満、糖尿病、高脂血症(特に高コレステロール血症)、アルコールの多飲、あるいは加齢などによって、リノール酸をγ-リノレン酸に変換する酵素の活性が阻害され、γ-リノレン酸が十分に生成されない場合が危険である。

 γ-リノレン酸はプロスタグランジンの基元物質であり、これがないと産生されない。プロスタグランジンはエイコサノイドという生理活性物質(局所ホルモン)で、ホルモンと同様、たとえば血圧を下げる、血小板の凝集を抑制する、あるいは気管支を拡張する、子宮を収縮する、腸管の蠕動を高めるなど、種類によって様々な強い生理活性を持って体の機能を調整している。したがってγ-リノレン酸が生成されないと、こうした調整の狂いから様々な障害が起きてくるのである。

 月見草の効果として高血圧やアレルギー体質の改善、痩身・美肌の他、月経前症候群(PMS)・アルコール中毒・二日酔いの改善などがある。

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木曜日, 12月 08, 2005

コラーゲンについて

○コラーゲン

 コラーゲン(膠原質)は高タンパク質のひとつで、ゼラチンやゼリーにもその類縁物質である。細長い繊維状を呈し、動物の組織の細胞間物質の主成分として、体重50キロの人なら3キロがコラーゲンであるとされ、特に皮膚、骨、腱などに多く含まれており、たとえば皮膚組織の70%はコラーゲンが占めるほどである。その弾力に富む頑丈な構造によって、細胞や組織が本来の機能を発揮できるように相互をしっかりとつなぎとめている体の接着剤ないし構造材であるともいえよう。近年、コラーゲンの種々のタイプが明らかにされて、皮膚や骨、目の水晶体、関節の軟骨にあるタイプなど、それぞれ性質の異なる15種ほどが知られるようになって入る。

 絶えず新陳代謝を繰り返している体内ではコラーゲンの酸性が不可欠だが、コラーゲンは細胞の中でアミノ酸から作られ、それも全ての細胞ではなく、繊維芽細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、筋細胞など特殊な細胞でしか作られない。細胞内でできたコラーゲンは細胞外へ分泌されて必要な場所に定着し、繊維同士が縦横に繋がり合って立体構造を構築し、細胞の増殖を促進し、細胞の機能の活性化を促すという働きする。

 こうした性質に注目して従来は化粧品の保湿剤として主に用いられてきたコラーゲンであるが、これを経口投与するマウスの実験(日本大学薬学部などによる)で、皮膚の保湿や新陳代謝の活性化が認められたところから、近年、飲むコラーゲンの研究開発が大きく進展することとなった。

 コラーゲンが免疫機能を賦活する可能性が高いことを明らかにした実験は、大阪医科大学によって行われているが、実験では牛、豚、鯨など、由来も製法も異なる14種類のゼラチン(1%濃度の溶液を0.3mg)をマウスに1週間おきに注射、対照群には生理食塩水を注射して、3週間後に、全てにガン細胞を移植した。すると対照群は全部がガンになって死亡したが、ゼラチン溶液投与組にはガン細胞が見られないマウスがいたのである。この実験はさらに続き、生き残ったマウスにゼラチンを投与せずに再びガン細胞が移植されたが、1匹もガンにかからなかった。これはガン細胞に対する免疫をつかさどるマクロファージやリンパ球の抗体反応をゼラチンが賦活し、その活性が残存する結果であろうと考えられている。また、注射ではなく経口投与によっても成果を得ている実験もあるが、これほど好成績が得られるかどうかはまだ明らかにされていない。

 多様な効果が期待されるコラーゲン飲料は、現在その多くが牛皮、豚皮、牛軟骨などを原料として、腸管で消化吸収しやすいように酵素発酵によって低分子化が図られており、用いる酵素の種類や分解法によって様々な特性を持つ多種類の製品が供給され、健康食品のみならず一般食品への活用も日に日に進んできている。

