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月曜日, 10月 31, 2005
紅麹について
清酒・醸造酢・味噌・醤油などの発酵食品に用いられる麹菌は、黄麹と呼ばれる酒類だが、中国や台湾では紅色をした紅麹が、紅酒、紅老酒、紅乳腐などの醸造に古くから用いられてきた。
紅麹は黄麹より繁殖力が弱く管理が難しいため、日本では沖縄の加工豆腐に使われる程度で、1970年代初めに発ガン性の疑いが指摘された合成着色料に代わる天然食用色素として利用されるまで、それほど活用例はなかった。
もともと紅麹は本草網目に「消食活血、健脾操」(消化を助け決行を良くし、内臓を賦活し胃を軽快にする)と記された漢方薬でもあるが、1980年代以降、日本での機能性食品としての見直しが始められ、コレステロール合成阻害物質、ガンの予防効果、特に顕著な血圧降下作用、血圧上昇抑制作用が相次いで発見された。そしてバイオ技術による量産体制の確立と平行して血圧調整の有効成分γ-アミノ酪酸が確認され、1996年に関与する成分として特定保健用食品も誕生している。
現在、紅麹を使った清酒・醸造酢・味噌など多彩な発酵食品がラインナップされているが、発酵食品以外でも、健康機能性を付加することを目的として、様々な一般食品にも使われ始めた。紅麹で健康機能性を強調した食品は、どれもコレステロールや血圧が気になる人をターゲットにしたものが多い。
製油大手のホーネンコーポレーションは、食用油の原料に紅麹エキスを加え、コレステロールの体内合成を抑制する作用を持たせた機能性食用油を販売している。
日曜日, 10月 30, 2005
ダッタンそばについて
ソバが栄養価の高い穀物であることはよく知られている。成分中13%にも達するタンパク質は必須アミノ酸のバランスがよく、70%を占める炭水化物にしても他の穀物のデンプンより糖化度が高い。ミネラル類も、とくにリンとカリウムが際立って多く含まれている。そして何よりも特徴的なのは、ルチンの存在である。ルチンは抗酸化物質として注目されているフラボノイド(植物の色素成分)の一つで、血中の糖・コレステロールを減らし、血圧を下げる作用があることが知られている。また、体内でケルセチンに変化して抗腫瘍効果を発揮したり、痴呆症の改善にも寄与することが明らかになっている。
近年、ダッタンソバ(韃靼蕎麦)が一躍脚光を浴びているのは、このルチンが普通のソバに比べて10倍以上も含まれていることがわかったからである。わが国で通常一般に食べられているソバは普通ソバで「甘そば」と呼ばれるものだが、ダッタンソバは「苦そば」といわれ、粉を口に入れるとほのかな苦みを感じる。韃靼ソバの「ダッタン」は学名のタータリクムに由来し、タタールの中国名が「韃靼」であることからこう名付けられた。主な生産地は中国の雲南省と四川省の標高2000~3000m の山岳地帯である。
栄養成分について、四川省産の苦そば(ダッタンソバ)と甘そば(普通ソバ)を比較した中国商業部食物化学研究所の分析(1989年)によると、パーセント値の比較で、粗タンパクは10.5対6.5、粗脂肪は2.15対1.37、デンプンも72.61対65.9と、いずれも苦そばの方が高い値を示しているが、とりわけルチンは甘そばが0.095~0.2%であるのに対し、苦そば2.5%と10倍以上である。ビタミンB群、ミネラル類、必須アミノ酸についても、総じて苦そばは含有量が多い。
これが何を意味するかといえば、その栄養価のバランスや含有量の違いが、日常的に食べるものであるからこそ健康の維持に結果的に大きく響いてくる、ということである。ダッタンソバを常食する中国少数民族に、高脂血症、高血圧、糖尿病、心筋梗塞が非常に少ないという中国における疫学調査は、北京私立北京中医医院、北京同仁病院、北京飲料科学研究所などの共同研究により、動物実験ないし入院患者に対する臨床試験によって新たに確認され、これら降糖作用・降圧作用・降脂作用は「ダッタンソバの3降作用」として公にされている。
土曜日, 10月 29, 2005
ダイエット素材について(1)
別名、チオクト酸。野菜や肉にも含まれる成分で、糖分からエネルギーを作り出す家庭で必要な栄養素。米国では、糖尿病対策のサプリメント成分として人気。糖分の代謝を促進するほか、糖分を細胞内に取り込むのに必要なホルモンである。インスリンの働きをよくすると考えられている。糖の代謝に必要なビタミンB群やC、Eと併用すると効果が高まる。日本では、肉体疲労時の栄養補給を目的とした医薬品として使われ、2004春から健康食品への配合が許可された。
○カルニチンについて
