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土曜日, 8月 31, 2013

蟾酥

○蟾酥(せんそ)

 ヒキガエル科のシナヒキガエル、ヘリグロヒキガエルなどの耳後腺および皮膚腺から分泌される乳液を加工、乾燥したものを用いる。これらのカエルをそのまま乾燥させたものは蟾蜍という。

 ヒキガエルの分泌物は日本でも古くから「ガマの油」として有名であったが、毒性のあるガマ毒である。一般にガマ毒はそれほど強烈なものではないが、目に入ると激しく痛む。

 捕獲したヒキガエルをよく洗い、耳後腺や皮膚腺を刺激して乳液を分泌させ、それを磁器で採取して銅製のふるいで濾過し、円形の型に流し込んで乾燥させる。日本に輸入されている蟾酥は団蟾酥または東酥と呼ばれるものが中心である。これは直径8cm、厚さ1.5cmくらい、濃褐色の偏平な円盤状のもので、おもに河北・三東省で生産されている。

 1匹のカエルから約2mgの蟾酥が得られるといわれている。ガマ毒は最初にブフォトキシンが発見されたが、これはブフォタリンなどの結合物で、そのほかシノブファギン、シノブフォタリンなど現在までに数十種類の強心ステロイドが報告されている。そのほかステロール類、ブフォテニン、ブフォテニジン、セロトニン、トリプタミンなどが含まれ、ブフォテニンには幻覚作用がある。

 薬理学的に蟾酥には強心作用、局所知覚麻痺作用、胆汁や膵液、胃液の分泌促進作用、抗炎症作用などが報告されている。蟾酥の強心作用はジギタリスに似ているが、作用が早く、蓄積性がない。局所麻酔剤として蟾酥チンキがある。

 漢方では開竅・解毒・消種・止痛・強心の効能があり、意識障害、瘡癰などの皮膚化膿症、咽頭の腫痛、小児の疳積、歯痛、心臓衰弱に用いる。癰などの皮膚の化膿、乳腺炎、骨髄炎などには軽粉などの配合された蟾酥丸がよく知られている。

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