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水曜日, 12月 07, 2005

冬虫夏草について

○冬虫夏草

 子嚢菌類のキノコ(胞子)が昆虫(一般には鉢、蝶、蛾、蜘蛛、甲虫類などの幼虫、さなぎ、成虫)に寄生したその体内に菌核を充満させ、時期がくるとその頭部や間接部から棒状の子実体を伸ばしたものを総称して冬虫夏草(和名=フユムシナツクサタケ)というが、健康食品の場合は後述のように範囲を限定して用いている。冬虫夏草の文字は、夏になって虫がキノコに変ずる用を表しており、中国では虫草とも呼び、四川、青梅、チベット高原地帯が産地として特に有名だが、わが国固有の20数種(クモタケ、セミタケ、カメムシタケなど)や中国特産の60数種を合わせて世界的には350~400種ほどが知られる。虫体をつけたまま採集して、全体を陰干しにして用いる。

 中国の薬書としては1757年に発行された清の呉儀洛の本草従新以来、古典にたびたび顔を出すことになる冬虫夏草は、秦の始皇帝や楊貴妃が不老長寿を願って求めたと伝えられるように、伝統的に滋養強壮の高貴薬として尊重されたようであるが、その薬効について本草従新では、肺、腎を補う...としている。これよりも30年ほど前(享保13年)に、わが国へ中国から冬虫夏草がもたらされたことが聊需志仕外集に記録されている。

 近年のわが国におけるとの研究は、検体入手の道がついた20年ほど前から始められたが、やがて中国から中枢神経への作用(喘息・咳嗽など)、糖尿病の改善などエネルギー代謝の調整作用、精力強壮作用など、万能とさえいえる効能が伝えられて以来、多くの研究者や研究機関によって抗ガン作用を始め、虚弱症・貧血症・インポテンツなどへの有効性、血圧調整作用、気管支拡張作用など画期的な研究成果が次々に報告されてきた。その過程で薬効随一の評価を得てきたのがチベット高原で採取される天然産品で、これはバッカク菌が蝙蝠蛾の幼虫に寄生したもので、この種を特定して冬虫夏草と呼ぶこともある。

 しかし、どの種類であっても天然品は希少資源で十分に需要をまかなうことができないために人工栽培も試みられ、北京医科大学や日本では吉井菌学研究所などで成功している。

 一方、天然品のように子実体を育てるのではなく、人口の培地で菌糸体(キノコでいえば地下部分)を培養して純粋な有効成分を得ようとする菌糸体培養の試みが浙江省の杭州保霊健康食品公司で成功し、定評ある青海産種の菌株を用いた高品位の製品が供給され始めている。浙江省中医研究所などの成分分析によれば、天然品の特有成分であるコルジセピン、ウラシル、ウリジン、アミノプリン、エルゴステリンなどの含有量は全く遜色がないという。同様の菌糸体培養は日本でもハナサナギタケを用いて成功し、医学的に貴重なデータが集められている。

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火曜日, 12月 06, 2005

植物発酵エキス(酵素)について

○植物発酵エキス(酵素)

 人体には数千の酵素があるといわれ、そして、酵素は全て遺伝子に書き込まれた情報によって作られ、それらが過不足なく働いて生命活動が維持されるのであるが、最近の研究では酵素の全量が体内生産されるのではなく、相当量が経口的に食物から摂り入れられることがわかってきている。

 その反面、現代人の食生活は加工食品が横行して、そのほとんどは製造過程での過熱によって、熱に弱い酵素は失われる。また、添加された化学合成剤が酵素の働きを阻害していることは十分に考えられることである。効した時代だからこそ、天然醸造の味噌・醤油・食酢など、わが国で古くから利用されてきた伝統的な発酵食品をはじめ、新鮮な野菜や果物、海藻などの自然食品の果たす役割りが強調されるのである。

 そのような認識が進む中で、酵素の働きを念頭に置いた健康食品も市場に供されてきている。たとえば植物総合酵素といわれる健康食品群は、多種類の植物エキスを発酵させ、ペースト状、粉末状、顆粒状に加工したものである。また、飲料タイプにした植物エキス発酵飲料もある。

 相互に同一でない各植物固有の酵素群が多様化し、さらに発酵によってその働きが活性化されるとともに、多種類のアミノ酸、ペプチド、乳酸菌、ビフィズス菌、その他植物性成分が消化吸収されやすい状態で含有されているのが特徴である。