脂肪からエネルギーを取り出すために必要な成分。L体とD体という2種類の構造(光学異性体)があり、もともと体内に存在するL体のカルニチンだけに健康効果かある。以前はビタミンBtと呼ばれた。食品では羊肉などの赤肉にたくさん含まれており、体内で、アミノ酸のリジンとメチオニンから合成されるため、普通は不足することはない。ただし、鉄とビタミンC、ナイアシン、ビタミンB6が足りないと、合成の効率が落ちるため不足することがある。また、妊娠中や授乳中は必要量が増える。狭心症や心不全などの心臓病の、症状を軽くする効果が臨床試験で確かめられている。2002年に、特にL-カルニチン不足ではない人でもダイエットに効く成分として大人気になった。日本では慢性胃炎などの治療薬として使われているが、2002年11月から食品に配合できることになり、様々な配合食品が販売されている。
○ファセオラミンについて
白インゲン豆に含まれる成分。炭水化物の消化酵素の働きを弱め、糖を吸収しにくくする。ご飯やパン、麺類など、炭水化物の多い食事をするときに飲んでおくと、食べたものがエネルギー源として体内に取り込まれるのを阻害する。ダイエット成分として、サプリメントに配合される。抽出エキスを1日500ml、1ヶ月飲み続けると、体重が約4%、体脂肪量が約10%減ったという研究報告がある。
金曜日, 10月 28, 2005
フランス海岸松について
フランス海岸松は南仏の大西洋沿岸のみに生育する海洋性の松だが、この樹皮から得られる抽出物には40種類を越えるフラボノイドが含まれており、半世紀以上も前からヨーロッパを中心に抗酸化物質として活用されてきた。現在は、一般にピクノジェノール、フラバンジェノール(いずれも商権)という名称で世界的に知られている。
海岸松エキスには数多くのフラボノイドが含まれているが、中でも注目が高いのはプロアントシアニジンで、通常のフラボノイドに比べて溶解性が高いため、抗酸化物質として即効的に効くという特徴がある。また、多数の有機酸からなる機能成分が連携して高いSOD活性を示すことが明らかにされている。このことから、海岸松エキスは毛細血管を保護し、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞・静脈瘤などを予防する効果のあることが明らかにされ、多くの研究者によって報告されている。
海岸松エキスにはこのほか、月経困難症・生理痛・子宮内膜症・冷え性・更年期障害など、女性特有の疾患を劇的に改善する効果のあることが、日本の医師や研究者によって明らかにされている。1998年に金沢市で開催された日本補完・代替医療学会の代1回学術集会で、医師の小濱隆文(恵寿総合病院)、金沢大学医学部の鈴木信孝らによって海岸松エキス(ピクノジェノール)による886例の臨床予備治験の結果が報告され医療関係者の注目を集めた。小濱はその翌年の発表を行い、子宮内膜症に対してピクノジェノールの投与により、重度の月経痛と骨盤痛が軽減したこと、子宮内膜症以外の原因による月経痛・骨盤痛も軽減されたことを報告している。
木曜日, 10月 27, 2005
ガジュツについて
ガジュツ(莪朮)はインド原産のショウガ科の多年草(学名クルクマ・ゼドアリア)で、南アジア一帯で広く栽培され、日本では沖縄県、それに屋久島、種子島で良質品を産する。ウコンの仲間で、里芋に似た直径4~5cmの卵形の根茎の断面は周辺が淡黄色、中央部が淡い紫色を帯び、特有の芳香と非常に強い特徴的な苦味を持っているが、それを薄く切って乾燥させ粉末にしたものが生薬として用いられている。その形と固さと顕著な薬効とによって、わが国では古くから弘法大師の石芋とも呼ばれたりした。
中国薬物書の古典「本草網目」は主治として消火器病、感染症、血の道症、腫瘍、小児喘息などを上げて紙幅を割き、古今の彼我の文献には健胃、駆風、鎮痛、駆瘀血、通経薬として薬効顕著であることが紹介されており、現行の日本薬局方にも薬草として収められ、ガジュツを主剤とした漢方薬もあるが、それだけに有効成分とその薬理作用に関する研究も盛んに行われ、全量の約1~1.5%に当たる精油成分からは多くはモノテルペン類(シネオールやカンファーなど)、セスキテルペン(アズレンなど)、クルクミン類など微量成分を含めると100種近くが見出され、それらの作用機序が解明されてきた。
芳香性があるため飲んだときに胃がすっきりとし、特有の苦味(モノテルペン類の配糖体)が刺激となって胃液の分泌を促し、同時に精油成分のシネオールも唾液や胃液の分泌を促すので、消化力が高まるという健胃効果をもたらす。さらにシネオールには胆汁の分泌を促す作用があって消化を助けるとともに、血中コレステロールを下げる働きもする。また、相当強い殺菌・防腐作用を持っており、同様の作用はカンファーという成分にも備わっている。カンファーはカンフル剤の主成分で強い強心作用がある、というように、多様な成分の相乗効果によって生じる非常に多岐にわたる効果が相次いで報告され、マウスの実験で、ガジュツのエキスに抗腫瘍作用、肝障害の発生を抑える作用があることを認めている。また水野修一は臨床試験によって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性萎縮性胃炎の元凶とみられているヘリコバクター・ピロリ菌が、ガジュツの投与によって胃内から消滅することを確認している。
