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水曜日, 1月 09, 2013

○酒

 米、麦、黍、高梁などを原料にして酵母発酵によって作られたアルコール飲料を用いる。は古くから百薬の長といわれ、また「醫」の字の下が酒を意味する「酉」とあるように酒は医薬のひとつとして応用されてきた。

 酒は製造方法により醸造酒蒸留酒、混成腫の3種に区別される。醸造酒はアルコール発酵させて作ったもので、ブドウなどの糖分を直接発酵させる果実酒、穀類などのデンプンを糖化してから発酵させるビールや日本酒などがある。蒸留酒は発酵法による酒や絞り粕を蒸留してアルコール分を多くしたもので、焼酎やウイスキーなどがある。混成酒はこれらの醸造酒や蒸留酒に香料や生薬などを加えたもので薬用酒やリキュールなどをいう。

 中国では穀類を原料とする蒸留酒(高梁酒、芽台酒など)を白酒、穀類を原料とする醸造酒(紹興酒、沈缸酒など)を黄酒という。中国でいつごろから酒造が行われていたか明らかではないが、竜山文化時代(紀元前2000年)の遺跡から陶製の酒杯や酒壺が出土している。ただし蒸留酒は11~12世紀になって始められたと推定されている。このため金匱要略の栝楼薤白白酒湯にある白酒はにごり酒あるいは上等の酒のことと考えられている。

 また傷寒論の半夏苦酒湯にある苦酒とは酢のことである。李時珍の本草綱目には「少量飲めば血を和し、気を行し、神を壮んにし、寒を禦ぎ、愁いを消し、興をやるが、痛飲すれば神を傷り、血を耗し、胃を損じ、精を亡い、痰を生じ、火を動じる」とある。酒には血脈を通じ、寒気を除き、薬力を行らす効能があり、酒を水と混合して他の生薬を煎じたり、丸薬や散薬などで酒を飲み下す方法が用いられる。

 傷寒論、金匱要略の中にある炙甘草湯当帰四逆加呉茱萸生姜湯、芎帰膠艾湯は水と酒を合わせて煎じる。また、薯蕷丸、腎気丸、丸痛丸、赤丸、大黄しゃ虫丸、天雄散、候氏黒散、土瓜根散、当帰芍薬散、当帰散、白朮散などは酒で服用するとある。

 生薬を酒に漬けて作る薬酒では黄帝内経の鶏矢醴の記載が最も古いとされ、金匱要略でも紅藍花酒が収載されている。また本草綱目には69種類の薬酒が挙げられている。このほか生薬の修治法として酒炙というのがある。これは一般に黄酒を用い、薬物を炒りながら酒をかけたり、薬物を酒に浸してから炒るという加工法であり、大黄・当帰・白芍・黄連・黄芩などの修治にしばしば行われる。

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