 最近、このような植物性酵素食品に、ガン細胞への直接的な攻撃排除効果ではなく、リンパ球(NK細胞)の活性化という、生体が本来持っている免疫機能を通じてガン細胞を攻撃する作用があることが見出されている。愛媛大学医学部医化学第二教室の奥田拓道らは、植物発酵食品によるアルコール解毒作用、抗アレルギー作用、抗糖尿病作用、抗ガン作用についての研究発表を行っている(第1回日本代替医療学会学術集会、1998年)。特に抗ガン作用については、動物実験ではあるものの、転移を防ぐだけでなく原発巣ののガンも縮小するほどの抗ガン作用があったという点が注文された。発酵食品がNK細胞を活性化し、免疫能を通じてガン細胞を攻撃することを明らかにしている。

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月曜日, 12月 05, 2005

霊芝について

○霊芝

 霊芝は和名をマンネンタケといい、サルノコシカケ科に属する坦子菌類の一品種であるが、梅などの古木10万本に2~3本しか採取できないという希少品種で、めったに人目に触れることがなかった。古代中国では、宮中に霊芝が生じると天下泰平の印として、祝宴を催したと伝えられている。そんなこともあってか、神草とか仙薬、不死草などと呼ばれ、不老長寿の新薬として用いられていた。

 漢方ではその薬効作用に注目しており、李時珍は本草綱目で、赤芝、青芝、黄芝、白芝、黒芝、紫芝の6種をあげ、「久しく食すれば、身を軽くして老いず、年を延ばして神仙となると記し、漢方薬の中で上薬に位置づけている。

 やや古いが1974年に出版された中国薬用真菌(劉波著)によれば、霊芝は健胃、健脳、強壮、利尿に効果があり、症状としては神経衰弱、不眠、急・慢性肝炎、胃潰瘍、気管支炎、胃炎などに優れた効果があると記されている。

 一方、わが国でも霊芝の研究は盛んで、特に人工栽培では1937年(昭和12年)から京都大学で始まり、その後研究を重ねた結果、1971年になって、同大食料研究所所技官であった直井幸雄が世界で初めて霊芝の量産に成功した。それとあいまって、薬理研究も活発化し、多くの臨床例、治験例が報告されるようになった。まだその薬効成分に関しては十分に解明されていないが、その効用については非常に多くの臨床例などで実証されている。

 効用のひとつとして、淤血と血栓を駆除することがあげられる。淤血とは、古血、つまり血の流れが悪くなり、滞ってしまうことをいう。血栓は、血管の中に血液などの固まりが詰まることで、それによって血液の循環をとめてしまうことに繋がる。各種の生活習慣病をはじめ、現代病と言われる多くは、この淤血や血栓が原因となった起こるケースが多い。たとえば、自律神経失調症、更年期障害、腰痛、痔、便秘、頭痛、慢性肝炎、肩こり、イライラ、歯槽膿漏など多数に及び、現代人が悩む病気はほとんど含まれているといってよい。

 こうした淤血を示す徴候としては、①脱毛、②赤ら顔、顔にしみができはじめた、③鼻の頭が赤くなった、④目が充血しがちになり、目がかすむ、⑤首の後ろが重く、時々フラッとする、⑥歯茎の色が悪くなった、⑦耳鳴りがしたり、肩がこる、⑧皮膚の色が黒くなり、つまむと赤色化してなかなか消えない、⑨生理痛・生理不順がひどい、⑩便秘がち、痔を患う、⑪腰痛、⑫、手のしびれ、震え、⑬心臓の付近が時々刺すように痛む、⑭傷あとが治りにくい、⑮喘息や気管支炎でもないのに空咳が出る、⑯皮下脂肪組織をつまむと硬くて痛い、などがあり、いずれも注意する必要がある。

 血栓症は、血管のつまり血液が体の隅々まで送れなくなるもので、その最たるものが脳卒中や心筋梗塞である。ここまでくると命取りになるが、そこまで行かなくとも多くの疾病を引き起こす要因になっている。霊芝はこのような病変に対して、①高血圧を改善する、②低血圧の人の血圧を高める、③動脈硬化の予防作用がある、④高脂血症を改善する、⑤降圧剤の副作用を軽減する、⑥老化を防止する、⑦新薬と併用して降圧作用を高めるなどの働きを持つ。

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日曜日, 12月 04, 2005

クエン酸について

○クエン酸

 クエン酸は、今から200年以上前の1784年、スウェーデンの科学者シェーレにより発見された爽快な酸味を持つ酸である。レモンやライム、グレープフルーツなどの柑橘類に多く含まれており、例えばレモンの大きいもの1個には約4gのクエン酸が含まれている。人の血液中には総量にして0.1g近く含まれ、常に体中を駆け巡っている。