その他の慢性肝炎・膵炎、胃潰瘍、不整脈、高血圧、高血糖といった重い症状以外にも、ニキビ、シミ、公衆、肩こり、腰痛、冷え性、脱毛症、夜尿症といった日常的な不調に対する効果も多数公表されるとともに、ウコンとの併用による相乗的な事象も報告されている。
水曜日, 10月 26, 2005
ケフィアについて
ケフィア(ケフィールとも)の名は我が国ではヨーグルトほどポピュラーではなかったが、コーサカス地方で常用される歴史的な発酵乳飲料(乳酸菌飲料)で、近年その健康への効果が再認識されて一挙にクローズアップされてきた。ちなみにヨーグルトは主に牛乳に乳酸菌(ブルガリア菌、テルモフィルス菌、ラクチス菌など)を加えて発酵するが、ケフィアは現地では羊、山羊、牛の乳を一度過熱、冷却した後、ケフィア菌(種菌)を加えて一昼夜発酵させる。するとケフィアグレインとも呼ばれる黄色のカリフラワー状の塊ができるので、そこへ数倍量の加熱殺菌済み冷却乳を添加し、2~3日してから飲むことが行われている。
ケフィア菌は乳酸桿菌、乳酸球菌などの乳酸菌、および特殊な乳糖発酵酵母からからなるが、その発酵過程はまず乳酸菌発酵によって酵母の繁殖に適した酸性条件が作られ、次いで酵母によるアルコール発酵でケフィアに酸味と泡立ちが与えられる。
類似の発酵乳に中央アジアの遊牧民が馬乳から作るクミスがあり、腸疾患や貧血などへの薬効が認められているが、ケフィアについては早くも1877年にロシアの学者が胃腸病、便秘、下痢、糖尿病への効果を報告、1908年にはロシア生まれのフランス人でノーベル生理医学賞を受賞したメチニコフが「ケフィアは腸内の悪玉菌を抑え、免疫能や生理機能を高め、動脈硬化を改善し、老化を防止する」という主旨の長寿論を発表した。この頃からコーサカス地方の住民が長寿であることに強い関心が払われるようになったが、特に1970年代以降は世界的に研究が進み、アメリカ、旧ソ連、ハンガリー、日本などで相次いでケフィアの血中コレステロール低下作用、心臓・腎臓病の改善、肥満の解消、肝臓の再生機能の賦活、ウイルス感染抑制作用、ガン細胞増殖の抑制などの研究発表がされた。
制ガン効果については日本国立予防衛生研究所、久保道徳(近畿大学薬学部)、九州大学農学部など日本の研究に見るべきものがある。久保はICR系のマウスのエールリッヒ固形腫瘍に対するケフィアの抗腫瘍作用を経口投与で検討し、有効であることを確認した研究論文の中で、「これらの抗腫瘍作用は、腫瘍作用に対する直接作用ではなく、免疫系、特にマクロファージを介した作用であることが明らかにされつつある」と述べ、「ケフィアに抗腫瘍作用が経口投与で認められたことは意味深い」と結んでいる。
なお、ケフィア菌(種菌)を入手して自分で加えて発酵させるのがヨーグルトキノコだが、よい菌を選び、作り方と管理法に慣れないと雑菌が混入して腐敗、食中毒を起こす恐れがあるので十分注意しなくてはならない。
火曜日, 10月 25, 2005
エゾウコギについて
エゾウコギ(蝦夷五加木)は、高麗人参や三七人参と同じウコギ科の落葉低木で、本場は中国北部とシベリアである。エゾウコギは、その名からもわかるように日本産(北海道)のものの和名である。中国では刺五加、ロシアではエレウテロコックと呼ばれている。
中国では昔から、同類(五加、五加木)のウコギの樹皮を用いた五加皮と呼ばれる生薬があり、強壮、強精、鎮痛に効ありとされているが、エゾウコギはその一種。
日本では、わずかに北海道でしか産出しないこともあって、今まで一部の人に知られるだけで、大衆には程遠い存在であった。近年、精力増強や性機能強化という効能で知られるようになったが、後述するように全身の活力を高めるなどの働きがあるといわれている。
ロシアや中国ではエゾウコギの研究が盛んで、その発表によれば次のような効能があるという。 ①疲労回復、強壮、体質強化 ②自律神経失調症及び神経衰弱に効果。神経の興奮を沈静化する。③性機能の回復と強化 ④循環器系疾患に効果。低血圧、高血圧の改善、血液中のコレステロール値を下げ、動脈硬化、心臓病を予防する。 ⑤抗ガン効果。ガンの発生、発達、誘発、転移を抑える。 ⑥その他、糖尿病、慢性気管支炎などにも有効。
こうした薬効・食効がわかってから、旧ソ連で一般の人々の健康維持や運動選手の能力アップ、要人や宇宙飛行士の体力保持、中年からの性機能の向上など、多方面で愛用され、日本でも健康食品として、いろいろな形態で商品化されるようになった。
エゾウコギの有効成分は、複数のトリテリペイド配糖体(サポニン、リグナンなど)が知られているが、特にエゾウコギの特徴としてエレウタロイドEというリグナン系化合物が注目されている。これは生体防御物質のβエンドルフィンを増やし、免疫細胞の増殖や活性化を促すといわれている。
土曜日, 10月 22, 2005
ゴマについて
ゴマ(胡麻)はゴマ科の一年生草木で、アフリカのサバンナ地帯が原産地である。2~3cm の長方形をした果実の中に多数できる種子を食用とする。日本には中国から伝来したと思われ、古くから精進料理には欠かせないものとして珍重されてきた。
ゴマを色で分けると、色、黒、茶、黄、金、緑などがあるが、主に使われるのは白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマの三種である。白ゴマは脂肪の含有量が多く、約55%にもなる。そのためゴマ油にも使われている。黒ゴマは独特の香気があり、ゴマ和えやゴマ塩などに用いられている。これは風味をよくするだけでなく、ゴマの栄養分を加えながら、とり合わせの食品の消化を助ける効果もある。
ゴマには優れた栄養成分が多数含まれているが、最近とくに注目されているのはガンや老化の予防に効果があるとされる抗酸化物質の存在である。揚げものなどに使った食用油を放置しておくと、時間がたつにつれて黒く変色し悪臭を放つようになるが、これは油の不飽和脂肪酸が空気にさらされて酸化し、過酸化脂質という有害物質に変化するからである。ところがゴマ油では、このような変化が起きないことが知られている。ゴマの成分の半分以上は脂肪で、とくに不飽和脂肪酸が多い(約85%)にもかかわらずゴマ油が変敗しにくいのは、ビタミンEやリグナンといった抗酸化物質が含まれているからだと考えられている。
リグナンは大豆イソフラボンと同じく、体内で女性ホルモン様物質として働くフィトケミカルである。ゴマに含まれるリグナン類はゴマリグナンと総称され、セサミン、セサモリン、セサミノールなどの抗酸化物質が知られている。このうち、セサミンは中性脂肪を減らす作用もあることがラットを使った実験でわかっている。また、黒ゴマの果皮に含まれるアントシアニンにも抗酸化作用が認められている。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリー、紅サツマイモ、ナス、黒豆などの色素成分だが、免疫力を高め、ガン細胞の増殖を抑えることが動物実験で確かめられている。
ゴマの成分で脂肪に次いで多いのはタンパク質で、全体の五分の一を占める。とくに必須アミノ酸のトリプトファンとメチオニンが多く含まれており、催眠や精神安定、抗うつ症状の改善に効果がある。
ビタミン類では、炒りゴマ100g 中にB1が0.49mg 、B2が0.23mg 、ナイアシンが5.3mgと、ビタミンB群が豊富だ。ミネラル類ではカルシウムが1200mgと抜群に多く、これは牛乳の約11倍である。(いずれも日本食品標準成分表)。
このように良質な脂質と多彩な抗酸化物質を多く含み、ビタミンやミネラル類も豊富なゴマであるが、さらにその機能性を高めようと品種改良の研究も行われきた。2001年には血中の中性脂肪を減らす効果が高い新品種のゴマが農水省農業研究センターで開発されている。新品種はセサミンの含有量は多いが収穫量が少ない中国産のゴマと、収穫量の多い国内品種を交配して作ったもので、セサミン含有量が1g当たり約10mgで、中国産よりも5%程度多い。同センターが行ったラットを使った実験では、脂肪酸を分解する肝臓の働きが普通のゴマの2~3倍に高まり、血中の中性脂肪が減ったという。同センターでは食品企業などと提携して、生活習慣病の予防に役立つゴマの製品化に取り組んでいる。
金曜日, 10月 21, 2005
マテ茶&シジュウム茶について
マテ茶は、南米(パラグアイ、ブラジル西部)原産のモチノキ科の常緑低木であるゼルバマテの葉・茎を用いた健康茶である。南米土着のインディオたちが400年以上も健康茶として飲み続けてきたもので、今ではブラジルをはじめ南米各地で愛飲されている。カフェインが少ないので、飲みすぎても胃を刺激しないので、子供向きのドリンクにも格好である。
グリーンマテ(緑茶タイプ)とローストマテ(焙じ茶タイプ)があるが、ビタミンCと葉緑素以外の成分(ビタミンA、B1、B2、鉄、カルシウム、食物繊維、脂肪代謝を促すコリン)は、どちらも遜色がない。成分として注目されるのは、マテ茶に特有のマイテンというアルカロイドで、自律神経を刺激して心身を活動的にし、健胃・整腸作用、肥満防止も期待できる。一方、神経の興奮を抑制する働きもあって、ストレスによるイライラや二日酔いにも効果を表す。
機能性の研究では、ノーベル医学賞受賞者のウーサイによる造血作用、美肌作用、消化液の分泌促進作用、グリコーゲン産生と疲労回復効果などに関する報告がある。また、川上美智子(シオン短期大学)は、マテ茶のタンニンがデンプン分解酵素アミラーゼ作用を阻害、体脂肪を減少させ、便秘を解消すると発表している。活性酸素を消去するSOD活性も高い。
○シジュウム茶