 クエン酸の重要な働きのひとつにキレート作用がある。キレートとはギリシャ語でカニのハサミを意味するケーレーに由来する言葉で、金属のイオンをある化合物の両端に挟み込み、その金属イオン特有の性質を覆い隠す。クエン酸は生体内で、カルシウムやマグネシウム、あるいはアルミニウムなどのミネラルイオンと結合し、イオンとしての作用を表さないようにする働きがあるため、保存血液の抗凝固や大腸ガンの検証時に活躍するマグネシウム塩類下剤に応用されている。また、クエン酸と鉄のキレート化合物であるクエン酸鉄は、アルツハイマー病の治療薬として用いられることもある。それはクエン酸のキレート形成能力と、その無害性によるものである。

 このように、無毒で卓越したキレート作用を持つクエン酸だが、その真価を最大限に発揮するのは、生命維持に欠かすことのできないエネルギーを獲得する場面である。

 体に吸収されたブドウ糖などがエネルギーに変わるのは2つの方式がある。ひとつは解糖作用、もうひとつはクエン酸サイクルである。

 解糖作用は、生体細胞がブドウ糖からエネルギーを獲得する基本的な方法で、空気の存在しない環境で繁殖する微生物や、人間のような高等動物においても血液中の赤血球などは解糖作用でのみエネルギーを得ている。解糖作用は1分子のブドウ糖が2分子の乳酸(またはピルビン酸)に分割され、そのときに現れるエネルギーがATP(アデノシン3リン酸)というエネルギー化合物に蓄えられる。ATPは単細胞生物の細菌から多細胞生物の人まで、全ての生物体に含まれており、生物は必要に応じてATPを分解して、そのときに放出されるエネルギーをいろいろな生命活動に利用している。

 もうひとつのクエン酸サイクルは、酸素を使って栄養素を燃焼させてエネルギーを獲得する方法で、真核細胞内にあるミトコンドリアという小器官で行われている。解糖作用が進行していくと、乳酸が溜まってその部分は酸性になり、ついには解糖作用が停止するが、これは多量の乳酸による酸性化が原因で、解糖系に属する酵素の一部が作用しなくなるためである。しかし、解糖作用の最終生成物(ピルビン酸)をクエン酸サイクルに入れて酸化すれば、解糖作用単独の場合に得られるエネルギーの19倍ものエネルギーを取り出すことができるのである。

 クエン酸サイクルは、解糖作用によってできたピルビン酸を順次、クエン酸、シス-アコニット酸、イソクエン酸、α-ケトグルタン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキザロ酢酸へと少しずつ酸化させることによって、栄養素を完全に燃焼させ、ブドウ糖の持つ全エネルギーの42%をATPの形で利用できるようにする。最後のオキザロ酢酸は、ビルピン酸と反応してクエン酸を再生する。また、この反応の過程で脂肪合成の材料となるNADHのような、生体に必要な物質も作られる。反応産物として出てくるのは、生体には全く無害な水と炭酸ガスのみである。

 この仕組みのキーを握っているのがクエン酸なとであるが、実際にクエン酸を摂取することによって、運動能力の向上、疲労回復、肩こり・腰痛の予防、抗菌・抗ウイルス作用が見出されている。最近は、各種機能性素材とクエン酸が組み合わされ、さまざまな健康食品が登場している。

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土曜日, 12月 03, 2005

スピルリナについて

○スピルリナ

 スピルリナは緑青色をした藍藻の一種で、0.3~0.5mmくらいの大きさだが、ワインのコルク抜きのようにらせん状をしていることから、ラテン語でらせん、ねじれるを意味するスピルリナと言う名前がつけられた。藍藻の多くが淡水に生息しているの対し、スピルリナは高温・高アルカリ・高塩分という厳しい環境下で繁殖するのが大きな生物的特長である。この条件はまた雑菌の繁殖を防ぐのにも役立っている。

 食用としての歴史は古く、16世紀のメキシコ高原に栄えたアステカ王国では、この地に多い塩湖に自生していたスピルリナを常食していたと言う記録も残っている。そのためか、メキシコ政府は1973年にスピルリナを正式に食品として認め、増産を奨励した。