南米(ブラジル、ペルー、コスタリカなど)原産でフトモモ科の落葉小高木シジュウムは、古くからインカ帝国のインディオが栽培して甘酸っぱい果実を食用にし、皮膚病の薬にも使っていたといわれる。その葉を干して粉末にしたお茶は、見かけは黄色みの強い粉茶の感じで少々抵抗のある薬臭さが気になるが、飲んでみると苦味も味の悪さもない。
シジュウムの葉にはミネラル(鉄、カルシウム、リン、マグネシウムなど)やビタミンC、タンニンも含有されているが、抽出エキスには、アレルギー性症状を引き起こす原因となるヒスタミン遊離を非常に強く抑制する作用があるため、花粉症に効果的であるほか、入浴剤として使用するとアトピー性皮膚炎、湿疹、老人性皮膚掻痒症などによるかゆみを抑える作用がある。
ラットへのエキス投与実験では、この作用を立証するデータが得られたという。またあらゆるタイプのアレルギーに有効性があると発表している。シジュウム属には50~70種の植物が数えられ、グァバ茶として知られるグァバもその一種で、その性状や成分には非常に似通ったものがあることは興味深い。
木曜日, 10月 20, 2005
納豆菌について
納豆の原料となる大豆は、畑の肉とも言われるヘルシー食品だが、これに納豆菌を作用させた発酵食品である納豆は、栄養成分としては大豆そのものよりもビタミンB群(B1、B2、B6、B12、パントテン酸、ニコチン酸)の含有量が多い。とりわけB2は大豆の5倍も含まれるが、これは納豆菌が増殖するときビタミン類を合成するためである。
米を主食とする通常の食事から見ると、米のデンプン質が75%、納豆のたんぱく質35%、脂肪20%というバランスは絶妙で、非常に良い組み合わせだといえる。しかも発酵によって、煮豆なら65%程度だった消化吸収率が大幅に改善され、90%程度にもなる
納豆が日本人の食事に登場したのは3000~4000年前の縄文時代と考えられ、奈良時代に完全に定着したものといわれている。今日残っている納豆の薬効に関する伝承としては、①納豆を常食していると結核にならない、②農繁期には納豆を食べよ、③納豆を肴に酒を飲むと悪酔いしない、④シラクモ(皮膚病の一種)には納豆のネバネバ(主成分はムチンという物質)をつけるとよい、⑤高血圧や心臓病に効く(リノール酸の作用)、⑥下痢が治る(納豆菌の整腸作用)、などのほか、乾燥させ粉末にした納豆を常用すると胃の調子がよいとか、風邪が治るといったものまで、非常に多くのものがあるが、これは納豆が古くから幅広く愛用されてきた証拠であるといえよう
さらに納豆は大豆のタンパク質を酵素分解しているので、人体に不可欠の必須アミノ酸群を含んでおり、それが生理活動を活発にすると同時に、脳細胞の活性化を促す。勉強に集中する学生や、仕事がハードなサラリーマンなどには、うってつけの滋養強壮食ということができる。
納豆の効用は栄養的な素晴らしさだけでなく、納豆菌自体の優れた作用に負うところが大きいことも、見逃せない要素となっている。その第一が整腸作用である。この作用は乳酸菌よりも強く、腸内の腐敗菌を押さえ込む時間も乳酸菌より長く続く。第二は、ある種の腸内有害細菌やウイルスに対して、相当の対抗性ないし抑止効果を持っていることである
納豆菌に制ガン作用があるという研究発表もある。それによれば、ガン細胞を食い殺すT細胞を活性化するインターフェロンを、納豆菌が誘発するのだという。納豆には納豆菌によって作られるナットウキナーゼという酵素が多量に含まれているが、これが血液の固まりである血栓を溶かすことで、脳梗塞や心筋梗塞を予防するという学会発表もなされていることは興味深い。
水曜日, 10月 19, 2005
珊瑚草(さんごそう)について
正式和名はアッケシソウといい、発見地の北海道厚岸にちなんだ名称であるが、群生地が多い北海道ではサンゴ草(珊瑚草)の名で親しまれており、NHK や民放のTV などでもこの別名で紹介されている。海岸の塩水をかぶる砂地に自生する高さ15~20cm のアカザ科の一年草で、多肉の緑色をした枝や葉は、秋に美しい紅紫色に染まる。生える様子から別名をハママツ、また、節々から対生する枝がちょうど枝サンゴのように見えるところからヤチサンゴともいう。本草書の古典である李時珍の本草綱目には鹹草、貝原益軒の大和本草など日本の文献には三枝、塩草、福草などの名が見られる。
現在では、厚岸湾、能取湖、サロマ湖のほかは、四国の愛媛、香川県の一部だけにしか見られないという貴重な資源であるが、それだけにアッケシソウの名を知る人は少なく、この全草の粉末を主成分とした健康食品であるサンゴ草の名の方が広く馴染まれるようになった。
近年、一部には健康を考えるときに生命誕生の段階にまで遡って見直す必要があるとされて、原始の生命を育んだ海水のミネラル組成が生体水のそれに非常に近いものであること、また、生命活動の維持にとって海中の全てのミネラル成分が多かれ少なかれ不可欠であることが明らかにされてきた。
その観点に立つと、海水をかぶりながらそれを吸収して育つサンゴ草には、鉄分、カルシウム、マグネシウムといった必須ミネラルが非常に多く(例えば、鉄分は牛レバーの約110倍)含まれると同時に、亜鉛やニッケル以外にも他の陸生植物と異なって、検出できないほどの微量成分も含めて多様なミネラル類が、バランスよく含有されていることは十分に考えられることである。また、この植物が強い太陽光を浴びる海岸に育つところから、有害な活性酵素から身を守るための活性酵素消去成分や抗酸化物質を持っていることは確かであろう。今のところ分析的に確認されてはいないが、粉末にしたサンゴ草を常食することで、腫瘍、膠原病、出血体質、慢性リューマチなどの改善例が多数報告されていることからも、その可能性は非常に高い。そのほか蓄膿症、腎炎、血圧異常、冷え症、肩凝りなどの改善例もある。
もう一つ、非常に顕著でわかりやすい効果は、サンゴ草末を食べ始めて早い人で一週間から10日もすると、一般に宿便と呼ばれている黒い腸内滞留便が出るという現象が見られ、引き続いて体重減少(減肥効果)や、肌荒れ・吹き出物の改善が見られ、血色がよくなることである。これは時間が経過するにつれて、ほとんどのケースで起こることなのであるが、このような単に食物繊維の効果というだけでは説明がつかない現象については、今のところまだその因果関係が明快にはわかっていない。
火曜日, 10月 18, 2005
ブルーベリーついて
○ブルーベリー
ブルーベリーはツツジ科の常緑低木で、原産地は北米からカナダにかけての一帯である。寄り集まっている濃青色の小粒の果実は、古くから生食のほか、ジャムやゼリーなどに用いられてきた。また、ヨーロッパでは葉や実のエキスを壊血病、泌尿器病、糖尿病などの民間薬として利用されていたこともある。
第二次大戦中に、英国空軍のパイロットがブルーベリーのジャムを大量に摂り続けると、周囲が薄暗くなっても良く見えることが気づいたところから生理活性機能について認められるに至ったが、これに用いられる品種は一般食品用の品種とは異なり、有効成分の多い「ホワートルベリー」という野生種であって、我が国の健康食品にも同じもの(主にスウェーデン産)が使用されている。
よく知られているように、物が見えるというのは、レンズから入った光が眼球内面の網膜を刺激して生じた信号が脳の視覚領域に送られるからであるが、この信号は、入ってきた光の刺激で網膜にあるロドプシン(視紅素)という色素体が、分解・再合成を繰り返す連続作用で生じる。このロリーの色素成分であるアントシアニン配糖体にその働きがあることを見出し動物実験で有効性を証明したのが1964年のことであった。これに続いて、アントシアニンの案視野における視力の改善、視野拡大、夜盲症患者の光感受性の改善、抗潰瘍性、抗炎症作用などについての動物実験や臨床試験の成果が発表されて、その有用性が明らかにされていった。こうした成果をもとに、ブルーベリー製品は1976年にイタリアで始めて眼科、血管障害用の医科向け医薬品として承認され、それ以後、フランス、スペイン、韓国、アメリカ、最近はニュージーランドでも医薬品に加えられている。
我が国でも農林水産省の食品総合研究所食品機能部でその食効を認めているが、ブルーベリーエキスへの期待が一段と高まってきた背景には、若年層のTVゲーム熱や学習時間の拡大などから近視や仮性近視が増える一方、職場ではOA機器の普及などもあって目のストレスや疲労を訴えるケースが激増していることなどが考えられる。また、活性酸素による脂質の過酸化やDNAの損傷などが問題視されるようになって以来、アントシアニンがルテインと酷似した働きを持つことが注目されている。すなわちビタミンCと共同して体内で活性酸素を消去し、血管に過酸化脂質が蓄積することを防いで、末梢神経の弾力を保つ結果、網膜を活性化して視力を回復し、さらには白内障や眼精疲労を抑えると共に、老化防止、抗潰瘍活性や抗炎症作用の増強につながることが期待されるのである。
月曜日, 10月 17, 2005
カボチャ種子(パンプキンシード)について
βーカロチンや糖質を豊富に含み、健康食材としても人気のカボチャだが、この種子には頻尿や尿失禁などを改善する有効成分が含まれており、中米などでは古くから”天然の利尿剤”として使われてきた。また、植物療法の伝統が根強いヨーロッパでは、カボチャ種子の抽出物を配合した医薬品が前立腺肥大や過敏膀胱の治療を目的に販売されている。
カボチャはウリ科の蔓性植物で、日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの三品種が知られているが、このうち機能性素材として種子が利用されるのはペポカボチャである。ペポカボチャはメキシコ北部から北米が原産地で、低温に強い品種であることから世界各地で栽培されているが、わが国では西洋カボチャが九割を占め、ペポカボチャはあまり馴染みがない。イタリア料理に使われるズッキーニ、三杯酢にして食べる金糸瓜(そうめんカボチャ)はペポカボチャの一種である。