 またアフリカのチャド共和国では、同じく塩湖のチャド湖、ヨアン湖に自生するスピルリナを、一部原住民が昔から常食している。

 本格的な食料化については、1967年の国際応用微生物学会(エチオピアで開催)で注目されてからのことである。その後の研究において、スピルリナに優れた栄養成分が豊富に含まれていること、消化吸収がズバ抜けて高いことがわかった。

 その特徴は、まだタンパク質の含量が60~70%と非常に高く、高タンパク食として大きな価値を持っている。一般にタンパク含有量の高い良質の食品として知られる大豆でも33~35%、牛肉でも18~20%にしかならず、スピルリナはその2倍、3倍の量を含有していることになる。さらにタンパク質の大事な条件である必須アミノ酸については12種類全てを高単位に含んでおり、優れた栄養バランスを保っている。タンパク質は生体の構造や機能にとって中心的な働きをする栄養で、特に必須アミノ酸は体外から摂取しなければならない大切なものである。

 さらに、ビタミンやミネラルも豊富に含まれているため、新陳代謝を円滑にし、体内の酸性、アルカリ性を調整する効用がある。ビタミン類ではプロビタミンAが多く、100g中100~200mg。そのほかにビタミンB1、B2、B6、B12、E、ニコチン産、葉酸、パントテン酸など、ほとんど含有されている。

 またミネラルではカリウムが特に多く、100g中1000~2000mg、カルシウム100~400mg、リン300~700mg、マグネシウム200~300mg、鉄50~100mgとなっている。そのほか、日本人に不足しがちな葉緑素や、カロチノイド、フィコシアニンなどの色素類も含み、全体としてバランスのとれた栄養補助食品となっている。

 こうした優れた栄養成分は、病気治療や予防に役立つことが臨床報告や実験などによって明らかにされている。特に各種の生活習慣病などのように体の老化から起こる疾病は、栄養補給が重要な条件となっており、アミノ酸をはじめビタミンやミネラルなど、多くの栄養をバランスよく含むスピルリナは、優れた効果を持っていることが指摘されている。

 これまでに報告された中では、糖尿病、肝炎、貧血症、高脂血症、慢性膵炎、胃潰瘍、胃炎などの成人病、内臓疾患などに効果を上げた例がある。これらはいずれも栄養補給が治療の重要条件だけに、スピルリナの栄養効果が実証された例といえる。そのほか、老人性白内障や円形脱毛症など、一般に治療困難といわれる症状に著効を示した例もある。

 また、重金属や薬物による副作用の軽減効果も報告されている。数ある健康食品の仲でも、総合的な栄養補給に優れ、健康の維持・増進に適した食品といえる。形状としては粒状、顆粒状のものが主流だが、近年は液状のエキスも開発されている。

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金曜日, 12月 02, 2005

ハナビラタケについて

○ハナビラタケ

 ハナビラタケ(花弁茸)はハナビラタケ科の食用のキノコで、世界に1科1属2種だけが、夏から秋口にかけて関東以北の山間部で針葉樹の根元や切り株に生える。英語名カリフラワー・マッシュルームからもわかるように、葉牡丹のように縮れた花びら状の子実体は、1株の直径が20~40cm、高さ10~30cmにも達するが、絶対数が少なく、しかも人工栽培が非常に困難であることが、健康食品界への登場を遅らせる原因となった。この困難な人工栽培を成功させたのは福島隆一(埼玉県立熊谷農業高校教諭)であるが、この成功によって供給されるようになった試料を用いての生理活性研究が学界にデビューを飾ったのは、1999年3月に徳島市で開催された日本薬学会第119年会である。ポスター発表で、東京薬科大学第一微生物学教室の宿前利郎、大野尚仁らによるハナビラタケ由来のβ-グルカンの構造と活性であった。

 同研究によれば、ハナビラタケのβ(1→3)D-グルカンは43.6g/100g(酵素法による)にも達し、この数字はどんなキノコよりも圧倒的な多さである。

 また、抗ガン活性の実験は、1群10匹、合計130匹のマウスに固型ガン細胞ザルコーマ180を鼠蹊部に皮下注射で移植して行われた。子実体の熱水抽出(4倍画分、1倍画分)、冷アルカリ抽出、熱アルカリ抽出の濃度の異なる試料(500、100、20ug)を7日目、9日目、11日目の3回、腹腔内に注射で投与し、5週間経過後のガン細胞抑制率を調べたものである。結果は2群(熱水抽出画分の100、20ug投与)を除く全てにおいて著しい抗ガン効果を示し、特に熱アルカリ抽出画分100ug投与では、100%のガン退縮を見た。