ペポカボチャの種子が前立腺肥大を改善するのは、種子に含まれる脂肪酸と植物ステロールの作用によるものと考えられている。これは、前立腺肥大の改善に強い効果があるとされるハーブのノコギリヤシと同じメカニズムであることも知られている。前立腺肥大は、男性ホルモンのテストステロンが変化して生成されるジヒドロテストステロンが蓄積することによって起こるが、カボチャ種子の脂肪酸は、この生成に関与している5αーリダクダーゼという酵素の活性を阻害することによって、ジヒドロテストステロンの蓄積を抑制する。また、レセプター(受容体)への結合を阻害する作用も認められている。
このほか女性に多いとされている、くしゃみや咳などで尿が漏れてしまう尿失禁の改善にも効果があることがわかっている。
カボチャ種子
日曜日, 10月 16, 2005
マコモについて
マコモ(真菰)は、古くから日本各地に群生しているイネ科の植物で、一般的にはコモ、コモガヤ、カツミ、チマキグサと呼ばれる。湖沼や川の水際に自生し、古くはマコモの実を粥に炊いて食べていたこともあったという。また、アメリカでも、原住民が「野のコメ」と呼んで食していたり、中国では食品として市販されている。
日本ではいまも神仏に供せられるケースがよく見かけられる。東京の神田明神をはじめ、千葉の香取神宮、大分の宇佐神宮、島根の出雲大社など、多くの神社に神事として残っている。たとえば神田明神では毎年六月にマコモで編んだ輪の中をくぐらせている。出雲大社ではマコモの上を歩かせて、一年間の無病息災を願う行事が古くから引き継がれている。こうした例は、マコモの持つ薬効や生命力、食糧としての価値などを経験で知っていたことによるものであろう。
その効用については、古くは、『本草綱目』などにも記載されている。また、マコモの根は「無毒、止小便、止渇、利腸胃」に、マコモの実は「止渇、利五臓、利大小便」などに、また中心茎は「滋人歯、止渇、胸中浮熱風気、水痢」などの有効性があるという。これを現代的に解釈して、高血圧、糖尿病、肝炎、胃腸病などに卓効があることを示しているものもある(『和漢薬』1974年、医歯薬出版)。
このマコモを現代人が手軽に食べられるようにした健康食品があり、この作用について医学的研究が行われ、注目を集めている。その報告内容を紹介すると、次のようなことである。
第一に、「安全性」については皮下投与、経口投与、いずれにおいても急性中毒性は認められない。第二に、「胃腸に対する働き」である。動物実験の結果、消化器官の運動がよくなり、消化を促進する。また、腸内の大腸菌を顕著に減らし、慢性疾患などに予防意義が認められた。
第三に、「脳障害の予防」であるが、高血圧自然発生ラットによる実験を行った結果、①血圧上昇の抑制傾向がある、②与えなかったグループが脳障害を起こした(50%)のに、与えた方は、まったく起きなかった、という結果を得た。この脳障害については、微小動脈瘤の形成とその壁組織の壊死による崩壊が主体とされており、脳卒中等の予防に役立つとみられる。
第四に、「補体の活性への影響」である。人間の免疫機構の中で補体(免疫作用をもつ酵素タンパク)の役割が重要視され、①微生物による炎症を防ぐ働き、②ガン細胞を抑制、破壊する因子を提供する、などが知られているが、実験では、マコモによって、補体の活性が62~82倍となり、健康状態の30~50倍を上回った。これはマコモが免疫力あるいは抵抗力の賦与などに積極的に役立つことを示している。
そのほか、性ホルモンの活性化、糖代謝の促進などの有効性が認められた。マコモを原料にした健康食品については、(財)日本健康・栄養食品協会が1988年5月に「まこも加工食品規格基準」(93年7月1日一部改正)を制定しており、「まこも食品」と「まこも発酵食品」のそれぞれについて定義等を行っている。
マコモ
土曜日, 10月 15, 2005
ケール&大麦若葉について
ケールは地中海沿岸の原産とされるアブラナ科の野菜で、キャベツ類の一変種であるが、結球しない。緑葉カンラン、羽衣カンランなどの異名もあり、若い葉を適時掻き取ってサラダや煮物に使えるため家庭菜園でも好まれてきたが、農作物としてはもっぱら青汁用に、厳重な管理の下に栽培されている。
ケールの成分(カッコ内はキャベツの場合)は100g 中タンパク質3・9(1・4)g 、脂質0・6(0・1)g 、炭水化物7・2(4・9)g 、カルシウム225(43)mg 、リン67(27)g 、ビタミンA 効力3300(10)IU 、ビタミンB1 0・15(0・05)g 、ビタミンB2 0・325(0・05)mg 、ビタミンC 125・5(44)mgと豊富である。胆炎・腎炎・胃潰瘍・高血圧・動脈硬化・貧血・糖尿病・痛風・喘息・白内障などの多彩な回復事例は、ケールが抗酸化物質などの機能性成分にも富むことの証拠であろう。
○大麦若葉
ビタミン・ミネラルが豊富な葉緑素食品野菜や薬草類が人間の健康に大きく寄与するのは、緑の葉や茎に含まれた養分のためであるが、このことに着眼して青汁の形で成分を摂取しようと考え、生き生きとした大麦の若葉に白羽の矢を立てたのは、長く漢方薬の研究に携わってきた医学博士の萩原義秀である。大麦の若葉を分析してみると、他の緑色野菜などに比べてミネラル、ビタミン、酵素を多く含有している。そこで萩原は、大麦の若葉から栄養成分を抽出し、それを『麦緑素』と名付けたのである。この大麦若葉エキスには、次のような四代効用があると報告している。
第一はミネラル類で、とくに正常な生命活動に欠かせないのがカリウム、マグネシウム、カルシウムであるが、麦緑素にはこれらが多く含まれており、ホウレン草と比べると、カリウムが約18倍、カルシウムが約11倍、マグネシウムが約4倍と、いずれもとび抜けて多い。これらミネラル類は体に種々の影響を及ぼす。例えば労働科学研究所は、疲労が蓄積されると、ナトリウムが増加してカリウムが減少するというデーターを発表しているが、これが恒常的に進行すると内臓や細胞も疲労し、ガン、脳溢血、心臓疾患、肝臓疾患などを招く大きな要素ともなる。また、カルシウムは血液を弱アルカリ性に保つ働きを持ち、健康体の維持に欠かせない栄養素である。また、ペルオキシダーゼという酵素は、魚の焼き焦げに含まれる発ガン物質を分解する働きがある。されにアメリカの研究によると、ガン患者に対する放射線療法の副作用である白血病に効果があった、とも報告されている。
第二は葉緑素である。天然の葉緑素はマグネシウム・イオンと結合しており、分子構造は血液の血色素に近い。このことは、天然葉緑素が『飲むと血になる』といわれてきた事実を裏づけているともいわれる。傷や炎症、膵炎にも有効性が実証されている。
第三はビタミンである。麦緑素がとくに多く含んでいるのは、ビタミンB1 (牛乳の約30倍)、ビタミンC (ホウレンソウの約33倍)、カロチン(ホウレンソウの約6・5倍)などで、体内の新陳代謝を活性化する。
第四は生体賦活作用である。人間の体細胞は常に新陳代謝を繰り返し、正常な細胞活動を維持している。細胞培養の研究過程において、麦緑素エキスを与えたところ、異常と思えるほど活発に細胞増殖が行われることが実証された。こくした増殖作用は、麦緑素中のトリプトファン(アミノ酸)が成長ホルモン的な働きをするためと考えられている。
大麦若葉を使った健康食品としては、20cm ほどに育った大麦若葉を刈り取り、搾汁して濃縮したエキス液、または粉末(顆粒)化したものが広く市場に出ている。(財)日本健康・栄養食品協会が1987年に公示した『麦類若葉加工食品規格基準』(93年7月1部改正)では、麦類若葉加工食品を『イネ科の大麦、小麦、ライ麦の幼穂形成開始期の草丈20~30cm のものを採取し、その葉、葉柄、茎の全部、または一部を搾汁した液を噴霧乾燥等の方法で乾燥したもの、あるいは搾汁液に適当な賦形材を加えて噴霧乾燥等の方法で乾燥したもの』と定義している。
青汁について
野菜不足を解消し、抗酸化力・自然治癒力を高める三大栄養素やカロリー偏重の栄養学では軽視されてきた野菜類が、生理活性成分の宝庫であるとして再評価され、多くの食卓に積極的に取り入れられるようになってきている。
しかし実際には野菜の種類の選択範囲が限られること、必要量を満たすには相当量の材料を要すること、常に新鮮なものを調達するには手間暇がかかることなどが負担になっていることは否めない。また、調理時の加熱などによって、成分の損失もある。このようなマイナス面を補うとともに、家庭で調理する以上のメリットを持たせることを目指したものが青汁である。
いわば”青いジュース”であるが、ジュースという言葉には果汁のイメージが強い。それよりも緑ないし緑黄色の植物固有の有効成分を、余さずにい搾ったからこその”青汁”である。植物の細胞内に含まれた成分を十二分に搾り取り、消化吸収をよくし、しかも成分の経時変化を防ぐために、一般家庭のジューサーではできない細胞壁破砕や瞬間密封などが施されているものもある。
青汁はもともと、粗食に耐えなければならなかった戦後まもなく、岡山県倉敷市の医師・遠藤二郎によって学校給食や病院飲用に考案されたのが最初であるとされる。そして健康づくりの重要な鍵を握るものとして次第に全国へ広がり、愛飲者によって材料や製法が工夫されていったのであるが、やがて青汁を飲み続けて病気を克服したという事例報告が相次ぎ、研究活動も盛んになったといういきさつがある。
青汁には糖質やタンパク質などのカロリー源となる栄養成分のほか、有効成分としてビタミン群、ミネラル類、酵素類、葉緑素、各種フラボノイドが含まれ、これらすべての複雑な相互作用によって健康回復という紛れもない事実が生ずるのであるが、その作用機序の解明はまだ緒についたばかりである。しかし、事実を積み重ねていく開発姿勢によって、青汁の製法のみならず、用いる材料の吟味も慎重に行われてきた。その主要原料として、ケール、大麦若葉が挙げられよう。
大麦若葉 ケール