 引き続いて、注射ではなく、経口投与による抗ガン効果を検討する実験が同研究グループによって行われ、熱水抽出試料を連日50、100、200ug経口投与することによって、抹消血管内の白血球数が未投与グループに比して1.5~2倍にも増えたことが確認されている。

 ハナビラタケの抗腫瘍効果については、最近、臨床治験報告も出されている。移入免疫療法の第一人者として知られる吉田憲史(ヨシダクリニック東京総院長)によると、大腸ガンが肺に転移して一時は余命6ヶ月と診断された59歳の女性で、移入免疫療法によりガンの進行は抑えられていたが、その後両側の頚部リンパ節転移が認められ、腫瘍マーカーCEAも37.5へ上昇した。そこでハナビラタケ1T(100mg)を1日3錠ずつ内服して経過を見たところ、1ヵ月後には頚部リンパ節転移が右側1個となり、2ヵ月後には消滅し、CEAも254へ下降した。免疫力を表すNK細胞活性も当初の17%から40%まで回復。それ以降、ハナビラタケを内服しながら月1回の治療を続けた結果、ガンの進行は認められなかったという。吉田の報告によれば、慰留免疫療法とハナビラタケを組み合わせる治療法は、手術や抗ガン剤によって低下した免疫力を飛躍的に活性化させ、体内ワクチン作用を起こし、ガンと闘う力をよみがえさせる効果があるとしている。

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木曜日, 12月 01, 2005

EPA(エイコサペンタエン酸)について

○EPA(エイコサペンタエン酸)

 国際表示はIPA(イコサペンタエン酸)。魚油に多く含まれるn-3系の多価不飽和脂肪酸である。

 EPAが注目されるようになったのは、1970年代にデンマーク・オールボア病院のダイアペルグがエスキモー人を対象にして行った疫学的調査の結果によってである。それによると、魚やアザラシを主食とするエスキモー人(イヌイット)は、肉食中心のデンマーク人に比べて動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病が大幅に少なかった。たとえば、デンマーク人の死亡原因が心筋梗塞だけで40%以上も占めているのに、エスキモー人は発症率が高いはずの60歳以上だけを対象にしても、わずか3.6%でしかなかった。

 その原因がエスキモー人の食生活にあると考えた研究の結果、魚油に含まる脂肪酸のEPAの有効作用にあるとわかったのである。これは同じく魚油に含まれるDHAにも見られる作用で、血液の流動性を高めて血栓の生成を抑え、血管に付着して動脈硬化の原因となる血液中のコレステロール値を下げる働きも明らかにされてきた。

 日本における疫学調査でも、山間部の農民に比して沿岸地域の漁民はイワシなど魚類を2.5倍ほど多く摂取しており、血小板の凝集能(血液の固まりやすさ)は約1/3、また、心筋梗塞や脳梗塞による死亡率が2/3であることなどの調査結果を報告、同研究班はさらに魚油から生成したEPAによる臨床試験(対象者117名)でも、血中EPAの増加と、血中コレステロールの低下、血小板凝集能の抑制が認められることを確認した。

 こうした疾病以外に、EPAにはアトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症などアレルギー疾患に対する予防・治癒効果、あるいは慢性関節炎など炎症性の症状にも効果があることが報告されている。これはEPAやDHAを材料にして体内で作られるエイコサノイドという生理活性物質(プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトルエンなど)による作用であると考えられているが、よく似たプロセスでn-6系のリノール酸が体内でアラキドン酸を経て生理活性物質になった場合には、逆に血小板凝集作用が強まり、過剰摂取は成人病を促進することになるばかりか、炎症物質を作ってアレルギー反応を助長する結果を招くことがあることも明らかにされている。こうして、一時期もてはやされた植物油への過信を反省する気運の中で、EPAやDHAへの関心が高まり、また、体内でEPAやDHAに変わるα-リノレン酸などへの関心も高まってきている。

 EPAを多く含むのはハマチ、サンマ、イワシ、マグロなど脂肪の多い魚全般、あるいは筋子などであるが、それは魚類が餌とするプランクトンなどに含まれるα-リノレン酸が体内でEPAに変化して蓄積されるためといわれ、冷たい水の中で体脂肪が凝固してしまうことを防ぐことに寄与していると考えられている。

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